神社生まれの千香瑠様   作:坂ノ下

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第29話 デュエル 三.

 エレンスゲ女学園とシエルリント女学薗。友好ガーデン同士で共にマディック部隊を保有するが、その運用思想には違いがある。

 エレンスゲは基本的にマディックを分隊単位の少人数で運用し、大規模作戦等では必要に応じて複数の分隊を結集させる。

 一方のシエルリントでは、黒十字マディック隊を見れば分かる通り、最初から小隊規模で運用していることが多い。

 これは普段からの作戦内容の差異からくるものだった。

 露払いや時間稼ぎなど、エレンスゲはマディックをあくまでリリィの支援要員として投入していた。

 それに対してシエルリントの場合、マディックのみでの威力偵察や警備任務を積極的に課している。無論、小型・中型ヒュージを相手に想定してのものではあるが。

 

「先行していた第3分隊と第4分隊が当該地域でヒュージを確認しました」

 

 拠点から作戦地域に向かう途中、1トン半トラックの荷台で深顯が現状を説明する。

 マディックもまた、リリィと同じく運転免許取得試験の年齢が引き下げられた存在だった。取り分けシエルリントのマディックは大人数での行動が多いため、中型免許の取得が推奨されているらしい。

 もっとも、こういった免許試験の要件緩和は彼女たちに限った話ではない。一般社会の間でも似たようなことは起きている。過去に運送業界のドライバー不足から中型免許の下に準中型免許を新設したように、ヒュージと戦争中の現在も人手の確保に迫られているからだ。

 

「数は今判明しているだけで15。そこそこ多いですが、いずれもスモール級ばかり。恐らくは相模原方面から流れてきた群れでしょう」

 

 相模原には鎌倉府5大ガーデンの相模女子高等学館がある。しかし彼のガーデンは西方の富士河口湖に根を張る河口湖ネストからの侵攻に備えて西の守りに重きを置いていた。なので小型ヒュージの討ち漏らしが出てもそうおかしい話ではない。

 

「我々の使命は仮称Xの調査ですが、しかしヒュージを発見した以上放っておくことはできません」

「そうね。居住区域に近付く前に撃破すべきだわ」

 

 千香瑠も迷わず深顯に賛同する。

 あそこは住民が少ないというだけで、全くの無人地帯ではない。大型ヒュージさえ居ないのなら、近くに居る彼女たちが対応するのが一番だ。

 それに、ヒュージある所に例の存在あり。何かしら掴めるのではないかという考えも千香瑠にはあった。多分、深顯も同様だろう。

 

 やがて、深顯たちを運ぶトラックが目的地に至る前に停車した。ここから先は徒歩だ。決して快適とは言い難い、荷台に揺られての旅は終わりである。

 まず最初に荷台の後部からマディックたちが降り立ち散開。然る後に千香瑠と藍、隊長の深顯と副官が降車した。

 周囲に見えるのは、家主の無い住宅の数々。住民がより安全な他地域に越していったため、ちょっとしたゴーストタウンと化した場所。

 ここでなら思う存分戦えるが、少し離れた所にはまだ人が住んでいる。やはり早めに片付けるのが正解か。

 

「ヒュージの群れはこの通りの先のバス車庫跡に留まっているそうです。先行部隊はまだ気付かれていないので監視を続けています」

「広い所に集まってるなら好都合ね」

「はい。私たちの使うAHW(アンチヒュージウェポン)は取り回しがよくありませんから……。とにかく、焦らず注意しながら迅速に向かいましょう!」

 

 千香瑠が深顯に頷いた後、部隊はゴーストタウンの奥を目指して移動を開始する。

 乗ってきたトラックとは暫しのお別れだ。道路の横に広がったスペース、バスの停留所跡に残ってもらう。

 軍からの払い下げ品であり、オリーブドラブからブラックに塗り直された1トン半トラック。千香瑠はその横を通り過ぎながら車体を一瞥する。藍はと言うと、実際に乗ったのは初めてなせいか、少しの間じっと見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無人の街を十数名の少女たちが行く。幅広のバス通りを挟むよう両脇の歩道に分かれ、二本の縦列となって進軍する。

