ようこそ 逆さまの世界へ   作:User3580

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この小説を楽しみにしていただいてる方
少し投稿が遅くなり申し訳ないです。

今回は私のこの小説の1番の分岐点だと思います。
作者としてこれからのやる気も含めてです。
その為、生半可なものは出さない為に何度も何度も消しては書き消してはを繰り返していました。
その分張り切りすぎて1万文字になってしまいましたが、、
長いので前後編にしようと思ったのですが思い切って一話でまとめようと思いました。
一話の方がライブ感があります。一度に読んでいただきたい。
なんかわかれてると、、、的な感じです。

皆さまからしたら待たせてこんな駄文なのかよと思われるかもしれません。それでも頑張りました。
私の凡庸な頭脳と文才ではここまでしか出来ませんでした。
ではご覧いただけたら嬉しいです。
どうぞよしなに。



第九話 ようこそ 逆さまの世界へ

 

目が覚めると僕は白黒世界にいた。

何で?さっきまで戦って、、。

それで僕は倒れて、、、記憶が蘇る。

 

「僕、そっか、守れなかったのか。

 日常を守れなかったのか、、。」

自然と涙が頬をつたった。

ただ悔しいとしか言えなかった。

 

 

「ねぇ教えてよ神様。

 これ以上2人から何を奪うんだよ!!

 なんで2人なんだよ。何をしたんだよ。

 ただ家族4人で幸せに過ごしてただけだろ?

 凄く楽しくて羨ましい日常だったんだよ?」

黒歌と白音に過去現在で起きていることを思うと神様に向けて叫ばずにはいられなかった。

 

「僕にはもう何もないんだ。

 本当に何もないだ。だから日常を返してよ」

 

守れなかったことに絶望を感じた。

でも神様は何もしてくれないことは分かってた。

だって僕の人生で何もしてくれなかったから。

 

もう戻らない日常の情景が浮かぶ。

 

お風呂いつも気持ちよかったな。

またお風呂で2人に髪と身体洗ってほしい。

 

会話楽しかったな。

冗談言ったり2人が口喧嘩したり楽しかった。

 

ご飯美味しかったな。

2人の美味しいって言葉をまた聞きたい。

 

また抱きしめたいな。 

あの暖かい陽だまりを2人から感じたいな。

 

黒歌と白音に会いたいな。

やっぱり2人が何よりも愛しくて大好きだな。

 

後悔ばかり出てくる。

でも後悔しても現実は変わらない。

 

諦めたらいいのか?

僕が諦めて死んでそして2人は眷属になる。

そしたら毎日ヘビに噛まれて毒で抵抗を許されることなく見知らぬ誰かと無理矢理交わされる。

どんなことでもする貴族とやらに。

2人は昔の僕のように人形になるだろう。

 

──僕よりひどい人形に。

 

 

救いだせるのは自分だけだ。

2人が救われるのを神とやらにお願いするのか?

 

自分の顔を両手で思いっきり叩く。

頼るな!!自分で守れ!!

 

現状を自分で変みせろ!!

自分の命を天秤にしてでも守りきれ!

命を灰となりとも燃やし尽くせ。

救えぬ自分に生きる価値なんてない。

 

2人を守るのに神様とやらに委ねるな!

白黒世界が存在しているから僕はまだ死んでない。ならまだやりようはいくらでもある。

 

思考を切り替えようとしたら声が聞こえた。

 

「やっぱ、自分すごいで。化け物や。

 身体は毒で自由に動かず敵は体力満タン。

 そんで毒が進み必ず死ぬときたもんや。

 普通はどんな奴でも流石に心折れるで?

 せやから発破かけよう思うたら、もう自分で自己解決しとるし。

 そんでもう次の手を考えようとしとる。」

ほんま特異点やなぁと。

正気の沙汰やないと。

 

「そうですね。最初は神様に任せようと思ったんですが今までの不手際を考えると信用出来なくて」

平子に向けて笑って見せる。そして聞く。

「あの?ここってどれくらいで時間進むんです?」

 

 

「普通はここと現実は同じや。でも特別やで。

 今はここの30分が現実の1分や。」

 

 

なら時間はある。

今だからこそ聞くべきと思ったことを。

今、聞かないといけないと心が告げてくる。

自分が生まれた時から僕を想ってくれる存在に。

 

「一つ聞いていいですか?

