天神竜と天空の巫女 作:FAIRY NAIL
「ああ、ああ………そんな、何てこと…」
「グ、グランディーネ………?」
純白の羽毛を持つ白いドラゴンが目の前の少女に信じられないといったような顔を向ける。褒められたかった少女は何かしてしまっただろうかと泣きそうになっていた。
「落ち着けよグランディーネ……それにしてもウェンディ、何時魔法を覚えたんだ? まさか俺達の授業を見て? すごいな、俺の妹は天才だ!」
「きゃう!?」
ワシャワシャと頭を撫でられ悲鳴を上げる少女に少年はケラケラと笑う。
「ラファール。ですが………!」
「どちらか一人しか守れないなら、ウェンディを選んでくれ」
「それは…………!」
「頼む、
「────っ!!」
「血は繋がってなくても、この子は俺の妹なんだ」
「ならば貴方は私の息子よ」
妹を優しく見下ろすラファールに、グランディーネはキッと睨みつけながら言う。
「そうとも、例えどうなろうと俺はあんたの息子だ。それは変わらない………ドラゴンと人間、どちらが上とは思わないけど、この子は人として生きてほしい」
「…………?」
今度は優しく撫でられ、ウェンディは首を傾げながらもニコニコ笑う。
「イグニールやメタリカーナ達も同じだからあんな方法を取るんだろ?」
「それは…」
「なに、結果として長生きできるんだ。待つのは苦痛じゃない………なんなら、俺が先にアクノロギア倒して平和な時代を作ろうかな!」
カラカラと笑う人の息子を前に、竜の母は寂しそうな顔をして鼻先を押し付ける。
「後悔は、しない?」
「さあ。俺はまだガキだし、未来の世界で後悔することもあるかもしれない」
「…………必ず…………必ず生きていて。アクノロギアの探知範囲は狭い。この大陸を出れば、きっと見つからないから」
「ドラゴンなら戦えって、言わないの?」
「ええ。生きていてくれたほうが嬉しいから」
その言葉にラファールも目を細める額をグランディーネの額に当てる。
「約束するよ。必ずまた、家族で会う未来まで生き残るって」
「ええ…………」
X777年。某大陸、某王国跡地………嘗て王城が建っていた丘に座した純白の竜は瞼をゆっくり開き空を眺める。
遠い遠い場所で、何かが来た。それも複数。
「漸く、漸く時が来たんだよ」
「黒魔導士」
空を見上げるドラゴンの側に何時のまにか黒髪の青年が佇んでいた。黒魔導士と呼ばれた青年は親しげに笑みを浮かべる。
「行ってあげるのかい?」
「……俺が?」
「会いたい人もいるだろう?」
「人? 人だと? 何故俺が人に会いに行かねばならない」
「……………そうか」
ドラゴンの言葉に黒魔道士は悲しそうな顔で笑う。
「その様子じゃ、ナツのことも覚えてないか」
「………………?」
「こっちの話だよ。それじゃあね、僕の古き友よ」
ラファール・マーベル
孤児だったウェンディを拾ってきて名と名字を与えたナツ達の中で最年長のドラゴンスレイヤー。天空の滅竜魔法の使い手だったが竜の種が発芽し竜化した。
アクノロギアから逃げギルティナに辿り着いた。その後はアクノロギアを倒すために力を付け続けた。懐いてきた少女がドラゴンを恐れた国の軍に巻き添えで殺され、怒りのまま国を滅ばし神竜の一角に数えられるようになった。
ウェンディに比べて他者への
自己の強化は得意。