スーパーロボット大戦Z Another Chronicle   作:レゴシティの猫

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第23話 デビルスプリンターの脅威!!Cパート

 〜マーキュリーシティー付近〜

 

 そこは、文字通り水星で……お邪魔すれば新たなエネルギー、エネルゴンを採掘している様子が見える筈だ。通りがかってるだけなので、無視……

 

 「………と、いう事がありまして」

 

 本題。移動中、イチゴは今回あった話をギドに報告していた。ギド・ルシオン・デビルーク……ララ達の父にして、デビルークの王様だった人だ。

 

 『それで俺様に報告してる……と』

 

 「カイの通信網から手繰れる中で一番詳しそうだったので」

 

 実は、デビルークの王族とは誰とでも……という具合になっている。

 

 『まっその判断は正解だ、ベリアルとは知らない仲じゃない』

 

 「その……ベリアル?」

 

 ジードからも少しは聞いた気がするが、念の為聞いてみた。

 

 『ウルトラマンベリアル、数多くいるウルトラマンの中でもとりわけ黒く、強い奴がいた……最もアレなのは、他のウルトラマンは宇宙を守るために行動してるが、ベリアルは支配するために行動してたって所か』

 

 「じゃあ、そいつは悪なんだ……」

 

 『おいおい、俺様とやってた事は変わんねえだろ』

 

 「…………あ」

 

 銀河の覇者として君臨するという事は、戦って、戦って、領地を勝ち取ってきたという事。戦って、戦って、そこにいる人達の場所を支配してきたという事。

 

 『まあ良いや、そいつとは俺様の支配圏にケンカ売ってきたから何度かバチッた事があってな……俺様も会うたびに子供に戻りかけたし散々だったぜ……結局倒す前に他のウルトラマンに倒されたとか、終いには息子にやられたとか……』

 

 ベリアルについて話すギドは笑っていた。少なくとも、倒せなかった事を悔しがっている素振りは無く……ある種の友愛を滲ませている。

 

 「息子って、まさか……」

 

 ジードの顔が思い浮かぶ。

 

 『見せてもらった映像に映ってた奴が多分そうだろうな、あの目つきは親子だ』

 

 「そっか、息子に倒されたんですか……」

 

 自分のしてきた事を息子に否定される……してきた側である自覚が、イチゴの心を抉る。

 

 『案外、スッキリしてるかもしれないぜ?』

 

 「え?」

 

 『息子だからこそ……そいつに倒される事が一番だっていう奴もいる、自分の悩みも、苦しみも、ある程度共感できる程似てるからってのもあるが……そういう繋がりがあいつにできてたの本当びっくりしてる』

 

 「なるほど……」

 

 『それはそれとして、話通りならヤバい事になるな』

 

 「え?……」

 

 『あいつが死んでも、あいつの脅威は終わらんって訳だ』

 

 「ああ……そうなりますね」

 

 『娘の手煩わせんのもなー、かといって引退した奴がしゃしゃりでる訳にもいかないが』

 

 軍を動かす権限は、今は王または王妃達にある。つまりリトやララ達……

 

 『……………………』

 

 ギドは考え込む仕草を見せ始めた、もうイチゴとの会話が終わったかのような静寂が産まれる。

 

 「あの?」

 

 『お……悪い、お前は帰路に着くのか?』

 

 「う……はい」

 

 『もう少し砕けても構わねえよ、サシで話してるのもそうだし……ある意味俺様にとってお前は孫の一人みてえなもんだ』

 

 「……………うん」

 

 本当の、が付かないから……言われても申し訳なさしか起きない。

 その陰りを、ギドには見られたくはないので……早めに会話を終わらせた。

 

 「そろそろ、切るね」

 

 『おう、じゃあな』

 

 「じゃあ」

 

 通信は終わった。

 

 「ふう」

 

 報告するべき事はした、ララ達にはヒカルが既に話をつけているそう。

 

 『お疲れ様です』

 

 「兄さんももうティアーユさんに言ってる頃かなあ」

 