 あなたから見て僕の最悪な人生は2人と出会い誓ったあの日から最高な人生へと逆さまにすることはできましたか?」

 

 

「せやな、2人と出会った日から真逆やわ。

 俺が毎日見てても飽きんくらいおもろかったわ。

 こんだけ逆さまってのを体現できたん

 宝刀だけやろ。」

自信を持ちぃと言った。

 

 

「そうですか。ずっと僕を見てくれたあなたが言うならその通りなんですね。良かった。

 ならさ、この最悪な状況も最高な展開に逆さまに出来るかな?」

  

 

「そら出来るやろ。

 なんせ白黒世界で諦めん奴やで自分。

 何千何万回死んでも死なん子や

 こんくらい逆さまにしぃや。」

 

 

「あなたは飴と鞭の使い方上手すぎだよ。」

宝刀はケタケタ笑った。 

 

 

 

「ね、僕の愛刀さん?」

そう平子(仮)に一瞥する。

 

 

「あら、バレてしまいましたか。」

綺麗な女性の声になった。

平子さんの顔だから違和感しか感じない。

 

 

「ええ、なんとなくですけどね。」

 

 

「そうですか。なら改めてご挨拶を、

 私はあなたのもってはる刀です。

 どうぞよろしゅうお願いします。」

京都弁のような喋り方だ。

なんとなく違和感ある。これはエセ京都弁だな。

 

 

「そっかあなたの声がやっと聞けたのか。」

 

「でもこんな死ぬギリギリでやっと応えてくれるなんてとても意地悪ですよ。」

 

 

「意地悪で性悪で嘘つきなんが私なんです。」

平子(仮)は少し顔を膨らます。

でも顔は平子さんだから可愛くない。

せめて女性の顔で見たかった。誰得なんだ。

 

「でも主人公みたいやんな。

 ピンチに覚醒する勇者。

 ねぇ、あなたは何を望みはるん?」

 

わかってるくせにと思いながら答える。

「それは決まってますよ。2人を守る力を。

 2人が幸せな日常を送れる力を。

 この辛い現実を逆さまにする力を。

 僕の命より大事な事です。」

 

 

「ほんまに頭の中どうなってはるん?

 どないあの2人好きなんですの。

 なぁ平子はんはどう思います?」

平子さんが平子さんを呼ぶ。

ちょっと面白いと思ってしまった。

 

 

「宝刀のこれは諦めや。

 行動理念が2人の幸せな日常や。

 お前もずっと見とったやろ?いい加減慣れや。」

いつの間にか本物の平子がいた。

 

 

「そうですが、愛する者の為に現実を逆さまにしたいなんて誰が思いつきますの?」

平子(刀)さんがめっちゃ呆れてる。

 

宝刀ええか?と本物の平子が宝刀に向く。

「その刀は斬れ味だけのもんやないのは伝えたな。

 神器や。神の器を名乗る超常のもんや。

 刀を解放するにはまだ足りんもんがあった。

 が、最後のピースがカチッとハマったな。

 誰でも諦めて死ぬ状況でもまだ逆さまを願うか、

 ほんま性悪な刀やで自分。」

そう言って平子(刀)に呆れる。

 

 

「能力は前に披露して話した通りや。

 上手いことこいつを使ったり。

 そんでずっと刀って呼んどったけどなこの神器にもええ名前がついとんや。」

平子さんは平子(刀)に次を話せと促す。

 

 

すると平子(刀)が気付けば女性に変わっていた。

刀さんの姿は傾国の美女としか言えなかった。

艶やかな黒髪と十二単の衣装が完璧に調和している。これが絶世の美女と呼ぶんだろうな。

多分この人以上に十二単が似合う人は居ないだう。

 

 

よう聞いてくださいな。と刀さんが言う。

 

「私の名は 《逆撫》 です。

 解放するための解号が 《倒れろ》 

 素敵やろ?惚れてもうたらあかんよ?」

 

 

なんか凄いドヤ顔してる。

ちょっと面白い人かもしれない。

 

 

「ほんとに名前が聞けて嬉しいです。

 僕もずっと刀とは呼びたくなったですし。

 逆撫、逆撫。凄く綺麗な良い名前。」

宝刀は名を聞けたことが嬉しくて何度も逆撫の名前を呼びながら笑いかける。

 

 

そして宝刀は勢いよく逆撫に抱きいた。

「逆撫は聞いたよね。素敵だろ?惚れたらダメ?

