スーパーロボット大戦Z Another Chronicle   作:レゴシティの猫

89 / 105
第24話 迷いながらのライブ会場!! Cパート

 会場の屋根が、開いていく。

 状況に変化を感じた天晴達は変身した。

 

 「シュリケン変化」

 

 そしてファイ達を除いてニンニンジャーは急いで会場に向かった。

 

 「単なるマインドセットだって言うのに、きっつ……」

 

 『マインドセットですか、そうですか……』

 

 カイは、フラフラになりかけた。

 イチゴは特に、シートに座っていても疲れが噴き出た。

 

 「みんな、後はお願い……」

 

 〜一方その頃〜

 

 ルビー達が舞台に上がって、挨拶を始めた。

 牙鬼軍団を他所に、彼女達の姿を見て人々は元気を取り戻す。

 

 「わー!!」

 

 「お待たせ、みんな!!」

 

 「……………で、誰よあいつ」

 

 有馬の呟きで、一同は有明の方を見た。

 アイドル達には自己紹介をしていなかったのだ。

 

 『ユニクロン程じゃないけど、邪悪な気配だ……ユニクロン程じゃないけど』

 

 『あいつと比べるのは、この人がかわいそう』

 

 『そうだよ』

 

 「なんじゃ、躾のなってない絡繰じゃのう!?(プンスカ)」

 

 「よろしければ、名前をお伺いしても?」

 

 「よくぞ聞いた。妾こそが牙鬼軍団のぷりんせす、有明の方なるぞ!!」

 

 「あ……チラシになんか書いてある」

 

 「どれどれ……」

 

 ヒコボシ・ミナトはチラシを確認した。

 

 「本当だねえ、最後ん所にねじ込まれてるよ……いつの間にやったの?」

 

 「そうじゃのう……部下に命じたのじゃ。関係者の内に潜ませ、細工を施してのう」

 

 ※絶対に真似しないでください

 

 「すごいじゃん、本当に姫様なのね〜」

 

 ヒコボシ・ミナトは感心した。

 

 『強引にねじ込むスタイルストロング』

 

 『ワテら、こういう押しの強さを忘れちゃってたんだミーン』

 

 『今そんな事やったら姫様と若様に迷惑でアーム!!』

 

 『ムチャス!!ムチャス!!』

 

 『分かってるんだミーン!!』

 

 「ここは私達のステージだよ、何しに来たの!?」

 

 「そうじゃなあ、妾の美貌で群衆達を虜にするのじゃ」

 

 「あのさあ、他人のステージでしゃしゃりでないでよ、この お ば さ ん!!」

 

 ルビーはなかなか扉が開かなかった鬱憤を込めて叫ぶ。

 そうだそうだと怒号が飛び交う。

 

 「お・ば・さ・んじゃと〜!?妾の優美な姿を衆目の目に焼き付けようとしてるだけじゃこの小娘共が!!」

 

 いつの間にか乱入した足軽達もそうだそうだと叫んでいる。

 

 「そういう訳じゃ、疾く下がるが良いぞ。妾の出番故な」

 

 「嫌よ!!今日のためにいっぱい練習してきたんだから」

 

 「早いもの勝ちじゃ〜」

 

 「奥方様、邪魔であれば追い返しましょうか」

 

 アイドルの一人が進んだ。

 

 「奥方様、少し良いでしょうか?」

 

 それが美少年だったため、有明の方はたじろいだ。

 

 「お、おお……近頃はお主のような者がおるのか……申してみよ」

 

 「妹之山残と申します、どうでしょう?奥方様はステージに立ちたい……我々も元々そのつもりでここに来た……ならば流血による決着ではなく、歌う事によって決着をつけると言うのは?牙鬼の関係者とあらば、支配者としての誇りを持って生きてきたかと思います。下々を傷つけまいという度量をお示しいただけるとありがたいと」

 

 「そのような言葉、お受けになる必要ありませんぞ!!奥方様」

 

 「ふむ……そ、そのようなキラキラした瞳で見られては仕方ないのう」

 

 「お、奥方様!!」

 

 「凄え、切り抜けやがった」

 

 「流石妹之山家の御曹司……」

 

 「よし、そうと決まれば決着を着けようぞ。小娘共!!」

 

 配下が楽器を構えた。

 そんな時小狼(シャオラン)達が、窓から観客席の方に入ってきた。

 

