ファッ!?俺竿役やんけ!?   作:黒姫凛

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深くは語りませんが、お待ちどうさま。

月一で投稿できるかと思えば出来なかった哀れな作者を罵倒し殴りまくって下さい。
反省も後悔もし尽くして空っぽになっちゃった抜け殻ですが、皆様に使われるって思うだけで……っぐすっ、な、涙が……っ、止まりません……っ!!




いや本当にお待たせしてしまい申し訳ございません。どうぞこれからもこの作品をよろしくお願いします。






ファッ!?これが大人の事情ってやつやんけ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹海化が解除される。敵━━━━━バーテックスを倒した勇者部は、疲労の色を見せながらもなんとか倒す事に成功した。

 

最後まで変身することは無かった美森は、3人に戦わせてしまったことに罪悪感を持ちながらも、風に騙されていた嫌悪感と合わさってごちゃごちゃした気分を抱いていた。

晴れやかでは無いものの、3人の表情は何処か凛々しく感じる。樹は泣いているが、それは仕方のない事だろう。

 

 

解除された後は、必ず屋上の祠前に戻されるという。という事は授業中に抜け出した事になるのだが、果たしてその場にいた生徒達からはどういう目で見られるのか。目の前にいた生徒が突然消えた、というのは些かオカルト地味た話の方が誰かに信じてもらいやすい話題である。当事者になれば、間違いなく心臓が飛び出でるぐらいは驚くことだろう。

 

先生方には事情を自選に大赦からたらればの話で伝わっているという。讃州中学の他に、勇者として選ばれた少女達は各地でグループを組んで生活していたらしい。実際バーテックスが現れるまで何処の誰が選ばれるかは分からなかった為憶測でしか説明できなかったが、今回讃州中学校から御役目として選ばれた生徒がいるとなれば、皆一丸となって協力しようとなる筈だ。

それ程までに御役目というものは今生きる人々にとって大きなものだとわかる。神樹様から態々選ばれたのだから当然祭り事なのだろうが、彼女達勇者部にとっては選ばれた事よりも、より誰かの為に出来ることが増えたと活動がより幅広くなって喜ばしい事だろう。今のところ若干1名は皺を寄せたままだが。

 

 

「………皆無事でよかったわ。一先ず、怪我とかは無さそうね」

 

「はい、風先輩。……ちょっと全身が痛いですけど」

 

「……普段とは違って全身を激しく動かしたんですから、当然の結果……なんでしょうけど……」

 

「………」

 

 

友奈と樹が気にしているのは、この後の授業の事だろう。まだ授業は残っているが、彼女たちの疲労からしてこれから参加する授業では身が入らないだろう。普段とは違う現実に翻弄された彼女達は肉体的疲労と精神的疲労が伺える。友奈は少しサボり気味が入るかもしれないが、流石に今回ばかりは同意の色を見せるしかない。風に関しても仕方ないと言った感じで友奈を見ている。

 

 

「腹をくくって、しっかり受けましょ。両立してこその真の勇者としての第一歩なんだから」

 

「……ぐぐぐっ、やっぱり勇者の道程は険しい……」

 

「あはは………」

 

 

食い気味に悔しがる友奈は、真の勇者になるまでの長い道のりの事を考えて崩れ落ちかける。そんな姿に樹は苦笑いしか出来なかった。

 

確かに勇者だからと言って学校をサボる訳にはいかない。事情を容認してもらっているからこそ、大目に見て欲しいと思うはあるが、その甘えを許さないのが勇者部部長である。

中学3年生という事もあり、受験生である彼女は勉学に少しの妥協も許されない。……高松宮家に永久就職してみてはと強いお誘いもあったが、取り敢えず大学進学までは学生を続けると意気込んでいる。

ぶっちゃけ遊んでいる時間は無いと思うが、表にその努力を出さない辺り、流石と言うべきだろう。高松宮家に誘った人物は見る目がある。

 

 

