ソードアート・オンライン~The Devil May Cry (リメイク)   作:i-pod男

26 / 28
新年あけましておめでとうございます。また新しい年がやって参りました。

昨年は沢山の応援をありがとうございました。今年も拙作をよろしくお願いいたします。描写がかなり長ったらしいかもしれませんが、今回は初の一万文字越えをどうぞ。


Extra File #2: Sleepy Hollow Part 3

「妖婦ネヴァンってところか。西洋版の妲己、みたいな。」

 

「俺が嫌いなタイプだな。才色兼備とは程遠い。どこからどう見ても裏町の娼婦だろう。」

 

まるで安物の香水の匂いでも漂って来たのか、バージルは小さく顔の前を手で扇いだ。

 

「おいおい、食わず嫌いはいけねえぞ。魔性の女ってのはイイもんだぜ?・・・・まあ、やり方を間違えれば後が恐いがな。」

 

苦笑いするダンテの頭に真っ先に浮かんだ女は、イーグル9の代表取締役と人事部長を兼任しているセレッサ・ロダン・ヴィグリッドだ。一度飲み会で調子に乗って飲み過ぎてしまい、酔った勢いで一夜限りの情事に発展してしまったのだ。二日酔いで頭痛に悩まされたがあの時の彼女は『魔性の女』だった。恐らく自分から唯一主導権を奪い取った女だろう。あれ以来、本当の意味で頭が上がらなくなってしまったのは正に痛恨の極みだ。

 

「新調した『魔刀・五道転輪』を試すのには丁度良い。」

 

「相変わらず刀で通すか。ブレねえなぁ、おめえもよお。」

 

ダンテはリベリオンをクルクル回して切っ先を地面に突き立てると、そのまま身構えた。

 

「こちらが最も使い慣れているだけの事だ。Ready to die?」

 

「I was born ready, motherfucker. Let’s get this show on the road.」

 

 そう言い終わると同時に、ユニークスキル『スタイルチェンジ』の『ソードマスター』を発動し、居合のソードスキル『辻風』を発動して肉薄したバージルに対して反時計回りにリベリオンを高速回転させるソードスキル『プロップ』を発動した。逆袈裟に振り抜かれようとしたバージルの刃が上方に弾き上げられる。

 

「やっぱパワーだけならまだ俺が上みてぇだぜ。それと、顔面にご注意下さぁ〜い!Trickster!」

 

リベリオンを再び地面に突き立てると、スタイルを速度重視の『トリックスター』に変更し、技後硬直がそれを支えに飛び上がってノーガードとなったバージルとの距離を『ダッシュ』で瞬く間に縮めた。直後に単発の刺突『スティンガー』で更にバージルを大きく後退させるが、モンスターやアバター特有の手応えより堅い物を感じた。

 

「その分、俺の速さはお前より上だぞ?」

 

リベリオンの刃はいつの間にか腰から抜き取られた鞘の腹で受け止められていた。ダンテの硬直が解けない内にダンテは脇腹と顔面の順に納刀された状態の五道転輪で殴り付けられる。深く腰を落とすのを見てダンテは顔を顰めた。使える時間は僅かしか無い。防御重視のスタイル『ロイヤルガード』で出方を窺った。来るとするならほぼ回避不可能の居合いだ。

 

だが予想とは違い、バージルの標的はダンテではなくその後ろでネヴァンと戦っている彼のギルドメンバーだった。ユニークスキル『抜刀術』によって付加された飛ぶ斬撃が背を向けている彼らを襲う。

 

「てめぇっ!」

 

「その反応を見ると、お前と戦う口実を作る為にルール内容を変更したと思っていた様だな。だから貴様はぬるいと言うのだ。」

 

『クイックスター』で斬撃の進行方向へとギリギリで回り込み、『ロイヤルガード』でHPを削られる事無くそれらを全て受け切った。その直後に再び『ソードマスター』に切り替え、連続で突きを放つ『トリリオン・スタッブ』を繰り出す。

 

「そこまで落ちるたぁ思わなかったぜ。お前は俺を殺せさえすればそれで良い筈だろう?何で奴らまで巻き込む必要がある?」

 

「何度も同じ事を繰り返させるな。俺はゲームのルールに従っているだけだ。」

 

バージルはそれを鞘と篭手で受け流しながら冷ややかに受け答えした。その返答にダンテの表情は険しさが増し、口調も更に粗暴な物に変わる。

 

「てめえが内容とルールを変更したのは()()()()()()だろうが。最初の内はてめえとタイマンを張り合ってた。それだけならまだ良かったが、もう許さねえぞ。親父ですら越えなかった一線を越えてその更に先に行っちまった以上はな。」

 

「そうさせたのはお前自身だ。それにお前から許しなどいらん。許しを乞わなければならないのはお前だろう。母さんを殺し、父さんを死なせた。平穏な世界を破壊したのはお前だ。この・・・・悪魔。」

 

ダメージを多少受けはした物の、嵐の様な刺突攻撃の全てを紙一重で搔い潜り、バージルは大きく踏み込んで体術スキルの『エンブレイザー』を発動して黄色に輝く右の手刀をダンテの腹目掛けて叩き込んだ。

