素晴らしくもないダンジョンに   作:手前

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5 ステイタス

 

目が覚めてから、俺はまだ目を閉じ続けている。

お前変わるって覚悟したから早くダンジョン行けよって話なんだが、俺を引き止めるものがある。

ベットで寝ている隣で、ヘスティア様も寝ているのだ。

しかも何故か頭を撫でてくれてる。

動けるわけない。動いたら楽園が消えてしまいそうだ。

「なあ、カズくん」

「……」

申し訳ないが無視を決め込ませてもらう。

「…撫でるのやめるぞ」

「なんでしょうか」

「君は欲望に素直でありがたいよ」

笑いながらまだ頭を撫でている。

「あの、どういった経緯でこうなってるんだ」

「ああ、君が寝言でボクのこと呼んでたからね。気が効くだろ?」

天使か! てか俺の寝言聞かれたのが恥ずかしい、夢、夢って恐ろしいなぁ。

「…出会った頃の夢を見てました」

「あー、君がニートだった頃?ボクもあまり君を責めれないけどね」

「ニート言うな。…ヘスティア様もニートだったとかあるんですか」

思い出したくない事を掘り返されそうなので話を誤魔化すこととした。あとヘスティア様がニートな所も聞いてみたい。

「ボクも神友のところで一時期世話になってたんだよ。眷属が見つかるまでね。あんまりにも見つからないからボクもへそ曲げちゃってさ。ずっと部屋にこもっていたら追い出されたってわけさ」

「…俺を追い出さなかったヘスティア様は神の中の神ですよ」

「良い事言うじゃないか!」

あれだけ迷惑をかけていたのに、この神は本当にすごいな。

自慢げな様子を見て思っていた事が口から飛び出す。

「俺、ヘスティア様のファミリアでよかったです」

「へぁっ?!」

神は急な甘いセリフに狼狽えた。カズマは、その様子を伺い自分が何を言ったか思い出して、ベットから飛び起きる。

「あー! 俺ダンジョン行かないと! 行ってきますヘスティア様!」

「あ、ああ! 無茶するなよ! あとボクもキミがボクのファミリア(家族)でよかったよ!」

ドタバタと駆け出しの装備を付けながら走った。顔を覆う熱さはしばらく走っても離れなかった。

 

 

 

 

あ、財布

走り出して、お腹が鳴る頃に思い出す。俺、昨日財布をシルさんに投げて飛び出したんだ。

…取りに行こう……。

冒険者通りのまだ準備中の掛け看板が目立つ店、『豊穣の女主人』に向かう。

「あ、あのー、すみませーん」

「まだ準備ちゃうだニャーって! おミャーは昨日の太っ腹!」

「あ、いやあれ手違いでして…」

昨日財布ごと渡したのが太っ腹と勘違いされてる。俺、その財布取りに来たんです…。

「あ、カズマさん! 昨日は急に帰っちゃってびっくりしましたよ!」

「シルさん…昨日の渡したやつまだある?」

「財布のことですか? はい、ここに!」

そう言いポケットから出される俺の財布。

こういう時なんて言うんだ。返して下さいって言うのはおかしいよな。返却? いや財布ごと渡したのは俺だし…。

「ふふっ、そんな顔しなくても財布返しますよ。昨日の様子は変でしたし、何か事情があったんでしょう?」

ここにも天使が…オラリオには親切な人が多いなぁ。

「ありがとうございます! ところで俺、昨日の代金払いました?」

「ああ、財布から勝手に抜き取らせてもらったニャー!」

財布を開くと、中身の三分の一は消えている。昨日の値段を加味すれば当然だが、何か釈然としねぇ…。

「それじゃ、俺もうダンジョン行きますね、財布ありがとうございます」

「カズマさん、これどうぞ」

そう言い渡すのは昨日同様のバスケット。

「いいんですか!?」

「はい! 多分朝ごはん抜いてきてるでしょう?」

この人エスパーか。それとも神か。

「どっちもです!」

心を読んだかのような返事にビクッとする。

「もちろん嘘ですけど,カズマさんは特に、心の動きが体とかに良く現れますよね」

「ほんとですか? 俺駆け引きとか向いてないのか? まあ、お弁当ありがとうございます! 次来たときはいっぱい頼めるようにするからな!」

「はい! 期待してます!」

返事を聞き届けたらダンジョンに走り出す。

昨日と同じ、幸福な気分で。

 

 

「フッ、ヨイショ!」

今日はこんなものか。バックパックが重くなったくらいでダンジョンから上がることにした。

そういえば、俺はギルドで換金しかしてなかったが、エイナさんのところ全然行ってないよなぁ。でも小言がうるさいし…。久しぶりに行くかぁー。

 

「久しぶり、エイナさん」

「か、カズマくん?」

はいカズマです、と返事をしていたら両肩を掴まれグワングワンと振り回される。ちょ、吐きそうになる。バカ吐くだろやめろ!

