美容院から完成度高いイメチェンが完了して再び二人に連れられながら旅館へと戻った。
帰る途中で「部屋に帰ったら楽しみにしててね?」と言われたけど何かあるのだろうか?少しワクワクします。
旅館に帰ると旅館で働いてるが凄く驚いていた。
それはそうだろう。髪で顔が見えない子供が帰ってきたら女の子みたいな髪型になって帰ってくるんだから。
特に男性からの視線が強い。何度か他のお客さんに話しかけられたけど気持ち悪くて無視した。
彼らは汚かった頃の僕を化け物を見てるように避けてたし、そもそも僕は男だし。それを真顔で伝えると大勢の男が膝から崩れ落ちる。
それを見た黒歌はゲラゲラ笑い白音は崩れ落ちた人たちをゴミでも見るかのように蔑んでる。
僕は崩れ落ちる人に何も思わないし基本的に2人だけに愛想を振りまきたい。
部屋に戻ると色んな人から声を掛けららる事が精神的に響いたみたいで椅子に座り休息する。
まったりしていると突然、白音から目を閉じるように指示をされ言う通りに目を閉じた。
お楽しみの発表だから目を開けていいって言うまで見ちゃダメと言葉を残して近くにあった足音が遠のいていく。
やばい。眠くてうつらうつらしてしまう。
強敵な眠気と格闘していると声が掛けられた。
声のする方へ向けると僕の眠気は消し飛んだ。
──着物姿の黒歌と白音。
黒歌は黒色の着物を、白音は白色の着物。
髪の色と同じ着物がこんなにも映えるとは。
流石は天使の二人!!
心の声が漏れてしまい「天使です。」と言ったら2人とも顔を真っ赤にした。
そんな二人も堪らなく可愛い。
さっきまでの疲れも吹き飛んでしまうほど僕は二人は魅力に取り憑かれてしまった。
ふと、黒歌の手に灰色の着物があることに気づく。
「服がボロボロだからプレゼントしたくて。
白音と考えて私たちと同じ着物にしてみたにゃ!
三人で着物のお揃いみたいだし。
私達の半分この灰色を凄く気に入ってたから
ど、どうかにゃん?」
サプライズに気分上々で話していたが呆然した宝刀を見て不安になって声が尻すぼみなっていく。
こんなの嬉しくないわけがない。
一目見ただけで着物知識がなくても分かる程に着物から気品の良さが窺える。
「あの?着てみてもいいですか?」
着物の着付けなどに縁もゆかりもない為、黒歌に着せてもらう。
僕は驚いた。着物は動きが損なわれるイメージであったが想定よりとても動きやすく着心地も抜群。
初めて着物を着たことでちょこちょこ動き回る宝刀は簡潔に言えば美少女?だった。
以前は髪で顔を隠し不気味な存在だったが、今では幼さと儚げな雰囲気を振り撒いている。
髪を切ったことで綺麗な顔立ちが露わとなり、無表情からくるミステリアスさもちょっとした行動や言葉で変わるレアな表情。
これが二人にとっては堪らなかった。
そこに日本人に似合う着物ときた。
2人からすれば猫にマタタビくらいの威力。
萌え死にしそうな二人に無邪気な魔の手が迫る。
嬉しすぎて我慢できずにたまらずに抱き着く。
「ありがとうございます。
僕の為に選んでくれたんですよね?
嬉しいよ。嬉しすぎますよ!!」
上目遣いで見つめて頭をぐりぐり押し付ける。
宝刀の攻撃 「上目遣い」が発動
黒歌と白音の防御力が著しく下がった。
宝刀の攻撃 「グリグリ」が発動
黒歌と白音には効果抜群だ。
5000のダメージを受けた。
黒歌と白音は鼻血をだした。
二人を落ち着かせる為にお茶を淹れゆっくりと飲んでいく。これから僕の秘密を話すのだから出来ればちゃんとした空気で話していきたい。
落ち着いたことを掴んで僕は真夜中に起きた不思議な出来事をゆっくり話し始める。
まずは、大まかに刀を格納し取り出すことが出来るビックリ人間になりこの刀が僕の神器であると伝えた。
二人が反応するが話すことはあるので続ける。
自分の持つ神器の中には精神世界たる物があり、自分を平子と称する人間が居て様々な僕の知らないことを教えてくれたことを伝える。
その物事には今の世に悪魔・天使・堕天使が存在し其々が身勝手で危うい為に警戒すること、黒歌と白音が妖怪だと教わった。
そして今、一番重要なこと。
僕の持つ神器と妖怪である二人を狙う存在が必ず現れるのでそれまでに自らを守れる力を得なくてはならないから僕は二人を守りたい事を伝えた。
早足ではあるが自分の知った事実を隠す事なく二人へ伝え反応を待った。念のため刀を出したり収めたりする。
私達は驚いた。まさか神器を宿してるなんて。
それに平子?と精神世界というワード。
本来であれば神器と会話をすることは愚か精神世界なんて存在しない。
あるとすれば二天龍や邪龍など大昔に封印されたドラゴンを宿す神器なら分かる。が、ドラゴンでもない人間が居るなんて、、。
昨日まで宝刀は何も知らない少年だった。
だがどうだ?今は三大勢力の存在、自分たちが妖怪であることも理解している。
それに私達を狙う存在かぁ。
う〜ん。なんて運命なんだろう。
「宝刀話してくれてありがとにゃ。
話すことへの勇気もあったと思う。
いきなり刀を取り出せるようになるなんて自分が人間か不安になったよね?怖かったよね?