 

「Royal Guard!」

 

ギリギリ防御が間に合って本来受ける筈の物とは比べ物にならない位少ないダメージに留まった物の、装備している篭手の効果によって齎される効果なのか、かなり後ろまで飛ばされた。逆上がりをする様に両足を上に向けて振り上げ、バク転をして着地した。ちらりと横目でボスと相対しているギルドメンバーの方を見ると、状況はあまり芳しくない様だ。今までの攻防の間、まだネヴァンのHPは一段目のバーが半分と少ししか減っていない。

 

「のわっとぉ!?」

 

ネヴァンのドレスの袖から雷を纏った小さな蝙蝠の群れ弾幕の様に辺りを飛び回り始め、部屋にいる全員に襲いかかった。丁度それを避けた瞬間、バージルの刀の切っ先が今しがたいた場所を通り、飛んで来た蝙蝠を斬り飛ばす。

 

「ダンテ、あいつの攻撃は絶対食らうな!高確率で麻痺かスタン状態になる!」

 

「ご忠告ありがとさん!回復と解毒の結晶アイテム残量は?」

 

「今の所はまだ全然使ってないから大丈夫です。キリト君の動体視力とスピードでどうにか攻撃パターンを少しは割り出せましたけど、あのボスのガード、凄く堅いです。このまま攻撃続けたら武器の耐久値の方が先に底を突いちゃいます。特に私のレイピアが・・・・」

 

「確かに、耐久値だけを見ればレイピアは弱ぇな。いやはや、ほんとめんどくさそうな奴だなあ。」

 

他人事の様に素知らぬ顔で返すダンテだったが、実際その程度で済む様な状況ではない。それに残念ながら今は彼らの状況に思考を裂いている余裕はほぼ全く無い。今出来る事はバージルの攻撃を食い止め、あわよくばどうにか動けなくする事である。

 

数秒程考えると素早くメニューを操作してリベリオンをしまい、武器を変更した。リベリオンが消える代わりに、幅が広い刀身を持つ色違いのシミターが二振り現れる。スピードだけなら『トリックスター』を使ってもバージルが上だ。ならばそのスピードでも避け切れないぐらい密度が高い手数で制圧すれば良い。

 

「確か第一クォーターポイントのボスドロップ、アグニとルドラか・・・・・俺を相手にそんな低級な武器を使うとは、俺も舐められた物だな。」

 

「ご心配無くぅ。手持ちの武器は全部ちゃーんと上げるべき数値(モノ)はほぼ限界まで上げて来てるんで。それに俺は格闘、刀と一本調子なお前と違ってオールラウンダー派なんだよ。オメーがミスるのを大人しく待つっきゃねえってのはかーなーり癪に障るが、腕を斬り飛ばす時の間抜け面を拝む為にはしゃーねえんだよなあ!」

 

『トリックスター』で再び接近し、左右のシミターで斬り掛かる。二つ共曲刀カテゴリの武器で字面の如く反りが入っている為、片手剣に比べると全長は短くその分取り回しがより容易だ。武器を変えた事によって上がった攻撃速度に物を言わせて凄まじい連撃を雨霰とバージルに浴びせて行く。

 

「オールラウンダーだと?笑わせるな。器用貧乏の間違いだろう?お前は昔から何時もそうだ、退屈を忘れる為ならば大抵の物には何であろうと手を出す。それに熱しやすく冷めやすい、何もかもが中途半端だ。」

 

攻防の末に互いに一撃ずつ決まり、両者とも再び距離を取って得物を構え直した。

 

「ケッ、生き物なんざ中途半端がデフォルトなんだよ。」

 

聞き飽きたとばかりにダンテは口元から目尻にかけて出来た傷を舐め、そのままそれを地面に吐き捨てた

 

「お前は以前言ったな。父さんと母さんの死の責任は自分にあると。」

 

高枝切り鋏の様に交差させたアグニとルドラを五道転輪で受け止め、二人はそのまま鍔迫り合いを始める。

 

「ああ、言ったさ。それが何だ?」

 

「あんな事をしておきながら何故のうのうと生きていられる?本当にそう思っているなら、この場で俺に介錯されるか、いっそ一思いに自害しろ。そうしていれば俺達は刃を交える事も無いと言うのに。」

 

「死への覚悟なんて、あの日親父を殺した野郎をぶっ殺した時からずっとして来た。だがなあ、存在するかも分からねえ神でも地獄の閻魔大王でも、そうやって誰かに頼まれてくれてやれる程俺の命は安くねえ。その相手が続柄だけの身内だとしてもだ。」

 

「おい、ダンテ!!そこを離れろ!」

 

エギルの警告が背後から聞こえたが、今はそんな事を言ってる場合じゃない。だが、バージルは何かを察し、刀を収めて飛び退った。その目は今しがた立っていた地面に向けられている。ふとそこに目をやると、いつの間にか足元が黒く変色している。『トリックスター』のダッシュでその場から離れた直後、変色した部分がドーム状に膨れ上がってバチバチと紫電が走った。