 そんなの答えは素敵としか言えないよ逆撫。

 僕ね突然現れた刀に最初は驚いた。

 でもね。でもね。刀の刀身を見た瞬間から初めて触れた時からべた惚れだよ!!」

 

まさか今の擬人化姿ではなく刀としての自分を見てベタ惚れと言われると思わず嬉しすぎて抱きしめ返す逆撫。

 

 

「そう言えばあのクロスに最終勧告みたいに眷属になれとか言われた時、僕らしくない口調になったんですけど何かしました?」

そう。あの時は僕らしくなかった。

 

 

「あれは私です。流石に私も我慢できんくてね。

 ずっと宝刀を見守ってきたんも私もなんですよ?

 こうして今日まで会えず何も宝刀にしてあげること出来へんくてね、ほんとはこうやって愛したかった。抱きしめたかったんですよ?

 心壊れた宝刀を救ったあの子たちを散々な目に合わせたもんやさかい我慢出来ひんかったんです。

 でもいい口述やったでしょ?」

逆撫はウインクをする。

服装と相まって逆に似合わない。

 

「やっぱり逆撫も僕を見守ってくれてたんだね。

 僕もこうやって会えて触れ合えて本当に嬉しい。

 僕の為に怒ってくれてありがとう。

 大好きだよ。逆撫!」

 

もう一度、逆撫をぎゅっと抱きしめる。

そっと逆撫も抱きしめ返してくれた。

 

 

そして逆撫は刀となって宝刀の手に収まった。

さっきまで感じていた絶望感は欠片まない、だって今の僕には逆撫と平子さんが居てくれるから。

心から心配してくれる人が沢山いることを知れたから。

昔のように1人じゃないから。

 

 

「平子さん、逆撫ありがとうございます。

 いつも陰から力になってくれて、

 醜かった僕を見捨てないでくれて

 僕が1人だった頃から見守ってくれて、、。

 何も返せないけどこれだけは言わせて。

 平子さん、逆撫、大好きです。」

 

 

宝刀の言葉を聞いた平子は修行の時にしか着ない上下黒の袴と白い羽織姿になった。

そして覚悟を決めた顔をした。

まだ時間あるから聞いて欲しいと語り始める。

 

「俺はな、実は何者かわからんかった。

 最初は不安やった。

 でも最近思い出したんや宝刀が変わった日にな。

 そん時昔の記憶が戻った。」

 

そこから語ったのは知らない平子だった。

 

「俺はな、1人の隊長やった。

 ちなみにこの白い羽織が隊長の証や。

 そんで背中の「五」が5番隊って意味でな。

 200人くらいの隊長やってたんや偉いやろ?

 優秀と言われる隊の隊長やってん。

 でもな、ある日1人の部下に騙されたんや。」

そん時は大変やったといった。

その部下のしでかした事によってほんまにぎょうさん人が死んだと。

 

「そんでな、部下の暴走を防ごうとした。

 色んな策講じて止めようと頑張った。

 でもな、俺は何一つ守ることは叶わんかった。

 何もかもがそいつの手の上でそんま無様や。

 気い付いたら全部遅かったんや。

 そんで1人の心優しい子の心を壊してもうた。」

 

ポツリポツリと話した。

平子は顔を見られたくないのか下を向く。

 

「部下がやらかしたことがなんとか解決したら、もう一度隊長やらんか言われた。

 最初はなもう一度やるつもりなんてなかった。

 でもなやり残したことに気いついたんや。

 その心優しい女の子が頭から離れんかった。

 いつも笑う子がいつも虚で死んだ顔しとんねん。

 せやからもう一度だけ自分に誓ったんや。

 守ると、その子を笑顔にすることも含めて全てを

 守れんかったもんの分を意志を全部含めてな。

 せやからこの羽織はな、、」

そっと平子は白い羽織を触る。

すまん、話は終いやと宝刀に近づく。

 

