ようこそ 逆さまの世界へ   作:User3580

6 / 24

ちょうど平子さんの司る「五」と今話の第五話が一緒なことに気付いて嬉しい作者です。

ちなみに今日は二話更新です。
1時間後に投稿予約しています。


第五話 最近泣いてばかりじゃないですか?

 

朝起きると両手が動かせないことに気づく。

両腕を見ると左腕は黒歌が右腕は白音がギュッと抱きしめていた。

僕は昨日のことを思い出して2人をギュッと抱きしめた。

 

やっぱり朝から2人がいることが居てくれることが嬉しい。

2人を起こして布団を片付けて朝ごはんを食べる。

 

今日は白音が食べさせてくれた。なんか白音が僕の膝の上に座るまでのスピードがおかしかった気がする。

少し白音は食べたりなさそうだったので自分の朝ごはんを少し分けながら今日のやることを話し合う。

 

日常用品を買うこと、廃屋へ向かうこと、現状の宝刀の力を確認することが決定する。

 

 

歯を磨いて朝からお風呂に入り身体を綺麗にする。

2人の姿を見て今日も「やっぱり綺麗」と言うと2人が顔を赤らめて恥ずかしがる。純粋に可愛い天使と思った。

前回と同じように黒歌が髪を身体は白音に洗ってもらい気持ちいいので自然と時折漏れる宝刀の声に2人は顔をとろけさせながらお風呂に入る。

 

ドライヤーで髪を乾かしてもらい旅館のチェックアウトの時間となりそのまま買い物をして森にある廃屋へ向かう。

 

 

廃屋に無事到着してこれから過ごす家を見るが思ったよりも綺麗だった。

それを指摘すると今までもここで過ごすことがあったので何度か改修していることを教えてくれた。

基本的に生活する分には何も問題が無いほど家具や道具が揃っていて近くにそのまま飲めるほど綺麗な川があること。

しかもなんと近くには天然の温泉もあるとのことで何も問題ないようで完璧な別荘みたいであった。

 

買ってきたものを置いてさっそく宝刀の実力というより神器の性能をチェックする。

おいでと呟き刀を取り出す。鞘から刀を抜き刀身を見て黒と白の刀に愛おしさを感じながら何度か振る。

 

もっと近くで見たいとのことで2人に刀を渡す。

 

「凄く綺麗にゃ!  これ凄い力を感じる。

 神器の中でも凄い方かも。

 一眼見てわかるけど業物にゃ」

 

「うん。凄く綺麗 なんでも斬れそう」

 

 

2人から愛刀を絶賛されて嬉しくなった宝刀は

「この刀は黒歌と白音みたいで好きなんだ。

 見てよ!この刀身。

 この黒歌の髪みたいな呂色。

 そしてこっちの白音の髪みたいな白練色。

 黒歌と白音が近くに居るみたいでしょ!

 僕ね、初めて見た時からこの刀が好きになったんだ。

 呂色とか白練って難しい言葉は平子さんが教えてくれたんだ。」

敬語を禁止令もとい贖罪として子供らしく喋る宝刀は笑顔と髪型と着物が相まって大変可愛らしく黒歌と白音は顔を真っ赤にする。

 

 

宝刀は刀を返してもらい大木に向かって刀を構える。

呼吸を整えて意識を切り替える。「ハッ」と横に振るう。

すると大木は綺麗な切り口を残して倒れる。

 

「これは凄いにゃ。昔見たことある妖刀みたい。

 宝刀の筋もいいのもあるけどこれが神器か。」

2人とも目を開いてただ驚く。刀の斬れ味もそうだが昨日数日前に初めてにしては宝刀の振るう姿が様になっていたことにも驚く。

 

 

黒歌の得意とする気などの仙術は追々として

そのあと白音から身体の動きを手取り足取りちょっと手つきがいやらしかったが教えてもらった。集中しすぎて気がつけば夕方になっていたので汗を拭いて買った食材を用いて料理を作る。

廃屋は相当昔のもので米や焼くものなどかまどを使用するみたいだ。

 

 

ちょっと慣れない道具ばかりでいつもより時間がかかったが2人とも美味しそうに食べてくれたので問題はなかった。

身体を洗う為に天然の森の温泉へ向かう。温泉で2人に洗ってもらい、寝る準備を済ませて3人で大きな布団で眠る。

 

 

 

はてさてやってきたぞ白黒世界。

今日から修行するために意識を神器に向けて平子さんに会いにいく。

 

既に平子さんは待っていてくれたみたいで、

「今晩は。平子さん!見てください! 