ふと、タイヤの転がる音がした。タイヤの転がる音がするのはこの場においては車椅子に座る美森だけなのですぐに分かったが、その音が次第に遠ざかっていくようだった。

 

 

「……東郷?」

 

 

背を向けて出入口にゆっくり進んでいく彼女から返事は無い。こちらを振り向くことも、会話をしようとする素振りが無い。

 

 

「……ちょ、ちょっとっ、東郷っ」

 

 

風が少し強めの口調で美森の動きを止めさせた。美森はチラリと風を一瞥すると再び車椅子を前に進ませる。

 

 

「……今日は少し具合が悪いので、失礼します。また後日……御説明よろしくお願いします」

 

 

力の無い、覇気が薄れた声で美森は言葉を紡ぐ。普段の美森とは思えない態度。精神的に美森を揺さぶる心境が、彼女の心に影を纏わせている。

彼女の背中には、誰も追ってくるなと語っているような圧と焦燥感が流れていた。故に、その場にいた3人は誰も。美森の後を追う様な事はしなかった。

 

やってしまった、と風は内心かなり後悔する。事情を説明するべきだった。なんて今思ったところで何になるのか。しかし、言えない事情もあった為、風の心は板挟みにされる。

 

彼処まで心揺さぶられている美森を見るのは初めてだが、何故そこまで気分を害しているのか分からない。

 

 

一先ず勇者としての活動は、波乱の幕開けとはいえ切って下ろされるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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走ってたら目の前に美森ちゃんがいた件。

 

 

なして?今まだ授業中でしょ?

美森ちゃんにしては珍しい不良ムーブ。全く、一回目の不良ムーブとはいえ、これに味しめたら何度も素行を乱す行動にとるに違いない。ここは一発、俺が反省を込めて悔い改めさせなければ(意味深)。

 

 

 

 

なーんて、普段の俺なら思うが。今は、なんとなくだが彼女の事を分かってるふうに理解出来る。

彼女の表情を見るに、かなり精神的にダメージをおっている。初めての戦いでかなり辛い思いをしたのだろうか。そうなると、他の3人が無事なのか気になる。

いつもの美森ちゃんからは想像もつかない落ち込みっぷり。俺も心が痛むよ。

 

 

「……美森」

 

 

目の前に現れた俺に、彼女は見るからに驚き動揺した。俺がいるってことに気がついていなかったようだ。

 

 

「……あっ、き、金さん……」

 

 

今にも消えそうな声で、彼女は虚ろな目を俺に向けてくる。

いやマジでどういう事?なんでこんなにも衰弱してる?

 

俺は近付き、彼女と視線を合わせる為に車椅子の横にしゃがむ。

 

 

「……どうした?まだ学校あるだろ?」

 

「……それは、金さんも……でしょ?」

 

「……まぁ、な。今はちょっと気分じゃない」

 

 

風は事情を説明していないのか。まあ俺が今日の出来事を言ったところで、何故知ってるのと詰め寄られそうだが。

瑞稀達が俺からこの話題を少しでも逸らそうとしていたのは、今までの偶に見せる挙動不審な動きと、さっき見たこの身体の過去の記憶を合わせてなんとなく理解出来た。

だが、遠ざけようとしてもその元凶たる勇者部達が近くに居ては自然とその警戒も綻ぶというもの。意図せずにその話題は俺にも包み隠さず入ってくるだろう。ただ俺がフライングで知っているだけの話だし。

 

あくまでも知らない風に。なぜここに俺がいるのとかは疑問に持たれていると思うが、なんとなく誤魔化していこう。……そう言えば、瑞稀にも連絡したから後で絶対詰め寄られるなこれ。

 

 

「……何かあったのか?美森らしくない。友奈達はどうした?」

 

「……その、少し体調が良ろしくなくて……早退してきました……」

 

「美嘉からは何も聞いてないぞ?1人だと帰り道も危ない。何故迎えを待たなかった?」

 

「……それは、その……」

 

 

