目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第125話 挿話『悪童・1』

 

 廃墟と化したニューヤーク旧市街。

 

 開戦当初の隕石落としとジオンの降下作戦により破壊され、人が住まなくなったこの場所は、今では実機試験演習場と化していた。

 

 その廃墟をMS1個小隊が進む。

 

「通信システムオールグリーン。ミノフスキー粒子の濃度、既定値内です」

 

 ドムに追随するマゼラフラッグの機器を操りながら、やや緊張した声を発するのはユウキ・ナカサト伍長だ。

 

「おー通信良好だぜユウキちゃん! 今度俺と一緒に飲まないか?」

 

 やや呂律の怪しさを感じさせるのは、この第2機動小隊を指揮するバーツ・ロバーツ中尉。彼はコックピット内に酒瓶を持ち込み、飲酒している疑いがある。

 

「いい加減にしな中尉! アンタこの前もセクハラして謹慎食らったばかりだろう」

 

 怒りをにじませるのは、ディライア・クロウ少尉。

 

「おうおうディライア、嫉妬か? たしかにユウキちゃんの方が若くてピチピチしてるからな。わからんでもないぞ」

 

「撃つぞ」

 

「えっ!? ディライア少尉からロバーツ隊長の機体にロックオン!?」

 

「おいバカ止めろ!」

 

「あんたがふざけた口きくからだろうが! 模擬戦とはいえ気を抜きすぎなんだよ!」

 

 反省の色を示さないバーツ中尉に、ディライアは苛々とした罵声を浴びせる。

 

「ナカサト伍長! あんたもこのバカの言う事は聞かなくていい。こっちに編入されてまだ日が浅いんだ、緊張するなとは言わないけど、自分のできることだけやってな」

 

「は、はい!」

 

 隊長であるはずのバーツがこんな調子なので、普段の第2機動小隊のとりまとめは副隊長であるディライアが中心であった。

 

 ユウキ・ナカサトは、北米の独立外人部隊――降下作戦に参加した開戦初期からの外人兵は『ゲスト』と呼ばれ、過小評価された――の通信士だったが、ガルマ准将が提言した『特務任務大隊構想』によって、キシリア少将からガルマ准将麾下となり、その結果人員と装備の見直しによって部隊は解散させられる。

 

 メンバーは全て、ニューヤーク既存の隊へとバラバラに編入されることとなり、彼女はこの第2機動小隊へと転属されたのだった。

 

「でも気が引けますね。相手が『彼』とは言え、4対1での対戦なんて」

 

 少々おっとりした口調なのはエターナ・フレイル少尉だ。

 

 彼女は以前までマゼラフラッグに搭乗し、通信士として動いていたが、ユウキ伍長が入ってからはMSパイロットに転向していた。

 

 彼女の乗る機体は宇宙軍で採用されたばかりのゲルググだ。

 

 汎用機であるゲルググの陸戦適応を実地にて調べるという名目で、キャリフォルニアベースから供与されたものだ。

 

「へっ! あのクソガキに吠え面かかせるいい機会だ。ちょっと美人に囲まれてるからって調子のりやがって、気に食わねぇんだ!」

 

「女の子ばかりの隊なら、うちも同じなんですけど」

 

 ぼそりとエターナが呟く。第1と第2小隊のパイロットチームは女性メンバーが多い。

 

 さらに、最近になってノイジー・フェアリー隊と呼ばれる特務部隊が基地の麾下に加わったが、こちらはパイロットだけでなく構成される隊員全員が女性だけで編成されている。

 

「ほっとけエターナ。あいつ、ノイン大尉に惚れてんだよ」

 

 第1小隊の隊長であるルクレツィア・ノインは確かに美人である。だが規律には非常に厳しく、バーツが容易にセクハラの手を広げることのできない人物でもあった。

 

 そんな好きなら、いっそ第1小隊に転属でもすればよい、とディライアは考えている。

 

「そんなことよりエターナ、あんたはこの模擬戦が終わったらノイジー・フェアリー隊に転属だろう? だからって腑抜けた動きしたら容赦しないからね」

 

 せっかくMSパイロットが揃った第2小隊であったが、エターナは自身の妹分であるアルマ・シュティルナーの属する部隊への転属を希望しており、先日それが通ったばかりであった。

 

「もちろん、お仕事はきっちりするわ」

 

「作戦時刻になりました。各員、状況よろしく願います」

 

 

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