 

「成る程、確かに麻痺・スタンってのは間違い無さそうだな。後、自殺なんざ論外だ論外。お袋は命と引き換えに俺にも生きるチャンスをくれた。それを見す見す捨てるなんざそれこそ罰当たりだぜ。」

 

だがこの時もバージルからは片時も目を離さず、警戒も怠らない。

 

「俺を殺そうとする今のお前見たら、お袋が泣いちまうぞ。親父も韋駄天並みの速さであの世から戻って来て俺らを追っかけて来る。俺がお前を殺さないのは二人を思っての事だ。手心でも何でもねえ。ミュージェンで俺に止めを刺さなかったのも、それに気付いていたからなんじゃないのか?でもお前とやりあってる時が一番楽しい。本当に、何よりも。それこそ下手すりゃパソコン弄ってる時よりもな。」

 

当初の言葉とは裏腹に、バージルの目の前でダンテの顔は満面の笑みに変わっていった。退屈を忘れる為ならば何でもする、狂気に満ちたあの見慣れたサイコな笑顔ではない。ようやく探し求めていた遊び相手を見つける事が出来た事実に喜ぶ子供の様に純粋な物だ。

 

「You psychopath(サイコ野郎め)・・・・」

 

ミュージェンでの一件で止めを刺さなかった図星を突かれ、ダンテのあの笑顔を見ているとバージルは何故か無償に腹が立った。自然と刀を握る手に力が籠って行く。

 

「I’Hey, you can choose friends but not family. If I’m a psychopath, what does that make you? Besides, we’re more alike than you care to admit(おい、友達は選べても家族は選べないぜ。もし俺がサイコ野郎なら、お前は一体何だよ?それにお前が思う以上に俺達は似た者同士だ)。」

 

「Enough(黙れ)!」

 

刀のソードスキル『緋扇』を発動し、ダンテに斬り掛かって行く。

 

「Swordmaster!」

 

アグニとルドラの柄を押し当てると、その場で高速回転を始め、飛び上がった。バージルの斬撃は二本のシミターの刃に沿って受け流され、逆袈裟に振り抜かれる刃で吹き飛ばされた。その先にはドレスの袖を巨大な黒い刃に変えたネヴァンの攻撃が迫っていた。

 

「おっとと。Trickster!」

 

射線状にトリックスターで回り込み、体術スキルの『掌撃』でバージルを部屋の隅へと吹き飛ばした。

 

「痛めつける事はしても殺しゃしねえよ。けど、しばらくは大人しくしてもらうぜ。」

 

投剣スキル『シングルシュート』でピックを十本程丁寧にバージルの脚や背中目掛けて投げつけた。それら全てにはエギルが風魔忍軍きっての職人プレイヤーから仕入れた特性の麻痺毒である。麻痺耐性があっても数分は動けないだろう。

 

「貴様ぁっ・・・・・・」

 

恨みの籠った視線をダンテに向けながらバージルは体を動かそうとする。だが麻痺毒の所為で体の自由が全くと言って良い程利かなかった。

 

「俺が嫌いなら嫌いで良いさ。恨みたきゃ好きなだけ恨め。死に際でも恨め。恨んで、生きろ。俺への恨みがお前を生かす糧なら、それで良いさ。」

 

更に回復アイテムに暫く手を出すのを防ぐ為両腕を切り落とすと、ポーチから回復結晶を取り出して互いのHPを全快させた。

 

「ちなみに、俺もてめえなんか視界に入れたくない位に大っ嫌いだからな。こいつは暫く借りるぜ。」

 

バージルの切断された手から零れ落ちた五道転輪と鞘を拾い上げ、背を向けた。

 

「おいお前ら!とりあえず暫くの間コイツは動けなくした。加勢するぜ!」

 

「やっとかよ、待ちくたびれたぜ。」

 

エギルが大きく息をつきながら後ろに下がった。見ると、既にHPがレッドゾーンに差し掛かった状態だ。麻痺のデバフアイコンもHPバーの右隣に現れている。恐らく今までネヴァンの直接攻撃が来る度にそれを受け止めるかソードスキルで強引に弾き、更にスピードファイターであるアスナとキリトの攻撃を通り易くする為に特攻の役目まで買って出たのだろう。

 

「疲れてんな。歳か?」

 

「馬鹿言え、俺ぁ大学じゃアメフトのラインバッカー張ってたんだぜ?ここに閉じ込められる前はずっと筋トレは続けてたんだ。この程度で息が上がってちゃ立つ瀬がねえ。」

 

ダンテは何も言わずに労いの意を込めてエギルの肩を叩き、解毒結晶と回復結晶を押し付けて前に出た。

 

「まあ、大丈夫な内に休んでおく。ゲームでもリアルでも、駄目になってからじゃ遅ぇからな。危険手当含めた手間賃、請求するから覚悟しろよ。」

 

「金額でちとばかし歩み寄ってくれたら、幾らでもくれてやる。うっし、背中叩いて喝を入れてくれ、喝を。ようやく色っぽい女の相手が出来るんだ。しっかりとした状態で挑まなきゃあ失礼だ。」