 この髪型って平子さんみたいで良くないですか?」

と宝刀は少しはしゃぎながら近寄る。

 

 

「ええこと言うやんか宝刀。自分オシャレ仲間やな!

 いつか舌ピも揃えよや〜! 

 それと着物やめっさ似合っとるで」

さりげなく舌ピ仲間を増やそうとする平子。

 

「ありがとうございます。 

 それって舌ピって言うんですね。

 僕も真似してみようかな。あと2人にも。

 あっ、着物は2人がくれたんです。」

地味に宝刀も2人を道連れにする。

 

そんな日常会話のやりとりをしてお互い本題に入る。

宝刀はこれから修行をして欲しいこと。

平子は始まる前に何個か言うことがあると伝える。

 

 

「まず忠告や。

 宝刀は前に力が欲しいと言ったな。

 せやけど力は甘いもんちゃうで、人を殺めるゆうことは業を背負うことや。 

 せやから人はおかしゅうなっていく。 

 それでも背負うんやったら

 

 己が事を為すことそれ憧憬ならば

 常住坐臥とて忘失すべからず。

 これは覚えとき。先人からの教訓や」

 

ただただ重い言葉だった。

 

「その覚悟は出来てます。

 僕は2人のためなら背負います。」

 

宝刀はそう応えるしか選択肢がなかった。

 

 

平子が着ていた服はいつのまにか変わる。

その姿を見てカッコいいとしかいえなかった。

くるぶしまで覆う上下黒の袴に白帯。

そして何より目立つ白い羽織を身に纏っていた。

白い羽織の背中部分に大きなひし形があり、その中に大きく「五」と漢数字が記されていた。

服が変わっただけで平子からとてつもない圧を感じる。

 

 

「その姿とてもカッコいいですね。

 その白い羽衣の数字の五はなんです?」

思ったことを口にする。

 

 

「この羽織はな。カッコええやろ?

 でもなただの羽織ちゃうねん。

 これには色んな者の想い・覚悟・後悔が詰まっとる。」

平子は少し寂しそうだった。顔をあげて続ける。

 

 

「せやから宝刀が気に入ったならいつかやるわ。

 俺が宝刀に着てほしいんやけどな。

 俺の意思も含めて背負って欲しいわ。」

 

そう平子は笑う。

宝刀は期待に応える為に宣言する。

 

「僕は何もあなたに返せません。

 何も差し出せないのが悔しいです。

 だからあなたの想いを、意志を受け継ぎます。」

 

 

平子は宝刀の覚悟をみて顔を引き締める。

「そんなら世間話は終いや。じゃあ初めるで。」と言った。

 

「まずは俺はお前を斬る。

 ここで死んでも現実には影響せんから安心し。

 良かったな実践経験やからいくらでも俺の力を盗めるで。

 

 せやけど気いつけや。現実と同じで痛みはある。 

 そんで死ぬ度に心がすり減る。

 めちゃくちゃ辛いで。なんたって魂が傷つくんやからな」

 

一呼吸置いて続ける。

「宝刀の要望通り容赦情けはせん。

 ほんまに殺していく、何度もな。

 ちなみに自分と俺の実力は蟻と象や、

 差がありすぎて絶望せんと耐えられるとええな。

 まぁほんまに無理そうならやめるわ、

 じゃあ始まるで。」

 

 

そういうと平子は宝刀の後ろにいた。

宝刀の腕が無くなっていた。

驚くと同時に痛みで顔を顰める。

 

 

「なにぼさっとしとんねん。言うたやろ殺すって

 自分何してんねん。 あんだけ大口叩いといて

 口だけの男やったんか?

 今から斬るなんて言って貰えると思うとん?

