カムラの鬼神   作:砂岩改(やや復活)

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第3話

 

 疾風迅雷、速い風と激しい雷という意味らしいがまさにナルガクルガにぴったりな四字熟語だろう。

 迅竜ナルガクルガにいる大社跡のテントに着くと持ってきた里守護ノ双刃を念入りに点検する。

 そして腰にはハモンさんが作ってくれた特注の翔虫籠により常に翔虫が三匹常駐してくれるという優れものだ。

 

「よし、行こうか」

 

「復帰戦だニャ!」

 

「ワオォーン!」

 

 気合い充分な三人はテントの設置された場所から崖を飛び降りる。

 翔虫で減速しつつナガトの背に乗り込みムツは自身の肩に着地する。そして慎重かつ大胆に移動すると近くに漆黒の毛に覆われた巨体を見つける。

 

「見つけたニャ!」

 

「しっ!」

 

 さほど大きくないムツの声を抑えたがその声は離れた場所にいたナルガクルガの耳に届き周囲を見渡すとこちらを真っ直ぐ見つめてくる。

 

「ガァァァァ!」

 

「見つかった、手はず通りに!」

 

 ナルガクルガはモンスターの中でも聴力が非常に優れている。なので視界に入るほどの距離なら僅かな音でも聞き逃さない。

 最初はナガトに運ばれていたため動物の足音しか探知せず大人しかったナルガクルガだったがムツの放つ人語に反応し敵が接近したことを察知したのだ。

 ナルガクルガの咆哮と同時に飛び上がったユウはクナイでヤツの目の前に滞空していた光虫に向けて投擲。

 それにより気絶した光虫は眩い光を爆発させる。

 突然襲いかかる閃光に悲鳴を上げるナルガクルガだったがそれと同時に尻尾から放たれた棘が直撃する。

 

「ぐっ!」

 

 咄嗟に籠手で守ったがその衝撃に思わず声を漏らす。

 まさかほぼノーモーションで刺を撃ってくるとは思わなかった、前世の記憶がなければこの時点で負傷していただろう。

 

「ご主人!」

 

「いける!」

 

 翔虫を放ちさらに加速、視界を失ったナルガクルガだがその鋭い聴力は健在、風を切って突撃してくる敵の位置を大まかながらも把握し上空にいる敵を迎撃するために足を溜める。

 

(今だ!)

 

 そんなナルガクルガの行動を見た瞬間、ユウは音爆弾を眼前に放り投げると丁度の位置で音爆弾が破裂し強烈な不快音が鳴り響く。

 

「ギャャャャ!」

 

 視界と聴力を奪われたナルガクルガは大きく咆哮するが目と耳を失ったことで敵を完全に見失った。

 ここで確実にダメージを与えなければならない。翔虫を使い一気に近づき肉質の柔らかい箇所に対して斬檄を集中させる。

 

「いくニャ!バチバチ爆弾ゴマ!」

 

「ガウ!」

 

 ムツのバチバチ爆弾ゴマとナガトによる攻撃でダメージを蓄積させると追加としてムツが大タル爆弾をナルガクルガの顔面にぶつけ大爆発を起こす。

 すかさず棘による反撃がムツを襲うがナガトの護り番傘による防御で危機を避ける。

 

「流石!」

 

 背中、脇腹、尻尾を中心に切り刻み体毛がかなり削れ本体の体が露になってきた。

 

「ギャャャャ!」

 

「くっ!」

 

 露になった脇腹に深々と双剣を突きつけるとナルガクルガの悲鳴が辺りに響き渡ると同時に全身を回転させ吹き飛ばされる。

 双剣をしっかりと回収し翔虫で一旦離脱するとさっきまで居た場所にナルガクルガの尻尾が叩きつけられる。

 あきらかに自身の場所を把握した攻撃に顔を見ると目が赤く光らせており、こちらを真っ直ぐ見つめていた。

 

「っ…うわぁ!」

 

 すかさず刃翼がこちらに迫ってくるのに対し体を翻し翼に一瞬だけ着地するとさらに接近、顔面に着地すると同時にナルガクルガの左目に双剣の片剣を突き立てる。

 

「よし!」

 

 順調な立ち回りに僅かな喜びを感じていると真横からの衝撃を受けて吹き飛ぶ、ナルガクルガの尻尾が直撃したのをやっと知覚したが翔虫を飛ばす暇もなく地面に強く体を打ち付け大きくバウンドする。

 体勢を整えて着地しながら体を確認するが多少の打身はあれど全く問題ない。

 すかさずナルガクルガを見るが目の前には居ない、すぐに防御体勢を取ると刃翼が襲いかかる。

 

「ぐぅ…」

 

 衝撃を吸収しきれないためあえて吹き飛び衝撃を拡散させるが逃がさないとばかりに距離を一気に詰めてくると尻尾が上から降りかかってくる。

 体を転がし難を逃れるが続いて二撃目が襲ってくるが起き上がったばかりで翔虫は間に合わない。

 

「っ」

 

 あえて足を踏ん張り構えると尻尾が直撃した瞬間にカウンターで斬撃を叩き込むと切り飛ばされた尻尾が飛ばされる。

 

「ギアャャャャ!!」

 

 衝撃を諸に受けたせいで右足から激痛が走るがそれを無視して長期戦は無理だと判断すると一気に間合いを詰める。

 

「気炎万丈!」

 

 さらに大きく咆哮するナルガクルガを無視して顔に近づいたせいでで耳が聞こえなくなるがそれを無視して傷つけた左目に双剣をさらに突き立てると大暴れするが翔虫を使って体を固定しもっと深く突きつけるとさらに暴れる。

 身体中いたるところを打ち付けるが無視して剣を膝蹴りの要領で双剣を差し込むと双剣の持ち手に蟲糸をくくりつけてそのまま離脱、精一杯糸を引っ張ると血塗れの双剣を回収すると左目から血を撒き散らしながらもがき苦しむナルガクルガを見ているとしばらくすると動かなくなった。

 

「グロ…」

 

 そこらじゅうに血塗れの地面を見つめながらゆっくりと近づく、近くの草むらから顔だけイズチが覗いておりこちらと目が合うとサッと隠す。

 

「タイホウ」

 

「ホッホー」

 

 相棒の一人であるフクズクを呼び出すと頭頂部に着地し辺りを見渡す。

 

「回収班を頼む」

 

「ホッホッ」

 

「はぁ…」

 

「少しヒヤリとしたけど良くやったね愛弟子!」

 

 一息つくといつの間にか後ろにいたウツシ教官に驚きながらも笑う。

 

「見てくれてたんですか?」

 

「あぁ、少々過保護だと思ったけど二人にも頼まれたしね!」

 

 ウツシ教官の指す二人がヒノエとミノトだとすぐに察しさらに一行き着いた。

 鞄に入れていた回復薬グレートを飲むと蜂蜜の味がしてやっと精神的にも落ち着いてきた。

 

「しかし、先程の戦い方…二人から聞いていたけれど素晴らしい。君の成長がとどまることを知らないのを見ると期待せずにはいられない!」

 

 優しく肩を叩かれると二人して大きく笑うのだった。

 

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