ソードアート・オンライン~The Devil May Cry (リメイク) 作:i-pod男
今回は黒猫ギルドのメンバーと会う前の前振りストーリーみたいな物です。
鬼いちゃんの登場もまだ先になりますので、悪しからず。
ではどうぞ。
2023年4月8日
第十一層の主街区『タフト』は建物や道の大部分が煉瓦や石で出来ており、若干フランスの郊外を意識してデザインされている様だ。
「なあキリト。リアルに戻ったら、俺はヨーロッパ巡りをしようと思う。」
「何だよ突然?」
「ヨーロッパは美味い飯が一杯あるからなあ。一回上司がロシアから取り寄せたハイプルーフのウォッカを土産に貰ったんだが、すげえ美味かったぜ。後はフランスのラム肉だろ、ドイツのザワークラウトとバームクーヘンだろ?後、バイクの性能がヤバいんだ。イタリアのドゥカティー1098の最高速度は時速二百七十キロで、アウトバーンを思いっきりぶっちぎりたい。気分爽快だぜ。」
恍惚な表情を浮かべるダンテは何らかの薬物中毒に陥ったかの様に目が空ろになり始めるが、アスナに脇を強めに肘で小突かれて我に帰った。
「それは兎も角、これからどうするキリト君?今更観光ってのもね。アルゴさんは風魔忍軍の皆と下の層にいるプレイヤー達に情報を配布するのに忙しいからお買い物も一緒に行けないし。」
それを聞いて、ダンテは良い考えが浮かんだ。悪戯っぽい笑みを手で隠しながら考えを巡らせる。どうせならこの二人をくっつけてしまえば後々弄くり甲斐が増す。
それに加え、バージルとの死闘の一部始終を話さなかったあの一件以来、アスナは以前よりもダンテを更に信用しなくなり敬遠し始めた。嫌われるのは慣れっこな為本人は別に気にしなかったが、全員の居心地が悪くなるとキリトが取り成してくれたお陰で多少はマシになった。
「だったら一緒に行ってやれよ、キリト。」
「え?俺が?何で?」
色恋沙汰は数多くして来たダンテからすればキリトの受け答えはあまりにも鈍過ぎる。まさか自分の意図にすら気付いていないのか?もどかしさを覚えながらもダンテは言い募った。
「何でってそりゃ決まってるだろうが。護衛も無しで美女に荷物を一人で持たせるつもりかよ?それに一人で回ったって面白くねえぞ。もしかしたら新しくフレンド登録してくれる奴もいるだろうしな。」
「フレンド登録なら風魔忍軍のカゲマル達がいるだろう。」
「あいつらは言うなればビジネスパートナーだ。関係は確かに友好だが、パーティーメンバーじゃない。あくまで出来るだけ多くのプレイヤーをアインクラッド攻略の為に生き残らせると言う一致した利害の元で協力関係を築いている。後は、そうだなあ。二人位は壁に出来るパワーファイターが欲しい所だ。一人は目星がついているが。」
浅黒い肌を持ち、ダンテすら超える斧を持った巨漢の男を思い出した。そう言えば、ボス攻略以来はしばらく会っていない。どうしているのだろうか。
「つー事だ。俺がいない方がアスナもすっきりすると思うし。」
根が真面目と言うのも考え物だ。本人は否定しているが、ダンテはアスナがあの一件の事をまだ根に持っている事を見抜いていた。元々性格的にダンテとアスナの相性は悪い。基本的にダンテも根は真面目だが真面目にしている所を見せた所はほぼ皆無であり、逆にアスナは根は真面目で性格も頑固だ。ダンテみたいに緊張感の欠片も見せずにヘラヘラしている人間を見ると、それだけで神経を逆撫でされてストレスが溜まるらしく、アルゴとキリトも今まで対処に手を焼いていた。一緒にいるだけでストレスが溜まるなんて一体どう言う体質なんだと言いたくなるが、たまにこうやって自分が暫くの間消えていれば丸く収まる為には仕方の無い事だった。
だが、その割に戦闘となると意外とコンビネーションは良い。何とも不思議な物である。
「あの事を話せば彼女もきっと納得してくれる。」