こ、心苦しい……。取り敢えずここまで会話をすれば不自然に思われないだろ。事情を察する為にも、涙を飲んで彼女に少し聞きずらい話を振ってしまっまたが、これぐらいやらないと美森の心境もふわふわと浮いた状態だっただろう。一度現実に戻せば、自分がどう言う状態で何を思っているのか、しっかりと認識出来るはずだから。

 

 

「……まぁ、いっか。美森、ちょっと散歩がてら家に帰ろう。美嘉には俺から連絡しておくから」

 

「……散歩ですか?」

 

 

どうしてと、聞きたいのだろう。理由は、無い。なんとなく、話題が無かったからなんだが。

話聞くだけなら問題無いだろうし、この子のことは、ほっとけないよな。

 

 

「無理にとは言わないが、気分転換にはなる。お付き合いいかが?」

 

「……そういう言い方、あまりお似合いじゃありませんね。金さんなら直球な口説き文句がいいかと。……ありがとうございます。御一緒させて下さい」

 

 

口説き文句って。中学生は犯罪だから手ぇ出せねぇんだが。出せるとしても出す気は無いが。

 

車椅子の取手を握り、ゆっくりと動き出す。……はぁ、女性の髪の毛ってどうしてこうもいい匂いがするのか。艶のある黒髪が太陽の光を浴びて輝いている。可愛い旋毛が見えててちょっと叡智だねぇ。恥ずかしくないの?

更に後ろからだともろ見えする白い肌を纏ったうなじ。首すじのラインが男心を擽る。男の心は下半身にあると言うが、まさにその通りのようだな。今すぐにでもその間に顔を突っ込みたい。

 

 

「……何も、聞かないんですか?」

「ん?」

 

「体調不良なんて嘘……、金さんなら分かっている筈です」

 

 

当たり前じゃん。俺だもの。てか、物凄く聞いて欲しい感じに言うじゃん。何それかまちょ?残念だが俺は君の体と心をどうやって俺のものにするかとしか考えてないから。すまんな、許してちょ。謝罪は君の身体を堪能してからにしよう。

 

 

「……事情は知ってるつもりだ。と言っても、俺も知らないという事で今まで過ごしてきた。当事者である美森からすれば、知っていても何故教えてくれなかったと思うかもしれないが、すまん。俺にも事情があったんでな……」

 

「っ、き、金さんが謝る事じゃありません!!……それに、その。怒っている、とは少し違います」

 

「……というと?」

 

「……どうすれば分からない、と言った所でしょうか」

 

 

後ろからだから、彼女が一体どんな表情を浮かべているのかは分からないが、膝の上に乗せている手に何処からか水滴が流れているのを見て大体は察した。

取り敢えず勿体無いから舐めてもいい?俺はポケットからハンカチを取りだして彼女の手の上に乗せる。

 

 

「……ありがとう、ございます……」

 

「知らん。濡れていたから渡しただけだ。どう使おうとお前の勝手だ」

 

 

お詫びはイチャラブ子作りで勘弁してあげよう。お互いの優秀遺伝子をレッツら混ぜ混ぜぇ!!

……いや冗談。中学生相手にはできません。だからその携帯を下ろしてくれ。画面に移るキーパッドを消すんだ。いいかい?110番なんてして見ろ。後が怖いぞ……?

 

涙を拭った美森は、少し啜り泣きながらも言葉を吐き出す。

 

 

「……秘密にされていたこと、確かに腹立たしい。事情があったとは言え、あんな事をさせられるとは思いませんでした。今程、勇者部に入部した事を恨んだことは無い程に……」

 

 

まさかのカミングアウトに驚きを隠せない。美森の口からそんな言葉が出てくるなんて想像つかなかった。

だが同時に、確かにと納得する気持ちもある。同情の余地あり。突然の環境変化と、実は君達を集めたのは怪物を倒すためだ等と言われれば、美森のような心情になるのは正常だと思える。

 

樹は分からなくもない?いや分からん。友奈は……、そりゃそうだ。彼奴なら喜んで戦地に赴くだろう。そういうやつだ。

 

