ようこそ 逆さまの世界へ   作:User3580

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心からありがとうございますと伝えさせて下さい。
皆さんが読んでくださってるからこそ作者としては続けられたいのは確実なのでこれからもどうぞよしなに。



第十一話 猫の選択

 

沖田は両肩に2人の少女を連れて自分が住まう自宅兼魔王城へ戻ってきた。

 

玄関先で出迎えてくれたメイド達に少女達の治療を仕事のなによりも優先させてることを伝える。

 

 

「サーゼクス様は今どちらに?」

急いで行動しようとする1人のメイドに聞く。

 

 

「今は執務室にいらっしゃいますが如何致しますか?」

メイドはすぐさま行動をとめ応える。

 

 

「緊急の案件が出来たので私自ら伺います。

 ですのでそのまめ貴方たちはこの少女たちを何より優先にお願いします。」

そう伝え沖田は少し早歩きになり執務室へ向かう。

自分1人では抱えきれない問題だ。

 

 

向かいながら沖田はため息が出てしまう。

今日は休みのはずだった。久々にあの森に生えている果実を何個かとり自室で楽しもうと思ったのに。

またため息が出てしまった。「はぁ〜」

 

 

執務室へ到着し一度身なりを整えノックをする。

トン、トン、トン

 

「執務中に申し訳ございません。

 沖田です。緊急で伝えないといけないことが発生しましてお時間よろしいでしょうか?」

 

ドアから「大丈夫だよ。」と声が聞こえたので部屋に入りもう一度部屋に訪れた理由を伝える。

 

 

「本日外出しておりましたが

 クロス・ラプソンの騎士に相対しました。

 その現場では猫魈を無理矢理眷属にすべく2人は傷ついている状況でした。 

 何度も昔から執拗に習っていたようで、今回はとても大掛かりな様子です。

 実行部隊を分け、眷属全員で捕らえる。とても用意周到な事が垣間見えました。

 これは騎士に確認し間違いないとのことです。」

 

 

「そうか、、ラプソン家の者か。

 彼は前から問題が多かったがここまで酷いとは。

 狙われた2人は?」

サーゼクスは少し顔を顰める。

 

 

「どちらも命は無事です。

 ですが妹の方が少し怪我があります。

 ですので急いで治療させてます。」

 

 

それを聞いてサーゼクスはホッとする。

「よかったと言えば良いのか、、。

 本当に今の時代にやらかしてくれるよ」

 

 

沖田は少し顔を顰める。

「まだ、話は続きます。」

 

「だろうね。

 それだけなら君は自分でどうにかする。

 何が起きたんだい?よっぽどのことだろう?」

 

 

「実はクロス・ラプソンは死んでおります。

 それに騎士と女王そして兵士の3人以外を残して首を刎ねられた状態で皆死んでおりました。

 実行は少年と呼ばれる1人での殺戮のようです。

 それも10歳満たない可能性があるかと。」

 

 

サーゼクスはそれを聞いて呆然としてしまった。

「何と言った?少年が一人で上級悪魔と眷属を相手にして殲滅させただと?

 10歳未満の少年が命の業を背負いかつ首を刎ねる冷酷さがあるのか、、。

 そんな存在など居るのか?」

 

 

「本当のようです。

 プラソンの騎士が言っておりましたので。」

 

 

「その少年は何処に居るんだい?

 是非とも会ってみたいよ。」

サーゼクスからすれば上級悪魔の死は見過ごせないがそれよりもその降って沸いた特級戦力の少年が気になってしょうがない。

少し笑みが出てしまう。

 

 

「残念ですが、その少年は発見出来ず。」

 

「そうか。悪魔になってくれないかな。」

 

「そうですね。私もおもいます。

 少年は私が助けた少女2人の家族のようです。

 姉の方ですが私を警戒してましたが少年の為にプライドを捨て土下座をして助けを求めました。

 その後も自らの怪我を顧みずに何時間も仙術を使い探し回りそして居なくなったことを理解した瞬間に倒れてしまい。

 放っておく事が出来ず保護した形になります。

 私はこれほどまでに愛される存在というのは少し気になってしまいますが。」

 

 

「そうか、、。

 彼の少年も無理矢理眷属にされることを防ぐ為に命をかけて2人のために戦ったんだろうね。

 それで君が言っていた殲滅となると。

 そして家族の為に自らも顧みない少女か。

 まずは2人が目を覚ますまでは待とうか。

 より詳しい話は当事者がいないとね。」

 