 甘いわボケが。」

死んだら身体は治るから一回死にぃ。そして宝刀の首が飛んだ。

 

 

宝刀は意識が戻る。

立ち上がって周りを見る。

「起きたか」声する方に向くとまた首が飛んだ。

 

 

起きては首を斬られることを数回繰り返す。

何度も斬られることで平子は的確に自分の見えないところから強襲をしていることだけ理解する。

ならばと、斬られて起きる瞬間に周囲を警戒、即行動して予想で攻撃を避ける。

初めて起床からの首切りを逃れることができた。すごく嬉しくない。

 

 

「やっと警戒できるようになったか。

 まずは何より生き残り方を教える。

 刀の扱いよりまずは死なんことが大事や。

 いわゆる危険を感じる第六感やな」

 

 

どんどん行くで!とこちらへ向かってくる。

宝刀からすれば目でギリギリ追えない速度だ。

多分意図してのスピードだけに質が悪い。

 

 

それから何度斬り殺されたろうか?

避けようにも避ける前に斬られる。斬り返そうにも少しスピードを上げて先に斬られる。

スピードに慣れたと思ったら緩急をつけて行動を狂わせてくる。

数えるのをやめるくらい殺された。

 

改めて平子の実力に脱帽する。

平子の速度とフェイクの使い方が凄すぎる。

これが僕にも出来るのか?と不安になる。

これがさっき言っていた実力の差に対する絶望か。

まだまだ平子は遊び感覚だろうしこれは堪えるな。

 

でもその差があることは嬉しいと感じる。

なんせ明確に目標と定める人が側に居てくれるから。

 

 

 

宝刀はもう一度意識を切り替えると次の行動を思考する。

何度も斬られたおかげで平子のもつ刀のリーチは分かる。

ふと降りてきた一瞬の閃きに賭けて即実行に移す。

 

平子が再び斬りかかる。

この瞬間に刀を持っている右腕を犠牲にして攻撃に耐える。

ザンっと右腕が飛んだ瞬間刀を収納する。

まさかの行動に怯んでいる隙に左手に刀を再び出現させて平子に一太刀をお見舞いする。

作戦の成功にやった!これで一歩前進だ!

と思ったが、平子に普通に防がれて腹を蹴られた。

そのまま一刀両断されてしまった。悔しいです。

 

 

平子は対応の早さに驚く。

「もう対応するんのかいな。見た感じ意識を切り替えとるな。

 並列思考のタイプかいな、ますますええな。

 右腕を犠牲にする冷酷さと痛みを無視する胆力か。

 

 でもまだまだや。斬り返す一瞬気ぃ緩めたやろ?

 甘ちゃんな考えで殺せると思うとんか?

 命の賭けあいや。気だけは絶対に緩めるな」

 

褒められながらも叱られた。

飴と鞭がうまいと感じる宝刀。

「ありがとうございます。

 分かりました気をつけます。」

そう言って左からの平子の攻撃を避ける

 

 

「これで食らったったら見込みなしやったで

 喋りながらも気は抜いてへんし合格や」

なんともバイオレンスな試験判定なんだろう?失敗は死って!確かに死なないが痛いのは痛い。

 

「さすがに警戒しますよ。

 ほんとにくるとは思ってませんでしたが」

宝刀は斬りかかるがスルリと避けられる。一回くらい当たって欲しい。

 

 

「じゃあ次はもっと卑劣に行くで! 

 気配を読めんといつの間にか首飛ぶで」

 

 

「ち、ちょっと待ってください。休憩を」言い終わる前に背後から斬られる。

警戒をしていたためなんとか首が飛ぶことはなかったが肩からざっくり斬られて致命傷となる。

 

 

致命傷だし死んで復活すればいいかと甘いことを考えてしまう。が自分に喝をいれる。

思考を止めるな!今だ!今この一回の生で必ず何かを見出せ!

多分だけどここで死を軽んじたらもう二度と掴むことができなくなる。

思考がより深く鋭くなっていくことを感じる。

この生と死の境目でこそ得れるものがある。気配を感じろ。見極めろ。

 

 

冷静に心を落ち着かせ脳をフルスピードで動かす。

さっきのは明らかにおかしかった。今までの見える速度とか見えない速度とかのレベルじゃなかった。

 

またもいつの間には平子が左側に居て腕を斬りつけられる。

やはり明らかにおかしい。さっきまでは地の力で、今は別の何かを使っているような気がする。

別の何かの力であると認識すると

平子が消える瞬間と出てくる瞬間に何か圧?というか不思議な感覚がほんの僅かに感じとれた。

 

多分これだ!この圧?を一瞬爆発的に出して移動してる。

理解出来たがまだ対応するまではいかずまた斬られる。

ヤバい意識がほとんどなくなる。倒れる刹那にまた圧を感じる。

斜め左からその感覚がしたため最後の力を振り絞ってその場所へ刀を振るう。

キンっと刀と刀がぶつかり合う音が聞こえる。

だがそこから次がこないので平子をみるとすごい驚いた顔をしていた。

 

 

「あかんわ自分。ほんまに人間ですか?