 「む、お前達は!?」

 

 「本当にマヨイガは逝きおったか」

 

 「という事は……封印の手裏剣はどうなっているのです!?」

 

 「建物に取り憑いておった状態から逝ったのであれば………あ」

 

 「あ!?」

 

 「あ……………………」

 

 「まあ、失って泣くのはニンニンジャーか」

 

 「あ、みんな!!」

 

 「あ……ルビーさん」

 

 「小狼(シャオラン)君達、久しぶり〜」

 

 人々は小狼(シャオラン)達とルビー達を交互に見る。

 

 「あ、この子……アイの時にもいて私達を助けてくれた」

 

 誰かの言葉で、より一層ざわついた。

 小狼(シャオラン)はまあまあと場を制する。

 

 「ルビーさん……牙鬼軍団です、危険です。逃げてください」

 

 「何いってんの?逃げるわけないじゃん、今からいっぱいファンのみんなに歌わなきゃいけないんだから」

 

 「今から、歌でのみの勝負をするという手筈となっています。話は通じる御方のようですしそこは守るかと」

 

 離れる気はなさそうだった。

 

 「でも……」

 

 「初めて見る子だけど……ここに私の歌を楽しみにしているファンがいて、私がいる……なら、歌うしかないよ」

 

 「賛成!!MAIちゃんもそう思ってくれて良かった」

 

 緑の髪の女性を見て、この人がイチゴの妹なのか……あまり見た目では似てないなと感じつつ、一方で困惑した。

 

 「そんな……」

 

 そんな小狼(シャオラン)に黒鋼が肩を叩いた。

 

 「まあ……あれだ。ここにいる奴らが外に出りゃあ、後で妖怪が巨大化してどうなるか分からねえ……だったらここで一纏まりにしておいた方が良いかもしれねえ」

 

 「なら、おれ達がやるべきなのは……」

 

 歌の邪魔になりそうな奴らを離すように戦う事。

 

 「だな!!」

 

 「俺達でなんとかしようぜ!!」

 

 「はい!!」

 

 小狼(シャオラン)は、飛び蹴りを繰り出し、足軽を別の通路まで押し込んだ。

 

 「ルビーさん、任せました!!」

 

 「うん!!」

 

 そしてその場を後にした。

 

 「暴れたい奴達はこっちに来い!!」

 

 黒鋼の言葉で、足軽達は走っていった。

 

 「奥方様!!」

 

 「よい、ここは妾のみでなんとかしてみせようぞ。晦……行け」

 

 「ハッ!!」

 

 晦正影達は地下へと下りた。

 

 「では私めも」

 

 九衛門も後に続いた。

 全員歌とダンスで乗り切る気満々だったのだ。実力差がどうあれやられる事はないだろう。

 

 〜舞台裏〜

 

 勢いで小狼(シャオラン)達と逸れた。

 

 「天ちゃん、今回はあの人達の戦いだから……ね?」

 

 「おう、任せとけって」

 

 道中追ってきた足軽を倒しながら天晴達は進む。

 その道中で鉢合わせしたのは晦正影だった。

 

 「お主達が相手か」

 

 「相手が誰だろうと、倒すまでだ!!」

 

 八雲達は、武器を構えた。

 

 〜会場内〜

 

 マイはふと違和感を感じ、本番のために開いた会場の外を見た。

 ペケにそっくりなロボット、カイが空の上に佇んでいる。

 

 「カイ!?ていう事は……イチゴ?」

 

 「どったの?MAIちゃん」

 

 ルビーに問われた。

 

 「ううん、(にい)さ……知り合いっぽいのがいただけ」

 

 「へ〜」

 

 「ママの言った通りか、せっかくだから見ててよ……今の私を(小声)」

 

 音声を拾い、イチゴはマイを見た。

 昔交流のあった妹が、成長し、少女へと成長した姿があった。

 アイドルとして、服装をかわいくキメた姿。

 あの日語った夢を叶えた、妹の姿がそこにある。もう双子の兄とは分離しているのだろうか?

