目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第101話 Side『ニューヤーク燃ゆ』

 

 待機命令の出てるMSを動かしてんだから、そりゃ怒るわな。

 

 管理責任者として問題だからね。

 

「パイロットは待機命令出てますけど、自分はメカニックなんで」

 

「詭弁はどうでもいいんだ! ルウムの二の舞するつもりかお前は! 大佐にぶん殴られてんだろうが!」

 

 懐かしいな。あの時もシゲさんに迷惑かけた。

 

 てか、やっぱり大佐に殴られたのは知れ渡ってるのね。あれだけ大声で騒げば当然か。

 

「あーその節はすいません。でも昔、シゲさんが言ったじゃないですか」

 

「あん? 何のことだ?」

 

「『自分自身に対して責任を取る手段を持たない人間を、他者は決して大人とは認めない』って」

 

「あー? いつの話だそりゃ」

 

 僕がシゲさんと初めて会った時の話だね。見た目がこんなで、口だけは達者な僕にそう言ったんだ。

 

 続けて、理屈はいいから手を動かせとも言われたな。

 

 現場は常に時間に追われてる。良くも悪くも成果を出せる者の意見と行動だけが通る状況なのは、いつどこの世界でも一緒だ。

 

「だから責任を果たそうかなと思いまして。ハッチ開けてくれます? 開けてくれないなら、吹き飛ばすしかないですが」

 

「馬鹿言ってんじゃねぇよ! そんなの――」

 

「オッケー開けるわ!」

 

 通信に飛び込んできた声。

 

 ケイ・ニムロッドだ。

 

「おいおい! ケイ! そんな勝手なことできるか」

 

 ザクS2を届けたケイは、そのままニューヤーク基地所属となった。

 

 MS、特にS2の専任整備士として務めることに決まっている。

 

「アタシが命令したことにすればいいだろ。階級はアタシのが上なんだ! 名目は後でなんとでもなるんだからさ」

 

 さすが皆から姐御と慕われるだけあるな。決断したら行動は早い。

 

「ふざけんな! 整備責任者はオレだ! お前らが勝手に決めれるわけねぇだろうが!」

 

 軍内部では階級は絶対だけど、所属部署では役職が物を言う。MSの管理維持は、下士官であるシゲ曹長が資材含めて責任者であり、その決定は役職のない士官よりも圧倒的に上だ。

 

「ふむ。それなら、私が一枚噛んだことにしようじゃないか」

 

「ゼクス少佐?」

 

 モニターにノーマルスーツを着て、コックピットに座った少佐の姿が映る。

 

我々には(・・・・)責任を果たす義務がある。名目はこの新型S2の実戦試験とでもすればいい。そうだろう? フィンゴ中尉」

 

 実はゼクス少佐には、シャアが不穏な動きを見せているとだけ伝えてある。

 

 少佐も、士官学校時代から彼にはどこか危険な雰囲気を感じていたようだ。

 

 だからガルマ大佐の傍にシャアが居ることが不安なのだろう。

 

「そういうことらしいぞ中尉」

 

 さらにモニターに、ノイン大尉が映る。こちらもコックピットの映像だ。

 

「もちろん、ワタクシもおりましてよ!」

 

 キリシマ曹長まで準備万端だ。

 

 さすが我が部隊はみんな破天荒だ。

 

「……基地の警備はどうすんだよ。お前ら抜けた穴、どこが塞ぐんだ」

 

「それは私達が受け持つわ」

 

 通信に入ってきたのは、キリー少佐だ。

 

「第1機動小隊の代わりは、私達ノイジー・フェアリーが担当する。それなら文句はないでしょう」

 

「キリー、恩に着る」

 

「いいわよ。それよりゼクス、ガルマのことお願いね。彼はこの北米に……いえ、ザビ家にとって必要な人材だわ」

 

 あ、彼の存在価値を正確に見抜いてる人間、他にもいるんだな。

 

 ガルマというあまちゃんがいなくなれば、ザビ家の専横を止める人間はいなくなる。そう考えているのかもしれない。

 

「第1機動小隊、これより出陣する!」

 

 ゼクス少佐の宣言が格納庫に響く。

 

 シゲさんは諦めと呆れを表現するように薄い髪ををかきむしると、部下に命じてMSの発進シークエンスを進めてくれる。

 

 ごめんね。でもこれまで全部事後承諾でやってきたんだからさ、今回だけお淑やかに言う事聞くなんて、するわけないじゃない。

 

「目的はニューヤーク市街に侵入した敵の殲滅。そして木馬を追うガルマ大佐の支援だ」

 

「了解」

 

 もう建前さえ告げなかったゼクス少佐に、メンバーは苦言も指さずに了承する。

 

 さて、広げた風呂敷は自分で畳まないとな。

 

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