 

平子さんは優しい顔で宝刀の頭を撫でる。

 

「俺は宝刀をずっと見守っとった。

 それこそお前が母ちゃんの子宮中おる時からや。

 お前は特異点や。宝刀お前なら大丈夫や。

 俺は無理やったが宝刀なら大丈夫。

 俺が味方なんやこの世界くらい逆さまにしぃ」

 

最後に頭をぐしゃぐしゃと強めに撫でる。

頭を無茶苦茶にされながら宝刀は言った。

 

「平子さん話してくれてありがとう。

 僕、平子さんの部下として働いてみたかったな。

 すっごいカッコ良いんだろうな。

 良い隊長なんだろうなって思う。

 多分だけどその女の子は笑顔に戻れたよね?」

 

「なんでわかんねん?」 

驚いた顔で平子は聞き返した。

 

「なんでわかるかって?わかるよ。

 平子さんが誓ったことを破るはずないじゃん!

 目に浮かぶんだ〜。

 平子さんはずっとその女の子を守り続ける。

 大変だったと思うよ。壊れた心を治すの。

 そして想いが伝わってほんの少しずつだけどね、

 その女の子が前の明るさが戻ってくるんだ。

 明るさが戻ると平子さんがわざと無理矢理その女の子をいろんな所に連れ回すんだ。

 あえて飄々として昔を思い出させないように。

 そしてその女の子は仕方ないな〜って顔して怒りながらも笑いながらも平子さんを追いかけるんだ。

 そんな日常を送ってたんじゃないかな。

 

 だからね、その女の子は救われたよ。」

 

宝刀は慈愛の瞳で

平子さんは頑張ったねと平子に伝える。

 

平子は自然と顔を上げた。

「ほんまに宝刀は敵わんな。

 なんでそんな的確やねん。

 嬉しゅうてほんまに泣いてまうわ。」  

 

そして再び平子は下を向く。

その姿を見て僕はもうここに居るべきではないと。

あとは平子さんが自分で落とし込むべきことだ。

 

「平子さん僕は守る為に行ってきます。」

 

そう言い残して僕は現実世界に戻る。

平子の泣きそうな顔を見ないように。

 

宝刀はそれだけ言うと現実世界へ行った。

 

1人の世界で平子は何度か目を拭い笑う。 

ほんま宝刀に出会って良かった。

 

現実世界へ向けて、宝刀に仇なす者に向けて白黒世界から告げる。

 

 

「ほんならそろそろ奇跡の時間や

 ひっくり返したるわ」   

 

 

憑き物が落ちた顔で笑った。

 

 

少し経った後に平子は逆撫に向けて聞く。

「お前なんで自分の本当の姿見せんかったんや。

 え?恥ずかしくて? 嘘つけやお前。

 そんなこと思う奴かいな。

 ほんまお前は性悪な性格やで逆撫。

 今日で宝刀のことまた惚れ直したやろ?

 ずっと一途に愛してたもんな。宝刀のこと。

 見ててわかるわ。乙女やな。

 まぁいつか宝刀が本当の姿見つけてくれるわ。

 そん時はあの能力あげたりよ。

 俺はこれを宝刀にやることにするわ。」

 

 

「んじゃ、宝刀の晴れ姿見よか!」

 

 

1人の世界で刀と会話する平子であった。

 

 

 

 

 

宝刀は現実世界へ舞い戻った。

まだクロスは空中にいる。良かった。

眷属の騎士待ちなのか今は駒を弄っていた。

ゴミが、と思いながらも今この気付かれてない瞬間の隙をついて動かない身体を闘気で無理矢理起こして森の中へ隠れる。

 

呼吸と気を何度も整える為に目を瞑る。

闘気を練り身体をどうにか休めるよう。

 

すると「目閉じて手を前に出しぃ」と聞こえた。

平子さんの言葉なので言われたとおりにする。

 

 