 

よーし、とエギルはバスケットボール選手顔負けの巨大な手を振り上げ、力一杯ダンテの背中に叩き付けた。痛覚などの神経は現実世界にも影響を及ぼす為にカットされているが、その衝撃を感じて満足そうな顔つきで刀の鯉口を斬った。

 

「ありがとさん。キリト、アスナ!ちぃと休んでろ!それからアスナ、武器を替えたきゃ早くやれよ!まだまだこいつの相手は終わってねえからな。ガード崩しは俺に任せろ。永久封印する釣ってた側から使う事になるとは思わなかったけど。Trickster!」

 

全力疾走しながらダッシュを初め、ぐんぐんネヴァンとの距離を詰めて行く。ようやく二本目のHPがイエローに差し掛かった所だ。

 

ダンテはミュージェンで二度と使うまいと決めた刀専用のスタイル『ダークスレイヤー』を発動した。

 

「やれやれ、剣術はマジで久し振りだから出来るかどうかは分からんが・・・・やるしかねえよな。」

 

ぼやきながらも擦れ違い様に三度ネヴァンを斬りつけ、再び納刀して居合いの単発ソードスキル『絶呼断空』を発動した。群青色の光と共に鞘から抜き放たれる一閃は大きくネヴァンの防御を崩した。その証拠に身に着けているドレスの袖やスカートの一部がボロボロになって行く。そしてHPバーの隣にスタン状態にある事を示すアイコンが現れる。ネヴァンもまるで酩酊状態に陥ったかのふらふらしており、攻撃もして来ない。

 

「おい、エギル!ガード崩してダメージが普通に通る様になるまでソードスキルとシステムアシスト無しの攻撃、何発いった?」

 

「悪いがそこまでは正確に覚えてねえ!けど、間違い無く二桁辺りだ!」

 

バージルの隣で麻痺毒の瓶にピックを浸しては突き刺しを数分置きに繰り返しているエギルがそう叫び返した。

 

「だと思ったよ、クソッタレ!なら完全に引っ剝がれるまでぶち込むだけだ!」

 

やはり一撃の強さに重きを置く刀では効率が悪い。加えて何度も打ち合った所為で耐久値も低い。無茶をすれば間違い無く折れてしまうだろう。鞘に納めたまま刀を後方へ投げ捨て、再びアグニとルドラの連続攻撃で強引に防御を崩しに掛かった。

 

「あー、もう周りを飛び回ってる蝙蝠がクソウゼェ〜〜〜〜!オラオラオラオラァ!!」

 

崩れた所でスイッチしてキリト、アスナの両名が素早い得意のコンビネーションで追い討った。だが攻撃を終えたその刹那ネヴァンの体から雷が天井に向かって迸り、更に床全体が白熱して思わず目を覆ってしまう。そして次の瞬間、静電気が走ったかの様なバチバチと言う音が聞こえ、体の自由が奪われた。

 

「な、に・・・・!?」

 

「い、今の攻撃は・・・・!?」

 

「床全域って冗談キツいぞ・・・・・」

 

アラストールを装備していたキリトは麻痺のデバフには大した抵抗を感じずに解毒結晶を使ってアスナとダンテの麻痺を回復し、自身は解毒のポーションを使った。

 

「ああ?何でだよ。」

 

「体術スキル習得してるの俺とダンテとアルゴだけだ。」

 

「・・・・・成る程・・・・・今この場で壁走り(ウォールラン)が出来るのは俺達だけって事か。まあエギルやあいつは良いとして、キリト、お前は走る時にアスナ抱えろ。」

 

「抱え、やですよそんなの!?」

 

露骨な嫌がりようにキリトは心の中で少しへこんだ。

 

「しかたねえだろ?俺切り込み役だぜ?今は俺、両手塞がってるしさ。それにお前、俺らん中じゃ一番体重軽いだろ?敏捷寄りのレベル上げで来たキリトでも絶対余裕で持ち上げられるって。腕力はあるだろうが?アラストルの要求値って結構高いのに普通に使いこなしてるみたいだしさ。それに、美人をお姫様だっこしたいってのは男のロマンの一つなんだぜ、知らなかったか?頑張りたまえ少年よ。」

 

何時もの事だが屈託無く笑いながら全く関係無い事を汗一つかかずに宣えるこの胆力の源は一体何なのだろうか?