 〜オーシャンシティー〜

 

 ガーランドはグランドコンボイの元、スペースブリッジでオーシャンシティーまで直帰した。

 ほぼ社員食堂に近い場での食事中、その日あった事をすぐにティアーユに話した。

 

 「急に動いてなんだろうと思ったけど大変だったね、お疲れ様」

 

 「まあ、そういう訳だ。やれっていう奴はなかなかいないだろうが、言われても断ってくれ」

 

 「ウルトラマンのクローニング自体はできない事はないと思うけど……難しいかな」

 

 「さらっと言いやがった」

 

 「でもデビルスプリンターって言うのはベリアルっていうのが戦いの中で飛び散った血痕みたいなものなのよね?」

 

 「らしいな」

 

 「生体細胞としてはどうかな……と思う。時間も経ってるなら余計に難しい、鑑定するだけならそれだけでもいいかもしれないけどクローンの因子にするには……ね。できない事はないかもしれないけど、成功するかどうか……いえ、成功しても生命体としての基準をクリアできるか。早い話体外に飛び散って何年経ったかも分からない血痕を材料にクローンを作れって事だもの。ヤミちゃん作った時、新鮮な細胞をどうにか保存して〜って大変だったよ。だから経験談からすると……細胞は本人から直接採るしかないわね、もしそのベリアルがもういなくて……それでも、どうしても生体細胞が必要だっていうなら、近しい誰か……親戚から採る方がよっぽど早くて確実だと思う」

 

 ガーランドは、リクの顔を思い浮かべた。

 

 「お、おう……舌が回るな。流石その道の権威だ」

 

 やるかやらないかはさておき、今言った通りに狙えば出来そうな説得力がある。

 

 「うふふ、ありがとう」

 

 「話を戻す……できるかできないかは分かったが、後は」

 

 「うん、やらないよ。産まれる子がヤミちゃんみたいに、力を求めた誰かの都合で振り回されないように……ウルトラマンから産まれるその子は、きっとウルトラマンである事を求められるようになるから」

 

 ガーランドの母、ヤミはまだ、人間のクローンとして産まれたから人間として生きる事はさして難しい話じゃない。だがウルトラマンは違う……ウルトラマンから産まれたものは、どうしてもウルトラマンである事に期待を抱かれてしまう。救世主であり、防衛機構。宇宙を渡り、平和のために尽力する人格者。翻せば、脅威を排除できるだけの力を行使できる事を望まれる。

 

 「なら、そう伝えるか」

 

 食事が終わって、移動している最中……ガーランドは考えた。

 アンゴルモアエネルギー、その言葉を反芻する度に何故か違和感がガーランドの中に芽生えていくのを感じる。

 それは焦りにも似ていて、血流が速くなるようだった。

 ユニクロンのエネルギー、正邪問わず生命体の願いに反応し、それを叶える力を持つ。

 正邪問わずというのが問題で、富や財宝が欲しいというならまだしも、あいつに何かあれば良い……それが叶えられるという事になる。

 その場合、天変地異でも起こすか、願った奴の体をできる程強くするか……

 そうなれば、際限のない脅威の誕生……である。

 悪意を持たない人間はいたとしても、悪意を持たない人類はいない。いずれ必ずそれは起きる。

 アンゴルモアエネルギーの宿っていた地球の人間達が別の星で文明を築いたのはそれが理由だろう。

 そして、数億年経った今……アンゴルモアエネルギーを封じ込めたカプセルの在処は分からず。

 

 「この体は、恐れてるんだな」

 

 その力が、宇宙に牙を剥く事を。

 この気持ちに理由があるとすれば……

 

 〜宇宙〜

 

 地球に帰るまでの間、イチゴはカイと話していた。

 

 「ごめんね、なんかこう……今まで」

 

 人格が女の子と判明し、次からどう接すれば良いのか分からなくなってきた。

 

 『謝らないでください、謝らなければならない事など何もなさっておりませんので……あ、ちょっと変な力出されると困惑しますけど』

 