だから私たちもより詳しく話すにゃ。
それと私たちからの大切な話も伝える。」
黒歌と白音はゆっくり話す。
自分たちは宝刀の言う通り妖怪。
猫又の中でも仙術と呼ばれる妖術を扱える最も強力な種族の猫魈であること。
黒歌はその力に目覚めて完璧ではないがある程度の力を扱えること。
自分たちは冥界で家族4人で過ごしていたが突然日常が崩壊して悪魔から無理やり眷属にさせられそうになっていること。
「つまり私たちは人間じゃない。
妖怪の化け物にゃ。追われ者にゃ。」
一呼吸置く。
黒歌と白音は覚悟を決めた顔で話す。
「ここからが私たちの大切な話。」
「当初私は宝刀を始末する予定だった。
でもね、話をしたり一緒に居ることで白音も私もあなたを救いたいと思ったにゃん。
最初は憐れんだだけかもしれない。
可哀そうだから、傷ついてたから。
でもたった2日で貴方が心から大切になった。
ほんと可笑しいんだけどね。
私も2日でこんな気持ちになるなんて。
白音と同じくらい金銀財宝よりも何よりも大切な存在にね。
これは紛れもない本心にゃん。信じて。」
「だからね宝刀にはね、
もっと笑っていて欲しい。
もっと甘えてきて欲しい。
もっと世界を見て欲しい。
もっと幸せになって欲しい。
ずっと、ずっと私達と一緒にいて欲しい」
「化け物だし。料理出来ないし。お金ないし。追われてるし。何もかもがないない尽くしだけど!!
でもね何もない私たちだけどね。
愛だけは、私たちの愛だけはあなたにたくさん贈ることが出来るの。
だからさ、、宝刀。
私たち化け物の家族になりませんか?」
僕も本心を伝える。
「僕は昨日から世界が変わったんですよ。
本当に木っ端微塵に崩れたんです。
味が分かりました。匂いがしました。
温かさを感じました。世界に色がありた。
色んな音が聞こえました。
そして無いと思ってた感情がありました。
黒歌さんと白音さんが居てくれたから。
初めて抱きしめて貰えたんです。
夢だったんです。ずっと願ってたんですよ。
守ってくれた人もいつの間にか暴力を振るい痛かった。だから人に疑心しかないし、もう僕に誰も手を差し伸べてくれないと思ってました。
だから嬉しかった。たったそれだけ?って思うかもしれないけど、
どれだけ嬉しかったか分かりますか?