あの事。つまりダンテの生い立ちである。キリトは今の今まで伏せていたが、何度も打ち明けようと思った。だが本人のプライベートな事を許可無く話す訳にも行かず、板挟みの状況に苦しんだ。
だが、ダンテはキリトの言葉に頭を縦に振る事はせず、ヒラヒラと手を振って二人を残して人込みの中に消えて行った。ああ言う頭が堅いタイプの人間にこんな話をした所で信じては貰えないだろうし、たとえ話して信じたからと言って態度が百八十度変わるとも思えない。あのアルゴにさえも話した事の無い、それだけ暗く、重い過去なのだから。
「それより気になるのは、アレだな。」
それは兎も角、ダンテはもう一つ気掛かりな事があった。まだ第二層にいた頃、強化詐欺と言う事件があった。ダンテのパーティーでこの強化詐欺の被害に遭ったのは、なんとアスナだった。この手の事には一番引っ掛かり難そうな人物が見事に引っ掛かった事はかなり意外で思わず笑ってしまいそうになった。だが、ダンテの興味を引くには充分だった。
武器と言う物は総じて強化する事が出来る。それに必要な素材と強化手数料を払えば、NPCではなくプレイヤーに依頼する事が可能なのだ。だが当然ながらリスクはある。強化の成功の確率は素材の量もそうだが、最終的には強化を行うプレイヤーのレベルの高さが成功と失敗を分ける。加えて、強化出来る回数にも当然ながら限界がある為、その上限を超える強化をしてしまった場合は武器その物が破壊されてしまう。それを利用したトリックで強化上限を超えた武器を強化依頼で提出された武器とすり替えて奪っていたのだ。暫くの間その鍛冶屋、『ネズハ』を張り込み、暫く彼が強化を依頼された武器の種類、時間、素材の持ち込み、強化の成否等を事細かに記した。
その間にも自分も制作に加わったゲームのルールとカーディナルシステムのルールを思い返して行き、遂に思い出した。プレイヤーのストレージにあった物をオブジェクト化して放置した場合、一時間以内ならばアイテムの所有権は失われない。ギリギリの所でアスナのレイピア『ウィンド・フルーレ』は奪われずに済んだ事に一同は安堵した。
だがダンテは違った。自分が設計に加わったルールブックに不備があったと言う事は、システムのアンチクリミナルコードによって止められない不正行為が横行していると言う事だ。情報を扱う仕事をしている者としてそれをそのままにしておく事はプライドが許さず、何よりあんな輩に出し抜かれた事自体が腹立たしかった。
プライドを傷つけられた私怨を大義名分にネズハと彼が加入していたギルド『レジェンドブレイブズ』のメンバーを徹底的に追い詰め、絞り上げた。彼らの証言では、黒いフード付きのマントを身に付けた三人組の男のリーダーらしき男にそそのかされてやったらしい。他に特徴らしい特徴は、自分達をそそのかした男は流暢な英語以外に聞き慣れない別の言語を喋ったと言う事。
「黒いフードの男三人組・・・・幾らなんでも情報が少な過ぎる。顔も名前も無しなんて、探すのも一苦労だな。リーダーの奴は英語以外の言語も堪能・・・」
他の二人は兎も角、リーダーはまず間違い無く自分と同等の切れ者だ。三ヶ国語を操れる学力もそうだが、的確にシステムの穴をすり抜けて犯罪を成功させたと言う思考の柔軟性も目を見張る物がある。現実世界ではネット関係の仕事か、はたまた昔の自分の様にハッキングやクラッキングで小遣い稼ぎをしていたのか。どちらにせよその類いの事に関してはベテランである事も確定だ。
退屈しのぎに呼んだアーサー・コナン・ドイルの小説に登場する男とその異名を思い出した。ジェームズ・モリアーティー、『犯罪界のナポレオン』。
「ハッカーとの勝負か・・・・・良いねえ・・・・・!よろしいんじゃないでしょうか?俄然やる気が出て来たぜ。」
さしずめ自分は彼のライバルであるシャーロック・ホームズなのだろう。もっとも、間違い無く彼よりも性格がエキセントリックである事は間違い無いが。
