素晴らしくもないダンジョンに   作:手前

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6 怪物祭(1)

 

「そういえば、キミは怪物祭に行くのかい?」

「…え?」

ベットに寝転がり、本を横目に俺に確認してくる。

「いや、怪物祭って何ですか?」

俺はこっちに来たばかりだし、何一つ知っているイベントはない。全て初体験である。

「あー、怪物祭ってのはね。ダンジョンにいるモンスターを調教テイムするのを披露する祭り?」

なぜヘスティアも疑問系なのか、それはもちろんヘスティアも一度も参加した時がないからである。なんせヘスティアが下界に降臨して一年も経っていないのだ!

「疑問系なのかよ。でも異世界初のイベントだし、行きたいですねー怪物祭」

「そ、そうなのかい?」

俺の返事にチラチラと横目で見てくる。

「まあ、明日の稼ぎによりますよねー。今財布すっからかんなんで」

自嘲気味に蒸す。実際一日過ぎたら財布はすっからかんだ。

それに祭りは屋台で金を浪費するのが祭りの醍醐丸。その醍醐味を我慢するなんて祭りに行く意味の九割損をしている。

「ん〜、どうしようカズくん! ボク、キミと祭りを周りたい!」

その言葉に待ってましたと言わんばかりに瞬間的な反応をするカズマ。

「よし。俺今からダンジョン行くわ」

「い、今からかい!?」

現在、空は紅色になっている。しかも今日は一度ダンジョンに行って帰ってきたばかりだ。

ダンジョンへ行く準備をしようとした俺に声をかける。

「流石に今日はやめておけよ!? 明日がんばろうよカズくん!」

「…うす」

だいたい、祭りはあと三日後なのだ。ならこれからがんばろう。

明日頑張るために、早めに寝る事にした。

 

 

 

前日意気込んだからと言ってもダンジョンからの稼ぎは微量の増加だけで劇的に変わることは無い。そこらのバイトよりは稼ぎがあるとしても命の危機が常に付き纏うダンジョンでの稼ぎをやはりカズマは納得できないでいた。

副業でもやるかなぁ。でもダンジョン探索と両立できるような稼ぎの良い仕事なんて落ちても転がってもいるわけなく、悶々とした思いを抱えたままカズマはいつもの家に着いたのだった。

「ただまー」

「おかえりー! カズくんボクこれからパーティに行ってくる! 二、三日居ないかもしれない! お土産期待しててくれよ!」

「え何それは」

「じゃ行ってくるよカズくーん!」

えぇ…。

「いってらー……て、待てぇ! 俺今からここに一人かよぉ!」

まあ、それはそれで好都合なんだけどネ!!

女の子いるとできないことがいっぱいあるからね。カズマも男の子だもんね。早速何かしてやろうとあたりを見渡す。その時、作り置きしてある料理が目に映り、気分じゃなくなり寝た。

 

 

 

「急に出かけちゃったけど、カズくん大丈夫かな。でも『男児三日会わず足るやナントカカントカ』って言葉があるし、頑張ってくれよカズくん!」

大事なところが完全に抜け落ちた格言を思い出し、ボロボロな教会に別れを告げて歩きだす。向かうは神の集まり。ガネーシャ主催のパーティーだ。

待ってろよカズくん。きっと良いものを持って帰るさ! そう意気込みヘスティアは細い腕を空に掲げた。

ヘスティアの勝負はここからである。

「ヘイタクシー!」

手を挙げてタクシーを止める。タクシーとは物や人を運搬する人力者や馬車の事を神々がタクシーと呼び始めたのが始まりである。行先はパーティー会場。

 

着いた矢先、ヘスティアは料理が持ち帰り許可されているか聞き、自前のタッパーに料理を詰めていった。周りからヒソヒソと声がするが、月に一度とも食べれない高級な品々を前にヘスティアは気にせずタッパーに、そして口に料理を詰め込んだ。

「ひさしぶり、ヘスティア」

後ろから声がかかる。

「んグッ…ゲホゲホっ、ああ、フレイヤか」

「あんまり勢いよく食べると喉に詰まるわよ?」

「もうなったあとだよ…」

水をごくごく飲みながら応える。

「それはごめんなさい」

口元を隠し、少し笑った様子で話すフレイヤ。

やはりヘスティアは少しフレイヤが苦手だ。

「あら、あれロキかしら」

そう視線を動かす先にはまな板…ロキの姿が。

この後ロキとヘスティアの一悶着があったが、その途中でヘファイストスと合流することが叶った。

「その貧相な姿をボクの前に表すんじゃないぞっ!」

「うっさいわボケー!!」

負け犬が如く捨て台詞を吐き捨て、ロキは足音を鳴らし帰っていった。

試合に負けて勝負に勝ったヘスティアは引っ張られて赤くなった頬を撫でる。

「ロキも丸くなったわねー」

「あれで丸くなったのかい?」

「天界じゃ殺し合いもよくやってたし、丸くなった方よ」

不変である神もこれだけ変わる。やはり下界で過ごす時間はすごいと再認識できた。

「ところでヘスティア。私を探してたんだって?」

「ああ! キミに頼みがあるんだよ!」

「もうお金は貸さないわよ」

そんな事頼むか! っと否定を挟みたい気持ちが出てくるが、実際借りていたのは事実なので否定はできない。

「も、もうボクにも家族(ファミリア)があるから大丈夫さ」

「あら、その話本当だったのね。あんなに出来ないって言っていたのに」

「最近できたんだよ。いやー、カズくん元気かなぁ」

「ヘスティアも変わったわね」

どこら辺が? と返すと肩をすくめる二人。まあそんな事いいんだ。

と、ヘスティアが必殺技を繰り出そうとする時、フレイヤが話出す。

「それじゃ、私は確認したいことは出来たし、早めに退散するわね」

「あ、ああ。じゃあねフレイヤ」

じゃあねとヒラヒラと手を振って去っていく。

「と、ところでへファイストス。頼があるんだ」

「……」

要件はなんだと言わんばかりに黙り、目を真っ直ぐ見てくる神友。正直、交渉やお金の話が絡むと怖い。以前追い出された経験が想起され寒気が起きる。

だが、眷属(こども)の為、ヘスティアは恥を承知で必殺技(DO☆GE☆ZA)を繰り出した!

「ボクの眷属(こども)に武器を作ってくれ! ヘファイストス!」

 





まさかの怪物祭、複数回に分かれる。
感想で色々な設定を考える機会になって良いですねー。まあ自分の設定の浅さに気付かされるんですけど。
別にヘスティアナイフ作らなくてよくねって思ったんですけど、作ろ(代替案が思いつかない無能)ってなって。

アンケートお願いします。
あと感想お待ちしてます


画戯丸さんありがとうございました。

カズマの持ってるスキル変更していい?(無理がある気がしてきた。)(あと他の設定追加したい)

  • いいよ。
  • 良いわけねぇだろボケ。

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