スーパーロボット大戦Z Another Chronicle   作:レゴシティの猫

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みなさんこんにちはもしくはこんばんは。
ついに白饅頭御一行様もといツバサクロニクル参戦であります、ロボはBパート以降となります。


第6話 舞い降りるツバサ Aパート

 適当な場所で千明は流ノ介にリトの事を説明した。

 

 「はあ、先ほどのあの人………お方は他の星の王様で、元々の王族は王妃の方で、その星の王族は一夫多妻制で、子供も結構いると……イチゴ君自身もそんな事を言ってたな」

 

 「まず、あの人達でどうやってノノみたいなのが産まれるんだよ……あんなピンクの髪の子とかさ」

 

 「それもそうか…………つまりイチゴ君は若君、もしくは殿下という事になるのか?」

 

 「『向こうだとあんまりそう見たくないってみんなから思われてる』ってアヤは言ってるけどな」

 

 「王族、それどころか自分達の血すら汲んでいないからという事か」

 

 「そういう事、流ノ介だってモヂカラのモも知らないし使えないようなほぼほぼ赤の他人がある日いきなり、丈瑠?の後継者………って扱われたりしたらどーよ」

 

 「ああ、なるほど……て、殿を引き合いに出すな」

 

 「ごめんごめん」

 

 「まあ、認めるかはともかく、いい気はしないな。そう言われるとこればっかりは私達がどうこう言える問題ではないように思える……話は変わるが、あんな字を書けるようになって、成長したなぁ」

 

 槌の字を書き、ハンマーを出現させた事だ。

 

 「…………俺だってあんなに書けば少しは覚えるし……(泣)それより行こうぜ……イチゴ探しに」

 

 「ああ、まだ遠くには行ってないはずだろう」

 

 ~道路~

 

 彩南高校……行くべきじゃなかった。

 知り合い……それも家族がいる事ぐらい考えておけば良かった。自分の事を省みてしまって、ひどく惨めな気分になっていく………

 そんな時に限って、小さい妖どもはひどく怖がる。こんな風に……

 

 『シャー!!』

 

 『来ないでー』

 

 「身をよじらすな………鬱陶しい」

 

 いっそのことストレス解消にこの小さな生き物達をボールのように使えば楽になれるかもしれないが、それは可哀想だと思うし………何より後で自分を許せなくなりそうだ。

 だから少し、横になってうずくまってみた。

 ひたひたという足音が近づいてくる、しかも小さめ……先程の妖か……勝手なものだ、見ると怖がる癖に、こちらがうずくまるとやってくるとは……

 こんな思いをするのは今日限りにしよう、これからは黒子をまた頑張れば良い。

 

 『吉備の王様呼ばないと』

 

 そう言って、何体か気配が遠のいた。

 しばらくしてズカズカと無遠慮な足音がしてきた、足音とかから判別するに大人の男ぐらいだ。

 

 『王様だ!!』

 

 嬉しがっているのか甲高い声に磨きがかかってきたのと、圧が強くなってきたので、陰鬱な気持ちを隠さないまま目を開けた。

 

 いつぞやの桃太郎だ……

 

 『縁があったな!!』

 

 「お久しぶりです…………何用で?」

 

 『視察だが、それにしてもまた負念に覆われているな』

 

 「ほっといてよ、慣れっこだし」

 

 『そうはいかん、縁は既にできている………ならばすべき事は決まっている』

 

 桃太郎が武器を持ち出すのを見て、イチゴは慌てて止めた。

 

 「そうゆうの良いから……」

 

 『……そうか』

 

 桃太郎は武器を引っ込めた。

 

 「…………………あんたがわざわざ視察に来るのは?何かあるの?」

 

 『(あやかし)巫女(みこ)に近い者が現れる。分かるだろう?似て非なる者か、真にそうかは未だ分からんが…………過剰に在る命の力、それに匹敵するものが備わっているのは確か……この際だ、お前にやらせよう。縁が結ばれる瞬間は、お前の精神を安定させるだろう』

 

 確かに、誰かに会っていれば気が紛れてそちらの方が良いかもしれない。

 

 「仕方ない、オレにできるなら、やるよ」

 

 『ワーハッハッハッハ!!裁定も好きにしていい、頼んだぞ!!』

 

 そう言うと、桃太郎は影も形も無くなった。

 何がなんだか分からないが、この辺りで何かはあるという事だろう。

 