 

沖田は少女たちを看るべく部屋を立ち去った。

 

 

そこから2日経ち少女たちも傷が癒えたということでサーゼクスは沖田と共に2人の休んでいる部屋に訪れた。

 

 

メイドが部屋に入る僕に一つ懸念事項を伝える。

「サーゼクス様にお伝えしたい事が、、。

 2人共どちらも今、とても危うい状況です。

 常に眷属へと狙われる心労や特に家族となった少年の存在が大きいのか警戒心が強く一言も口を聞こうとしません。

 ご注意を。」

 

 

「分かった。ありがとう。」

 

 

そう伝えて部屋をノックするが返事がなく入ることを伝え部屋に踏み込む。

そこにはメイドが言ったように2人の少女がこちらを殺さんとばかりに睨みつけている。

 

 

「突然の訪問で申し訳ない。

 私はサーゼクス・ルシファーと言う。 

 勝手に屋敷に連れてきたこと申し訳ない。」

 

 

魔王であるため頭を下げる事が簡単でないため顔だけでも申し訳ないことを伝える。

だが少女たちは何も返事をしない。が、少しだけ警戒さが薄れた気がした。もう少し踏み込むか。

 

「まずは悪魔の魔王として2人を無理矢理眷属にする者を野放ししていたことを謝罪したい。

 本当にすまなかった。ここでの治療に何か対価を求めることはないから安心して休んでほしい。

 すまないがよかったらそちらの名前など聞くことは出来ないだろか?」

 

 

「私が黒歌。もう1人は白音。

 治療いただきありがとうございます。」

黒歌は渋々答えて頭を下げる。

 

 

「黒歌ちゃんと白音ちゃんだね。

 改めてよろしく。」

 

 

そこから何度か素っ気ないながらも会話を続ける。

 

 

「大変だったよね。

 私が考えられないくらいその歳での日々の逃走しないといけない日常は辛かったよね?

 この屋敷では安心していいよ。

 ここには君たちを害す存在は居ないから。

 僕は魔王だから害す輩は居ないんだろうけどね。

 ここに居るまで間は魔王として君たちを守るよ。

 みんな君たちが無事だった事に安堵してるんだ。

 良かったら元気な姿で挨拶してやってくれ。」

 

 

少し誘導を促す言葉を混ぜる。

魔王という肩書き、強者であること、安心できる場所を確保することができることなど。

信用は無理でも利用するにはちょうどいいと、家系としての慈愛を全面に出して少しでも少年の情報を得る為に。

サーゼクスとしても全て欺瞞ではない。本当に心配して安心してほしいのは思ってる。ただ安心の先に得ることが出来るのが少年の情報のため少しだけズルをする。

 

 

「じゃあ、今日は挨拶だけだからまたね。

 ゆっくり療養すれば良いよ。」

 

 

そう出て行こうとすると黒歌から投げかけられる。

「あの、お願いがあります。」

 

 

「お願いを聞いてあげたい。

 でもね、まずは今日はここまでにしよう。

 明日、ゆっくり聞くから今は休んでいなさい。」

 

 

そう会話を終えてサーゼクスは部屋を出た。

 

 

二人きりとなり黒歌は白音に話しかける。

 

「黒歌お姉ちゃん 宝刀のこと考えてる?」

 

 

「そうね。

 猫魈の私たちが眷属もしくは力になることで宝刀を探して貰うことは考えてる。

 でも、もしそうなれば私が眷属になるにゃ。」

 

 

「確かに後ろ盾になるし宝刀も一緒に居られる。

 でも! 黒歌お姉ちゃんが眷属になるのは、、

 なら私も一緒に眷属になるよ。」

 

 

「私は仙術が使えるから利用価値はあるにゃ。

 だから私に任せないなさい。」

 

 

白音は下を向いた。

「なんで私は何もないの?