「今までどこ行ってたの! 何やってたか話して見なさい!」

「うす…」

やっぱり俺を対応したのは説教モードのエイナさんの様だ。

 

「ーーとまあ、2日に1回死にかける程度であんまり変わり映えのない日々でしたよ?」

「…はぁぁ」

ため息をつかれる。そのため息で書類が何枚か揺れていた。

やっぱり説教モードじゃないか。

「あのねカズマくん。まだLv.1のソロだよね君は。なのに7階層まで潜るなんて自殺行為だよ!」

ソロなことは突かないで下さい…。努力してるんです。

「だいたい君はまだ冒険者になって1ヶ月も経ってないの! だから最初のうちは深くても5階層までって言ってるでしょ!」

へい、すんません。

「いつも言ってるでしょ! 冒険者は冒険をしてはいけないの!」

へい。

そんな調子で俺はエイナさんの説教に全肯定のハイハイマシーンとなった。

そんな事して一時間ほど。

「はぁ、せめて7階層行くなら、ステイタスがオールAになるか、サポーターでも一人雇ってから行きなよ?」

へい。

「お姉さんが言いたいことは以上! これからも頑張ってね。カズマくん」

「はい。ありがとうございますエイナさん」

何や感や説教は嫌いだけど、この人は気遣ってくれるからありがたい。

換金をして、自分の帰る場所へ足早に向かった。

 

 

 

「ただまー」

「おかりー、カズくん」

「随分と気が抜けてる返事ですね」

普段はめっちゃ元気におかえりが聞こえるのだが。

「キミも抜けたような声じゃないか…」

「俺は1時間の説教を受けてきたのでダレていて当然です。ヘスティア様は?」

「仕事でポカやって叱られた…」

「…お疲れさん」

ソファには白くなった神が項垂れている。

「あの、疲れてるとか悪いんですけど、ステイタス更新できます?」

「あ。そうじゃないか! キミ二日間くらい更新してないよね! どれくらい伸びるかな〜」

気分揚々、と言った感じに起き上がり、寝転がりたまえよとベットをぽんぽんと叩く。俺は倒れるようにベットに横になった。

よっと、と言いヘスティアがカズマの腰にのる。

柔らかい感触がカズマの腰にあるが…。

我慢だカズマ。我慢は大切だぞカズマ。

「おお! 結構伸びたね!」

 

カズマ・サトウ

Lv.1

力:G105→E412

耐性:G262→E496

器用:F213→D598

敏捷:G293→E452

魔力:I0→I0

 

〈魔法〉

【】

〈スキル〉

【    】

 

 

っ! トータル成長800オーバ! すごいな。これがスキルの影響。カズくんの努力もあるんだろうけど、すごい値だ。

「あー。今回は口頭でステイタスを使えるよ」

「へーい」

ステイタスの値を伝えていく。

「ーーってな感じで、カズくんはすごい今成長しやすくなっている。普通一週間更新を空けていたとしてもこれほど伸びはしない。多分今は成長期みたいなものだと思うぜ? だから今時期いっぱい頑張るように!」

「はーい」

「本当にわかってるのかい?」

今さっきから気が抜けた返事ばかりだ。

と、カズマの顔を覗き込むと…。

「…寝てる」

寝ていた。寝ている上で返事をしていたらしい。

「ま、良いか。おやすみカズくん」

そう言い、ヘスティアは愛おしそうに頭を撫でた。

 

 

 





評価に色がつき始めました! 嬉しい限りです!
あとお気に入りの登録も100行きそうで感謝感激でございます。
なんか、甘いこと書きたいですけど、ほんとうまく書けませんね。これは頑張るしかない。
感想やらお待ちしてまーす。

カズマの持ってるスキル変更していい?(無理がある気がしてきた。)(あと他の設定追加したい)

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