 夕暮れになってきた、日の沈みかけた時間、一際朱に輝くその空は黄昏時、逢魔が時とも言う。

 朝と夜の境界線、太陽は飛び立ち、そして月は脚光を浴びる。

 丑三つ時と並んで、何かが起きるには絶好の時間帯だ。

 (あやかし)巫女(みこ)……聞くところによると、他の命に分け与えられる程生命力………言い換えると魄らしい、一部の妖怪が基になってるのもそう、それが生まれつき潤沢に宿っており、それに引き寄せられ妖怪がやってくる……つまり生贄体質らしい、喰われたのもいるとか……

 知り合いの妖怪はこうも言った。

 

 『引き寄せるという事は仲良くもなれてしまうという事だから、自然に寄り付く。結果魔女と恐れられた娘もいたんだ(CV銀さん)』

 

 魔女………関連できるワードは魔女狩り……恐らく、数えたくない数の誰かが犠牲になったと考える事ができそうだ。

 前世、前々世、そのまた先から……と転生の記憶を引き継げる事もあり、その痛みのあまり暴走したのもいるとかいないとか……

 何にせよ、どうしてそうなのかまでは分からない。

 ところで気になるのだが、彼女達の始まりはどこか?終わる時はいつなのか?魄の力は転生で引き継ぐものか?それとも転生の際に新しく引っさげるものなのか?生贄として、彼女達を喰った者達はどうなっていったのか?生命力の塊のような存在を口にした妖だ、さぞ強くなって凄い存在になったに違いない。だが喰って強くなった妖怪の話は聞いた事がない。

 考えている内に空がぐにゃぐにゃになっていった。

 

 「……………!?」

 

 ~銀河警察の地球支部~

 

 基地、移動要塞としての役割を持つ建物、名前を、デカベース

 

 「これは……」

 

 「どうしました?スワンさん」

 

 「テツ、彩南町近郊で変な反応があるの」

 

 「また誰か宇宙人ですかね?デビルークの王様の故郷ですし」

 

 「空間が歪んでいる反応はあるけど、原子分解の反応は無いわ……トランスフォーマーのスペースブリッジみたいなものかも」

 

 「スワンさんが気になるぐらいですし、俺、行って確かめてきましょうか?」

 

 「お願いね、テツ」

 

 ~電柱の上~

 

 老人が立っていた、年相応の身のこなしではなく、よろける様子もない。

 

 「ついに、この時が来たか……孫達の忍タリティがたどり着くのが先か、あの娘に還るのが先か………もしくは……」

 

 ~三途の川 船~

 

 薄皮太夫の爪弾く三味線が、今日も良いBGMとなっている。

 そんな中……

 

 「!!」

 

 ドウコクは目を覚ました。

 周りが驚く程にカッと勢い良く……

 

 「おお………ドウコク、どうかしたかい?」

 

 「俺達の他に、好き勝手空間を飛び回れる奴がいるみたいだな………来るぞ、人間界に」

 

 「それは大変さね!!まあただの人間風情だったらそうでもないけど」

 

 「何の話をしてるんでぇ?御大将!!」

 

 太夫の三味線が、止んだ。

 

 「ロクロネリか……」

 

 「うっす、御大将!!そして相変わらずの姫様ぶりだな太夫さんよぉ」

 

 「……………………」

 

 「お前なんか御大将の引き立てが無ければとっくの昔に死んでるんだからな!!」

 

 太夫は、三味線を置いてロクロネリに目を向けた。

 

 「わちきの前に姿を現すな、この卑しん坊め!!」

 

 「そこまでだ……二人共………ロクロネリ、気になる連中が現れた、歓迎しに行ってこい!!」

 

 「了解!!」

 

 ロクロネリは、三途の川から飛び立った。

 

 「続けろ、太夫」

 

 「フン!!」

 

 太夫はむくれつつも、演奏は再開した。

 

 話はイチゴの周辺に戻る……

 

 また何か妖怪の仕業かと思い、空から辺りを見回す……だが、それらしい気配はなし。やがてその歪みが収まった時、人が4人と、1匹の動物が現れた。

 栗毛の若干ボサボサな頭にボロボロのマントを羽織って、見るからに旅慣れてそうな少年。

 同じような髪の色だが、身なりと雰囲気から高貴な身分を思わせるような少女、イチゴは詳しいんだ。

 三日月の印がついた鉢金に、マントなど、黒い衣装が目立つ、コスプレ感もあるが戦闘慣れしてそうな男。

 若干薄めだが金髪碧眼で、戦闘慣れしてそうな男とは対照的に白いローブを羽織り、棒きれを持った、さながら魔法使いのような外国人。そしてうさぎのような白くて丸くて小さいのが一匹。