「一体どんな奴なんだろうなあ?俺みたいに頭のネジが幾つか外れてりゃあ良いんだけど。」
相手が自分と同じかそれ以上にエキセントリックな相手であります様にと期待で胸を膨らませ、フィールドへ向かった。
キリトは結局アスナとアイテムやNPCの店に出されている武器などを見ながら街を回っていた。だがキリトは心中穏やかではなかった。やはりダンテとの会話で知った彼の過去が深々と胸に突き刺さっている。あれだけの事を経験しながら今まで生き伸びた彼の心はどれ程荒んでいただろうか?発狂してもおかしくない。もしかしなくても、自ら命を絶とうと思った事も少なくはない筈だ。なのに今でもこうしてSAOでも屈託ない笑みを浮かべてデスゲームを踏破して行く。
彼の事を話せば、あるいは・・・・・
「キリト君。キリト君てば!」
「へ?」
アスナの呼び掛けが彼の思考を中断した。
「どうしたの?ボーッとするなんて珍しい。」
「大した事じゃないよ。ほら、強化詐欺の事を思い出しててさ。敵はモンスターだけじゃないって改めて考えると気が重くてね。こんな状況だからある意味仕方無いけど。で、何だっけ?」
「だーかーら、服の話よ。キリト君だけじゃなくてダンテさんも、宿でもずっと装備付けたままでしょ?何か落ち着かないのよ。だからゆったりした普段着とかでも買いたいなって。」
「普段着って・・・・まだギルドホームも無いのにストレージのスペースを無駄に消費したくないんだけど・・・」
「じゃあ良いわよ、自分の分は選ぶから奢って。」
昔に比べて随分と丸くなったのは良い事だ。年頃の喜怒哀楽が激しい反応もする様になったが、これは逆に満喫し過ぎなんじゃないか?キリトはアスナの変わり様と奔放さに頭痛を覚えながらも渋々頷いた。
「キリト君はこれと、」
トップは赤いリボンがあしらわれた白のチュニック、ボトムスは膝上まであるデニムらしき短パンにニーソックスを身に付けたアスナが試着室から現れた。
「これと、どっちが良いと思う?」
再び試着室の奥へと消えると、今度は履き物はそのままに短いタートルネックの薄い黄色のセーターと焦げ茶のスカート姿を晒す。
キリトは即座にどれとは即答出来なかった。勿論この様に女性の買い物に付き合うのも全くなれていないと言う事もある。だが、今までモンスターと戦う為の装備を身に付けた姿しか見た事が無い為その新鮮さに改めてキリトの開いた口が塞がらなかったのが一番の理由だ。
どの服でも全く違和感無く着こなせている為、どれが一番似合うかなど即断出来る様な物でもない。
「ん〜〜〜・・・・どれも似合うんだけど、どっちかって言われると迷うな。」
「もう、優柔不断ねえ。」
「買い物に付き合って人の服選ぶなんて事リアルでも殆ど無かったし、元々ファッションとかはあんまり興味無いんだ。それに優柔不断て言うけど、アスナってスタイルが良いから着こなすのが上手いんだよ。どれかなんてそう簡単に決めちゃったら、逆に失礼だと思って・・・・」
半ば言い訳じみた口調だったが、彼の言葉にアスナはほんのり頬が熱くなるのを感じた。名家で生まれ育ち、名家の一員として幼い頃から英才教育を叩き込まれて育ったアスナは今まで男など歯牙にもかけずに生きて来た。勿論、人並みに恋をしたいと思った事はある。だが終ぞ惹かれる様な男に会う事は無かった。
その所為で男からその様な事を言われるのは当然初めてでどうすれば良いか分からなかった。
「え、あ、うん・・・・・それは、まあ・・・・と、当然でしょ!」
照れ隠しにワザと尊大な態度で言い繕い、結局キリトはかなりの量を買わされた。
「はあ・・・・また狩りで稼がなきゃな。ダンテももうレベル二つ上がってるし。」
「え、嘘!?」
視界の左上にあるパーティーメンバーのHPバーと表示されているレベルを見ると、確かに40だった筈のダンテのレベルがいつの間にか42になっていた。
「〜〜〜〜ッあの人はもう!!いっつもいっつも勝手な事ばっかりして!」
