───────この世界に生きるふしぎなふしぎないきもの、『ポケットモンスター』……縮めてポケモン。
空に、海に、陸に、宇宙に……様々な場所に暮らすポケモン達は、時に人と共にあゆみ、時に人と争い。
そうして、暮らしてきていた。
ただ、この世界は──────『ニンゲン』のいないはずの、ポケモン達だけが暮らす世界。そんな世界のお話だ。
「─────て」
うーん、うーん……
「────きて」
なんだか声がするような……
「起きて!」
「わあ?!」
ビックリしたあ!
大きな声がして、あまりにも驚いて飛び起きる。鼓膜どっか行ったな多分。
開けた視界に飛び込んできたのは、緑の葉。というか木々。つまり森である。
え?ココisドコ?!
「だ、大丈夫……?」
混乱する中かけられた声に、横を向く。
そこに居たのは、全体的にまるっこくて青いペンギンのような姿の生物。
そう、確か、そう………ポッチャマ。
えっ、ポッチャマ?!
「ぽ、ポッチャマぁ……?!ちょ、な、なんでポケモンが……?!」
ポケモン。ポケットモンスターの略。最早世界的な育成RPGと、そこに登場するモンスターたちの総称。
つまりゲームなどのキャラクターのはずだから、現実にいることは無い。
なのに、今目の前にいて、心配そうにこちらを見ていて、しかも喋っている。
すると、ポッチャマはハテナを浮かべて、首を傾げた。
「そ、そりゃあボクはポッチャマだけど……キミもポケモンでしょ?見たことない種族だけど……」
「へ?」
言われて、視線を落として手足を確認する。
それは手足と言うよりも、『触手』と言った方がいいのかもしれない。
白くてジェルっぽい感じの触手。うち2本が腕のように動いている。
ん?これは……?
「え、えーっと……姿が見えるものとか持ってない?」
「鏡みたいなってこと?それなら……」
すると、ポッチャマはその場に水を吐き出して、それをなにやら寒い吐息で凍らせる。即席の氷だ。
「見える?」
その言葉に頷く。
そこに映りこんだのは人間ではなくて、ジェルっぽい感じの触手とガラスのような頭部を持った、クラゲのようなポケモンだった。
このポケモンは、確か。
「ウツロイド……」
きせいポケモン、ウツロイド。異世界のポケモン『ウルトラビースト』の1種。毒素を操る、岩・毒タイプのポケモン。
そんなポケモンが、私として氷に映り込んでいる。
つまり、総合すると……
「私、ポケモンに……ウツロイドになっちゃった?!」
どこの不思議のダンジョンだよ!と心の中でツッコミを入れるが、どう見てもこの状況はポケダンシリーズの始まりです本当にry
「だ、大丈夫?!えっと、その……ウツロイド、さん?」
ポッチャマはやはり心配そうに声をかけてくれている。
今考えても仕方がない。とりあえず恩人……恩ポチャ?にお礼とかしなければ。
「ウツロイドは種族名だよ。私は……」
ん?あれ?名前なんだっけ……
ポケダンの主人公、つまり人間からポケモンになっちゃった方々は記憶喪失になっていたが、名前だけは覚えていた。
しかし、私は記憶どころか名前すら思い出せない。ポケモンについてはさらさら思い出せてるのに?!
えー……何このめんどくさいの……でも名乗れないのは怪しいよなあ。
ウツロイド……UB01:Parasite……
「ええっと、私はパラサ。あなたは?」
「今ちょっと考えなかった?」
「気のせいきのせい」
ポッチャマが怪訝な目で見てくるが、どうにか誤魔化す。
「まあいいや。ボクはペルマ。未来の探検家だよ!」
えっへんと胸をそらすポッチャマ……こと、ペルマ。
探検家かあ。じゃあやっぱり、ここはポケダン世界か……。
私はどうも、ポケダン世界でウツロイドになってしまったようです。