しばらくして閉じた目を開けると宝刀の小さな手の上には綺麗な白の羽織があった。

 

平子さん、、、と呟いく。

どれだけこの羽織がいかに大事かを知った。

 

1人の少女と、全てを守る誓いの隊長羽織。

守れなかった者を背負うと決めた白い羽織。

 

それでも僕に預けるに値すると思ってくれた。

 

手に乗る羽織に重さを感じる。

ただ重いだけじゃない託された想いも含めて。 

僕には全てを守ることなど出来ない。

そんな力はない。

だから今は2人の笑顔を守ると誓うよ、平子さん。

 

 

白い羽織をギュッと愛おしそうに抱きしめる。

 

 

スッと灰色の着物の上から白い羽織を纏う。

身体には大きすぎる羽織が宝刀のこれからの成長と覚悟と誓いを表し、

真っ白な羽織の背中には大きなひし形の中に「五」と記されていた。

 

 

 

「ありがとうございます。

 託されたからには半端な気持ちではいません。」

宝刀は羽織を優しく触れる。

羽織から「あたしも託すよ。頑張ってね。宝刀くん」と女の子の明るい声が聞こえた気がした。

「ありがとう」と小さく呟き返す。

 

 

宝刀は立ち上がりもう一度空へと駆けた。

残りの闘気を一つ残らず使って無理矢理動かす。

 

「なっ!ガキなんでお前がここにいる!

 毒が回りすでに動けない筈だ!!」

 

クロスは宝刀が動けることに怒鳴る!

上級悪魔として固有能力を使ったのに自分の力が通じてないことに怒る。

 

 

「そない吠えんなや。

 自分かませ犬みたいで弱く見えんで。」

毒が回り辛い中でもあえて気丈に振る舞うために平子の真似をした。

 

「僕も貴方も等しく悪だ。

 悪にも矜持や大義が必要なんだよ。」

 

また新たに物語を紡ぐために

 

宝刀は鞘から逆撫を抜き構える。

 

「己の憧憬に命を賭けぬ人生になんの意味がある」

 

 

構えた逆撫を逆さまにして解号する。

 

 

 

 

 

「倒れろ  逆撫」

 

 

 

 

 

言葉と共に刀は変化する。

 

 

刀身に等間隔で小さな穴が空き、何より変化が目立つのは柄に大きなリングができていることだろう。

 

宝刀は変化した逆撫の柄に出来た大きなリングの中心に向けてそっと手をかざす。

途端に逆撫は生きてるかのようにかざした手を中心に浮かびクルクルを回り始めた。

クルクル回ることにより刀身に空いた穴と空気が摩擦しあいシュンシュンシャンシャンと一定のリズムで音が響く。

 

 

「何をしている?」

何をしているのか分からず能力すらわからないために迂闊に動けないクロスは宝刀に問いかける。

 

 

「あれぇ〜〜〜?

 な〜〜んか、、いい匂いしませんか?」

宝刀はしたり顔でクロスを見つめる。

 

 

クロスはしまったと思う。確かに甘い匂いがするがこんな空中でそんな匂いなんかしない。ならこのガキの力か。

毒を警戒して急いで口を押さえ、ガキとの距離を取ろうと逃げるように後方へ飛ぶ。

 

 

すかさず宝刀はクロスの行動を遮った。

「今更息を止めてもおそいですよ。

 毒?睡眠薬?全く違いますよ」

 

 

 

宝刀はいつの日か世界と自分に向けた言葉を酔生夢死へと誘いの言葉として告げる。

 

 

 

 

 

「ようこそ  逆さまの世界へ」

 

 

 

 

 

クロスは何を言ってるだ?と言おうとすると、、

瞬きをした瞬間にガキが逆さまで立っていた。 

 

は?ガキはさっきまで普通に立っていたはずだ。

逆さまになどなっていたなかった。なんだ?

 

そしてクロスは気がついてしまう。

逆さまに立つガキがおかしいんじゃない。

俺だ!俺の見えてる世界がおかしいのだ。

俺の見えている世界が逆さまになっていると、、。

 

 

逆撫の回転をとめて逆撫を握る。

「これが僕の刀 逆撫 の能力です。

 相手が認識する視覚の上下左右のコントロールを逆にする。

 

 簡単に言えば見えてる世界の全てが逆になる。

 今、あなたは僕が逆さまに立っているように見えるでしょう?