 悔しいよ。何も出来ない私が。

 宝刀にお姉ちゃんに助けられて力もない。

 もっと強くなりたいよ。」

そこから白音は泣き出した。

そっと黒歌は白音を抱きしめてなんで私たちはこんな状況になっているのかを恨むしかなかった。

 

 

次の日サーゼクスはやってきた。

「昨日はごめんね。

 今日はゆっくり話をしよう。」

 

 

「まずは助けていただきありがとうございました。

 本来であれば1番に伝えるべきでありましたが申し訳ございませんでした。まずは感謝を。」

黒歌と白音は頭を下げた。

 

 

「昨日も何度も言ったが罵られるならまだしも感謝される謂れはないよ。

 だが、感謝は受け取らせていただくよ。

 そこで、昨日は何を僕に願おうとしたのかい?」

サーゼクスは少し圧をかけた。

 

 

「はい。昨日はサーゼクス様が帰られた後に白音と話をしました。

 そして2人で決めたことを伝えさせて下さい。

 助けていただきながらまた願いを乞う事は心苦しいのですが私の家族を探していただきたいです。」

再び黒歌と白音は頭を下げる。

 

 

「それは魔王と知ってるとしての願いかい?」

サーゼクスは王としての姿でとう。

 

 

「はい。存じております。

 そして私は偽りたくなく正直申します。

 私は貴方を悪魔を信じていません。嫌いです。

 伊達に何年も追われ続けて居ませんからね。

 ですが貴方の慈愛を利用したく思います。

 私は貴方の眷属にでも何にでも利用してくださって大丈夫です。

 ですが、、、。

 白音と宝刀の身を貴方の存在で後ろ盾となって守っていただきたいのです。」

黒歌の顔は覚悟を決めた者だった。

自分はどうなっても良いと、もう無礼を通り過ぎた言葉を伝えたことはバカでもわかる。

魔王を利用すると伝えたのだ。でも嘘はつけない、ここで嘘をつけばいかこの嘘がいつか2人の首を絞めるとおもった。

 

 

「そうだね。私の肩書きがあれば白音ちゃんと宝刀くんと呼ばれる少年を守ることはできるよ。

 後ろ盾としては魔王は大きいからね。

 それで君は全てを僕に捧げるとそう言ったね?」

 

 

「はい。全てを御身に捧げます。」

 

 

「そうか。そこまでの覚悟かい。

 すまないね。試すよなことを言ってね。

 大丈夫だよ。何かするつもりはないから。

 よかったら君たちの大切な家族の少年について詳しく教えてくれないかい?」

 

サーゼクスは愛の片鱗を感じた。

美しいこの上ないな。

家族の為に命をかけて守る少年。

家族の為に身を捨てて守る姉。

家族の為に強さを願望する妹。

この少女たちなら任せてもいいかもしれないな。

 

 

黒歌は不思議と今のこの人になら話しても大丈夫だと思い宝刀の思い出を話す。

「私たちは悪魔に狙われ日本の森の中へ逃げながら生活していました。

 そしてある日その少年、宝刀と出会いました。

 彼は白音よりも幼く一人で山の中で山菜などを取りながは飢えをしないでいるところでした。

 そこから話を聞くと壮絶な人生でした。」

 

 

サーゼクスは驚いた。彼の少年はただの人間で白音よりも幼い中で飢えを凌ぐ為に森で食べ物を探してたなんて。

さらに黒歌は話を続ける。

 

 

「話を聞いたときは驚きましたよ。

 彼は一歳に親が事故にあいそこからある男の元で生活をしていましたが毎日虐待をされていました。

 あれは虐待を超えていたのかもしれません。

 体を見ましたが身体のどこもかしこも痣や火傷や切り傷だらけで傷がない箇所を探す方が難しい程でした。」

黒歌は泣きそうになりながら続ける。

 

 

「話しているときに私は怒ってしまったんです。

 そしたら彼が何と言ったかわかりますか?

 殴ってくださいと言ったんです。

 何も抵抗する事がなく当たり前のように顔を殴りやすいように近づけてくるんです。」

 

 

サーゼクスはここまでとは思わず顔を顰める。

人間も悪魔も非道なことをする種族だと。

そこまで心を壊した少年を哀れに思った。

 

 

「私たち二人は必ず宝刀を守ると誓いました。

 そこからは宝刀を交えて生活をして本当に片時も離れない生活をしていました。

 そして宝刀の神器が覚醒したんです。

 宝刀は私たちの状況から守る力が出来たと凄く喜んでいました。

 その日から毎日朝から晩まで闘う術を身につけていきました。」

 

 

「そうなんだね。

 宝刀くんにとっても二人にとってもお互い無くてはならない存在だね。」

 

 

「それだけの覚悟じゃないんですよ?宝刀は。

 彼は神器の中に精神世界があるようで寝ているときも修練をしていました。

 いつも最低でも何千回は死んでるそうです。

 首を斬られたり爆炎で殺されたり様々な形で殺されたそうです。

 でも彼は諦めなかった。いつも笑いながら私たちに言うんですよ?

