目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第107話 Side『ニューヤーク燃ゆ』

 

 どうも。オルド・フィンゴです。 

 

『死ねエェェェッ!!』

 

 と言われて、はい、なんて頷く馬鹿がいるわけがないと、そろそろ学習してもらいたい。

 

 どういう仕組みかはわからないのだが、攻撃に転じるたびに相手に思念を飛ばすなんて、欠陥もいいところだ。わざわざ相手にいまから殴りますとタイミングを教えているわけだから。

 

 これが亜光速で多重同時攻撃のできるビット、ファンネルなら、来るとわかっていても避けれないんだけど。

 

 ツイン・ビーム・スピアの刺突をあっさりとかわす。

 

 ゼクス少佐の突きの方が素早く、的確だ。

 

 薙ぎ払うような斬撃もかわす。

 

 キリシマ嬢の斬り込みの方が鋭い。

 

『くそっ! 機体が言うことを聞かない!!』

 

 イライラとした声が聞こえる。あー本人の反応に機体が追いついてこないんだな。

 

 マグネットコーティングされたガンダムならまだしも、ジムベース――だと思われる――のノーマル機体では難しいのだろう。リミッターを解除しても反応値には限界がある。

 

 距離を取った僕のザクに向けて、片腕で構えたビームスプレーガンを撃ってくるが、赤い光軸(こうじく)はすぐさま放散して消えていく。

 

『なんだ!?』

 

 逃げながらもビーム撹乱幕撒いてたからね。それに、上空でコアブースターとドッグファイトを繰り広げるゾッド隊も散布しているはずだ。

 

 それにそろそろだろう。

 

 再度突貫してきて振るわれたツイン・ビーム・スピアだが、途中でビーム刃が掻き消えた。

 

 時間切れだ。

 

 ビームサーベルの連続稼働時間はそう長くない。ましてや2本同時使用なら、よっぽど高性能なジェネレーターと大容量コンデンサーを持たない限りメガ粒子が保たないだろう。

 

『役立たずが!』

 

 苛立ちが頂点に達したんだろう、相手はビームスピアとビームスプレーガンを投げ捨てる。

 

 どうするのかと思ったら、腰につけていたヒートナイフを構えた。

 

 人同士の戦闘なら、ライフルにナイフ一本で挑むのはあまりに滑稽だが、MS戦ではあながち間違った判断でもない。

 

 相手の機動性はこちらのザクを上回っているし、装甲も増加されている分、耐弾性は高いだろう。人間と違ってMSは、弾丸一発で行動不能が確定するわけでもないからだ。

 

 それに、距離を取ればこちらのスナイパーライフルの餌食になることがわかってるんだろう。意外に冷静だ。

 

 まだ煽り足りない。

 

 バトルシミュレーターで何度も強敵と対戦して、自分はMSの操縦技術は2流だとわかった。

 

 教本通りに動かすだけなら、技術的に高いところに自身はいると思っている。が、1流はさらにそこから天賦の才とセンスを持って、こちらの限界を簡単に超えてくるんだ。

 

 そんな僕が1流(エース)パイロットと1対1でやり合うなら、相手を騙し、煽り、冷静さを失わせて本来の実力を発揮させないようにするしかない。

 

 この赤い機体に乗ったパイロットも1流だ。やたらとこちらへ憎しみをこめた結果、戦術判断が鈍っていなければとっくに僕は倒されていたはず。

 

 騙し。紛れ。すり抜けて。

 

 蜘蛛が網を張るように、罠を巡らせ絡め取り、相手の隙をつく。それで倒せない相手ではない。

 

『逃さんぞ!』

 

 迫る敵、繰り出されるヒートナイフ。

 

 だけどその刃は僕に届かない。

 

 飛来した鉄塊が、彼女の右腕を溶断していった。

 

「オーホホホホホ! お待たせしましたわね! ワタクシ、参上! ですわ!」

 

 敵の声よりもキンキンに響くキリシマ曹長の声。

 

 彼女の駆るドムの武器は着脱式ヒート刃を持つ手斧だ。投擲武器なんぞそうそう当たるものではないはずだけど、曹長は時折、さっきみたいなクリティカルヒットを繰り出してくる。

 

 さて、盤面は整った。

 

 とどめを刺すことにしよう。

 

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