 道中、道路を横断する際は一人ずつ跳躍で一気に。それ以外の時は歩道横に立つ建物に沿うように速やかな歩行で進む。高く跳べば時間を短縮できるが、敵が潜んでいる可能性があるのでこうして地を這っているわけだ。

 千香瑠は隊列の最後尾から、道路の向こう側で同じく最後尾を務める藍の方を横目で見る。特に問題無く付いてきていた。次いで、改めて街中の様子に注意を向ける。

 

(ここで大規模な戦闘があったわけじゃないみたい。でもよく見れば、建物も道路も傷んでる)

 

 建ち並ぶ商店や会社事務所の前には落ち葉等のゴミが散乱し、足元の歩道や車道は所々舗装が削れたままだった。

 流石に蔦や苔が建物を覆ったりはしていない。まだそこまで時が過ぎてはいないのだろう。このまま人類が勢力を取り戻せなかったらその限りではないが。

 

 幸いなことに、千香瑠たちはヒュージと遭遇せずに先行部隊と合流できた。

 場所は報告にあったバス車庫近くのマンション。二人のマディックがマンションの上階からヒュージの動きを監視しつつ、残りが地上で待機していた。

 

「ヒュージの数ですが、あれから更に増えて30体になりました。でも近くでケイブは発生していません。バス車庫の後背にある崖の向こうからやって来ました」

「この辺りはまだ小型エリアディフェンス発生装置の範囲内だから。とすると、やっぱり相模原方面から来た群れか」

 

 深顯は四人の分隊長と副官、それに千香瑠と藍を集めて先行部隊の隊員から状況報告を受けていた。

 会議場所はマンションの一階にあるエントランス部分。あまり高級な物件ではないらしく、オートロックや監視カメラは見当たらないが、宅配ボックス付属のそこそこ広い空間だ。

 

「ケイブが無いなら焦る必要はありません。ここから逃がさないよう、包囲して確実に仕留めるのはどうでしょうか?」

「でもでも、自棄になったヒュージが突撃してきたら、私たちの薄い包囲じゃ破られるかもしれませんよ」

「そうね……。車庫の敷地の西側、この見晴らしのいい開けた所だけ包囲に穴を空けておいて、それから徐々に狭めていきましょう。西側にヒュージが集まってきたところで、待機していた藍様に出てもらうの」

 

 第1分隊長と副官、それに隊長の深顯が作戦を練っていく。

 当たり前だが、千香瑠は事前に黒十字マディック隊の指揮序列について深顯に尋ねていた。

 次席指揮官、即ち副隊長に当たるのは第1分隊長だ。黒髪をアップに纏めたツリ目の娘だった。そして三番目が副官、茶髪をサイドテールにしたタレ目の娘である。

 軍事組織において、副隊長と副官では役割が異なる。隊長から指揮を引き継ぐのは副隊長。一方、副官は指揮官の事務や雑務を補佐するのが仕事であり、部隊の指揮は執らない。

 もっとも、それは一般的な軍隊の話であり、彼女らのような小規模な隊はもっと柔軟に動いていた。現に副官である彼女、物腰柔らかで秘書的な雰囲気を持つ娘が第三席に位置するのだから。

 ちなみに千香瑠たちヘルヴォルの副隊長は恋花である。戦術理解の高い彼女は適任だ。ただし、より人数の少ない五人制レギオンゆえに、運用の柔軟性は深顯たちより更に高かった。

 

「千香瑠様」

 

 深顯に名を呼ばれて千香瑠は居住まいを正す。

 

「千香瑠様には、最も危険が予想される北側の包囲に加わって欲しいのですが」

「敷地後背の崖側ね。ヒュージの増援が増えるとしたら、ここから。了解しました」

 