 残念。僕や普通の人から見える世界ではあなたは普通に空中で立ってますよ。

 でもあなたからすれば全てが逆。

 

 右にあったものが左に、左にあったものが右に

 上にあったものが下に、下だったら上にね。

 近くにある物が本当に自分の見える場所にあるのかすら分からない。

 普通に動くことすら出来くなる。

 

 僕は一度もやった事ないですけどゲームのよくあるようなトラップみたいで面白いでしょ?

 まぁ火が出たりとか特殊なものなくて、

 たったそれどけですけど、ねっ!!」

 

 

宝刀は勢いよく空中を蹴って正面から上段構えから振り下ろす。

クロスは警戒したことが講じて冷静に分析する思考まは捨てていなかった。

ガキは何と言った?視覚の認識を逆にするだと?

はっ!そんな子供遊びみたいな力で舐められたものだ。

そう結論を早めて答えを出してしまった。

 

 

まぁ戯言に付き合ってやるかと。

そう決めたけ、ガキが迫って来る動きを眺めているとクロスは見える世界に違和感を感じた。

クソっそう言うことか、、。

ガキの言った意味の真意を理解出来てしまう。

静止された世界だと気づくことすらできない。

向き合っていた時は感じなかったが動くものがあると些細な動きですら見たことない動きに見えて気持ち悪くなる。

 

全く距離感が掴めない。なんだこれは!!

強引に避けるが精細をかいて肩を斬られる。

 

「クソ、厄介な!!おいガキ!!

 さっきまでそんな力なかっただろ。」

クロスはプライドを捨て自分の身に起きている現状を確認する為に時間稼ぎをする。

 

「まぁこれでも神器持ちですしね。

 僕は託されたんですから覚醒ぐらいしますよ。」

あえてそれに乗る宝刀。でも攻撃は行う。

 

クロスは再び斬りかかってくる宝刀から避けるだけで精一杯になっていた。言葉にすれば簡単だ。上下左右の見えてるものが逆さまになる。

だがそれが戦闘であり毒を食らってスピードが落ちているガキの攻撃でさえもその数秒の間に狂った感覚を上下左右の動き合わせて正常のものと瞬時に脳内で変換して行動することができない。

 

刹那の戦いでそんな荒唐無稽なことなど誰一人出来るわけがないだろ!

故に細かな行動だと距離が掴めず宝刀からの抜刀を全て大きな動作で避けていくしかない。 

 

攻撃の手を緩めない宝刀に少しずつクロスは切り傷が増えていく。腕、足、肩など斬りつけられ顔を顰める。

そして宝刀はクロスの頭上に現れて踵落としの要領で目一杯の蹴りをくらわせた。

クロスは迫る蹴りを両手で防ぐが、予想外の威力を相殺できずに空中から地面へと叩きつける。

 

 

地面に叩きつかけられ起きあがるクロス。

嘘だろ?クロスは視覚の異常さをより感じた。

地面が逆さまなのだ。木や地面が頭上にある。

だが、足に地がつき自分は地面の上に立っていることは確かだ。それがなにより気持ち悪い。自分は今何処にいる?感触と視界の出鱈目さでクロスはもう安易に動くことすら出来なくなってしまった。

 

だが呆然としていられるほどガキは甘くない。

どうにか動かなくては、クソ!クソ!クソ!!

先ほど食らった踵落としが身体に効いた為にクロスは木にもたれ掛かろうとする。が、見えてる世界は全てが逆さまのために木に触れることすらままならない。 

 

手を様々な方向へ無様にひたすら振りまくることでようやく近くにあった木に触れることが出来る。

頭の中で上下左右逆さま世界を理解しようとするが脳に拒絶される感覚と近くの物に触れる事すら出来ない感覚に酔ってしまい倒れそうになった。

そこでようやくガキの言葉の意味を理解してしまう。ガキは言った「倒れろ」と。 

 

クロスは気付かぬうちに錯乱して狂ってしまいたくなるほどに精神的に追い込まていた。

 

