目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第114話 Side『ニューヤーク燃ゆ』

 

 直属の遊撃部隊を作ると大佐は明言した。

 

「私にその部隊を?」

 

 ゼクス少佐の問いに、大佐はうなずく。

 

「そうだ。君と君たち第1機動小隊は新設部隊の中核となって貰う。合わせて少佐、君は大佐に昇進するのが決まっている」

 

「私が?」

 

「戦時特例の二階級特進となる。合わせて、私は准将に昇進だよ。君も私と同じく本国のプロパガンダに使われる。諦めてくれ」

 

 ふたりとも大出世じゃないか。

 

 でも、あまり喜んだ雰囲気はないな。

 

「話を戻そう」

 

 ガルマ大佐の構想はこうだ。

 

 突撃機動軍に所属するキシリア少将直下の特殊部隊の一部を統廃合し、新設する部隊――仮称として特務遊撃部隊とする――に組み込む。

 

 さらに現在余剰が出ている宇宙軍からも人員を割いてもらう。

 

 規模としては小隊ではなく、中隊以上となるようだ。

 

 そこがキシリア少将が提言した『少数精鋭による特殊部隊思想』とは異なる。

 

「よくギレン総帥とキシリア少将が許可されましたね」

 

 末弟にど甘なドズル中将はともかく、キシリア少将に首を縦に振らせるなんて、どんな魔法を使ったんだ。

 

「なに、今回の件でシャアのことを隠していたことを突いたまでだ。連邦の木馬と同じで囮にされていたのだからな、多少の見返りがあってもよかろう」

 

 あ、やっぱりこの人はザビ家の人間だ。

 

 強かな笑みがとてもよく似合う。

 

「もともと姉上の特務部隊は大戦初期にほとんどが役目を終えていてな。各地を転戦するゲリラ部隊となっている物も多く、姉上自身が実態を把握しきれていなかったのだ」

 

 犯罪者だけで組んだ部隊とか、外人部隊とか実験的な部隊も多かったもんね。

 

 いまこの基地に逗留しているノイジーフェアリー隊も、試験的に女性だけで組まれたものだったか。

 

 そうした特殊部隊のうちのいくつかは、設立経緯が特殊なものもあいまって、補給が滞ったり人員の補充がされなかったりと結構な苦労をしているようだ。

 

 これはこのまえうちに転がり込んできた、外人部隊の整備員に聞いた話だ。

 

 なんせ彼らが使っていたのはボロボロのザクⅡJ型だ。

 

 この北米ではほぼ全ての部隊がドムに乗り換えているし、後方支援や補給部隊などには改修型のザクⅡJb型が支給されているのに、だ。

 

「隊設立の目的はなんだ。まさか、本当に私設部隊が欲しいわけではあるまい」

 

「ザビ家において、私だけ枠の外に置かれるわけにいかない、という考えがあるのは事実だ。だがそれよりも、この膠着状態を早急に打破したい。これは先に言ったとおりだな。そのために北米を中心として、戦力の調整をしようと思うのだ」

 

「具体的には?」

 

「ジャブロー攻略が目的だ。姉上も特殊部隊を駆使して探っているが、地上とグラナダ、ましてや本国までは距離がありすぎる。必要な情報が姉上の耳に届く頃には、機を逃してしまうことだろう」

 

「統合再整備計画に似たようなものですかね。それの特務部隊版というか」

 

「そうだな。統廃合し、整備や兵装の補充を潤滑化させるのが狙いだ。滞っている情報を私のもとに集約することもできよう」

 

「ジャブロー攻略が目的といっても、あてはないのだろう」

 

「私にはないな」

 

 そう言って。ガルマ大佐は僕の顔を見るんだ。

 

 何もついてませんよ?

  

 なんか、絶対なにか知ってるだろ、って期待されてる。

 

 うーん何か手がかりとかあったかな? 原作だとシャアの配下のマッドアングラー隊が潜入して入口を見つけたんだよな。

 

 シャアは隠遁しちゃったし。

 

「……あー、現地民に接触するとかですかね」

 

 オリジン版は、確かシャアが暁の蜂起事件で懲戒食らって地球に降り、ジャブロー建設の作業員を装い工事作業を行うなか、現地の基地建設反対運動を行う人間と接触していた。

 

 その時の情報とツテを使ってジャブローへの入口を発見している。

 

「ジャブロー建設時に、アマゾン流域で生活していた現地部族を強制退去させてるそうなんです」

 

 以前気になって調べてみたんだが、そうした現地民は先祖代々の土地を追われた結果恨みを募らせ、アマゾンに潜伏してゲリラ活動を行っている。

 

「彼らゲリラは長年あの密林で暮らしてますから。彼らに接触することが成功すれば、地下への出入り口の調査もしやすいかもしれません」

 

「まったく、君はそうした情報をどこから仕入れてくるのか」

 

 前世です。

 

「潜入部隊がいるな。あいにく、私も第1小隊もそうした特務に慣れた人員はいないのだが」

 

「それは外部から引っ張ってくるさ。姉上の扱っている部隊にはそうしたことに慣れた人間が多い。そちらはその線で行こう。それで、君たち第1機動小隊は極東に向かってもらいたいのだ」

 

 極東?

 

 え、日本?

 

 思わずつぶやくと、ガルマ大佐はうなずいた。

 

 

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