 私たちの日常に幸せを送れるなら何も痛くも怖くもないって。

 宝刀を愛してやまないのは仕方ないですよ。

 幾千幾万の死を超えてもなお私たちが好きだから愛してくれたからと何度も血を流しながらも茨の道に自ら進んでいくんですから。

 本当に私たちにとって宝刀は大事なんです。」

 

 

サーゼクスは言葉が出なかった。

最初は何け強力な力に目覚めた子供が悪魔を退いた程度に認識していた自分に対して恥ずかしかった。

こんな話を聞いて熱くならないなんて無理だ。

白音よりも幼いひ弱な人間が毎日何千回も死ぬ経験をして心が死ぬ事なくただ二人の為にそこまで出来るのか?と。

 

 

「話してくれて本当にありがとう。

 そして謝罪をしたい。すまない。

 本当は二人のどちらかを僕の大切な妹の眷属にしてしまおうとズルい考えをしていた。

 だがそんなことできないな。

 君たちは今日からずっと我が家にいてほしい。

 それは宝刀という少年の2人に対する愛を2人を守り抜く覚悟を聞いたからかもしれない。

 ここまで守ったことに感化されない僕じゃない。

 君たちをサーゼクス・ルシファーの名の元で後ろ盾になることを宣言する。

 だからもう不安に駆られることはないからね。

 それと宝刀くんの捜索は必ず行うことを誓う。」

サーゼクスは優しい優しい顔で二人を見つめる。

黒歌と白音は涙を流しながらありがとうございますと言った。

 

 

少し落ち着いた時に白音はサーゼクスに初めて言葉を発した。

 

 

「サーゼクス様。ありがとうございます。

 本当にありがとうございます。

 お一つ提案があります。

 私をよろしけれぼですが、妹様の眷属にしてはいただけませんか?」

 

 

その言葉に黒歌が驚いた。

まさか白音がそんなことを言うとは思わなかった。

 

 

「良いのかい?私としては嬉しいけど。

 眷属にならなくてもちゃんと後ろ盾にはなるし生活に不便を感じないようにするよ?」

 

 

「はい。これは私の覚悟です。

 私は何も出来ませんでした。

 守られるだけでした。それがなによりも悔しい。

 だから貴方様の妹様もお守りしますので私にも守れる力を教えてください。」

白音からは並々ならぬ意志を感じた。

黒歌は何も言えない。これは白音が決めたことだから。

 

 

「わかった。また妹も交えて話をしよう。

 今日はありがとう。

 また来るね。では今日はお休み。」

 

 

サーゼクスは自室へ戻ってきた。

まさかこんな気持ちになるとは思わず、少し笑顔になってしまう。

ここまで心が動かされるのは本当に久しぶりだな。

宝刀という存在が僕の心を熱くしてやまない。

 

 

「サーゼクス様、どうしたのですか?

 とても嬉しそうですか?」

妻リーフィアの双子の妹である我が屋敷のメイドであるグレイフィアがそう言ってきた。

サーゼクスは今日二人から聞いた少年の話と少女たちの意志を伝えた。

 

 

「こんな気持ちを教えられたら敵わないよ。

 本当に会ってみたいよ。宝刀くんに。

 そして敬意を表したいほどにね。」

サーゼクスにここまで思わせる宝刀という少年に少し羨望してまうグレイフィアだったがさっきの話を聞く限り私も少年には会ってみたいと思う。

それほどまでの偉業を成し遂げたのだ。

10歳に満たないかもしれなち少年が一人で上級悪意と眷属を惨殺した。

でもそれは二人をただ幸せな日常を送ってもらいという子供の願い。

願いの為に毎日何千回も死を経験する一途さ。 

だがそこに至るまでの少年の人生を考えると愛されたいという欲望が強くなることも然り。

 

 

「私もあって話してみたいです。

 そして抱きしめてあげたいものです。

 貴方の味方は他にも居ると、私は貴方の傷を埋めてあげたいと。

 そう伝えてあげたいものです。」

 

 

「グレイフィアがそんなこと言うなんてね。

 リーフィアに伝えないとね。

 グレイフィアに気になる男が出来たって。」

 

 

 

 

 

そう笑うサーゼクスはまだ知らなかった。

少年の世界はそんなに甘くないことを。

 

 





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