マップを開いてダンテの現在地を確認すると、先程までのお淑やかさはどこへやら、大股でその方向に向かって歩き出した。
「行くわよ!」
何故こうも上手い具合に二人は馬が合わないのだろうかとキリトは頭を抱え、ダンテの追跡に乗り出したアスナの後を追った。
「あー・・・・憂鬱だぜ。」
現れるモンスターを片っ端から狩り尽くしているうちにポップが途切れてしまい、仕方なしに安全地帯で一息ついていた。
「使えるのはまだまだ先になる見たいなんだよなあ、コレ。」
木の幹を背もたれにして目の前に突き刺した剣、『リベリオン』を眺めた。スペックはやはり高く、RPG風に言うなれば『魔剣』と呼ぶに相応しい数値と見た目をしていた。長く、肉厚な刀身と刃の幅は一目見れば両手剣と見間違えてしまう代物だった。装備可能になるまでの要求値達成の道程は徐々に短くなってはいるが、それでもかなり時間が掛かっている。ネズハと彼の仲間をそそのかした連中の事を考え倦ねていても仕方無いと思って狩りを続けていたが、ちっとも気は晴れなかった。
むしろ苛立ちが募るばかりだ。心のオアシスであるアルゴも不在な為、更に心中は荒んで行く。バージルの事と言い強化詐欺の教唆を行った黒幕と言い、片付けなければならない事案の数は少ないが重大さは途轍も無い。
「飛んだ厄日だ。これじゃまるで開発研究部部長に着任した直後みたいじゃねえか・・・・」
イーグル9で部長のポストに登り詰めたそのほぼ直後、代表のセレッサが海外に売りに出すファイアーウォールのプログラム開発を言い渡された。出された条件もかなり厳しく、期限も半年と言う無茶振りだ。ダンテ自身が厳選した腕利きの社員達を集め、一日僅か四時間の平均睡眠時間を取りながら開発に成功した。
「さてと・・・・よっ。」
まだ使えないリベリオンが何時使える様になるか、そして一体どれだけの力を持つのか。いつかそれを目の当たりに出来る時を夢見ながら今気に入っている色に因んだ名前を付けられるクロム・シリーズの片手剣、『ソリッド・ヴァーミリオン』を装備し直した。
「おい、アスナ待てってば!」
「このぉ〜〜・・・・・馬鹿ベータテスター!」
経験値は殆ど敏捷値に振ってあるアスナは上空から得意のソードスキル『リニアー』をダンテに向かって繰り出した。
「ちょ、それはマズいって!?」
だがキリトの制止も空しく、アスナのレイピアの切っ先はダンテの胸に吸い込まれて行く。
「穏やかじゃないねえ。」
しかしダンテはそれをすっと右に寄って回避し、一回転すると左の後ろ回し蹴りを放った。足が青く光り、マゼンタ色に輝くレイピアを弾いてスキル発動を強制的にキャンセルさせる。
「おいおい、俺が近くにいたらイライラするだろうと思って気ぃ利かせて離れてたのに俺を嫌ってるご本人様が来たら意味ねえだろうがよ。」
「貴方が勝手にソロでレベリングをしてるからでしょう!?それじゃパーティーを組んでる意味無いじゃない!パーティーを率いるなら率いる者としてそれ相応に振る舞って,
責任を持って行動しなさい!」
未だにレイピアの切っ先をダンテに突き付けたままアスナは叫んだ。まるで婿養子をいびる小姑ですら負ける様な鋭い口調でダンテに迫って行く。本当に今日は良く外れクジを引く日だ。
ここが安全地帯だから良い物の、もしフィールドだったら彼女の声に反応してかなりのモンスターが挙って集まって来るだろう。
「率いる者として?すまんが、何か勘違いをしていないか?俺は別にリーダーって柄にも無い事をしていたつもりは無いぞ?まあ確かに俺はこの中じゃ年長者だし、唯一の世渡り上手な社会人だけど。仮にリーダーっぽく見えていたとしてもあくまで形だけさ。むしろリーダーなんてポジションは邪魔だとすら思うね。」
「え?」
「理由は集団思考を防ぐ為だ。先行する条件は、一、団結力のある集団。二、その集団が構造的な組織上の欠陥を抱えている事。三、刺激の多い状況に置かれる事。この場合俺はその構造的な組織上の欠陥となり得る要因はリ—ダーの出現だと思っている。」
