目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第122話 Epilogue『碧い目の男』

 

 砂漠にある寂れたスタンド。

 

 旧世紀のアメリカ国道に沿って建てられたもので、石油資源の枯渇した今では使われていないものだ。

 

 併設していた商店を改装したダイナーに、金髪の男がいた。

 

 人目を遮るようにサングラスはつけたまま。

 

 カウンター席に座り、ロックのヴォッカを飲む。

 

 無愛想な店主の横の台には、古ぼけたモニターが置かれており、そこではジオン軍のプロパガンダ放送が流れている。

 

 北米にて、ガルマ・ザビが連邦の新兵器部隊を撃破、サイド7を破壊した新型戦艦を拿捕したと報道されている。

 

 サイド7のバンチが崩壊したのは、侵入したジオンが守備隊と交戦したせいなのだが、いつの時代も歴史は勝者の都合で描かれるものだ。

 

 画面にガルマの姿が映される。

 

 髪を切り、どこか精悍さも感じられる表情を浮かべた青年だ。

 

 彼は今回の功績で准将に任じられ、さらにはジオン十字勲章が授与されると報道官が告げる。

 

 それを聞いた男は、口元に皮肉げな笑みを浮かべた。

 

「坊やは私だったか……」

 

 店の入口のガラスドアが開き、女が入ってくる。 

 

 まっすぐ歩き、女は男の隣りに座った。

 

 店主が問う。

 

「注文は?」

  

「いらない」

 

 店主は不快げに眉を曲げた。

 

「ここは店だ」

 

「バーボン。ストレート」

 

 女は店主の方に見向きもせずそう答えた。

 

 美しい女だ。

 

 蒼い髪と同じ色のリップを塗り、怜悧さを漂わせている。

 

「どこかであったかな?」

 

 じっと自身を見つめてくる女に、男は問うた。

 

「捜したよ。シャア・アズナブル」

 

「……キシリア少将の使いかね」

 

「いや。ザビ家の女狐とは違う」

 

 女の前にバーボンが置かれた。

 

 初めて女が店主をみた。

 

 店主は肩をすくめると、面倒事は知らん、というふうに肩をすくめて、裏の厨房へと引っ込んだ。

 

「今回の騒動で、ようやく貴方を見つけ出した」

  

「わからんな。私はただの敗者だ。そんな男に何の用事がある」

 

「ずっと捜していたんだよ、キャスバル・レム・ダイクン」

 

 女は男の本名を口にした。

 

「ダイクンの意志を継ぐ者を、我々はずっと捜していた。キシリアの邪魔もあったが、貴方が騒動を起こし、行方をくらませた結果、奴らより早く接触することができた」

 

「何者だ」

 

「ザビ家によって歪められた偽りのジオンを糾弾する者」

 

 女は嫣然と笑う。

 

「我々は、真ジオン(ネオ・ジオン)

 

 *

 

 店のドアが開き、男たちが入ってきた。

 

 砂漠に似つかわしくない、黒いスーツを着た男が四人。

 

 店主は黙ったまま、モニターを見ている。

 

 画面には旧世紀の古い映画が流れていた。

 

 カウンターの上に、空になったグラスと、一口もつけられていないバーボンが注がれたグラス。

 

「ここに金髪の男がこなかったか」

 

 スーツの一人が店主に問う。

 

「居たよ」

 

「どこにいった」

 

「さあ? 俺が出てきたときはもう居なかった。カードだけ置いてな」

 

 それを聞いた黒スーツたちは店を出ていこうとする。

 

「待ちな」

 

 呼び止めた店主が、赤いカードを投げて渡した。

 

「そいつらに会ったら伝えてくれ。『うちは現金のみだ』ってな」  

 

 

 





 しばらく休みます。
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