 

全くもって異性に興味が無い、と言ってしまえば嘘になる。確かにアスナは十人に尋ねれば十人とも出来る事ならば恋人にしたいと答える位に魅力的だ。だが今まで戦った事も無い様なボスと戦っているこの生きるか死ぬかの状況で言う様な事ではない。

 

だが言っている事には何時も彼なりの理屈が通っている上、否定出来ないのが悔しい。

 

「ほぅら、また来るぜ!」

 

グズグズしてはいられない。

 

「アスナ、先に謝っとく。でも絶対に暴れないでくれ。」

 

「へ?」

 

アラストルを背中に差し、軽くアスナの脚を払って膝裏に右手を突っ込んで左手で背中を支えた。

 

「ちょ、ちょっとキリト君!?」

 

アスナの困惑した抗議の声など意に介さず、壁に向かって一気に走り出し、助走の勢いを利用して飛び上がって壁に脚をかけた。一歩、また一歩と垂直に壁を走る。落下と着地の事はその時に考えれば良い。今は兎に角走る。

 

「先に謝っとくって言ったろ?今は、これしか思い付く方法が無いんだ、よっ!」

 

限界まで走った所で壁を蹴り、下を見ると床全域の範囲攻撃が終わり、ダンテが相変わらずネヴァンの防御を切り崩そうと奮闘しているのが目に入る。着地して直ぐにアスナを下ろすとアラストルを抜いた。

 

「スイッチ!そろそろこいつらも限界だからまた武器帰るまで時間稼いでくれ!数秒で良い!」

 

単発の突進攻撃『ジェットストリーム』を最後にダンテの両脇をアスナとキリトが抜けた。

「「了解!」」

 

まずアスナが先陣を切り、細剣の突進ソードスキル『シューティングスター』でダンテがやる様に顔を狙って正確に目を潰した。次にキリトが怯んだ所を間髪入れず輝く水色の軌跡を残しながら『ホリゾンタル・スクエア』で腹、両脇腹、そして背中を深く斬りつけた。

「アスナ、何かダンテと同じ様に戦いがえげつなくなったな。」

 

「な、何よ!キリト君だって私抱えて壁走るなんて提案に乗せられた癖に!」

 

「いや、だって。モンスターとは言え女の顔狙うのってちょっと・・・・」

 

「良いの、モンスターだから!」

 

「お前ら、言い争ってる間にさっさと攻撃しろよ!」

 

遂に堪え兼ねたエギルが溜まらず叫んだ。

 

「えーっと、武器、武器。何か良いのは・・・・あ、これで行けるか。」

 

「「ダンテ(さん)、スイッチ(です)!!」」

 

「Alright, let’s do this!! Ha ha ha……ha-ha!!」

 

現れたのは全長が二メートル以上はある一本の白と金の槍『至高の純白(アルト・ビアンコ)だった。槍の穂先は先端に行くにつれ幅が広くなって行き、付け根の両脇に羽の形をした刃も付いている。

 

「槍・・・だと?!」

 

何故か一番驚いていたのはバージルだった。

 

「映画の見過ぎだよなあ、ぶっつけでコレ使いこなそうとするなんてさ。銃剣術なんて碌にやった事ねえし。」

 

ぶっつけと言いながらもまるで己の手足を操るかの様に槍を振り回した。助走を付けると、いきなりその槍を振り被ってネヴァンにむけて投げつけた。その直後に彼女は己の影の中に潜り込み、部屋の端へ姿を現すと開いた両手を大きく広げ、前に突き出した。

 

バチバチと紫電が走り、乱立した雷撃の柱が高熱レーザーのトラップよろしく縦、横、斜めと、ランダムにかなりのスピードで迫って来た。

 

「全員下がれ!キリト、アスナ、エギルとウチの馬鹿兄貴の方をカバーしろ!恐らくこの攻撃も部屋の端から端まで行く広範囲の攻撃だ!」

 

助走を付けると大きく振り被ってネヴァンに向かって槍を投げつけ、雷撃を回避しながら前進を始めた。踊るかの様に身を揺すって右へ左へと受け身を取り、時には軽業師の様に空中で回転しながらかいくぐって行く。槍は目標から逸れてネヴァンの左肩を抉った。

 

終始笑っているダンテを見兼ねたバージルは壁を背にした状態で麻痺した体に鞭打って立ち上がり、ポーチに手を伸ばしたが、やはり未だに麻痺で体が思う様に動かない。

 

「遊びおって、あの馬鹿め。」

 

そして自分のそばに寄って来たキリト達に目を向けた。

 

「おい、解毒結晶を寄越せ。奴のやり方では効率が悪過ぎる。あの網を搔い潜った所でまた影の中に潜り込まれて逃げられるのが落ちだぞ。」

 

キリトは無言で首を横に振った。

 

「奴と俺の因縁は貴様ら部外者には関わりのない事だ。知った所で理解も出来まい。」

 

「確かにそうかもしれないが、関係なら大有りだ!ダンテは俺達のギルドマスターだ、仲間なんだ!殺させはしない!」

 

「お前達は奴が負ける姿など想像もつかんのだろうが、奴とて俺と同じ人の子だ。まだ半分近くHPが残っているソードスキルを全く使わないボス相手に単身突っ込んで行く前人未到の命知らずさはいずれ奴の死因になる。大方玉砕覚悟でまだ見ていない攻撃手段を出させてパターンを記憶し、後衛に下がって俺の麻痺を持続させつつお前らに指示を出す。最終的にラストアタックボーナスを取らせてこの勝負に勝つつもりだ。だが、そうはさせん。奴を潰すのは俺だ。潰して良いのは俺だけだ。あの売女にそれを分からせてやる。奴との勝負はその後だ。」

 