 

「……じゃあ、部活辞めるのか?」

 

「……どう、なんでしょう。今更始めた事を途中で止めるというのは私個人的には耐え難い行為。後悔はあれど、退部……までは考えていませんね」

 

「……ふむ、成程」

 

 

まあ確かに美森の性格からして途中破棄なんて真っ平御免だよな知ってた。

 

 

「……でも、そこじゃないんです。それは今どうだっていいんです……」

 

「……どうすればいいのか、というのは的を得ないな。今の発言からして、辞めるか辞めないかの話とは違う様だが」

 

「……はい。あの、金さんにこんな事言っても何も無いとは思うのですが……」

 

 

 

━━━━━私、あの光景を見たことがある気がします。

 

 

ゾッとした。いや、よもやまさかのっ。

記憶は完全に消えているという話では無いのか。朧気に覚えているじゃないか。

 

 

「……あの光景、って言うのは俺も見た事が無いが、戦う場所か相手を見たことがあるって事か?」

 

「……はい。いつ見たのか、それははっきり分かりませんが、あの時脳裏にあの光景が過りました。未知の化け物、それと戦う私達。……何か、大切な何かを……無くしたような、そんな気がして………」

 

「…………ふむ、なるほどな」

 

 

なるほどな。わからん。

いや俺も見た事ないから分からんし。えーとなんだっけ、確か知識にあったぞ。勇者たちのパワーアップ………、あぁそうそう。満開か。胸糞悪い大人の事情でしか語れない最悪の機能ね。ガバガバ過ぎるだろ何が身体の機能一部剥奪とか。どうなってんねん植物か人間は。

 

記憶は戻らんって聞いてたけど、これはこれでいい予兆なのか。あんまし2年前の記憶思い出してうわぁぁぁってなられても困るが。

……なんて返そうか。

 

 

「……つまりそのなんだ。覚えてもいない記憶が朧気に出てきて、怖い……ってことか?」

 

「…的を得て言えば、そう……なのかもしれません。朧気な声、風景、姿。……何よりも、霞んだ中にあった胸が締め付けられる痛み……。見たことも無いはずなのに、身体は……、心はしっかりと覚えている。……それがたまらなく怖い……」

 

 

分からなくは無い。日々意識下の中で生活している中で、したことも無いことを朧気に覚えているというのは可笑しい話だ。本当に覚えていないだけなのかもしれないが、美森の場合まだ中学2年生。大人と違って忘れるような事は少ないだろう。特にそんなにもインパクトが強い記憶を忘れるなんてよっぽどだ。

 

美森は2年前の記憶がドンピシャに無くなっているからこそ、記憶があった時の自分はどうやって過ごしていたのか分からないのが不安なのだろう。

確かにそれまでの記憶があるのに、不意に丸々1年記憶が飛んでるのって怖過ぎよな。何仕出かしたのか分からない分どんな顔して過ごせばいいのかなって俺は思うけど。子供だからそこまで気にせず生活できたかもしれないが、いざ振り返って見ると興味とか色々湧くよな。

まあ美森だと、化け物と戦ってたっていう恐怖心がフィードバックしたのか。

 

 

「……記憶が無いって、怖いもんな。俺はお前の立場じゃ無いから、どんな心境なのかって、具体的に言葉でも心でも理解出来ないわ」

 

 

ポンッと、頭の上に右手を置く。手のひらに伝わる髪の毛の手触りと体温。そして美森の震え。

怖い怖いと泣き叫びたいのだろう。誰かに縋りたいのは見て分かる。子供だもの。嫌なことから逃げ出すには簡単な年頃だ。静かに泣き、静かに嗚咽を吐く。年頃の子供じゃ珍しい手のかからない女の子。

 

だが同時に、1番心配しなくてはならない子でもある。1人で抱えて爆発したら、何するか分からない。子供ってそういうとこあるから怖いよな。狂気の沙汰じゃねぇってぐらいの事やらかすなんてほんとザラにあるだろうよ。