 …………考えると、突如頭痛が襲いかかる。

 

 「…………!!」

 

 アイツモデビルークノモノダ コロセ

 アイツモデビルークノモノダ コロセ

 アイツモデビルークノモノダ コロセ

 

 「う…………」

 

 マイは、メモルゼの王女で、デビルーク王の血を引いてるからそちらの王女でもある……そういう分析はいい、収まれ……収まれ……

 

 「………………」

 

 イチゴは片手で頭を抱えた。

 

 『イチゴ様?』

 

 カイがあたふたしてると突如、暗闇から蹴りが襲ってくる。

 

 「!?」

 

 カイが腕でガードしてくれたので転倒せずに済んだ。

 蹴ってきたのはシュロウガだった。

 

 「…………あんたは、アサキム!!」

 

 「同調は薄く、脆いが力そのものは引き出せるようだね」

 

 『あんまり褒められたものじゃないんですけどね』

 

 「有の存在でありながら限りなく無へとその身を堕とす、ただし無そのものではないが故に完全にそこに至る事はない。交わりはしない、二つの狭間をたゆたうのみ」

 

 「………………?」

 

 『分かるように話してくださいよ』

 

 「狭間とは異なる二つの境界であり、どちらにもなり得ない業そのものだ……」

 

 「………………?」

 

 「有には有の、無には無の理がある。絶たねばならない、と願うのも世界の摂理ではあるか」

 

 シュロウガは剣を構え、迫ってきた。

 

 「解放してやろう、君の宿命から」

 

 「!?」

 

 『イチゴ様!!』

 

 シュロウガの攻撃に備え、カイは身構えた。

 刹那……

 

 「?」

 

 『攻撃……されてない?』

 

 目の前には風でバリアを張っているレイアと、変身した朱雀と、ファイの駆るウィンダムがいた。

 

 「アサキム……」

 

 「そろそろ来る頃だと思ってたよ」

 

 「力を封じた君で僕は止められない」

 

 「助けてくれた事は感謝してる……けど、イチゴ君にひどい事はしないで!!」

 

 「なるほど、既知の間柄だったか」

 

 『ようやく見つけた僕の大事な子だからね……』

 

 「四神の超機人か……僕も同じ意見だよ、だが求めるものは違うか」

 

 シュロウガは数歩下がった。

 

 「ありがとう……みんな」

 

 イチゴは礼を述べた。

 

 「どういたしまして」

 

 「いいよいいよ、ねえ」

 

 レイアは朱雀を見た。

 

 『ふむ、君は………悪くはないが、もう少し成熟した肉体の方が僕は好みだね』

 

 「…………な……な、何を言ってるの!!」

 

 レイアはその言葉の意味に気が付き、顔を真っ赤にして叫んだ!!

 

 「朱雀、レイアが困ってるじゃないか」

 

 『そんな事よりさ』

 

 シュロウガが目の前にいる、そう言いたいのは分かるが……

 

 『あれがイチゴを狙うなら、僕の敵という話になるね』

 

 「そうなるかな~」

 

 『あっちへ行くと良い、僕の炎では巻き添えを食う……』

 

 「え……でも……」

 

 『ここで戦う事だけがやるべき事かい?』

 

 「………ええ、ええ!!その通りね」

 

 レイアは空を飛んで会場に向かっていった。

 

 「ほうきなしで飛べるんだ……」

 

 『己が何者か気付かないまま生きる……それって幸せなのかな?』

 

 「……………どういう事だよ」

 

 「その問いは僕が答えよう、幸せだろうさ。分かってしまうから、苦しみは尽きない。君もそうだろう?イチゴ、ファイ」

 

 「…………………」

 

 「ファイ?」

 

 「なんでもないよ、モコナ」

 

 自分の心の弱い部分を的確に(まさぐ)られるようでイチゴは不愉快だった。さっき妹の事を考える時に湧いてきた強烈な衝動に比べればマシではあるが。

 

 「……かもしれない。でも、それは知って困る事……だからじゃないの?」

 

 「そうだね、知ったものが良くない事だから人は苦しむ。そうでなければ苦しまずともいい……だが、知って喜びに至れるものより、世界にそれは多くひしめいている」

 

 『なるほど、であれば僕は喜びを見いだせた側かもしれない。己が何者か見据える事ができてこそ、進むべき道が見えるのだからね』

 

 「その道は正道か?邪道か?」

 

 『確かめようよ、刃を交わしてさ』

 

 「よし、ファイさん行こう」

 

 イチゴがカイを動かそうとすると朱雀は術を唱えた。

 

 『封火障壁』

 

 四方に火柱が吹き、カイの行く手を塞ぐ。

 

 「え?」

 

 『動かなければどうという事はない、感情をゆっくり落ち着かせる事だね』

 

