ソードアート・オンライン~The Devil May Cry (リメイク)   作:i-pod男

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今回はちょっと短めになっちゃいました。四千文字以下です。すいません・・・・・


Choosing Paths

ボスの討伐に成功し最終的に止めを刺した立役者達であるキリト、アスナ、そしてダンテは他のプレイヤー達から歓声と拍手の雨を浴びせられた。それに加え、死者は只の一人も出していない。

 

「今回の一番のファインプレイヤーはキリトだな。」

 

「いや、お膳立てはダンテやアスナがやってくれたから・・・・」

 

「キリト、謙遜する必要は無い。誉められてんだからありがたく受け取れ。」

 

エギルも斧をしまい、座り込んだキリトを立たせて労いの言葉をかけてやる。

 

「さてと。LABは何だ?」

 

「コート・オブ・ミッドナイト。」

 

キリトは早速それを装備し、一瞬にして上半身が襟や肩の一部に鋲を打った丈が長い黒のロングコートに包まれた。

 

「ほう・・・・中々良いじゃないか。似合ってるぜ。アスナもお疲れ。さて、次だ。」

 

ダンテはキバオウからポーションを与えられてHPが満タンになったディアベルに向き直り、射竦めた。

 

「ディアベル、俺が言いたい事は分かってるな?」

 

ディアベルは申し訳無さそうに目を伏せた。

 

「言った筈だぜ?お前はリ—ダーには向いているが、ヒーローにはなれないと。なのに突っ込んで行った。もしあの場でお前が死んだら、全部隊がバラバラになってどれだけ犠牲が出たか分からねえぞ?守りたいと聞いて呆れるぜ。生けとし生ける物全ては命あっての物種だ。死んじまったら守れる物も守れねえんだよ。分かったか、馬鹿?お前が死ねば、俺や他のベータテスターも迷惑千万なんだよ。」

 

特にSAOでは現在唯一の情報屋であるアルゴにとってベータテスターとビギナーの溝が出来るのは痛過ぎる。ビギナーがベータテスター排斥思考に感化されてしまえばガイドブックの情報がガセだなんだといちゃもんをつけるだろう。そうなれば情報は行き渡らず、死者も増える。そうなれば本当にアインクラッドから脱出する事は永劫叶わない。

 

「何を言う取るんや?!ディアベルはんは・・・・・まて、何やと?」

 

ディアベルを背なに庇うキバオウはダンテの言葉にはたと止まった。彼は今何と言った?彼が死ねば他のベータテスターも迷惑千万?

 

「じゃあ、まさかディアベルはん・・・・」

 

「ああ、そうだ。お察しの通り、僕はダンテと同じ元ベータテスターだよ。ボスが倒される直前、僕が言った言葉を覚えているかい?魔剣士(ダークナイト)。それは、ベータ時代に皆が付けたダンテの異名だ。どんなモンスターがどんな武器を使おうと一人で確実に薙ぎ払う。これを知るのはベータテスターのみ。今まで隠していて本当にすまなかった。でも、これだけは信じてくれ。俺は皆を誰一人死なせずに次の層へと進みたかったって事を!」

 

ディアベルは皆の前で跪き、悔しさと申し訳無さで顔をくしゃくしゃにして涙を流しながら平伏した。

 

「と言う訳だ、キバオウ。さあ、どうする?目の前で土下座しているソイツは俺と同じベータテスターだ。お前曰くビギナーを見捨て、自分だけボロいクエストや狩り場でポンポン強くなったベータテスターだ。トールバーナで言ってたみたいに、溜め込んだ金やアイテムを吐き出させろ。」

 

キバオウは開いた口が塞がらず、思考が追い付かなかった。彼が?ディアベルが?ベータテスター?そんな馬鹿な事が本当である筈が無い。口八丁なダンテの嘘だ、はったりだ、ペテンだ。そうに違いないと思った。だがディアベル自身がそれが真実であると自白した今、それを拒む事は出来ない。キバオウはディアベルとダンテを交互に見た。

 

「ほら、どうした?今ここで有言実行しなきゃ、お前は独りよがり所か、見栄っ張りの腰抜けになっちまうぞ?それでも良いのか?」

 

そうか、とキリトは内心膝を打った。強引で非情な方法ではあるが、効果的だ。ベータテスターを吊るし上げるべきだと主張する派閥のトップであるキバオウに二者択一で迫り、己の非を皆がいる前で認めさせる。もしディアベルに制裁を加えようとすれば攻略に参加したプレイヤーとの軋轢は甚大な物になり、いずれは排斥されて誰にも相手にされなくなる。逆に、何もしなければトールバーナでの彼の言葉は只の虚言となってしまい、彼のプライドはズタボロにされるだろう。どちらにせよ、ベータテスターとビギナーの溝は埋まって行く。

 

トールバーナでわざとあんな大袈裟な口論を繰り広げたのはこの為だったのか。キリトはダンテの権謀術数にうっすらと恐怖を感じた。彼の頭の中は一体どうなっているのだ?