「そんな言葉を信じられると思ってるのか?あんたは———」

 

「ああ、あいつと会う度に何時も殺すつもりで攻撃していたさ。」

 

しかしダンテの命が風前の灯になればなる程剣の動きが俄に鈍って行った。己の刃がダンテを切り裂く度に両親の顔が浮かぶ。それを頭の中から払拭しようと躍起になればなる程、追い詰めて行く程より一層鮮明になって行く。

 

まさか止まれと言うのか?自分から全てを奪った男を追うなと?今まで復讐心だけを糧に生きて来た自分に今更止まると言う選択肢など無い。

 

悪魔(おに)は・・・・・涙など流さない。」

 

泣きたくないから、今の自分()がいる。

 

全てを失ったあの日、これ以上無いぐらいに泣いた。だがその涙もやがて枯れ果て、誰よりも、何よりも、悪魔ですら自分を見れば裸足で逃げ出す位に強くなろうと誓い、修行に明け暮れた。やがて泣く事を忘れ、化け物に成り果て、成って果てる。自分の人生などそれで良い。

 

「デトックス。」

 

「アスナ!?」

 

アスナが解毒結晶を使った事によって麻痺が解けた。その行動の真意が分からず、バージルは眉を顰めた。

 

「嫌いでも、家族なんですから・・・・・・助けてあげて下さい。それに、貴方は悪魔なんかじゃありません。もしそうだったら四十九層でダンテさんを殺してた筈です。」

 

「・・・・手元が狂っただけだ。何度も言わせるな・・・・Devils never cry」

 

アイテムストレージから三尺八寸(約114cm)の太刀『浄刀・金剛夜叉』を取り出して腰に差し、ダンテが投げ捨てた五道転輪を拾い上げると助走を付けずに壁に向かってジャンプした。更に壁を足場に今度は体術スキルで蹴り、上空を舞う。

 

「嘘・・・・!」

 

「たった一回のジャンプで・・・・?!」

 

「あの高さじゃ間違い無く届くな。兄弟揃ってメチャクチャだぜ、全く・・・・・」

 

ネヴァンが影の中に潜り切る前に空中から『兜割』で真っ直ぐ斬り下ろし、着地と同時にダンテが投げ放った槍を回収して下がった。

 

「慣れん武器を使うからそうなるんだ、馬鹿め。」

 

「久々に使うから慣れてねえのは当たり前だバーカ。それにありゃ貫通継続でじわじわやってたんだよ。おめーだってさっきで刀の耐久値ゼロだろうが。達人が聞いて呆れるぜ。」

 

軽口を叩き合いながらも二人は迫る雷撃の柱とそれと同時に放たれる雷を纏った大量の蝙蝠を躱して行き、ネヴァンを追い詰めて行く。

 

「上に飛ばせ。」

 

「お前が仕切るな!」

 

槍の長い柄を足場にバージルは再び飛び上がると懐から五本の投擲用クナイを引き抜き、ネヴァンの顔目掛けて投げつけた。当然ネヴァンの周りに群がる蝙蝠の妨害によってそれらは全て弾かれてしまう。だが、その直後にダンテが槍を棒高跳びの棒に見立てて宙に躍り上がり、回転させながら渾身の突き『フェイタル・スラスト』をその上から繰り出した。

 

「まだだ!」

 

硬直が切れた直後に打ち上げ技の『浮舟』でネヴァンに逆袈裟の斬撃を食らわせ、距離を置いた。ダンテも着地と同時に下がろうとしたがソードスキル発動後の硬直でまだ一秒程動きが取れない。ネヴァンはその場で高速回転して黒い影の刃が迫る。

 

「Royal Guard!」

 

が、待っていたとばかりにそれをジャストブロックで受けるダメージをゼロにした。

 

「行けるぜ、ぶちかませ!」

 

「俺に命令するな。」

 

ソードスキルが立ち上がった所で抜刀術の移動技『刹那』の踏み込みで再び接近し、現在使える刀のソードスキルの中で手数と威力が最も高い『鷲羽』を放った。左逆袈裟、右逆袈裟、左への切り払いそして逆方向への切り払い。止めに大上段から刀を振り下ろす。防御していた蝙蝠はかなり減った。

 

「外すなよ?」

 

「誰に言ってんだ、てめえは?外すかっての。さて、美人のお姉さん。」

 

槍の穂先に光が集まり、ソードスキル『ダンシングスピア』を発動した。

 

「Let’s dance!」

 

素早く槍を突き出し、刃を地面に突き立てて両足での飛び蹴り、着地してもその勢いを殺さず回転しながら二度右に切り払い、最後にもう一度力強い突きを放った。

 

その一撃は蝙蝠の鎧を完全に剥がされたネヴァンの腹を貫き、HPもバーが残り二本だけとなった。

 

「槍を使うなら勝ち気で、狙いを定めて貫いて、長い物に巻かれるなってね。」

 

「俄仕込みの技がマグレとは言えよく通じた物だ。」

 