パーティーリーダーと言う立場は当然ながら責任は重大だ。戦争の真っ只中にいる部隊長と同じで、このデスゲームで自分が率いるプレイヤー達の命を預かると言う事なのだから。そしてリーダーとなった者は時としてその権力を不適切に行使する事がある。それにより物事の決定は何らかの欠陥を孕んでしまう。それは不十分な目標の精査であったり、情報の取捨選択の偏見であったり、更には非常事態での不適当な対応であったりする。どちらにせよ、何らかの理由でパーティーに欠員が出る事は間違い無い。
ダンテの説明を聞きながら徐々に納得が生き始めたのか、少しずつレイピアの切っ先が地面に向かって行く。
「まあ当然ながら誰がなるかによってこれは変わる。俺は基本的に一方的な命令をしたりされたりするのが嫌いだからって若干エゴは混じってるけど真っ当な理由がある。あ、これは皆同じか。だろう?」
「・・・・・・分かりました。でもこれからはスタンドプレイは控えて下さい。一人でカッコ付けて戦う必要なんて無いんですから。」
背を向けてフィールドを出ようと歩を進めるアスナの言葉にダンテは絶句した。特に目立ちたがり屋の節がある上、男はカッコ付けてなんぼの生き物だと言うのが持論だ。その為、彼からそれを奪うのは人間から食物を奪うに等しい。反論しようと口を開いたが、折角溜飲が下がった彼女をこれ以上怒らせればそれこそ収拾がつかなくなると考え直し、黙り込んで主街区に戻る事にした。
一方、キリトとダンテの先を行くアスナはひねくれた発言をしてしまった自分に対して深い自己嫌悪に陥っていた。そしてトローワでアルゴが言っていた言葉を思い出す。
人は見かけによらない。悲しい事だが、当然なのに誰もが忘れがちな常識だ。人間は初対面の相手のイメージは表面の見極めから始まる。当然ながら他人の心を見透かす事は出来ない。それ故にバイアスが生じて否が応でも見かけや普段の行動、発言でどんな人間かを決めつけてしまう。今の自分が見事にそうしていた。
ヘラヘラしていて、不真面目で、本気で攻略に取り組んでいる人達が馬鹿みたいに見えてしまう。そんな性格の持ち主が実は一番このパーティーの事を気にかけ、空中分解を防ぎながらも生存率を確実に上げようと影から努力している。それを知り、自分が八つ当たりをする子供の様に思えてしまい、猛烈に恥ずかしくなった。
結局は自分の視野が狭かっただけに過ぎない。ダンテから見れば自分はまだまだ見聞を広めなければならない小娘なのだ。実際その通りだが。
「良かった・・・・・パーティーメンバー同士で戦闘なんて洒落にならないぞ。オレンジプレイヤーになったら街にも入れない。一歩でも踏み入ればNPCの衛兵に黒鉄宮送りにされるぞ。」
「え、そうなの!?」
後ろを歩くキリトの言葉にアスナは振り向きながら驚いた。
「知らずに攻撃したのかよ・・・・・」
真面目さが災いして暴走しがちなアスナに、ダンテは苦笑するしか無かった。だが帰る途中、アスナは遠方から悲鳴を聞いた。小さかったので上手く聞き蕩れはしなかったが、恐らく女性の声だ。
「今の、聞こえた?」
「ん?何が?」
ダンテも実は聞こえてはいるがワザととぼけた。
「声よ、叫び声。モンスターと戦ってるのかしら?」
「だとしたら放って置くべきだ。中層圏に攻略組が来るなんて事は攻略組を抜ける時以外は無いし、あまりいい印象は持ってもらえない。俺達の真意はどうあれ、向こうからすれば獲物を横取りしようとしているのと同じだ。」
だがアスナはダンテの言葉を最後まで聞かず、声がした方向へ走って行った。
よく考えると、何でギルド名が月夜の黒猫団なんだろうか・・・?黒猫ってジンクス気にする人に取っては疫病神も同然なのに・・・・
まあそれは兎も角、感想、報告、こう言うのが見たい、と言うリクエスト、評価など、色々とお待ちしています。