 「………………」

 

 「まあ、オレ達がなんとかするからさ……あ、曲が始まるみたいだ」

 

 ロケットシップ・ベイビーズの歌が聞こえてくる、冴えた曲調とジャズの響きがクールな余韻を産み出す。

 技量上昇。

 

 「始めるか」

 

 シュロウガは額から光線を放つ。

 

 『フッ!!』

 

 朱雀は軽やかに避ける。

 

 『貫け!!』

 

 高速で旋回し、続いて加速しつつ直進する。

 朱雀は翼でシュロウガを斬り裂く。

 

 「そんな攻撃で!!」

 

 シュロウガはくるりと回転し、剣を用意する。

 そのまま朱雀へ向かい、尻尾を斬り裂く。

 

 『クッ!?』

 

 両方素早く、繰り出す斬撃が綺麗で、割って入れる気がしなかった。

 あの二人と戦っていた時間が、夢だったのではと疑いたくなる。

 

 「ハハハハハハ!!」

 

 『どうだ。これが僕、四神の朱雀だよ!!』

 

 「だが……どれだけの存在であれ、所詮君は人の傀儡でしかない!!」

 

 『人の方が僕より偉いだと?言葉を慎みたまえよ、僕達に守られなきゃ生きていけなかった奴らの方が僕より偉いなんて、あって良い訳ないだろ!!』

 

 「感情に猛った、そんな君がイチゴを嗤うか!?」

 

 シュロウガは朱雀に蹴りを入れる。

 朱雀は地面に激突する。

 

 『チィ!!』

 

 そのままシュロウガとウィンダムが空中で向かい合った。

 

 「それがこの世界で得た君の力か」

 

 「そうだよ〜君とこんな事になるなんて予想はしてなかったけどね」

 

 「アサキム、やめてよ。モコナ……モコナの友達同士が殺し合うなんてやだよ!!」

 

 「モコナ……悪いが、これは僕の宿命なんだ……」

 

 「悪いけど、君を止めるよ。行け、疾風」

 

 ウィンダムの右腕から、突風が出る。

 だがシュロウガは難なく避けた。

 

 「やっぱり君には届いちゃくれないか」

 

 「僕が君達と出会った世界での僕の呼び名を忘れたか」

 

 「黒い疾風……だね」

 

 「その通り」

 

 「(歌うんだ、今座ってる不安そうな人達を……元気付けるんだ……)皆さん、聞いてください」

 

 歌が聞こえる、マイの歌……ゆったりとした、包み込むような歌……多分カバー曲ではない。

 聞いていく内に体力が回復していく。

 さっきの声も出ない。

 うっとりしつつも、イチゴはカイのカメラを見せてもらった。

 

 「!!」

 

 ウィンダムが押し負けている。

 元々、パワーもレイアース達と比べてそこまで無い印象だったが……

 

 「ファイ!!」

 

 「君の力で僕に敵う筈もない、宿命に囚われている君では尚更だ」

 

 「あはは……参ったな〜」

 

 『下がっていろ、この男の相手は人間には荷が重いらしい』

 

 「そういう訳にもいかないんだよ、イチゴはこっちでできた仲間だからさ」

 

 「ファイさん……」

 

 昆虫Brothersの歌が聞こえる、一つ一つの動作におかしさを感じ、注意が逸れるようだ。

 敵味方全員能力半減。

 

 『『『ワテら陽気な三兄弟〜』』』

 

 『三味線だって、なんのそのだミーン!!』

 

 『皆さんも応援よろしくテキーラ!!』

 

 『一緒に元気出すでアーム!!』

 

 「あ……サクラ、あれ見て!!」

 

 「虫が踊ってる……」

 

 「踊ってるね〜」

 

 「フフッ」

 

 「な、なんだあれw」

 

 『こ、これは一体』

 

 『チッ気が逸れる……』

 

 その場にいる全員、動作がゆっくりになってその間の数分間は戦いにならなかった。

 

 「ワン・トゥー」

 

 ヒコボシ・ミナトの曲が聞こえる、場を1人で盛り上げる技量に相応しい、キレッキレのダンスだ。他のアイドル達のダンスも格別だったが、この男のは極上と言える。

 SP上昇

 

 「くっ」

 

 イチゴは、見ているしかできない事に苛立った。衝動的に叩きたくなったが、カイが痛みを訴えるかもしれないのでやめた。

 