 「でも……」

 

 『ただ単に人格プログラムがそうであるだけですよ。特にこの体では、設定上の意味でしかありません』

 

 「一回そう認識しちゃうとなあ」

 

 『なので今まで通りにお願いします(圧)』

 

 「は、はい」

 

 『帰りましょう、イチゴ様の星へ』

 

 デビルスプリンター……どうなるかは分からないが……その日、地球の外から眺めた星は美しかった。普段見ない癖に何を比較してんだかと自嘲気味になるものの、本当に美しかった。

 人として正しい事をやったと、心から思えたからかもしれない。

 戦ってる時は日中が多い、だからそうそう自分のやった事を星空に囲まれ振り返るのもないから……

 

 〜後日 天条院邸〜

 

 「アーハッハッハッハ!!君達、準備は良いか?」

 

 「オー」

 

 ヒカル、チカ、蘭、その取り巻きの女の子達、ガーランド、小狼(シャオラン)、サクラ、黒鋼、ファイ、モコナ……それと何故か、天晴達がいる……天晴達までいる………………

 丈瑠達は今生の別れとは言わないまでも親類に別れを告げたため今も屋敷である。

 

 「なんでガーランド兄さんまでいるの?」

 

 「すまん……今年のネタが、まだないんだ!!」

 

 「ガーランド様、たい焼き用のプレートならまだありますよ」

 

 「毎回同じじゃ、芸がないだろう?」

 

 「まあ、そうですね」

 

 「そうなんだ……」

 

 「ていうか、君達来るって聞いてないんだけど!!」

 

 「俺達もお袋いない訳じゃねえし、この機会になんか作っとくかって訳でよ……渡せるかは分かんねえけど」

 

 「…………ちゃんと持ってきた?材料」

 

 「うん、これ」

 

 風花が見せてきた、材料から察するにおはぎのようだ。

 

 「ならいっか」

 

 「じゃあ、始めましょう」

 

 〜それから〜

 

 「卵か……改めて見ると、これ食えんのか?って疑問になるな」

 

 「黒たんは割るの初めてかな〜じゃあ見てて」

 

 「モコナ、頑張る!!」

 

 「それ、1、2の3」

 

 「えい!!」

 

 1日かけて……

 

 「お兄ちゃん達、力仕事は任せた」

 

 「よーし、任せとけ」

 

 「『ヒュー』、黒はん頑張って」

 

 「仕方ねえ、混ぜりゃ良いんだな……行くぜ、今が駆け抜ける時!!」

 

 「隠し味のクリーム、泡立つまでよろしく……て、待って!!泡立つまでとは言ったけど、竜巻起こすのは止めて」

 

 「いけない、妹達よ……避難だ!!」

 

 己の作りたい菓子を作った。

 

 「時間が経てば第一陣の完成か……カラメルつーくろっと」

 

 「兄上は、料理に必要なものは何だと思いますか?」

 

 「蘭か、料理に必要なのは器具を扱うパワーと熱に向き合う事だと思うよ……」

 

 「はあ……なる、ほど」

 

 「愛情って言わねえんだな〜」

 

 「愛情はあくまでスパイスだよ、それだけあってもどうにもならないものはある。愛情だけでなんとかなるならメシ◯ズなんて概念はない」

 

 「そんなに淡白だと、美柑様は越えられませんよ」

 

 「別に越える気なんかないよ、オレ」

 

 「まあまあ、愛情が押し付けにならないように振る舞うっていうのも立派な愛情なんじゃないかな?」

 

 「そういう考えもありますね……」

 

 一人で静かにやるのが一番良いと思っていたイチゴだったが……

 

 「麗しい殿方でいっぱいですわ〜」

 

 「特にファイ様という御方……にこやかなあの笑顔が素敵♡」

 

 「黒鋼様の動作の一つ一つから垣間見える実直さと力強さ……仕込めば良い執事になりますことよ」

 

 「小狼(シャオラン)君っていう御方も良いと思います、隣のガードが強すぎますが」

 