 どこかに放棄されていたのを引っ張ってきたのか、エントランスの中央に置かれた机。その机上でバス車庫付近の見取り図に目を通しながら確認する。

 都合良くそんな図があるとは思えないので、マディックたちが即席で作ったものだろう。実際、手書きで書かれていた。端っこにデフォルメされた深顯らしき顔が描かれているのは御愛嬌だ。

 

「藍ちゃん、ちょっとの間だけ離れて戦うことになるけど、大丈夫よね?」

「うん。深顯たちがヒュージを集めて、らんがそれをやっつければいいんだよね」

「ええ、その通りよ。出番が来るまで待っててね」

「でも、初めかららんが行ってやっつけたら駄目なの?」

「そうね、藍ちゃんならあの数が相手でもへっちゃらでしょうけど。だからこそヒュージが逃げ出すかもしれないの。それに今見えてる敵だけが全てとは限らない。余裕がある時こそ確実な戦いをしましょう」

 

 藍への説明とは別に、千香瑠にはもう一つ懸念があった。深顯たちが元々探していた仮称Xのことである。

 

(これまで通りヒュージだけが攻撃対象で、人目からは隠れているのならいい。だけどもしこの戦闘に介入してくるようなら……)

 

 千香瑠はXの正体について、どこかの特務レギオンのリリィなどではなく、怪異の類ではないかと疑っていた。

 怪異であれば何を仕掛けてくるか分からない。その点でも、深顯たちが立案した慎重策に賛成であった。

 

「そんなことまで考えてるんだ。凄いなぁ、千香瑠」

 

 もっとも藍はと言うと、千香瑠がした説明だけで、納得どころか感心してしまったようで。

 

「考えたのは深顯さんたちよ」

「そっかー。凄いなぁ、深顯」

 

 トテトテと深顯の傍に近付いていき、自分よりも多少背の高い彼女へ抱き付いた。白い頬っぺたによる頬ずり付きだ。

 

「へぁっ!? ぷにぷに……じゃない、藍様、駄目ですよ!」

「でも深顯もぷにぷにだよ?」

「ぷにぷにじゃないですっ!」

 

 引っ付いた頬をむぎゅむぎゅと潰したり膨らましたりする二人。

 その場に居たマディックたちもさぞ和んだことだろう。千香瑠も勿論「あらあら」と微笑み顔。

 だがそんな中、千香瑠はふとあることに気が付いた。深顯と藍の斜め後ろに立つ第1分隊長から、熱視線が注がれていることに。

 

「…………」

 

 口元を引き締めたまま黙し、ツリ目もキリリと凛々しい。

 しかし千香瑠には分かった。これと似たようなものをしょっちゅう見ていたから。

 

(この子もしかして、瑤さんと同じタイプの子かしら?)

 

 美人は趣向も似るのだなあ、と一人納得する千香瑠である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かくして黒十字マディック隊+αの包囲作戦が開始した。

 千香瑠とマディック一個分隊五人がバス車庫の敷地を迂回し、ヒュージに悟られないよう後背に広がる小高い崖へと移動する。

 崖より奥は木々と草むらばかりで人家は見えない。ヒュージはこちらから流れてきた可能性が高いので、新手の警戒も必要だ。

 何事も無く位置に着いた千香瑠たちは崖上の茂みに身を潜めつつ、敵群の居る場所を見下ろした。

 かつてバス会社の営業所として使われていたコンクリートの二階建て。そこからやや離れた所に、大型車を10台は詰め込めるであろうバス用のガレージ。バスの入れ替えを行なうため広々とした敷地。

 そして肝心のヒュージは営業所とガレージの間、決して広くはない空間に固まっていた。

 

「見える範囲で20体……。少し少ないわ」

「残りはガレージの中です。ここが放棄された際、車両は全て持ち出されたみたいです」

 

 隣のマディックが千香瑠の疑問に答えてくれた。

 確かにバス用のガレージなら、スモール級ぐらい余裕で潜伏できるだろう。

 今見えるのはスモール級のオルビオ型だけ。密集に近い状態で、あちこちの方角を向いていた。

 