 「こんな時に、動けないの!?」

 

 『ススができたら、怖いですからね。無理矢理動けても、中のイチゴ様に何かあれば本末転倒ですし』

 

 「……………じゃあ、仕方ないか」

 

 そんな時、舵木折神が現れ消火。

 

 「え?」

 

 舵木折神と色んな折神が合体し、テンクウシンケンオーが現れた。

 

 「殿様!!」

 

 「イチゴ、どうなってる?」

 

 「牙鬼軍団がアイドル達のライブをしようとしてる会場に何かを仕掛けてたようです、今戦ってるのはそれとは無関係の朱雀とアサキムです」

 

 「無関係、ええ……」

 

 「あれが……イチゴの命を狙う人なん!?」

 

 「どうする?丈瑠」

 

 「今の我々なら、空を飛ぶ相手とて戦えましょう!!」

 

 「ああ!!」

 

 テンクウシンケンオーは、シュロウガに真っ直ぐ飛び込んだ。

 

 「君が、志葉家の当主か」

 

 「!?」

 

 「そうだ!!こちらにおわすのが我らが殿だ、よく覚えておけ!!」

 

 「人の為す炎で、僕を焼けはしない」

 

 シュロウガは、魔法陣を描き、鳥の形を為す炎を発射してきた。

 

 「は!!」

 

 流ノ介の掛け声で、テンクウシンケンオーは避けた。

 

 『ついてこれるかい?』

 

 「ああ!!」

 

 その言葉を聞き、朱雀が高速移動を始めた。

 ウィンダムはその場に座り込む。

 

 「後は、頼んだよ……」

 

 ウィンダムは、ファイ達が出たあと、消えた。

 朱雀の翼が、テンクウシンケンオーの刀の一振りが、シュロウガ点に交差する。

 

 「その程度か」

 

 空中で蹴りを入れ2体を追い払った後シュロウガも一直線に滑空し、イチゴに向かう。

 

 「スフィアの力なくして僕に抗う事はできないよ」

 

 「それでも、戦わなきゃいけない時はある」

 

 ファイが今さっき戦っていた時のように……

 イチゴはカイの中の万能工具(ツール)を取り出した。

 

 「斬り裂く!!」

 

 「させるか!?」

 

 カイの万能工具(ツール)とシュロウガの武器が交錯する。

 しばらくの間、武器を振るったり振るわれたりの攻防が続いた。

 

 〜一方その頃〜

 

 小狼(シャオラン)達は足軽数十人と戦っていた。

 

 「この数、敵のどのぐらいなんだろうな?」

 

 「多いと良いですね」

 

 話している間に、順々に足軽を斬り裂いていく。

 その時……通路を走っている、二人あり。

 

 「小狼(シャオラン)!!」

 

 「アクアさん!!」

 

 「ルビーは無事か?」

 

 「ええ、ただ……ルビーさん達はルビーさん達の戦いをしてるようです」

 

 「そうか……て、大丈夫なのか?」

 

 「まあ、命の心配はしてないさ。歌ってるアイドル達の中にはロロ君が放し飼いにしてるロボット達がいるからね」

 

 「………どういう事だ?」

 

 「そ、そうなんですね……」

 

 二代目B小町の歌が聞こえる、熱く、燃え滾るような強い言葉が聞こえる。

 気力上昇。

 

 「この歌……」

 

 「ルビー達が頑張っているんだ、こんな所でモタモタしてられん!!」

 

 アクアは足軽に蹴りをいれる。

 

 「僕も同意見だ!!」

 

 ライは他の足軽の肩を掴み、そのまま投げ飛ばした。

 

 「強いですね、二人共」

 

 「王族の嗜みというものさ」

 

 「あれから鍛えたんだ、アイドルが襲われる事もあるからってな……腕のいい師匠(あかね)のおかげでもある」

 

 〜一方その頃〜

 

 ニンニンジャーは晦正影と戦っていた。

 

 「強え……」

 

 「だが、パワーは蛾眉雷蔵に劣ってる」

 

 「確かにワシは、蛾眉雷蔵などと比べれば武力には劣るが」

 

 晦正影は、何かを仕掛けようとする。

 口頭で何かを言っている、何かの呪文だろうか?