 

 

「まぁ、怖い事から逃げるなんてのは普通なんだから。怖がるなとか、克服しろなんて俺は言わん。気持ちの分からない分、どう取り繕ったって美森は納得しないだろうさ」

 

 

指摘されて素直に聞くヤツなんて珍しいし。人間生きてるならプライドってものがあるから面倒なんだよね。

 

 

「どうしたらいいか分からない、って考えるよりも、もっと具体的なことで解決に導いた方が心も楽だと思うがな」

 

「……具体的、ですか?」

 

「そう。どうすれば恐怖心が無くなるかとか、どうやって秘密にしてた風を泣かすかとか。なんでもいいんだ。気分が紛れればいいんだから」

 

「……なる、ほど?わ、分からなくは無いですが……」

 

 

嫌わかってねぇなその音色。困惑の色でてんぞ。

仕方ない。ここは先輩風靡かせて、迷える子羊ちゃんを導いてあげよう。

 

 

「悩み抱えて生きてる人間は正しい。でもその正しさとどうやって向き合って行くのか。よくあるだろ?正解の答えだけど釈然としないテスト問題の気持ち。問題文が悪いのか自分が悪いのか、どっちが悪いかって考えるじゃん。悩みも一緒。こんな悩み抱えるのって俺が悪いのか悩みを作った元凶が悪いのか。差してみんな自分が悪いって100%思うわけじゃないんだから、誰かに責任投げ捨てて自分を正当化するのも悩みを溜め込まない生き方の一つだ」

 

「…でも、それは私の分からない恐怖心と関係が無いのでは?」

 

「その恐怖心はどっから来る?忘れてる覚えていない2年前の記憶だろ?変な時に思い出させやがってって怒ってやった方がよっぽどいい。なんなら、秘密にされてこんな辛い思いをさせた風に怒りでもぶつけてやれ。風に出すお茶をアッツアツにしてやったり、髪の毛イタズラしてやったり。悩むよりも忘れた方がいい悩みなんていっぱいあるんだから、そこまで考えなくていいって」

 

「……成程、意識を他に向ける……」

 

「ぶっちゃけお前は頭が固い。考えたら周りの事を考えられなくなるだろう。誰かが言ってくれなきゃ、手網を握ってくれてなきゃ周りを見渡せない頑固者だ」

 

「…が、頑固者……っ!?な、えっ、は、励まして下さってるのか罵っているのかどっちなんですか!?」

 

「いやどっちもあるけど。共通点はそれがお前の可愛い所って事だがな。俺は好きだぜ、そういう頑固者。堅物の癖に愛重そうだ」

 

「あっ、愛ぃ……っ!?ど、どういう心境でそんな事思いつくのですか?!わ、私は別に普通です!!」

 

「いや現にそうやって否定してる事が頑固つっぽいなって」

 

「これは普通の反応です!!」

 

「ほらやっぱ可愛い」

 

 

耳を真っ赤に染めて顔を隠す美森。いやこれで可愛くないとか終わってるって。レベル高過ぎるって。高嶺の花過ぎて眉唾ものだぞ。

 

1番言いたいことは2年前の記憶は思い出すなって事だけど、まあ無理そうだし。そこはかとなく気を紛らわすことしか言えんが。

今の美森の表情見るに、かなり心情変化は見込めてるらしいが。

 

 

「……もし、金さんが同じ立場だったとして。金さんはどうされるんですか……?」

 

 

……同じ立場、か。まあ同じ立場と言えば同じ立場なんだろうけどさ。死ぬ時の、なんならこの身体になる前の記憶なんて覚えてないし。美森みたいに朧気に覚えてるってのも無いな。

 

 

「……まあなんだ。あんまし気にしないって言えるけどな。……そうさな。言うなれば、支えてくれる誰かがそばに居てくれたらいいだろうな」

 

「……支えてくれる誰か、でしょうか?」

 