「ハッハッハッハ、シバくぞコラ。ソードスキルの名称、初動モーション各種を完全に記憶してる俺の実力だ、実力。さてと、当初の内容に戻ってコイツ倒した方が勝ちって事にしねえか?どこかの誰かさんが自分でセットしたルール破ったんだし?」

 

憎たらしい笑みを浮かべるダンテに再び殺意が芽生えたが実際その通りなので言い返せない。

 

「口の減らん奴だ。良いだろう。だが勝者の報酬は変えんぞ?」

 

「ご自由に。Freeze!」

 

ネヴァンに突き刺した槍をそのまま残し、飛んで来る蝙蝠をソードマスタースタイルの固有ソードスキル『ラウンドトリップ』を発動し、リベリオンを投げた。回転する巨大な剣は蝙蝠をほぼ全て撃ち落とし、再構築されたネヴァンの蝙蝠の鎧も一部削ぎ取った。

 

「うざったい鎧だな。」

 

ネヴァンはその場で回転し、地面から縦に伸びる鋭利な影の刃を放ち、二人を追跡し始めた。

 

「だからあの槍刺したままにしてんだよ、鎧の上からでも貫通ダメージを少しでも通せれば手間はちょっとだけど省けるし。しゃーねえな。」

 

ナイフ、ダーツ、ジャベリン、チャクラム等々、大小様々な投擲武器を取り出してそこら中に突き刺した。

 

「貫通ダメージを限界まで食らわせる。あ、止めは譲らねーからそのつもりで。後、背中にブッ刺さっても俺は責任取らねー。」

 

「元よりお前がそんなれだけで満足する程欲が無いとも、責任感があるともハナから思ってはおらん。」

 

リベリオンが戻って来た所でそれを近場に突き刺しておき、まず投げナイフを四本ずつ投げた。次にシングルシュートでジャベリンを投げる。三本は命中し、ジャベリンは当たる直前でネヴァンが影の中に潜りこんでしまい、ダンテの後ろに回り込んだ。

 

「上に飛べ。」

 

「ほいさっ!」

 

リベリオンを引っ掴みながらトリックスターの移動技『マスタング』でネヴァンを踏み台にして飛び上がり、その下をバージルが駆け抜けた。いつの間にか手にしたナイフ三本を突き立て、体術スキル『弦月』のサマーソルトキックを顎に叩き込みながら後ろに下がった。

 

「This is why I just l just love fighting(これだから戦うのが好きなんだよ、俺は)!」

相手の頭上に現れるトリックスターのスキル『エアトリック』で頭上に現れ、シングルシュートでようやく槍がネヴァンの胸を貫いた。技後硬直を落下中に消化しヘルムブレイカーで再び大きく鎧と共にHPを削る。

 

「Die!」

 

削った箇所を間髪入れずバージルが『鷲羽』で攻撃した。とうとうネヴァンのHPバーも最後の一本が半分だけに減った。ネヴァンは影の中に潜り込み、先程の剣戟と怒号、喧騒の嵐が嘘の様に辺りはしんと静まり返った。

 

「どこに行きやがった・・・?」

 

「全員背中合わせになれ!」

 

今までは自分達に全身全霊でもって注意を向けさせていたが、AIも学習する。キリト達も攻撃対象に含めている筈だ。どこから来る?

 

「小僧、どけ。」

 

「え?のわぁっ!?」

 

キリトはバージルの声で僅かに反応が遅れ、脚をすくわれた。影の中からネヴァンが姿を現し、キリトの臑に噛み付いた。彼のHPが減少するにつれ、ネヴァンの減っていたHPバーが回復している。

 

「こ、の・・・・野郎!」

 

応戦しようとした所で体が動かない事に気付いた。麻痺耐性はパーティーの中でアラストルを装備している自分が一番高い筈の自分が麻痺のデバフを受けているのだ。

 

「キリト君!」

 

「アスナ、エギル、どけ!」

 

だがアスナとエギルは既にソードスキルを立ち上げており、本人達ももう止められない。当然ネヴァンは影に潜って回避されてどちらの攻撃も空振りに終わってしまう。無防備になった所を二人共噛まれてしまい、同じ様に麻痺してしまった。

 

「ったく、あの馬鹿野郎共が!」

 

苦労して削ったHPはバーが下から二本目の半分まで回復していた。

 

「同感だな。」

 

ダンテはトリックスターのダッシュ、バージルは『刹那』で接近し、三人に解毒結晶を投げて寄越した。

 

「解毒は自力更生で頼む。」

 

「これ以上奴に回復されたら元の木阿弥だぞ。残りの投擲武器を全て命中させて貫通継続ダメージを与える事が出来ても、武器の耐久値の方が先に落ちる。」

 

「うっせーな。わーってるよンなこたぁ。神風特攻、やろうぜ?学生時代の十八番だろ?」

「品性の欠片も合理性の欠片も無い。まあ、今更四の五の言ってはいられんが。何を使うつもりだ?」

 

「ん?投擲武器とステゴロ。」

 

走りながらジャベリン三本を拾い上げ『スカイスター』で上空に飛び上がりながら石突を蹴ってそれを飛ばし、更にバージルが投げ上げたジャベリンをツインシュートで同時に投げつけた。

