目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
休憩時間に妄想をメモする感じでポチポチ書いてみました。
第1話 Side『オルド・フィンゴ』
人類が宇宙にコロニーを建造し、移住するようになってから79年。この年、世界は激動の時代を迎えることになる。
目が覚めたら……というか、気がついたら僕は、この宇宙世紀の住人になっていた。
仕事帰りに自転車をこぎこぎしていたら、ふわーっと意識が遠くなり、呼吸がうまくできなくなってアスファルトに倒れ込んだところまでは覚えてる。
しこたま頭と肩をぶつけたはずだが、痛いというよりなんかすごい衝撃が来たな、と遠くなる意識のかたすみで考えていたら視界は真っ暗になりました。
で、ハッと目を覚ましたら『オルド・フィンゴ』という男になっていたというわけで。
んー自分でも何を言ってるのかわからないな。簡単に訳すなら、転生? 憑依? しがないおっさんだったはずなのだが、いつの間にか14歳のジュニアハイスクールに通う少年になっていたというわけだ。
しかも前世? ではファンでもあった『ガンダム』の世界である。
前世を思い出したのが、中学生の頃。UC64年だ。
ジオンが無謀な独立戦争を地球連邦にしかける10年以上前。
正直焦ったし、混乱もした。
だって、鏡を見たら黒髪黒目、紅顔の少年が映ってるんだよ。おもわず本当に自分かと一時間ぐらいペタペタ顔を触って、家政婦さんに変な目で見られちゃった。
子供の頃から周囲に、妙に老成してる、達観しすぎ。なんて言われていたが、まあ一度死んだ記憶があるんじゃあね。人生二度目かぁ……って一歩引いちゃってたのか、と納得もしたけど、正直これから大きな戦争があるとわかっているので、人生再エントリーでもありがたみは薄い。
しかも、我が家は両親ともに軍の開発部勤めのようで、どうも新型兵器――つまりは
できれば戦争とは無縁の生活を送りたいのだが、どうにも詰んでいた。
厄介なことに、親がギレンの『優性人種生存説』を信奉していて、ばりばりのエリート思考なのだ。自分たちは軍でも末端の下士官でしかないのだが、だからこそ余計にだろう、息子の僕に多大な期待を寄せて、軍の士官学校に入って出世することを強く望んでいた。
ジオンという国はわりとクソで、その社会生活は縦割りだ。建国時の立役者たる家系が最上位に君臨。
史実通りUC68年にジオン・ズム・ダイクンは亡くなってしまったので、そのトップに座っているのは、ザビ家のお歴々となる。
そしてその下で国防軍――後のジオン公国軍だ――が幅を利かせている。
一般家庭では、家長の決定は絶対で、その家長は男子でなければならないと決まっているし、職業や恋愛婚姻など、その家長が認めなければ正式なものとはならない。
江戸時代の日本ですか? といった窮屈な制度が当然のように跋扈している。
まあ、そうした旧態依然の仕組みでガチガチに固めないと、棄民として地球を放逐された第一世代の移住民をまとめることができなかったのだろう。
とにかくそうした理由で、自分の将来は軍の士官となることに決定しまっていた。
最初は試験をべらぼうな成績で落第してやろうかな、とも思った。
だって軍人なんかになったら、これから先に起こる戦争に参加しなきゃならない。さすがに勝てない戦争に血道を上げる気概は僕にはなかった。
でも、かと言って一般人なら安心というわけでもない。後に国家総動員令による徴兵があるからだ。
一年戦争の中期以降は、MSに乗れるというだけで学生だろうが前線に放り出されていたりもしたので、軍から距離を取ってもどう転ぶかわからない。それなら、いっそのこと士官学校を卒業して、それなりの階級をもって軍に入ったほうがまだ生存率高いかもしれないな。
なんて安楽に考えて、17歳で士官学校に入学。中の下、くらいの成績で卒業し、少尉の階級となってからは父母のコネを使って技術開発部への転属願いをだした。
技術屋なら、前線に出ることはないだろう。そう考えてた過去の自分を、今現在の僕は絶賛呪い中である。
いや、ほんとどうしてこうなったんだ?