目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
相手の間合いに入ってから、今度は距離を離す。
敵はこちらを追いかけてきた。たったそれだけで、大尉たちから引き剥がすことに成功。
黒の機体たちは突出する赤をカバーするつもりは無いようで、動きの鈍い大尉たちに狙いを定めたようだ。
「大尉、動けますか?」
「そいつから離れたら重苦しさがとれた。こちらを片付けるまでもたせろ。その後に合流する」
了解。
だが、倒してしまっても構わんのだろう?
正直、あの手の感情ダダ漏れの相手ってやりやすいんだよね。簡単にこちらのフェイントに釣られてくれるからさ。
「おい、アタシは心配しねぇのか」
「曹長が駄目なら、すでにうちらは全滅してるよ」
「ふん!」
こちらの言い分をどう捉えたのかわからないが、キリシマ嬢は矛を収めた。
さて、意識を迫りくる敵に戻す。
『殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!!』
やたらとガンガン響く謎の声。声は女性だ。
あの赤いの、乗ってるのは女なんだろう。ニュータイプの発現は女性の方が多い、ってデータを見たことがあるな。
回避を考えていないのか、まっすぐに突貫してくる赤。
飛び込んできた瞬間にライフルを撃ち込むと、低空で機体を
ドリルのように回転させながら弾を避けやがった。
とんでもないアクロバット。機体もだけど、普通ならパイロットの全身がGでバラバラになってもおかしくない挙動だ。
『死ねぇぇ!!』
勝利を確信したのか、必殺の念を籠めた叫びとともにツイン・ビーム・スピアを鎌のように変形させて薙ぎ払ってくる。
いちいち相手殺すのに、めちゃくちゃカロリー消費してるなこの人。
あれか、家族を殺されたとかそういう系かな。
大概の相手は驚いて足止めるかもしれないがね。
あいにくと僕は、貴女みたいな
機体を安易に後退させず、前に進ませる。
ツイン・ビーム・スピアのような長柄の武器はリーチが長い分、内側に隙ができやすい。さらにMSは人間よりも手足各部の可動域が狭く、密着するほどの距離だと容易に対処ができなくなる。
懐に飛び込んでその胴体に蹴りをぶち当ててやる。
さらにその瞬間にブースターを起動させ、蹴りの反動と合わせて大きく距離を取った。
『逃がすかぁあぁ!!』
パイロットはダメージを負っていないようだが、機体はそうでもない。
衝突の衝撃で転倒しかけるのを、オートバランサーが必死に立て直しているところだ。
もらうね。
胴体に向けてライフルを撃つ。
これで終わりのはずだったが、敵機は大きく横に跳躍して射線を外しやがった。
オートバランサー強引に切ったな。どんだけこっちを殺したいんだよ。