 

 「ん?」

 

 ニンニンジャー達の頭が、ぐらぐらとしてきた。

 

 「何……これ……」

 

 お互いがお互いに、ヒトカラゲの顔に見えた。

 

 「させない!!」

 

 少女が急襲に入った。

 具体的に言えば、ドロップキック。

 

 「ぬわっ!?」

 

 背中を強打した晦正影は、慌てふためく。

 そして暗示を解除してしまった。

 

 「はっ」

 

 全員、我に帰った。

 

 「忍者の皆さん、無事ですか?」

 

 少女は帽子を外した。

 レイアだった。

 手当てしたケガの部分が露わになる。

 

 「どな……あ、レイアさんですか」

 

 「魔法少女の姿にはならないんだね」

 

 「アイドルの人達の前で変に目立つのもどうかと思ったので」

 

 「ああ、成る程ね」

 

 「あたた……」

 

 「牙鬼軍団の人」

 

 「なんじゃ?」

 

 「みんなの楽しみを邪魔して、許さないんだから!!」

 

 レイアはビシッと指差す。

 

 「ああ、言ってみたかったんでございやすね(小声)」

 

 「七人では流石に分が悪いか……」

 

 晦正影は逃げ出した。

 

 「待て!!」

 

 牙鬼ぷりんせす……もとい、海苔の(かた)の歌が聞こえる、フラットな目線で言えば技量は認めなくないが、遠くから邪魔をしてぶち壊したくなる。

 射撃上昇

 

 〜一方その頃〜

 

 九衛門は、彼らとはまた別の場所に赴いていた。

 そんな時、桃太郎が現れた。

 

 『ワ〜ハッハッハ!!ワ〜ハッハッハ!!』

 

 「…………君か……」

 

 『祭りを汚したな……お痛が過ぎればどうなるか、教えてやらねばならん』

 

 そう言って、桃太郎は武器を振るってきた。

 

 「そうかい!!」

 

 九衛門は打出の小槌を持ち出し、応戦した。

 

 『お前達は何故、自ら悪縁となって人々を襲う。俺には理解できない』

 

 桃太郎は引き続き武器を振るう。

 

 「する気なんてないだろう?嫌、できないんだ。役割(ロール)遂行(プレイ)するしかできない君達は」

 

 九衛門は壁を蹴って反動で桃太郎に攻撃。

 

 『君達、なるほど……お前は別という訳か』

 

 「探りか?そんな挑発には乗らない」

 

 『妖に身を委ねた者共がそれを貶すというのか』

 

 「………………まさか」

 

 『バレているとでも?』

 

 『隙あり』

 

 桃太郎は武器を九衛門の腹部に押しつけてきた。

 

 「何!?」

 

 必殺奥義 快桃乱麻!!

 エネルギーの奔流が爆発する。

 

 「ぐわああああああ!!」

 

 九衛門は吹っ飛んだ。

 

 『倒したか』

 

 「なんてね」

 

 九衛門が消え、代わりに別の場所から煙に塗れて現れた。

 

 『何!?』

 

 「変わり身の術……そして」

 

 変わり身にしたのは、建物の柱。

 柱が両断され、中から封印の手裏剣が転がり落ちてきた。

 

 「封印の手裏剣を型取るエネルギー、貯めさせてもらったよ」

 

 柱が見えないよう細工し、柱……つまり建物に属するものを攻撃してもらう事にしたのだった。

 

 『俺を利用したか、よくやったと褒めておこう』

 

 「ありがとう、では失礼」

 

 『そうか、ならば鬼ごっこの時間だ』

 

 「速さで忍者に勝てるとでも?あ、さっきも言ったか」

 

 九衛門は逃げ、桃太郎は追いかけた。

 数分後……

 

 「結局戻って来てしまったか……」

 

 そう呟く九衛門、桃太郎を撒いた先で見えたのは悔しそうにしている有明の方。

 

 「な、何故じゃあ!!妾より貴様達の方がアイドルとして相応しいと申すか?」

 

 「ごめんね、アイドルをするって言うのは……自分を誇示できればそれで良い訳じゃないの。ファンのみんなに届けられるように頑張らなくちゃ」

 

 RUNの娘に説教を受けているらしい。

 

 「見てもらう人間に届かなければ、全ては妾の独り相撲か……」

 

 有明の方は命じる。

 

 「帰るぞ!!狐」

 

 「は!?承知しました」

 

 「それと、去る前にとびっきりのデカいのを頼むぞ!!」

 