 

「何もしないか。そうか。ではこんな時こそ民意に問うてみよう。この場で、ベータテスターのディアベルを許さず、身ぐるみを剥がすべきだと思ってる奴は手を挙げろ。」

 

誰一人として手を挙げる物はいない。それだけディアベルが信頼されているのだ。

 

「よろしい。では今後はベータテスターとも友好的な関係を築く事をお勧めする。得はあっても損は無い筈だ。俺はこれで失礼する。キリト、先に行ってろ。門のアクティベートも任せる。俺は一人迎えに行く奴がいるんでな。アスナは、まあ俺達のパーティーから抜けたいなら好きにすれば良いが、もし近い将来ギルドに誘われたら断るな。お前なら幹部なんて簡単になれる。それだけ優秀なファイターだ。アディオス。」

 

こうしてSAOの攻略と言う途方も無い試練を乗り越える為の希望の火が灯された。

 

手を振りながら元来た道を辿り、最短ルートで第一層の迷宮区を出た。その出入り口では木陰に踞ったままのアルゴが眠りこけていた。外套が木々や茂みと絶妙な具合で溶け込み、上手い具合にカモフラージュしている。ボスが攻略されるのをそこで待っている間に眠ってしまったのだろう。

 

「・・・・・・こいつは・・・・・心配してくれるのはありがたいが、待ち方が不用心過ぎるぞ。」

 

指先で頬を小突いても全く起きる様子が無い。ぐっすりと寝ている。起こさない様にゆっくりと彼女を持ち上げ、米俵の様に肩に担いで始まりの街に戻った。そして転移門で次の層の主街区の名を口にした。

 

「転移、ウルバス。」

 

青白い光の奔流に飲み込まれ、一瞬にして第二層の主街区『ウルバス』に到着した。

 

「・・・・ここはベータとあまり変わってねえな、見てくれは。」

 

既にそこにはキリトが立っており、アスナもそこにいた。

 

「待たせたな。コイツ俺の事待ってるうちに眠っちまいやがってよ。で、アスナは結局俺達と一緒に来る事にしたのか?」

 

「そうらしいよ。」

 

「理由を聞いても良いか、アスナ?」

 

「私がソロプレイをしていたのは、モンスターに負けたりして死ぬ最後の瞬間までゆっくり腐って行くよりも私が私自身でいたいと願っていたから。でも、ダンテさんの言葉で目が覚めました。生けとし生ける物は命あっての物種。死んだら、私のアイデンティティーが無くなっちゃうって気付いたんです。」

 

アスナの答えを聞き、ダンテは満足げに何度も頷いた。

 

「そうそう、その通り。ゆとりも大事だ。やっぱお前、大物だな。ウチのパーティーにいてくれれば頼もしいよ。あ、じゃあ、たまにで良いからキリトの相手もしてくれないか?人付き合いになれる為にもさ。」

 

「分かりました。」

 

ダンテの差し出した手を握り、アスナははにかんだ。キリトは子供扱いされているのが気に食わないのか小さく顔を顰めていたが、目は新しく仲間が出来た事を素直に喜んで笑っている。

 

「さてと、初のフロアボス勝利だ。祝おうじゃないか。支払いは俺が持つ。」

 

「それは別に構いませんけど、その人はどうするんですか?」

 

「起こしとくよ、心配しなくても。あ、ちなみにコイツはアルゴな?俺やキリトと同じベータで、リアルでもこっちでも俺のイイ人。ほれ、起きろコラ。」

 

アルゴを肩に担いだままその場でジャンプし、彼女を揺すった。寝ぼけた声を上げながら目を擦り、今の自分の体勢に気付いた彼女はダンテにしっかりと抱きついたまま離れなかった。

 

「一途に待ってくれるのは男冥利に尽きるが、場所を考えろ、場所を。上手い具合に隠れてたから良かった物の、あんな所で下心丸出しのプレイヤーに見つかってみろ。何されるか分かったもんじゃねーぞ?」

 

「ごめン・・・・」

 

「まあまあ、ダンテ。アルゴもお前の事が心配だったんだから。ああ、それとアルゴ、暫定だったパーティーが暫定じゃなくなった。俺とお前、キリト、そして新たに加わったのがこのビューティフルな女の子、アスナだ。」

 

「アスナです。よろしくお願いします、アルゴさん。」

 

「ん、よろしくナ。アスナだかラ・・・・・アーちゃんだナ。」

 

「ア、アーちゃん・・・・・?」

 

突然付けられたあだ名を聞いて困惑するアスナ。予想通りの反応にダンテとキリトは笑いを堪える。

 

「あー、あんまり気にするな。こいつの癖でな。まあまあ、兎に角祝いだ、祝い。男女二人ずつで丁度良いし。その後はまあ、宿でゆっくり風呂に入って休息を取って、武器のメンテをやったらクエスト」

 

「ちょっと待って下さい。今何て言いました?」

 

ダンテの言葉を遮ったのはアスナだった。凄まじいスピードで詰め寄って来る。

 

「ん?だからクエストを・・・・」

 

「その前です!」

 

「えーっと、武器のメンテ?」

 

「その前です!」

 

「宿でゆっくり」

 

「行き過ぎです!!」

 

とぼけるダンテに痺れを切らして更に大声を張り上げるアスナ。とうとう笑い出してしまったダンテは腹を抱えて謝った。

 

「あーいやいや、すまんすまん。余りに必死なもんだからつい癖でな。風呂なら行く所行きゃあ入れるぞ。俺もよく使ってる。まさかあるって事知らなかったのか?」

 

アスナは決まりが悪そうに目を逸らした。

 

「まあまあ、良いじゃないカ。俺っち達も最初はこんなもんだったからナ。気にする事無いゾ、アーちゃん。それが普通だからサ。」

 

「よしとぉ、ついて来い。いい店がある。」

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