天神竜と天空の巫女 作:FAIRY NAIL
増大する魔力を抑えるためのオーブを作り、溜まった魔力を下に生み出したゴットシード。
フェアリーテイルの魔導士と戦わせていたそれらを再び取り込む。全員やられかけていた。
「養分ごときが、力をつけたようだな。だが、今は貴様だ」
「吠えていろ。俺から逃げ出した事すら忘れたか」
「殺されかけたことを忘れたが、半端者めが!」
ゴッ! と額がぶつかり合う。体格差から普通に考えればアルドロンが勝るはずだが、グランが吹き飛ぶもアルドロンの体も大きく仰け反る。
「デカくなったのは図体だけかぁ!!」
天神竜の鉤爪!
風を纏い振るわれる爪。
山より巨大なアルドロンの体を切り裂きそこの見えぬ渓谷を生み出す。
「グオオオオオオ!!」
アルドロンが叫ぶと同時に剣の如く鋭い枝が無数に降り注ぐ。グランは暴風を纏いそれら全てをそらすと、今度は木の葉の竜巻が襲いかかる。
「!!」
天空を統べるグランにとってはただの目隠し。しかし、それでいいのだ。アルドロンの胸の穴から吐き出された巨大な木の杭がグランの体を抉る。
バランスを崩し落下するグランを地面から生えた巨樹が捉え、締め付ける。
「!? グランさん!?」
「今は自分の心配をしなさい!」
例え記憶がなくとも同じグランディーネの子として、思わず叫ぶウェンディ。絞め殺されたグランの体は、解けて風になった………。
「…………え?」
「ドラゴンって死ぬと属性になるのかぁ!?」
「違う…………あれは、風に自分の魔力と人格を
ただの風に、ドラゴンと渡り合うほどの力を
「っ!」
上空の雲が渦を巻く。その中央に現れたのは先程より一回りは大きいドラゴン。膨大な魔力が雲に流れ込み、ゴロゴロと雷鳴が唸る。
『天神竜は大気を操り天候すら支配する。雷を直接放つことは出来ないが、落とすことはできるようで一軍を壊滅させる雷の雨を振らせたり、付与魔法を扱い自然現象を操る強力なドラゴンだ』
メルクフォビアの言葉を思い出す。これが、その力…………天を支配する神の御業。
………なんて滅茶苦茶な。
「落ちろ」
全ての雷が集結し、アルドロンより巨大なグランを形作る。恐らく精密な
雷竜がアルドロンを飲み込んだ。
ビシャアアアアアアン!! と大気が引き裂かれる音がその場の殆どの意識を奪う。
「カ、ァ………」
アルドロンが雷を地面に流すために咄嗟に張った根がボロボロと焼け崩れる。
「終わりだ」
ゴッ! と流星のように落下しアルドロンの頭を破壊したグラン。アルドロンの巨体が倒れ地面が揺れる。
同じ六神竜。されど目覚めたてとずっと起きていたモノでは力の差が圧倒的すぎる。
「あ、あの……………」
「ウェンディ!? 駄目よ、近づいちゃ!」
「危険だウェンディ〜!」
「さがれさがれ!」
それでも、意を決して声をかけるウェンディ。シャルルやギルドメンバー達が止めようとするも、ウェンディは駆け寄る。と………頭部の半分を失ったアルドロンが起き上がった。
「まだいきて!?」
「しつこい………」
グランが忌々しげに唸り、しかし止まる。次の瞬間、アルドロンが内部から吹き飛んだ。
巨大な火柱が中から焼き払ったのだ。
「あれは…………ナツ!」
炎の中から現れたのはナツだ。その膨大な炎にグランは目を細めた。
「イグニアの兄弟か………」
「俺の兄弟はゼレフだ! ……って、うおお!? 新しいドラゴン!!」
グランの言葉に炎を吹き出しながら叫んだナツは新たなドラゴンの姿に直ぐ様臨戦態勢を取り………
「ま、待ってください!!」
「!?」
ウェンディがグランとナツの間に立つ。
「あの! グランさん、ですよね? グランディーネの子供の………私はウェンディって言います。私も、グランディーネに育てられて………だから………」
「エレフセリアに言われ、俺を滅ぼしに来たか」
「………え? あ………! ち、違うんです! 話を──!!」
「死ね」
口内に溜まる魔力。自分達など一瞬で消し飛ばすその魔力に抗うすべは…………ない。
「刃竜の裂哮!!」
と、無数の斬撃がグランを襲う。
「アルドロンの肉は木になってしまったが、いただくぞ貴様の血肉!!」
「マスターに届けるっちゃ」
「大人しく我等の糧になってもらうぞ、天神竜よ」
「彼奴等!!」
現れたのは3人の
「…………鬱陶しい餓鬼共だ。俺を喰らい力を得る? 何時の世も、自分たち人間が全てを決めると思い込みやがって…………身の程を弁えろ」
天神竜の晩餐
「「「────────!!」」」
音が消えた。
音とは空気が振動し生まれるもの。そして、天の竜は大気を喰らう。辺り一帯の大気を食い尽くしたのだ。
真空となったその空間にて魔導士達が倒れる中グランはウェンディを一瞥し前足を振り上げ………。
(…………イグニアか)
遠方から向けられた殺気に気付く。この中に獲物と定めた者がいるのだろう。手を出すな、ということだ。
奴と敵対してまで殺すほどの価値もない。グランはその場から飛び去った。