 右も左も分からなさそうな、たった今ここに来たばかりで迷っている……といった様子だったので声をかける事にした。

 

 「あんた達は……」

 

 すると、白くて丸くて小さいのが人懐っこい印象を嫌でも浮かべる笑顔でイチゴの顔面に密着してきた。

 

 「モコナ!!」

 

 勢いで親愛のキスをされた、ただし額………母親やララに受けた事はあるため少しは慣れっこだ。

 その勢いに乗っかるように4人も自己紹介を始める。

 

 「黒鋼(くろがね)だ」

 

 「ファイって呼んでいーよ」

 

 「小狼(シャオラン)です」

 

 「サクラです」

 

 モコナと名乗ったウサギもどきを顔からひっぺがしていると、おそらくファイと名乗った人物から話しかけられた。

 

 「オレ達、外国から来たばかりで道に迷ってるんだー、良かったら道案内してくれるかな~?」

 

 「まあ、ここがどこか程度なら……」

 

 他の星ならともかく、外国…………魔法使いのような人はそうかもしれないが、他3人は近い国の人間であるように思える。

 騙している感じはなさそうだったので、イチゴは彼らの頼みを聞く事にした。

 ……………………………

 

 「また違う日本か……俺の知ってる日本(ニホン)(こく)じゃなさそうだな」

 

 「どんな日本国なのさ?」

 

 「こうだな」

 

 黒鋼の思い浮かべるイメージは大体こうだ。

 

 忍者がいて、シャチホコ付きの天守閣があって、畑があって、館があって……姫様がいて……

 一言で表すと、戦国時代だ。

 そうでなくとも、ギリギリ江戸時代……いずれにしろ、もうその時代は過ぎ去って100年以上は経つ。

 

 「あなたのいう日本は過去のものかもしれないな」

 

 「……………」

 

 「気にする必要はないよ~黒ぶん、オレ達は言うなら、横から横へ飛び越えて移動してるんだ。いつの間にか未来に飛んでくとかはないし、黒様の姫様は無事だよ、きっと」

 

 「だが、俺達……嫌、小僧達の探してるもんはそうでもねえじゃねえかよ」

 

 「まあ、そうだけどさ」

 

 「で……何探してるの?」

 

 話の流れで、小僧と思しき人物に話を聞いてみた。

 

 「おれ達、羽根を探してるんです」

 

 「羽根?」

 

 「はい、取り戻さなきゃいけない大事なものなんです……」

 

 声から判断するに小狼(シャオラン)、その小狼(シャオラン)は大事なものという辺りから少女……消去法で多分サクラの方をチラチラと見出した。彼にとって大事なサクラ……にとって大事なものを小狼(シャオラン)達が探しているという認識で良いのか?

 しかし、このサクラという少女…………何か普通の人間と違うような何かを漂わせている。彼女が桃太郎のいう、妖巫女に近い誰かだろうか?違和感というだけなら小狼(シャオラン)にも感じる……

 

 「…………」

 

 「その羽根ってどこにあるか分かる?」

 

 一番に反応したのは、モコナ。

 

 「分かんない、でも、近くにいるとこうなる」

 

 モコナはめきょっと擬音を立てながら頬を叩いて目を開いた。糸目キャラが急に目を開くと、怖い。すぐ元に戻ったが…

 そして、手当たり次第に探しているというのがなんとなくだが分かった。

 

 「あーどこに行くべきか分からなかったら、知り合い紹介するよ」

 

 天条院グループの御曹司(ヒカル)、もしくは女社長、沙姫……

 困った人がいれば助けてくれるだろうから、ある程度は安心できる。貧困とかの根の深い問題でもなさそうだし、尚更だ。

 

 「でも、護衛の人には気を付けてね、強いからちぎって投げたりするぐらいは朝飯前だし」

 

 九条凛、デビルークの中でも実力者として名は知られている。

 そうでなくとも、デビルークの親衛隊隊長もいる。

 

 「ほー確かめてみてえもんだな」

 

 「やめなよ黒ちゃん」

 

 「いちいち変な呼び名やめろ」

 

 二人が漫才を繰り広げている内に公園の蛇口と手洗い場の継ぎ目から、赤い光がもれてきた。

 

