目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

119 / 260
第111話 Side『ニューヤーク燃ゆ』

 

 ガウが燃えている。

 

 どうも、オルド・フィンゴであります。

 

 ミノフスキー粒子の中では電子光学機器も当てにならないので、高台――商業ビル跡――に登ってMSを降り、肉眼でガウを探したら、遠い向こうで煙吹いてるのを発見。

 

 すでにシャアに嵌められてんじゃないの!

 

 慌ててザクに飛び乗り、機体を走らせながら位置座標をゼクス少佐に送る。

 

 届いてくれればいいが、ミノフスキー粒子の濃度が濃い。その場合は自分ひとりでやらなければならないだろう。

 

「間に合うか?」

 

 距離がある。

 

 背後から撃たれたガウは、左翼のエンジンから火を噴いていた。

 

 それなりに頑丈なのですぐさま爆発などしないだろうが、致命傷であることに違いはない。

 

 そのまま逃げ出して脱出してくれればいいのに、あろうことか転身しやがった。

 

 原作通り捨て身の突貫するつもりか!

 

「それは馬鹿だよ!」

 

 ホワイトベースが見える。前部の主砲がガウに向けられていた。

 

 ガノタと呼ばれるオタクであった前世の知識を掘り起こすと、確か大口径の連装砲だ。正面から直撃すればガウの装甲でも粉砕される。

 

 仕方ない。距離はあるが――。

 

 スナイパーライフルを構える。

 

 あの艦の武装は貧弱だ。民生用補給艦と偽装する必要があったのと、MS運用のため容積を取られたせいで、副砲はなく、ほとんどが射程の短い近接戦用火砲だったはず。

 

 主砲一つでも吹きとばせば、ホワイトベースの火力は激減するはず。

 

 ――射程ギリギリだな。

 

 ガルマ(バカボン)がもっと冷静さを保っていたなら、時間をかけてもっと近づいたんだけど。 

 

 空中でホワイトベースに向き直るべく旋回するガウ。

 

 対峙するよりも、主砲がそのどてっぱらに放たれる方が早そうだ。

 

 何度も言うが、ミノフスキー粒子によって光学機器の精密度は落ちている。

 

 狙撃用のターゲットスコープと僕のザクは高価な部品を使って対策しているが、それでも映像とのズレ(・・)は生じることがある。

 

 まず緊急時脱出用の炸薬ボルトでコックピット前の装甲を吹っ飛ばす。

 

 風通しが良くなった操縦席で、計測用の双眼レンズで位置を図りながらMSの姿勢を調整。

 

 胴体は正面を向きながら片膝を立て、スナイパーライフルを両腕で保持した体勢だ。生身ならあり得ないが、MSならこれでも十分相手を狙える。

 

 アニメで観る狙撃姿勢とはだいぶ違うが、とにかく当たれば良い。

 

 この間十数秒。

 

 あとはトリガーを引くだけ。

 

「さぁて、当たってくれよ。――ムービルフィラっと!」

 

 気合の呪文を込めて放った弾丸は木馬の主砲を見事貫く。

 

 丁度弾薬を装填した瞬間だったのか、盛大に爆発を起こした。

 

 砲台はメインブリッジの下方にあるから、かなりの衝撃がクルーを襲ったはずだ。

 

 機体を起こし、走り出す。

 

 運良く当てることができたが、しょせんは曲芸の類だ。さすがにもっと近づかないと次を当てる自信はない。

 

 主砲こそ落としたが、木馬にはまだメガ粒子砲が残っている。

 

 前面装甲を排除したため、走るとホコリと風が物凄い勢いで吹き込む。

 

 ――間に合うか?

 

 ガウはホワイトベースに体当たりをしかけるために向かっていた。

 

 ガウへ通信を入れるが応答がない。

 

 ミノフスキー粒子というものがどれだけ厄介か実感するものだ。

 

 せめてもう少し近づけば、ブリッジを狙撃できる。

 

 ガウは旋回を終え、突貫する姿勢になった。

  

 だめか。

 

 と思ったとき、ホワイトベースの主砲砲座跡に、白いMSが飛び乗った。バズーカをブリッジへと突きつける。

 

「連邦艦艇のクルーに告ぐ。MS隊は始末した。ただちに砲撃を止め投降せよ。さもなくばこのままブリッジを吹き飛ばす」

 

 拡声機によって辺りに響く声、ゼクス少佐だ。

 





 ムービルフィラは、スダドアカの呪文です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告