「まるで何かに警戒しているみたいですね。それとも、増援を待っているのかしら?」

「私たちが見張ってる時からずっとこの調子でした」

「そう。だったらどちらとも取れますね」

「私たちの役割は背後の監視と、下への支援射撃になります。千香瑠様には、初めは支援の方に加わって欲しいとのことです!」

「ええ、そのつもりです」

 

 刃をチャーム本体の下部に折り畳んだシューティングモードのゲイボルグ。そのグリップ部分を握り締め、千香瑠は射撃体勢に移る。チャームは普通の銃より大きく嵩張るので、伏せ撃ちではなく中腰の姿勢を取っていた。

 マディックたちも千香瑠と同様に射撃体勢に入っていく。彼女たちの得物は、制服と同じ黒色に塗られた長銃身のライフル。AHWと呼ばれるマディック用の武器である。

 型式番号AHW-11。深顯たち黒十字マディック隊が装備するAHW。シエルリントの主力チャーム採用メイカー、北欧フィンランドのリンヌンラタエレクトロニクス社が開発したAHWだ。既存の技術ばかりで作られた現行機であり、これと言って特徴的な機構は有さない。よく言えば堅実な機体と聞いている。

 一機のチャームと四機のAHWが茂みの狭間から突き出た形で、遠く離れたヒュージたちを睨む。一人は後方の山林を警戒する。

 その最中、千香瑠は横目でマディックの様子を窺ってみた。

 

(この子たちは、そこまで緊張してないようね。良かった)

 

 近くにリリィである自分が居るからだろうか、と千香瑠は安堵する。

 狙撃に過度な緊張は禁物なのだから。

 

 

 そうして千香瑠たちが身も息も潜めて少しした後、全分隊準備完了の確認が取れ、改めて隊長からの通信が入る。

 

「総員、作戦開始」

 

 深顯らしからぬ簡素で簡潔な号令が下された。

 直後、バス車庫の広々とした敷地に幾つもの発砲音が響き渡る。

 陣形を密にしていたヒュージの中に爆炎が立ち昇った。集中攻撃を受けた一体が火柱を噴き上げたのだ。その光景は遠方の千香瑠からもよく見えるほどだった。

 奇襲は成功と言っていい。ヒュージたちは建物とガレージの狭間の狭いスペースから逃げ出すように、我先にと散開し始める。

 そこへまたAHWの発砲音。突出した敵が何発もの射撃を浴びて体中から火を噴いた。

 

 AHWはリリィに比べてスキラー数値――――マギ出力に劣るマディックがヒュージに対抗するための武器。その出力の低さから単射しかできない。また構造上の理由と命中率を高めるために、銃身が長くなる傾向がある。それに加えて攻撃が通用する相手は、通常兵器と同じくミドル級までだった。

 しかしそんなマディックとAHWが運用され続けているのには訳がある。

 リリィほどではないにしろマギを扱えるマディックはリリィと同様に身体能力強化や防御結界を使えるし、リリィの支援系レアスキルの恩恵を受けることができた。

 AHWがラージ級に通じないのは火力の問題であり、今後の技術発展によっては解決できる可能性が存在した。

 エレンスゲはリリィと組み合わせることで、シエルリントはAHWの強化によって、それぞれの観点からマディックの運用法を模索していたのだ。

 要求スキラー数値の低いマディックの力が底上げされれば、ガーデンの戦力層は大分厚くなるだろう。

 

 

「第1第2第4分隊、前進しつつヒュージを追い立てなさい。第3分隊は、逃げる敵を優先して狙って」

 

 第3分隊とは千香瑠が同行している分隊のこと。

 深顯からの通信に前後して、崖上からの射撃が隊列を崩したヒュージへ降り注いでいく。

 千香瑠のゲイボルグもまた標的を定めていた。群れから離れて明後日の方角へ走り出した個体。その行き先を予測して、やや前方を狙いとする。

 直径3メートルほどの球状をした標的。一般的なオルビオ型だが、スモール級だけあって動きは速い。太い鎌のような三本脚を互い違いに前後させ、アスファルトの敷地の上を駆け抜けようとする。