 「蘭のお兄様も大変麗しゅうございますわ〜」

 

 「初めて会って二カ月足らずなので、なんとも……(色々とアレなのは黙っておこう)」

 

 「あの赤い服の野性じみた方を除いてですけど」

 

 「まあ、ああいうのが良いとお母様はお言いになられてますけど」

 

 「バカというカテゴリーに入るのでしょうね」

 

 「お……お兄ちゃん、すごい言われよう」

 

 「おう、あいつらよりかはそうだろうな」

 

 「ああいうお嬢様方には、一番縁のないタイプだろうからな……」

 

 「そうだね……あ、イチゴのお兄さんはじめまして」

 

 「ああ、はじめまして……俺もあんこ使うからこっち側だ」

 

 「よろしくな!!」

 

 「あ、ああ……(元気の良い奴だな……まるで昔のホットロッドだ)」

 

 「あんたはもう決めたのか?」

 

 「ああ……マイクロン印の焼きごてを使って饅頭でも作ろうかと思ってる」

 

 「君達、そろそろオーブンの準備整いそうだけど型抜き進んでる?」

 

 「大丈夫!!」

 

 たまにはこんなのも良いかと思うのであった……

 

 「小狼(シャオラン)君、どう?」

 

 「おいしい」

 

 「嬉しい……」

 

 「あの二人(小狼とサクラ)、出会った当初から思っていたのですが……」

 

 「ヒカルもそう思う?」

 

 「ええ……とても」

 

 「オレ達の世界にいる内は、あれを引き裂く訳にはいかない……オレはそう思う」

 

 「なるほど」

 

 「御二方、私抜きで面白い話をしていますのね」

 

 「おお、妹よ〜気になる年頃なのは分かるが、所詮私共はあの二人の世界の傍観者だ。何も聞かないでやっておくれ」

 

 流石に時間はかかったが……

 

 〜夜〜

 

 「できた……ラスト」

 

 「やはり最後でしたね」

 

 他の人達は既に作り終えて帰っていった。

 

 「ありがとう、これで間に合うよ」

 

 「イチゴ様は、何故今年はプレゼントに乗り気で?」

 

 やろうと思えば、これまでだって出す事はできた筈だった。と彼は言いたげだった。

 

 「まあ、アレだね。気持ちが上向いてきたっていうのかな?………そう思うと、急に何かしたくなったっていうか……」

 

 「直接出向く事ができれば、もっと良いんですが」

 

 「そんな恥知らずな真似できないよ。王宮だよ、王宮……オレが行っていい場所じゃないんだ」

 

 「(あ、コンプレックスから完全に解き放たれた訳じゃないのか……)」

 

 「じゃあ詰め込むから、後はよろしく」

 

 「任せてくれ、詰め込みキングとしてなんとかしてみよう」

 

 〜後日 デビルークの宮殿〜

 

 ザスティンが、大きなクーラーボックスを持って謁見室に現れた。

 

 「ララ様、イチゴ様から贈り物です」

 

 「うん、分かった〜確認するね〜」

 

 そう言って、ララは中を確認する。

 そこには、箱いっぱいのプリンがあった(一人1個)。

 

 「わあ♪」

 

 一番上の紙には「しばらくぶりだけど、いつもありがとう」と書かれていた。

 後からプリンとその紙を見た美柑は、薄く笑みを浮かべつつも、目の周りを拭う。

 

 「全く……こういうのは自分の言葉で言いなよ」

 

 一方その頃……

 

 イチゴは彼女達に宛てて作ったプリンの余りを食べていた。

 固くはなく、口元ですっと解けるような感触の優しい甘みを感じる。

 舌に残るその余韻に浸りつつ、美柑達の事を考えた。

 

 「喜んでくれると良いな」

 

 出すのも含めて……自分にできた、精一杯だと思いながら




いかがでしたか?面白いと思っていただければ嬉しいです。
天条院邸にあそb……お菓子作りに来た人達も無事渡せたものと思っててください。
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