 「あ……」

 

 「?」

 

 外道衆が来る。

 当たってたようでまばたきする時間もなくナナシ連中が現れた。

 他には……固有の姿を取っている何かアヤカシ

 泥と礫………陶器の破片?のような物で固めたような見た目をしている。

 ところどころ苔むしたような緑色も混じっていて、昔の人もああいう色の茶碗好きという知識もありやっぱり陶器的な何かを感じる。

 

 「……………」

 

 「お前達が御大将の言ってたあれか……」

 

 「ああ!?」

 

 「へー歓迎してくれるんだ」

 

 黒鋼とファイはいつの間にか来るなら来いと言わんばかりの態勢になっていた。

 

 「わしの名前はロクロネリ、強キャラのオーラなんか出しやがって!!覚悟しろ」

 

 「そこまでだ、外道衆」

 

 侍達五人が現れた。

 

 「あ」

 

 「イチゴ、無事か」

 

 「うん………」

 

 また、叱責が飛ぶかと思った……

 

 「話は後だ、その人達を避難させろ」

 

 「何者だ、あんた達」

 

 「知らないなら、遠くで見ていて欲しい」

 

 ~例のBGM~

 

 「ショドウフォン!!」

 

 「「「「「一筆奏上!!」」」」」

 

 「破ぁ!!」

 

 ショドウフォンで文字を書きそれを反転させ、各々のモヂカラによって形成させたスーツに身を包み、5人はシンケンジャーとなる。

 

 「シンケンレッド、志葉丈瑠」

 

 「同じくブルー、池波流ノ介」

 

 「同じくピンク、白石茉子」

 

 「同じくグリーン、谷千明」

 

 「同じくイエロー、花織ことは」

 

 「天下御免の侍戦隊」

 

 全員「シンケンジャー、参る!!」

 

 「出たな、シンケンジャー」

 

 「よーし、俺がぜーんぶ片付けてやるよ!!」

 

 千明…………シンケングリーンは勇み足でナナシ連中に向かっていった。

 

 「張り切ってるな……千明」

 

 「卒業式に出させた甲斐はあったみたいだな、空回りされるのだけはごめんだが」

 

 「殿様……この時間帯に外道衆襲来ってありました?」

 

 「ないな、基本大多数から恐怖をかき集めなければならないから、太陽の昇る内が向こうにとっても良い」

 

 「だが、いつだろうと外道衆の相手をするのが我らだ」

 

 「話は終わった?じゃあ行くわよ」

 

 「ああ」

 

 頭巾をかぶってから避難誘導は今更な気がするので直接声に出した。

 

 「こっちです」

 

 「大丈夫だよ、オレ達、強いし、下手に止めると、黒たん怒るから」

 

 「心配すんな、自分(テメェ)の身ぐらいは守れる。小僧、分かってるな」

 

 「はい!!」

 

 小狼(シャオラン)はサクラの護衛をしようと側に立った。

 モコナもサクラの隣に立っている。

 そして唐突にモコナはチアガールのポンポンを持ち出し応援を始めた。

 

 「フレー、フレー」

 

 黒鋼は、どこからか刀を持ち出して、抜いた。

 

 「全員魔物みてぇだからな、手加減はしねえ!!破魔・竜王刃!!」

 

 瞬く間に、一直線上にいるナナシ連中達を切り捨てた。

 

 「ざっとこんなもんだ」

 

 「ガヤ!!」

 

 ナナシは余韻に浸っている黒鋼に襲いかかろうとした。

 

 「おっと」

 

 ファイはその辺の棒きれでナナシを叩き、怯ませた。

 

 「まだ終わるには早いよ、黒ぴっぴ」

 

 すぐさま黒鋼はナナシ連中の一体にトドメを刺した。

 

 「そうだな」

 

 「生身で倒したん!?」

 

 「マジかよ!!」

 

 千明達も、ナナシ連中の一人を倒したようだ。

 

 「す……凄い」

 

 「あの身のこなし……殿!!あの方は」

 

 「あいつ……戦い慣れてる……侍か?」

 

 「俺は黒鋼、知世姫に仕える忍者だ」

 

 「ん?」

 

 流ノ介は訝しげに頭を傾けた。

 

 「忍者はそんなに長く、反りのある刀は扱わないぞ」

 

 確かに、武器は明らかに隠密行動向きでない、戦い方も派手な方だ。忍者と言うには、全く忍んでいない。

 

