目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第126話 挿話『悪童・2』

 

 ユウキの状況開始のセリフとともに、赤い光条がディライアの頭部に当たる。

 

「な!? メインカメラ破損! ビーム判定だって!?」

 

 驚愕の声を上げるディライア。

 

「やられた! 模擬戦でビーム兵器使うなんて」

 

 むろん、本当にメガ粒子で()かれたわけではない。レーザー光を当てられ、それをドムのセンサーと連動したAIが被弾判定としたのだ。

 

 本当のメガ粒子砲であったなら、熱で機体が爆散していたかもしれないと思うと、ディライアはゾッとする。

 

「伍長! 撹乱幕!」

 

 バーツの鋭い指示が飛ぶ。

 

 マゼラフラッグから霧状の粒子が散布され、大気に溶けていく。

 

 ビーム撹乱幕はメガ粒子の収束を阻害するものであり、レーザー光には効果がない。

 

 が、模擬戦である以上、撹乱幕を張れば相手はビームを模した武器を使用することが、観測班の裁定によってできなくなるはずだった。

 

「ユウキさん、敵の位置は?」

 

 エターナが聞く。

 

「待ってください。ノイズとダミーが急に増えて……音紋も拾えない」

 

「散開、フォーメーションデルタ。フォワードは俺とエターナちゃんだ。ディライア、お前はユウキちゃんの直掩な」

 

 こういう時のバーツの指示は的確だ。

 

 まがりなりにも部隊の隊長であり、普段の不真面目な態度を咎められながらも更迭されず、開戦時からずっと戦場に立ち続けている。

 

 ――模擬戦相手も日頃の態度は悪かったな。

 

 似たところのある相手が憎らしいのだろうか。そんなことを考えながら、ディライアはコックピットハッチを開く。

 

「ディライア少尉!?」

 

 ユウキの驚き。

 

「仕方ないわ。メインカメラが使えない以上、直接視認で索敵するしかない」

 

「でも危ないですよ!」

 

 そんなことはディライアもわかっていた。

 

 いくら小口径のソフトポイント模擬弾でも、破片の一つでもコックピットに飛び込めば人体はずたずたに吹き飛ぶことだろう。

 

 だがこのままリタイアするのはプライドが許さない。

 

「ディライアさん、無茶はしないでくださいね」

 

「エターナあんたもね。MSでの実戦は初めてだろ。ゲルググ(そいつ)は汎用機といっても、宇宙軍で使っていたやつだ。地上は勝手が違うからね」 

 

 通りを進むMSたち。

 

 追撃はなく、廃墟には自分たちの駆動音だけが響く。

 

 大きな交差点にさしかかったとき、ディライアの目に違和感のあるものが映った。

 

 ――こんなところに、61式戦車だって!?

 

「っっ!! 止まれバーツ!!」

 

 先頭をいくバーツ機が急制動をかける。

 

 ホバー機は滑るように機体が動く。そのため即座にその場に止まるのは難しい。彼の機体も例に漏れず、わずかに交差点に入り込んだ。

 

 瞬間、ビル影に打ち捨てられていた連邦の61式戦車の残骸が突如として爆発した。

 

 MSを吹き飛ばすにはあまりにも心もとない爆発であったが、一瞬全員の注意がそちらに向く。

 

 次の瞬間、前方に黒いMSの姿が現れる。

 

「クソッタレが!」

 

 悪罵とともにバーツが反射的にマシンガンをぶっ放す。放たれた弾丸はMSをすり抜け、後ろのビルに新たな弾創を生み出した。

 

 投影機によって、MSの姿を廃ビルに映し出していたのだ。

  

「後ろです!」

 

 ユウキ伍長の焦りに満ちた叫びが飛んだ。

 

 

 

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