 「な!!」

 

 「自分が負けそうだったからって!!」

 

 観客はブーイングを起こす。

 

 「お前達や小娘共には何もせぬが、外にいる奴は別じゃ!!」

 

 「ええ……」

 

 「仕方ありませんな……妖術・ガシャドクロ召喚の術!!」

 

 九衛門はガシャドクロを召喚。

 

 「ついでにこいつも使いましょう」

 

 さらにプロトタイプ・キュウビを召喚。

 

 〜一方その頃〜

 

 外で戦っていた者達は、建物から狐の面を持つロボットの大量に出現する瞬間を確認した。

 

 「!!」

 

 『邪魔が入ったね……しかも例のアレ』

 

 「うーわ、全部で20体とかマジか」

 

 「やれるか?イチゴ」

 

 「うん」

 

 「よし」

 

 「イチゴ君、任せたよ」

 

 「僕に背を向けるとは……」

 

 「今はそれどころじゃないんだ、オレだけが目的なら手伝ってよ」

 

 「………………………………善を取るか、良いだろう」

 

 アサキムが一時味方になった。

 

 『聞いてください!!』

 

 マイクロン達の歌が聞こえる、子供達の持つ勇気の如く、明るく、真っ直ぐな歌だ。

 格闘能力上昇。

 

 「こういうの聞くと気分が乗るよね〜」

 

 「うん」

 

 「ならば、僕達もそれに相応しく歩みを進めよう」

 

 「俺達も行くぜ!!」

 

 シュリケンジン、レイアース、セレスが出てきた。

 

 「みんな!!……中の人達は?」

 

 「キンちゃんとレイアちゃんが見てくれてる、今の所いない」

 

 「そっか」

 

 「アサキム、テメエ……来てたのか」

 

 「ああ、久しぶりだね。安心すると良い、今は目的が君達と一緒だ」

 

 「そうですか……」

 

 「妙な真似をしやがったらすぐぶった斬るからな」

 

 「フッ」

 

 シュロウガは初動で狐のロボットを斬り裂く。

 胴部分が袈裟に両断された途端、他の狐のロボットは仇討ちのようにシュロウガを囲み撃ちする。

 それをシュロウガは水平に避ける。

 その攻撃の一部は会場の上を通った。

 

 「うわあ!!」

 

 観客は、その様子を見てたじろぐ。

 

 「皆さん、安心してください」

 

 『ワテらがいる限り、ステージの前のみんなは安泰だミーン!!』

 

 「それでも不安な時は、私達の歌を聴いてね!!」

 

 「一緒に応援するあなた達は、一人じゃないから!!」

 

 みんなを落ち着かせるため、B小町の歌がアンコールされた。

 すると、混乱の声は止む。

 代わりに、熱狂的な歓声ばかり。

 海苔の方がいない分、安心して歓声を出せるのかもしれない。

 

 「こんな状況でも、みんなを笑顔にできる……アイドル……良いなあ」

 

 「どうした?風花」

 

 「なんでもない、行くよお兄ちゃん」

 

 「おう」

 

 「とはいえ、会場に被害がないように戦わないと」

 

 「だってさ、アサキム」

 

 「被害が無かったから、御の字だろう。さあ、やるよ」

 

 その後もしばらく攻防は続いた。

 

 「僕達の歌、聞いてください」

 

 探偵団達の歌が聞こえる、聞いている内に自分がエスコートされている感覚を見た。

 命中、回避上昇。

 

 「はあ!!」

 

 万能工具(ツール)で目に付いた端から斬りつけていく。

 難なく撃破したが、まだ二体目……

 狐のロボットから、ビームがシュロウガに向かって放たれた。

 シュロウガは時計回りに回り込んで避ける。

 

 「その程度か、トラジック・ジェノサイダー!!」

 

 多方向から、魔法陣を設置。

 鳥の形を為す炎が複数の狐のロボットを追撃する。

 狐のロボットは複数爆発した。

 

 『君を燃やしても、構わないね?』

 

 朱雀はガシャドクロに炎で攻撃。

 

 「大物、取った!!」

 

 黒鋼は燃やされたガシャドクロをセレスの刀で細切れに切り刻む。

 

 「シュリケンジン・アッパレ斬り!!」

 

 2連続の攻撃で狐の面をしたロボットを斬り裂く。

 

 「小狼(シャオラン)達、まとめてくれ!!」

 