 「ん?そうなのか………だが、これが扱いなれてるから、今更だな。」

 

 「ガヤッ」

 

 「あっ」

 

 ナナシの一人はサクラを狙っている。黒鋼の戦いぶりに見とれていたため対応に遅れてしまった。

 

 「(間に合うか……?)」

 

 イチゴは蹴っ飛ばそうとナナシの一人に近づいた。

 

 「はぁ!!」

 

 なんと小狼(シャオラン)も刀を抜き、ナナシを切り裂いた。その刃は炎を纏っているのか何か吹き出しているように見える。

 

 「サクラ姫、怪我は?」

 

 「小狼(シャオラン)君、私は大丈夫だよ」

 

 小狼(シャオラン)はほっと一息ついた。

 

 「そこのお前」

 

 ロクロネリに白刃が向けられる。

 

 「あーん?」

 

 「邪魔するなら、○す」

 

 黒鋼はロクロネリに向かって走った。

 

 「ちょっあんた、そんな軽装で突っ込んでったら……」

 

 「わしの技、とくと味わうがいい!!」

 

 ロクロネリは地面に向けて自分の腕を伸ばし、貫いた。

 

 「!!」

 

 「関係ねえ、突っ込む!!」

 

 それでも黒鋼は走るのをやめず、突っ込んだ。

 確かに、何をしてくるか分からない相手だ、止まるより動いてまわった方が狙いにくくなるという利点はあるかもしれない。

 

 「へっへっへ」

 

 「!?」

 

 黒鋼のいる位置の真下から、腕が伸びてきた。

 

 「黒鋼さん!!」

 

 「!?」

 

 「おっと」

 

 しかし、勘が良いのか身体能力が高いのか、大したダメージには至らなかったようだ。

 

 「はぁ!!」

 

 流ノ介もといシンケンブルーは、水流を発生させ、黒鋼を押し出した。

 

 「大丈夫か?」

 

 「擦り傷程度だ、戦い終わってから手当てしても治る」

 

 「あちゃー、黒みん危なかったねー」

 

 「すごーい、腕が伸びたー」

 

 小狼(シャオラン)、サクラと違って、ファイとモコナは焦りの色は全く見られず、むしろ楽しそうだった。

 

 「あいつの能力が分かっていないのに無闇に突っ込まないで!!」

 

 「あー、わりい」

 

 茉子に叱られ、黒鋼はあまりその気はなさそうに謝った。

 

 「しかし、腕を伸ばす魔物か………」

 

 確かにいきなり真下からドーンと何かが襲ってきたら対応しづらい部分もある。

 

 「…………」

 

 作戦を考えるためか、沈黙が始まった。

 もっとも、すぐに破られたが……

 

 「へっへーん、思いついちゃったもんね~」

 

 「何をなん?」

 

 「あいつの腕を無力化すりゃいんだろ?」

 

 千明は作戦内容を話し始めた。

 

 「ここは大通りなんだけど……」

 

 下手に地面を抉られたら、次の日ここを歩けなくなる。国家、銀河警察から損害に対して責任を負わなくていいという保証はあるものの、穴ぼこになった道路を知らずに通って怪我をする奴がいるかもしれない。もうロクロネリが何かした以上いずれそうなるか?

 

 「んじゃあちょっときついか……」

 

 千明は軽く落ち込んだ。

 こういう時は丈瑠が一番正解に近いものを持っていそうなので話を振ろうとしていると………

 

 「お前ら……来ないならこっちから行くぞ」

 

 ロクロネリはしびれを切らしていたようだ、考えている時間はそこまでない。

 

 「下がってな、俺がやる」

 

 黒鋼が再び前に出た。

 黒鋼は、まだやる気だ。

 

 「危険だ、止せ!!」

 

 「腕に気をつけりゃ良いってこった!!」

 

 黒鋼は丈瑠の制止を聞かずに助走をつけて跳躍した、建物一階分は飛び越せる勢いで…………

 地面から離れる事で、その分攻撃の際、生地を縫う針のように腕は姿を現し、獲物に向かって突っ込んでくる。地面から襲ってくる見えない攻撃というロクロネリの優位性は消える。

 確かにこれなら黒鋼のみを狙わせる分においては、効果的な手だ。だが、戦うべき相手は他にもいて……

 

 「なにおう、腕は地中に絡ませるだけじゃないんだぞ!!かいなのばし!!」

 