必死に視覚の感覚を慣れさせようとする。

周りの景色と自分の身体の動作、時には近くの石を投げたりなど視覚の齟齬と距離感を掴もうと大げさに移動しては初めての狂感覚に慣れさしていく。

それでも移動すればまた視覚の違和感に苛まれる。

だがここで心が折れてしまうと死ぬのは自分になるが為に言葉通り必死だ。

 

 

「どうですか?面白いでしょ?」

宝刀は煽る。念のためまだクロスが力を隠してる可能性もあるため油断は絶対にしない。

 

クロスは心の中でひたすら悪態をつく。

何故俺は早く殺しておかなかった。

クロスはもう取れる手札もほぼない。

再びクロスは悪魔の翼を出して空に駆ける。

 

「空中戦で勝負と洒落込もうじゃないか!!」

 

クロスは剣を構えて宝刀を待つ。

奴は毒を食らっているだから時間をかける選択肢は取れないから俺の提案を受けるしかない。

そこを突いていくしかない。

 

空中へやってきた宝刀はクロスに言う。

「では真正面からまっすぐ攻撃してあげますよ」

 

宝刀は宣言通り正面から迫って来る。

宝刀とクロスの距離が縮まり刀と剣が相対する。

いくら上下左右が変わろうが真っ直迫ってくるのなら先に剣が届くのは自分だ。

クロスは嗤う。少し調子に乗ったなと。

 

「バカめ!!つけあがったな!」

宝刀の速度を見て予想通り速度ではこちらが上、ガキの刀が俺を斬りつけようとする。

真正面から斬りつける宝刀よりもクロスの剣が届く。

 

 

 

 

 

ザシュ斬りつけた音と勢いよく血が噴き出す。

 

 

 

 

だが斬られたのは悪魔のクロスであった。 

何故か自分の背中ぎざっくりと斬られている?

何が起きたのか一瞬わからならない。

ガキは真っ直ぐにこちらに斬りかかった筈だ。

なぜガキが後ろにいる?何故斬られてる?

 

「すいません。わざと伝え忘れました。

 僕少し性悪なんです。 

 逆撫は認識を上下左右逆にさせますが 

 前後の見えてる方向も逆にするんです。

 言ったでしょ?全てが変わると。

 だから普通に僕は後ろから攻撃しましたよ?」

宝刀は申しわけなさそうにこちらに顔を向ける。

それが馬鹿にされているようでクロスは腹が立った。

 

 

クソ!クソ!とクロスは宝刀から距離を置く。

してやられてた。騙された。ガキ1人にいいようにされている。クロスはさっきまで弱っていたガキだからいつでも殺せると思っていた。

だが斬られているのは自分。

「やってくれな。もう油断なしだガキ。

 片をつけてやる。死ねやぁああ!!」

 

もう上級悪魔とは思えない姿のクロス。ひたすら剣をはちゃめちゃに振るう。

迫り来るクロスの攻撃を淡々と刀でいなす。

 

 

「何なんだ!何なんだお前は!

 俺は俺様は上級悪魔の貴族だぞ。

 俺を殺したらどうなるかわかってるのか!?

 お前たち下等種は俺のような存在に従っていたらいいんだよ!!」

 

 

「もう喚くなよ。」

宝刀はクロスの言葉を途中から無視して今出る最高速度で再び同じようにクロスに正面から駆けて心臓にむけて突き技をする。

 

「確かにスピードは速いが俺には通用しねぇよ。

 上下左右前後を逆にする?

 そんな子供のお遊びくらいもう攻略した。

 やはりガキはガキなりの能力だったな!」

 

クロスは背後に向けて出力最大の魔力を放つ。

これなら避けることは出来ない。何故なら全体攻撃は視界など関係ないから。だから真正面に突撃してくるなら前後の視覚で変わっている後ろに盛大に広範囲攻撃をすれば奴は逃れることはできない。前後が逆になるのだから。

ドンっ!と爆発が起こり衝撃で空が揺れる。

「ハハハっ!ハハハっ!