 「はっはい」

 

 小狼(シャオラン)達は言われた通り、蹴りを入れて残りを一つの場所に追い込む。

 

 「ダイシンケン・天空唐竹割り!!」

 

 テンクウシンケンオーの攻撃が一直線を通り、その場にいるロボットは爆発する。

 敵は全機倒した。

 爆発した機体から落ちたものを、九衛門は拾ってまわった。

 

 「この前と面子が重複してるな……まあいい、知らない奴と侍共の力は有益だ」

 

 そう言って九衛門は去った。

 

 ………………

 

 戦いは終わった。

 その場を去った朱雀を除き、イチゴとアサキムは機体越しに向かい合う。

 

 「終わった……から次は……」

 

 「流石に今日はやめておこう、この場は喜びの歌で色付いてきた」

 

 「……………そう」

 

 意外という気持ちはなかった、イチゴ自身も、もっと歌の余韻に浸っていたいと思っていたのだ。

 

 「だが、君のその力がある限り、君はいつでも僕の獲物だということを覚えておくがいい」

 

 そう言って、アサキムは去った。

 

 「アサキムさん……」

 

 小狼(シャオラン)は呟いた。

 

 「もう来なくていいよ」

 

 その間、アイドル達を見物していた朱雀が戻ってきた。

 

 『いやあ、いいものだった。もう少しふくよかな肢体の方が好みだが、鍛錬で引き締めても尚残るものの良さというものもある』

 

 「……………」

 

 『よくやった、イチゴ。万物には、持って産まれた役割というものがある……君はスフィアを使いこなすために産まれてきたと言って良い』

 

 「………………」

 

 『その力が、あそこにいる奴らを救った事、大いに誇れ』

 

 朱雀も、去っていった。

 

 「みんな、今日は色々あったけど、楽しんでくれた?」

 

 「皆様と、この時間を守ってくれた方々に、感謝を!!」

 

 外のイチゴ達に、拍手が届いた。

 レイアも手を振っている。

 丈瑠達と同じ場所に立てている。

 

 「カイ……オレ、うまくやれたかな?」

 

 『ええ、とても』

 

 朱雀に何か打算があるのは透けて見える、が………

 

 「ありがとう」

 

 「ヒューヒュー!!」

 

 会場の様子が見える。

 彼女達は仲良く歌って終わり……で良かった……

 

 「ふう……」

 

 「イチゴさん」

 

 「何?小狼(シャオラン)

 

 「歌う前の皆さん、楽しそうでした。ライバルである事とか、関係なく……イチゴさんが不安に思うよりは皆さん、良い繋がりができてるのかなと思います」

 

 「そうだといいね」

 

 「もーイチゴったら心配症なんだから〜」

 

 モコナが通信に入り込んできた。

 

 「あ、流石にこれ以上立ってるのは迷惑だから……帰ろう」

 

 「チケット買ったのに途中退出か、やるせないな〜」

 

 〜後日〜

 

 天条院家の邸宅に呼ばれた。

 

 「どうしたの?」

 

 「マイ様が「最近よく会うんでしょ?イチゴに渡して」とお命じになられて……これを」

 

 「ありがとう、どれどれ」

 

 包装された一つの箱を渡された。

 手紙にしては分厚く、箱と言ってしまうには薄い塩梅の厚さのものだった。

 

 「サインはあげないけど、助けてもらったお礼」

 

 というメッセージのカードと一緒に梱包されたのは自分の曲を宣伝する用っぽいCD。

 

 「ファーストアルバムですねこれ」

 

 変装した誰かに似たようなものを押し付けられかけたような記憶が蘇った。

 

 「へえ、回復に使えそうかな……」

 

 聞いていて回復したような記憶が蘇る。

 

 「イチゴ様は……楽器のご経験は?」

 

 「……カイに組み込んで流せば良いだけじゃないの?」

 

 「せっかく音楽を流すのです、見栄えよく楽器も使った方が良いではありませんか」

 

 「なるほどね…………それってディ◯クPしろって事?」

 

 「まあ、そうなりますね」

 

 「カイがやれるか……」

 

 『練習すればいけるかと』

 

 ……マイを目にした時に聞こえた言葉、あれを思い出すとこれをもらうべきか迷う気もする。それはそれでもらわないと不自然でもあるから、もらうしかないが……

 

 マイのアルバムを手に入れた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。