 ロクロネリは上空に左腕を伸ばして黒鋼を狙った、黒鋼が目立ったためかそっちに敵意が行ってしまったのか……まあ、助かった。

 

 「黒鋼さん!?」

 

 小狼(シャオラン)は危険を感じてか声を挙げた。しかし黒鋼は余裕そうに笑みを浮かべる。

 

 「良い位置だ、天魔(てんま)空龍閃(くうりゅうせん)!!」

 

 黒鋼は刀を振るい、竜をかたどった衝撃波を放った。

 

 あら不思議、その衝撃波はジャブのように真っ直ぐに飛ばず、フックを当てるように曲がって……ロクロネリの今伸ばしている左腕に命中した。

 

 「グワー!!」

 

 ロクロネリの左腕は千切れ、肉片となって鈍い音を立てて落下した。黒鋼は、腕をクッションにして、地面に着地。

 

 「剣圧による攻撃か………」

 

 「ああ!!それ、良いな………俺も負けてらんねえ!!」

 

 千明は黒鋼にバリバリに対抗心を燃やしているらしい。

 

 「一か八かの作戦version2、いくぜ!!」

 

 千明も走りだしてロクロネリに向かった。

 

 「何をする気だ?」

 

 よく見ると黒鋼の方に向かっている。

 

 「クロガネさんよ、ちょっと貸してくんね?」

 

 「使うってか?ほらよ」

 

 黒鋼は千明にロクロネリの腕だったものを足からどけて渡した。

 

 「へーい、こっちおいでー」

 

 千明はロクロネリに挑発して、路地裏に向かっていった。

 

 「わしの腕!!返せ!!」

 

 ロクロネリは、右腕を伸ばし、千明に攻撃を加えようとしてきた。

 

 「なんかは知らねえが、やりてえようにさせてみるだけだ!!」

 

 「被害の少ない内に倒す!!」

 

 丈瑠達は全員ロクロネリに向かった。

 

 「まだまだ、伸びるぞ!!」

 

 ロクロネリは左腕の残りを伸ばしてムチのように振り回す。ムチと言うには太いが、しなり方はそれっぽい。

 

 「3人とも……こっち」

 

 イチゴは今の内に黒鋼以外は避難させておこうと思った。

 

 「はーい」

 

 彼らは頷き、避難誘導に従ってくれた。

 とは言いつつ少し離れて様子を見る事のできる程しか移動していないが………

 

 「は、離せ!!」

 

 「捕まえた、大変だったぞ……お前達の相手とあいつ捕まえる両方やるの」

 

 「うわぁ!!」

 

 千明の叫びが聞こえてくる。

 

 「千明……」

 

 「嘘……」

 

 「千明ー!!」

 

 流ノ介の悲痛な叫びが辺りにこだました。

 

 「そら!!」

 

 気を取られたせいか、隙ができた。ロクロネリの攻撃が飛び、

 

 「む……この嫌な感覚は………!!わしの、わしの腕じゃないか!?」

 

 「へ?」

 

 「へへ、作戦成功」

 

 千明は悲鳴をあげた場所とは違う方向から顔を出した。

 

 「目で見えるって感じじゃないだろうし、一回試してみたって訳、人通りのない場所とか、このあたりの地理はお前より詳しいっつーの!!」

 

 千明は改めてロクロネリに向かっていった。

 

 「今伸びっぱなしだったもんな、あんたが腕を戻すよりも早く仕留めてやるよ」

 

 「え、うそーん」

 

 「シンケンマル、木枯らしの舞!!」

 

 千明の強力な一撃が、ロクロネリに命中。手応えのありそうな音が辺りにこだました。

 

 「くるくるくる……」

 

 ロクロネリは、爆発した。

 

 「お疲れ~」

 

 モコナは千明に向かってハイタッチをしようと小さな手を突き出してきた。

 

 「おっイェーイ」

 

 2人?1匹?ノリが良さそうな印象を受けた。

 

 「ちーあーきー!!」

 

 流ノ介は千明に詰め寄った、勝手な作戦で傷つける形になった事を怒っているのか?

 

 「無事みたいだな、良かった」

 

 「心配させないでよね」

 

 「良かった……」

 

 その事を責める気はないようだ、だからこそ……善良な部分のある人間には刺さる。

 

 「あー、わりぃ……」

 

 「油断するな、来るぞ!!」

 

 そう、敵は外道衆である以上……あれが、2つ目の命で巨大化した姿が、来る!!




いかがでしたか?面白いと思っていただければ嬉しいです。
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