後二話くらいで幻想入りさせれたらなぁ...!
楽しんでいただければ幸いです。
地の文が多めの説明回です。
あの日、世界が変わった
白騎士の出現、全世界の武装システムの同時ハッキングと日本に対しての総攻撃
日本は確かにその日、終わるはずだった。全世界の大統領や首相はそう覚悟する。
しかし、そうはならなかった
たったひとりの、しかも人間サイズの鎧が、全世界同時に放たれた当時最高峰の攻撃を撃退したのだ
そんなパフォーマンスが行われ、全世界が未曾有の混乱に陥った時、テレビやラジオ、果ては全ての携帯電話というありとあらゆる情報端末から声が響いた
「ヤッホー!どう??どう????見たかな?聞いたかな??私のインフィニット・ストラトスを!!!ISを!!!!」
それはモニターの前にいた、ウサミミをつけた女性だった
「私の名前は篠ノ之束!!世界最高の開発者だよ!」
満面の笑みを浮かべた女性が放った一言は、全世界を震撼させた
あんな人一人しか乗れないような、しかもアーマーすらほぼないような"モノ"が、全てのミサイルを防ぎ切り、忽然と姿を消したのだ
そこからの世界の流れは早かった
ISは世界最強の"兵器"になり、その特異な「女性しか扱えない」という点から、女尊男卑の世界になるのにそう時間はかからなかった
☆☆☆☆☆
世界で初めてISに搭乗し、全世界からの総攻撃を全て打ち落とした織村千冬はその後、モンドグロッソ優勝し世界最強となった
篠ノ之束が全世界に配布した「ISコア」を使って生産された各国のISを世界に向けてアピールするために開催された最大のISの大会であるモンドグロッソに織村千冬は日本代表として出場し、他を寄せ付けない強さを見せつけて第一回王者、「ブリュンヒルデ」という世界最強の座についたのだった
そして月日は経ち、第二回モンドグロッソ決勝の日、控室で精神統一をしていた千冬に一本の連絡が入る
「なに?!一夏が誘拐されただと?!?」
連絡元は、織村千冬への恩という圧倒的な利益を見込んだドイツからであり、
それは最愛の弟である「織村一夏」が誘拐れたというモノだった
「今行くぞ、待っていろ一夏!」
千冬に迷いはなかった
モンドグロッソ二連覇の栄光に、何の未練も執着もなくただ弟を助けるためだけに、空を駆ける
その日、閑静な住宅街の上空を一機のISが超スピードで飛行していたのが確認されたが、後にも先にも移動特化イコライザなしでの飛行において、間違いなく最高速だと記録された
☆☆☆☆☆
目を覚ますと、後ろ手に手錠をはめられ拘束されていた
「ここは...どこだ...?」
見渡せば、自分は何もない部屋にいるらしい
普通の部屋と違うのは入れ口には鉄の扉がはまり、一つの窓もないといったところだろう
「誰か!!いま、、、痛っぅ!」
声がけをしようと大声を出そうとすれば、後頭部が激しく痛んだ
どうやら殴られたらしい
「確か...俺は下校中だったはず...」
俺、織村一夏はいつも通りに授業を終え、千冬姉が優勝して帰ってくると確信していたから、今日くらいは豪勢なものを作ろうと友達と分かれて、スーパーに向かっていたはずだ
「あの後...どうしたんだっけ...」
思い出そうにも、スーパーに行こうと近道の路地裏に入ったあたりから記憶がない。おそらくそのあたりで攫われたと考えるのが妥当だろう
あれは恐怖と怒りから、大声で問いかけた
「おい!ここはどこだよ!答えろよ!!」
出来る限りの大声で叫ぶ
しかしそれに応える人声はない
「...そうだ携帯!!」
右のポケットに携帯を入れていたのを思い出したが、気絶している間に持っていかれたらしく、ポケットに携帯の重みはなかった
「...どうして今日なんだよ!千冬姉のお祝いの日なのに!!」
今日は千冬姉がモンドグロッソ二連覇を達成する日だ。あの人の強さを一番近くで見てきたのは俺だ。必ず優勝して帰ってくると信じている。だから今日俺は帰ってきてすぐに祝えるように今から料理をしなければ間に合わない!
「くそ!ごめん千冬姉...」
優勝した千冬姉が帰ってきたら、好きなものを好きなだけ食べてもらおうと思っていた。しかし、今、俺は千冬姉を祝えないどころか迷惑をかけている
自分の不甲斐なさと迷惑をかけてしまうという罪悪感から、目の前が暗くなった
「ごめん...千冬姉...!」
どがぁーーん!
「な..なんだ!!」
外から何かの爆発音の後に、連続した破裂音がきこえた
その音は段々とこっちに近づいているらしい
「一夏!どこだ!!どこにいる!!」
すると、聞き慣れた姉の声が聞こえてきた
いつも通りの落ち着いた声ではなく、焦りを含んだ声だった
「千冬姉!ここだ!!」
「っ....!そこか!待っていろ!!」
千冬姉の声の後、すぐに扉が開け放たれる
そこには、ISを身につけ、安心したような笑みを浮かべる千冬姉がいた
「...馬鹿者、その歳で迷子になるとはな」
いつもは言わない冗談に、思わず笑みがこぼれた
「ごめん、スーパーに行こうと近道したら迷っちゃって...」
「帰るぞ」
そういうと、千冬姉は俺を抱きかかえ、天井をぶち抜いて空に舞い上がる
「うわぁ!」
「安心しろ、絶対防御の範囲を広げた。万に一つも傷もつかないさ」
「そうは言うけどさぁ!」
俺の抗議をスルーしつつ、俺を横抱きにしたまま千冬姉は家の方向へと飛び始めた
今日の出来事を思い出し、自分の不甲斐なさで胸が締め付けられ、たまらず話しかける
「...千冬姉、今日はごめん...!俺が弱いばっかりに...!」
「いや、私の方こそすまなかった。こうなることは想定できたはずなのにな」
「そんなこと...!」
「大丈夫、何も気にすることはないさ」
俺の言葉に被せるように、千冬姉は否定した。
それで会話は終わりだと言うように、千冬姉は前を向いてISの飛行速度を上げる
「千冬姉」
声をかけるが、千冬姉から反応はない
俺は構わずに言葉を続ける
「いつか...必ず強くなって、今度は俺が千冬姉を守るよ」
自分の言葉が、ストンと心に響いた
そうだ、俺は護られるだけの存在だなんて絶対に嫌だ
千冬姉のように、誰かを護るような人間にるんだ
「そうか...」
千冬姉は前を向いたまま、そう応える
見上げる横顔が、少し赤くなっていたのはきっと夕日のせいなのだ