 これは予想外過ぎやろ。予定変更」

 

 

少し休むでと言われながらも、力尽きてしまって宝刀は倒れた。

「なんや自分カッコつかんな」と聞こえた。

 

再び身体ぎ直ったので平子と向かい合う。

 

 

「宝刀。前俺に言うたよな。

 威光、才気、賊心が欲しいって。」

 

「そうですね。これがないと2人を守らないと思いました」

 

「でも大体才能ゆうのを手にするには

 持って生まれたもんが由来する。

 でもな宝刀なら大丈夫や

 普通のやつなら3回くらい死んだら心折れるで?

 でも既に50回以上は軽く死んどる。

 でもまだまだ大丈夫そうやしその気概はほんまバケモンやな。

 人と違うもん持っとる。」

平子は続けて語りかける。

 

 

「さっきまでの間、意識切り替えた瞬間から雰囲気が変わってるの気いついとるか?

 敵さんから見たら恐ろしいで。畏れを抱かるほどの威光がある。

 

 今日だけで俺の攻撃を不意打ちを躱し、瞬歩にも気づいた

 これはほんまに驚いた。初めて瞬歩みて攻略するんやで

 超速乾スポンジの吸収力として才気があるわ!

 

 そんで最後に

 死すら怯えることなく糧にしてかつ命の重みを軽んじることがない

 何もない自分を反逆しようとする賊心がある。」

もう全部持っとるやないかと優しい顔で言った。

 

 

宝刀はボロボロ涙を流した。

「実は不安だったんです。確かに命をかけます。

 痛みと悪意は表裏一体の親戚だからそこはいいです。

 でも実力が伴わないとただの蛮勇になるから。

 才がないと2人を守れないから。

 多分2人は僕を庇うから。

 2人の枷にだけはなりたくなかったから。

 だからあなたに認められたことが嬉しい。 

 そして愛刀をこれからも握れることが嬉しい。」

 

泣きじゃくる宝刀に呆れながら

「ほんま最近泣きすぎやろ 男なんやからそない泣くなや

 こんなんなら宝刀に羽織を渡すんが不安なるわ」

少し揶揄しながら宝刀の頭をぐしゃぐしゃ撫でる。

 

ある程度宝刀を落ち着かせ、そろそろ朝になる

平子は現実でも鍛錬として素振りできるように刀の基本的な振り方を宝刀に伝えた。

 

「ええか宝刀。 刀の振り方を教えたる

 まずは型通りに現実でも鍛錬しぃや」

 

平子から構え方、手、脇、腰、足など全ての動きを丁寧に教えてもらう。

速乾性スポンジクオリティーで何度か動きを真似、そこから注意点を聞くだけで様になりこれならOKの許可がでた為今日はお開きとなった。

宝刀は何度も何度も頭を下げて感謝を述べながら現実へ帰っていった。

 

はぁと平子はため息をつく。

 

「ほんま予想外やな。もしかしたら、、

 数ヶ月後にはお前の名を告げるかもな

 そんなことになるならほんまに偉業やで。

 そん時ならこの羽織を譲るのもええやろ」

 

ひとりで刀に呟く平子がいた。

 

 





機械仕掛けのマキナさん 誤字チェックありがとうございます!、
大変助かっております!!

己が事を為すことそれ憧憬ならば
常住坐臥とて忘失すべからず。

作者の造語で意味は簡単に言えば
自分がしたい事が憧れならばいついかなる時でも絶対に忘れずにいなさい。

今話もご覧いただきありがとうございます。
面白いと思っていただけた方。これからに期待と思っていただけた方。
よろしかったら高評価いただけたら嬉しいです。どうぞよしなに。

作者のやる気スイッチが起動します。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。