 いくら視界が逆さまでもこれなら避けれまい。

 俺様に楯突いたんだザマァねぇな!」

 

勝利の余韻に浸っていたが、そこに居るはずの宝刀の存在はなかった。

は?と口から漏れてしまう。 

 

ズボっ、クロスは背後から胸を貫かれた。

「何故?お前がそこにいる?

 前後も逆になると言っていたではないか。

 だから正面から来たから後ろへ避けることの出来ないほどの魔力を放ったのに。」 

 

ゴフっと血を吐きながらクロスは言った。

ガキの能力は上下左右前後の認識を逆にするのだから前からきたら逆さまのため攻撃は後ろになるはずなのに。

訳がわからない。自分が見えているものはなんだ?

もう見える世界が歪にしか感じない。

 

 

「だから言ったじゃないですか。

 僕は性悪だって鳥頭ですか?

 まだ言ってないことが他にも沢山あるに決まってるじゃないですか。

 それくらい予想しろよ。」

宝刀ははぁとため息をついた。

 

「使う力にオン、オフくらいできますよ。

 その為にわざと視覚の逆さまを慣れさせるよう意識させた攻撃を何度もしたんですから。

 で、こうして途中から能力をオフにする。

 すると相手は正常か逆さまかわからなくなる。

 次に来るのは逆さまか正常か?

 もう自分が見えてる世界が不気味でしょ?

 最早思考では理解できなくなる。

 これが僕の愛刀の逆撫の力です。」

まぁ良くていい実験体でしたよ。と言った。

 

 

「やっとこれで2人の日常は守れる。

 2人の日常から要らないんだよ害虫が。」

 

満面の笑顔で首を刎ねた。

 

 

あとは騎士だけ。

逆撫を収めると白い羽織も消えた。

 

宝刀は2人が走って行った方へ駆けようとする。

だがクロスの毒から無理矢理繋いでいた身体の闘気が切れてしまって動かなくなってしまう。

 

ザッと地面に倒れる。

 

くそ時間をかけすぎた。

だが初めての能力を使ったんだ。

ある程度の使用感がないと僕が負ける。

 

動こうとするが身体が言うことを聞かない。

あと少しなんだ!!あと騎士1人だけ殺せば日常が戻るんだ!!

動けよ!あと少しで良いんだよ!!動けよ!

 

何度も自分に言い聞かせるが立ち上がる事が出来ない。

やっぱヤバイなこれ起き上がれない。 

 

もう一度だけ気を練ろうとした時

毒が進行が進んだのか宝刀は吐血した。

バシャっと地面と着物が血で染まる。

 

あぁ、身体が痺れてきた、、。

あとは次の進行で痛みがきて死ぬ。

 

宝刀は意識がなくなり倒れた。

 

 

 

 

 

宝刀が倒れた近くの茂みから誰かが現れた。

 

「子供?それに凄い怪我ね。左腕は焼けてる。

 それに毒?なんで毒なんかに侵されるのかしら。

 それにこの子は、、。」

 

 

 

 

 

 

宝刀の物語は次のステージと進む。

 

 

 





やっと、やっと出せました。
解号がカッコ良すぎます。逆撫大好きです。

執筆にあたって逆撫の能力描写が無さすぎて1番困ったことになりました。
色んなサイトで斬魄刀の能力を調べたりその度に頭がこんがらがりますし。
自分の脳内で何度も逆さま世界を想像すると作者自身が気持ち悪くなりまして結構グロッキーでございます。
他にも色んなゲームをYouTubeで逆さまにしてみたりして能力を受けたらどうなるかを体験しようとしました。
結構気持ち悪いですよ。FPSのゲームを持ってる人居ましたら画面を逆さまにしてやってみてください。クロスさんの気持ちがわかります。
もしくはYouTubeで 「流通大学 逆さまメガネ」で調べてみてください。なんとなく逆さまになった人はこうなるだろってのが分かります。

そして宝刀が羽織に触れた時に聞こえた声は
一体ひ何森さんなんだ!??  



今話もご覧いただきありがとうございます。
面白いと思っていただけた方。これからに期待と思っていただけた方。
よろしかったら高評価いただけたら嬉しいです。どうぞよしなに。

作者のやる気スイッチが起動します。
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