2人から色んな感情が流れてきました。
そこに僕に対する嫌な感情がなかった。
あぁ、これが愛情なんだって生まれて初めて感じとることができました。」
宝刀はボロボロ涙を流し、声を震わせた。
「2人と食べるご飯が好き。
2人からする匂いが好き。
2人の抱きしめてくれた温かさが好き。
2人の顔や目の色、髪好き。
2人のドクドクッって心臓の音が好き。
2人に抱くこの感情が好き。
僕も黒歌と白音が大事なんだよ。
僕の命より他の何よりも大事なんだ。
黒歌、白音ありがとう。2人が大好き。
こんな僕だけど2人の家族にして下さい。」
黒歌は「私も大好きにゃ!家族にゃ!やったにゃ!!家族っ家族っ!」と顔をぐしゃぐしゃに鼻水を垂らす。
白音は「私も大好き 幸せにするから私たちのことも幸せにしてね」
と泣いた顔を見られたくないのか手で覆っていた。
なんとなく品の良さが一目瞭然。
最後は締まらなかったけど僕達は仲良く3人で泣き腫らし自然と抱きしめあった。
お互い思いの丈をぶつけ合ったことにより3人の心の距離はメジャーの巻き戻しくらいのスピードで縮まり主に黒歌と白音が宝刀を甘やかす行為として表れた。
宝刀も宝刀で今までの人に甘えることができなかった分、甘やかされたくてうずうずする。
先に行動を移したのは黒歌で宝刀を呼び自分の膝の上に座らせる。
宝刀が髪を切っていた間に黒歌と白音はお菓子なども買っていたみたいでお菓子を宝刀の口に向けて所謂、あ〜んをするがどちらかというと餌付けしてるみたいになっている。
もぐもぐと口に運ばれてるお菓子を食べる。
もぐもぐ姿が可愛くて黒歌の顔は蕩けた。
白音はまたも先を越されむぅと唸る。
ハッと気づいた!宝刀の顔に付く食べかす。
「宝刀 こっち向て」と顔を向けさせてジッとさせると口元を拭いてあげる。くすぐったそうにする宝刀を見て白音は顔をとろけさせた。
甘やかされ中の宝刀は思考回路が働かないながら
「あの?お金今日だけで凄く使ってますけど大丈夫なんですか?」と聞いた。
「あ~それなら心配ないにゃ!
悪さしてたはぐれ悪魔から追剥したものだから」
あいつら結構お金持ってたし貴金属もあってウハウハにゃ!とあっけらかんと答える。
「毎日旅館に泊まるとかは無理。
でも私達の当分お金の心配ない」
と白音も言ってるから大丈夫と判断する。
スルリと黒歌から宝刀を奪いとった白音は勝ち誇った顔をして宝刀に座るように指示をしてその膝の上に座る。
黒歌は妹の行動に頬をピクピクさせなぎら我慢をする。私は姉だから我慢できる子だと。
宝刀は自分の上に座る白音の頭を撫でながら襲ったことで悪魔たちからバレたりしないのか?と聞くと認識阻害の仙術掛けてるから問題ないとのことだった。
「あの?これからの予定は?」
「実は森の中に住んでる廃屋があるにゃ
お金も手に入ったし必要なもの買って数か月くらい過ごしながら修行にゃ!!」
「あの、黒歌さんがよかったら僕にも修行付けてもらえないですか?本当は2人には戦ってほしくないんですが今の僕では力がない。
斬れる刀があっても使う者がへなちょこじゃこの刀にも申し訳ないですし。」
「うん。わかったにゃ!
期待してるよ?王子様〜。
私が気配の消し方と気の使い方。
白音が武術とかでいいにゃ?」
「うん。みっちり身体に教える」
白音は宝刀の上に居ることを上手く使い、二人羽織の要領で宝刀の腕を取りシャドーボクシングの真似をして包まれる感覚を味わっていた。
「ありがとうございます!
僕が守りますよ。お姫様方。」
宝刀は手をギュッと握りしめた。
今後の予定を決めて話し込んでいるとすでに外は真っ暗になっていた。
寝る前に布団は三人が密着出来るように隙間がないように三枚敷く。
歯磨きもどちらが宝刀の歯を磨くかで言い合い、最終的にじゃんけんをしていた。
勝者は黒歌だけどさすがに歯磨きは出来るのに。と苦笑いしつつも甘えたくて仕方ない宝刀は黒歌の膝の上に座り歯を磨いてもらう。
歯を磨かれながら思い出してた。
──猫耳の確認してなくないか?