 千香瑠はゲイボルグのトリガーを引き絞った。銃口から一条の光が奔り、狙い違わずオルビオ型の横っ面を撃ち抜いた。

 

「次」

 

 撃破した標的が地に倒れ伏すより先に、千香瑠はまた次の標的を探す。

 左右に視線を動かしていると、バスガレージの異変に気が付いた。裏側に亀裂が入ったかと思ったら、次の瞬間、派手な音を立ててコンクリート製の壁が崩れ落ちた。

 

「ガレージ裏、中の敵が出てきます」

 

 千香瑠の無線を受けて、マディックたちの射撃が壁に開いた穴へと集中する。

 弾丸が風を切り、壁の破片が当たりに飛び散り、薄暗いガレージ内に白煙が立ち込めていく。

 そんな攻撃の合間を縫って、中に潜んでいたモノが動き出す。コンクリートの瓦礫を押しのけ撒き散らし、中から外へと飛び出したそれは四本の足で舗装された地面に着地した。

 肥大化した頭部に、人など容易に噛み砕けそうな大きな前歯と丸みを帯びた耳を持つファング種。フィープ・ピープ型。

 まるで巣穴から這い出てくる鼠の如く、同型の後続がわらわらと湧いて出て10体となった。

 

「ちょっと厄介ね」

 

 千香瑠は小さく呟いた。

 スモール級の中でも機動力が高くパワーもあり、それに加えて群れでの連携を得意とするヒュージだった。

 鼠の群れは周囲を見回す。見回しながら両の耳を前後に震えさせる。レーダーアンテナの代わりだろうか。

 少しずつ前進して包囲の輪を狭めていたマディックたちに対し、鼠は上顎を開き前歯を見せつけて威嚇した。

 包囲の足が一旦止まる。

 その隙に鼠の群れが一斉に走り出した。マディックの姿が無い敷地の西側に向けて。

 

「作戦通り残敵が西に向かっているわ。漏れが無いよう追い立てつつ、できるだけ数を減らしてっ」

 

 深顯が指示を出すと、AHWによる追撃が激しさを増す。

 だが的はすばしっこい上、左右へ小刻みに蛇行運動しながら疾走していた。追い縋る弾丸を躱し、あるいは背に受けながらもひたすらに走り続ける。距離もあって有効打は中々出なかった。

 そこへ千香瑠は視線と共にゲイボルグを動かしていく。標的は群れの先頭を行く鼠だ。その未来位置を予測するために相手の足と自身の引き金を引く指の速さを考慮し、それから撃つ。

 後方からレーザーに射られた鼠は少しの間走り続けたまま、やがてバランスを崩して前のめりで盛大に地面に突っ伏した。

 倒れた鼠のすぐ後ろの鼠は咄嗟に進路を変えるのだが、そこへまた飛んできたレーザーに体を貫かれることになる。

 撃った所に、的の方からやって来たかのような光景だった。

 

「あとは任せるわね」

 

 戦いが始まってすぐに逃走を選んだヒュージに違和感を覚えつつ、千香瑠は作戦の推移を仲間に託す。

 残る敵が逃げたのはバス会社の敷地の(きわ)だった。このまま進めば民家の立ち並ぶ住宅区跡地に出る。街中で面倒な追い掛けっこをするはめになるだろう。

 あと一息というところで、ヒュージたちが更に行き足を速めて一目散に離脱を図る。

 だがしかし、大地を揺らして突進する先に人影が一つ。

 

「藍様! お願いします!」

「はーい」

 

 民家の影から、自身の身の丈に匹敵する得物を抱えた藍が姿を現した。

 

 

 




バトルものは長く続くと百合要素が薄くなりがちなのがネック。
なに?「たかなほは戦闘中でもイチャついてたぞ甘えんな」ですって?
それはそう…
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