「そう。勇者部にはあんましいい感情抱いてないかもだけど、お前の事を気にしてくれる友奈が居るだろ?お前の母親だっているし、俺も居るわけだ。今俺に美森は事情をなんとなく話してくれたお陰で、俺はお前を支えてやろうと思った。関わりある人全てにお前の事を語れなんて言わないが、何も知らなくても助けてくれる友達はいるだろう?俺はそう言う存在をまずは探すかな」

 

 

今思えば、俺があの時この身体に入り込んでから、いつもあの3人に助けられていたな。俺にとっちゃ記憶に無い忠義だが恩義だがで身の回りから下の世話までしてくれたあの3人には頭が上がらん。

今度なにか出来ることないか聞いてみようかな。何となく想像はつくが……、特に遥。

 

 

ぶっちゃけ1人で抱えてるよりも、忘れるまではいかないが悩みを和らげる方法が1番だと思う。自分一人じゃ自分語りだけで終わる話も、第2者巻き込めば相談に変わる。まあその相手との相性があるかもしれないが、悩んでる人の話を面白半分で聞くなんていう頭の可笑しいやつはそうそう居ないだろうから、ちょっとは心も体もスッキリするんじゃなかろうか。

 

 

「……じゃあ、金さんは私を支えて下さるのですか?」

 

「勿論。歳下の女の子を助けない男は居ない」

 

 

あわよくば、とか考えてませんがなにか?

 

 

「何時でも、話を聞いてくださるのですか?」

 

「まあ無理な時以外は何時でも」

 

 

俺の部屋でお話しましょうか?母娘丼の実現。

 

 

「……何時でも、寄りかかってもいいでしょうか?」

 

「お前の体ぐらいなんて事ない。何時でも足にでも使うといい」

 

 

足が動かないから代わりに俺が動いてあげるね。大丈夫大丈夫、痛くないよ。きっと気持ちいいさ。

 

 

手をニギニギと動かす美森は、俺のハンカチをギュッと握り締めると、今日初めて俺の目を見つめてきた。

その表情は何処かスッキリしていて、さっきの暗い姿とは思えないほどハツラツとしている。

 

 

「……明日、しっかり聞いてみます。怖いですが、風先輩にも事情があったのは理解出来ます。……それでもし私が押し潰されそうになった時は、助けてくれますか?」

 

「いいだろう。元々明日は俺も同席するつもりだった。安心しろ、お前の事は、俺が守る」

 

「……はぁ、それが聞けて心底安心しました。……ですが、もう少し金さんのお力を貸して頂けますか?」

 

「今からか?何を?」

 

 

美森は左腕を上げ、羞恥に染まった表情を俺に向けてくる。何だこの生き物可愛すぎる。

 

 

「……勇気を、下さい。手を握って貰っても宜しいですか……?」

 

 

成程、そういう事か。いや分からんが。

俺は何も言わず、彼女の華奢な手を握る。細くて小さい女の子の手。こんな手の少女達にこの世界が守られてるなんて、どんな世界なんだろうな。クソみたいな世界だなおい。

 

俺はしゃがみ、彼女の耳元にそっと顔を近づける。

 

 

「……頑張れ、俺がついてる」

 

「……っ、はいっ」

 

 

こりゃ完全に堕ちたな。風呂入ってくる。こんな雌の表情で堕ちてないなんて誰が思えようか。まあ真面目な話、美森はタイプなのでずっと俺の傍にいて欲しいです。嫁に来てくれないかな……。政略結婚……アリだな!!ヨシっ!!

 

 

 

一先ず今日はもう帰りましょうということで自宅にGoHOME。俺の部屋に美森を通して夕方までひたすらイチャイチャ(ド健全)なことをしてました。

途中、遥の乱入で大人気ない姿を見てしまった我等ではあるが、今日一日で美森の悩みも軽くなったようでよかった。

 

 

たまに学校休むのもいいな!!最高だな!!でもみんなはやるなよ絶対だぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







友奈ちゃんの説得の前にオリ主ークリームくんが割り込み。
百合の間に挟まる竿雄を許すな!!
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