猫耳が気になって宝刀はソワソワする。
歯を磨き終わりまだ寝るには早い為、雑談をしていた二人に覚悟を決めてお願いする。
「あのっ!2人は猫耳ありますか!?」
突然の大きな声で2人はビクッとする。
内容を理解した2人は悪い顔をしてニヤニヤしながら猫耳と尻尾をだす。
「あの触ってもいいですか?」
触りたくてウズウズしてる宝刀。
「猫妖怪にとって猫耳っ」
猫妖怪にとって猫耳や尻尾を触らせることの重要性を教えようと講釈たれる前に白音が宝刀の膝の上に座って猫耳と尻尾を差し出した。
「最後まで言わせるにゃ」とプンプンおこる黒歌。
白音からすれば姉に先を越され続けてること、さっきも歯磨きも負けてることが気に食わなくてヤケになっている。
確かに猫妖怪にとって猫耳や特に尻尾を触られることはとても重要なことだ。結婚相手にしか触らせることを良しとしない者もいる。
まぁ性感帯な一面もあることが大部分を占めるのだけど、、。
まだ幼い白音からすればそんな色恋の機微はわからない為に大切な家族の宝刀なら問題なしと判断してしまう。
宝刀は自分の思うがままに触ることはせずゆっくりとまずは左の猫耳を優しく触る。めちゃくちゃ触り心地がいい。
ヤバ!これは沼だ。底沼だ。
そこからは止まらない!耳の付け根、耳介、ときに猫耳の先端をちょっと引っ張ったりする。同じように右耳、そして両耳を同時に。
ふにゃあふにぁ聞こえるが無視。
次は尻尾に手を出す。尻尾もヤバ。
何がヤバイってヤバイとしか言えない。
撫でたり時に掴んだりする。そして未知の尻尾に目をつけて付け根に手を出す。
初めての凄まじい感覚が白音の身体に駆け巡り一段大きな声でにぁ〜と鳴いて気を失った。
人に見せられない顔をしてたとだけ伝える。
もふもふの気持ちよさに取り憑かれてテンションが上がってしまった宝刀は白音を気にすることなく次は黒歌に目を向ける。
ヤバイ顔をした白音を見て黒歌も自分ヤバイと感じたのか、せめて乙女の情けない顔は見せたくない一心で「猫になるのでこれで勘弁して下さい」と黒猫になった。
猫耳モードに触れないのは残念だが猫に触れる機会がなかった宝刀は特に気にすることなく、なんなら猫の方が触れる場所が増えると喜んで触り出す。
白音と同様に耳を触り、尻尾を触る。
白音と同じように、にゃあにゃあ鳴いていたが僕は聞こえないふりで無視。
そこから頭を撫でたり顎を撫で、肉球もモミモミして最後にお腹に顔を埋めてグリグリする。お腹はお日様の匂いがした。
これを何度も繰り返すと黒歌もビクンビクンしてノックアウトした。
冷静となり2人を見た宝刀は猛烈に後悔した。テンション上がり過ぎてやり過ぎたと。
どう贖罪をすればいいか許してくれるか考えるが何も浮かばない。
嫌われたかもと考えると泣きそうになる。
感情を取り戻したことで黒歌と白音に対してだけは豆腐メンタルになってる宝刀。
ひとまず2人をこのままにしてはいけないのでゆっくりと布団に寝かせいつでも土下座出来る様に待機をして復活するのを待つ。
幾分か経ったら2人は目を覚まし、それを確認した瞬間に名前由来の伝家の宝刀で土下座をする。
行動の素早さ綺麗過ぎる完璧な土下座をされたことで怒るに怒らなくなった2人はせめてもの罰としてずっと気になっていた敬語を自分たちには使わないようにすることを贖罪とした。
3人一緒で布団に入り、宝刀は若干猫耳に未練があるのか白音の猫耳があった場所をジッと見つめる。その目線に気づいた白音は思い出して顔が真っ赤になった。
「もぅ宝刀のえっち あの触り方はダメ
私もう猫耳にならない。
他の猫にもしちゃダメ絶対 私が嫉妬する」
まさかのお触り禁止令に絶望する宝刀。
物凄く悲しい顔をした宝刀に慌てる白音。
「で、でもまた触らしてあげる
宝刀が頑張ったら触らしてあげるから ね?」
早く強くなることを決意した宝刀であった。
宝刀はなかなか寝付けなかった。
これが日常なら堪らなく好きだ。
今日の出来事を思い出してクスクス笑う。
寝静まった布団の中で宝刀は思い出した。
何度もこの言葉に励まされた。
いつか愛して貰える人を見つける為に生きようと決意したか。
読み込んだ本のあるキャラクターの言葉。
「何か素敵なことが起きるって信じるのさ。
いいときも、悪いときも、
絶対に1日を当たり前だと思ってはいけない。
笑って、小さなことを大切にするんだ。
そして、本当に愛する人を
ハグすることを忘れちゃいけない。
----- SNOOPY -----」
「2人の側に僕が居ることが叶わなくなっても
2人にはどうか幸《さち》ある未来を。」
そう締めくくり宝刀は眠りについた。
8月14日二話更新を予定しています。
8月14日朝の4:00と5:00に第五話と第六話を投稿します。
よかったらご覧下さい。
今話もご覧いただきありがとうございます。
面白いと思っていただけた方。これからに期待と思っていただけた方。
よろしかったら高評価いただけたら嬉しいです。どうぞよしなに。
作者のやる気スイッチが起動します。