 

「確率計算は俺の得意分野だ。貴様が現れる場所など、」

 

再び影の中に逃げるネヴァンが出現する場所を予測し、目視もなしにその方向に抜刀術の飛ぶ斬撃を放った。直後にダンテは空中で回転しながら白く光る右足で全力の踵落とし『グラビドン』をネヴァンの脳天に叩き込んだ。

 

「うぉおおおおおおおおお!!!」

 

ネヴァンの背後からキリトが重い斬撃とタックルを交互に当てる『メテオブレイク』で突貫した。

 

「おおおりゃああああああ!!」

 

エギルも今までやられた狩りを何十倍にして返してやると言わんばかりの猛攻で攻め立て、最後はハンマー投げの様に斧を振り回して三度叩き付ける『クリムゾン・ブラッド』で締め括った。

 

「お前ら・・・・!」

 

「やられっぱなしは性に合わないんでな!」

 

「それに、さっき噛まれたお礼もキッチリしないと。」

 

「はああああああ!!」

 

アスナも二人の間をすり抜けて得意の『リニアー』の連続発動、そして最後に下段突きの『オブリーク』を放った。

 

「これでシメだ。」

 

青白いラインが三つネヴァンの体をなぞり、バージルが刀を鞘に納めた瞬間に飛散した。

 

「よ、ようやく終わった・・・・・・」

 

「し、しんどかったー・・・・」

 

「そんな事言ってる場合じゃねえぞ!?あいつがラストアタックボーナス取っちまったって事は・・・・!」

 

「そう、勝負は俺の勝ちだ。キッチリ報酬は取り立てさせてもらうぞ。」

 

ダンテは肩を竦め、ストレージから紙とペンを取り出してそこに何かを走り書きするとそれを畳んで地面に置いてその場に座り込み、頭を垂れた。

 

だが予想とは裏腹にバージルはその畳まれた紙を拾い上げ、転移結晶を取り出した。

 

「ここを出てからだ。」

 

「ああ?」

 

いつまで経っても攻撃が来ない事を不審に思って頭を上げ、ダンテは訳が分からず首を傾げた。

 

ここ(アインクラッド)では邪魔が入り過ぎる。お前の命を取り立てるのはここを出てからだと言っているんだ。それまで絶対に死ぬな。」

 

ラストアタックボーナスのアイテムをキリトに渡すと、小さく転移場所を呟いてその場から消えた。

 

「助かったん、ですよね・・・・・?」

 

「ああ。すまねえな、俺の勝手な賭けにお前らを巻き込んで負けちまってさ。挙句、見せ場も殆ど無しだった。ごめん。」

 

ダンテはその場で額を地面に叩き付けて三人に土下座した。

 

「お、おいおい待てよ。何もそこまで・・・・」

 

自分を起こそうとするエギルの手を振り払い、また頭を下げた。

「これはケジメだ。俺はあいつとの勝負の結果は運が良くて勝利、悪くて相討ちとまでしか考えていなかった。敗北が視野の狭さの証拠だ。負ける事すら想像してないなんて、頭が高過ぎるよな。」

 

「そうですよ、ダンテさん。その傍若無人で滅茶苦茶で傲岸不遜さがダンテさんの良い持ち味なんですから。」

 

「アスナ、誉めてるのか貶してるのか分からないぞ。」

 

ラストアタックボーナスを確認しようとオブジェクト化すると、キリトの手に巨大な鎌が現れた。元々この手の武器を使った事が無い所為で熟練度も極端に低く、あまりの重量にバランスを崩してしまう。

 

「んぐぎぎぎ・・・・!?」

 

「キ、キリト君!?」

 

「ちょ、アスナ、ヘルプ・・・・・」

 

必死に鎌を押しのけようと格闘するキリトをアスナが手を貸してようやくどける事に成功した。

 

「オブジェクトIDは・・・・・あれ、『ネヴァン』ってこれボスの名前だぞ?」

 

「まるでボスがそのまま武器に成って屈服したみてえだな。お?」

 

エギルはネヴァンに張り付いている紙切れを見つけ、それを開いた。

 

「ギルドの名前っぽい物と、後は日付とそれとは別の数字・・・・ってこれあいつが勝ったら渡すって言ってた物だぞ!?何で・・・・」

 

「乗せられちまった。」

 

「「「え?」」」

 

三人は訳が分からなかった。乗せられたとはどう言う意味だ?

 

「奴の目的は最初から情報交換だったんだ。あいつ一人じゃ犯罪者ギルドの一掃は不可能だ。追跡も一々面倒だし、疑われる可能性だってある。だから俺達攻略組に一網打尽にしてもらえれば手間が省けるって訳だ。そうすればあいつも俺達と同じ様に攻略と茅場の正体を暴くのに専念出来る。」

 

「誰なんだ?茅場がなりすましてるプレイヤーって?」

 

「聞いて驚くな?第一候補者は————」




や、やっとこの番外編が終わったぜ畜生め。

次回からようやく本編に戻れます。それでは、良いお年を!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。