目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第127話 挿話『悪童・3』

 

 第2機動小隊の前に現れたMSの姿は異様であった。

 

 黒とオリーブドラブに塗られた見慣れぬ機体。

 

 ドムよりも一回り小柄な体躯。頭部形状も、ザクやドムとは違う独特なものだ。

 

 なにより脚部が鳥のように曲がっている。これまでのMSとは似たところのないデザインの機体だった。

 

 敵機の登場にいち早く反応したのはエターナだ。 

 

 ゲルググをマゼラフラッグとディライアのドムの間に割り込ませる。

 

 敵機が撃つMMP−80Sを、ビームナギナタを回転させて弾いた。

 

 名前に反して双刃型をしたビームナギナタは、ツインエミッターを採用した独特な武装だ。

 

 柄の両端からビーム刃を発生させ、高速で回転させることで磁界を作り出すことが可能となり、MS用小銃やそこまで高出力でないビームライフルの弾丸なら弾くことができる。

 

 双刃モードの扱いは難しいが、銃撃を強引にかいくぐって格闘戦を挑む際に便利であり、一部のパイロットからは絶賛されていた。

 

 奇襲を防がれた敵機は、左腕からアンカーつきワイヤーを射出し、近くの高層ビルにつきたてると、巻き戻す反動とスラスター、そして脚部の無限軌道を利用して、側面を走る。

 

「もう! またそんな機動どこで覚えてきたの!」

 

 ビルの壁を駆け上がった敵は、宙返りを披露してエターナの背後に着地した。

 

「お仕置きよ!」

 

 エターナは素早く反応したが、機体はそうもいかなかった。動きが鈍い。

 

 振り向きざまに薙いだビームナギナタ――先程銃弾を弾いた時とは異なり、装甲表面を焦がす程度のかなりの低出力だ―――は空を切り、逆関節を活かして低姿勢のまま突進してきたMSに胴を斬り裂かれる。

 

 むろん、実際にはダメージはない。

 

 特殊ゴム製のナイフで、切られた部分にピンク色の塗料がべとりと付着した。

 

 模擬戦観測班が出した判定は、撃破。

 

「あら……やられちゃったわね」

 

 結果は即座に送信される。

 

 エターナはコックピットの中でため息をついた。 

 

 バーツ、ディライア機が応戦するため射撃するが、敵は勢いを殺すことなく走り去り、ビルの影へと逃げこむ。

 

「逃がすかよ!」

 

 再び見失えば何をされるかわからないと判断したバーツ機が強引に食い下がる。

 

 相手は蛇行し射撃を躱しながら後方へと高速で後退していく。

 

「どんなデタラメだ!」

 

 バーツは悪態を吐いた。

 

 MSは前進するよりも後退するほうが難しい。

 

 スラスターユニットは背中にあるし、機体の構造も人型を模している分、後退(あとずさ)るのに適していない。

 

 だというのに、相手は無限軌道を使って高速後退しつつ、マシンガンでこちらを牽制してくる。

 

 敵機がアンカーをビルに打ち込み、駆け上る。

 

「それは! さっき見たやつだ!」

 

 こちらの背面に着地した相手に照準を合わせる。

 

 あとは引き金を引くだけ。それで終わるはずだった。

 

 突然アラートとともに、模擬戦用AIが自身が撃破されたことを報せてくる。

 

「はあ? なんでだ!? あぁっ!?」

 

 ログを見ると、背後からのビーム砲撃を受けたとある。

 

 振り向くと、ロジスティクスセンター跡の建物に、ビーム砲らしきものが置かれていた。

 

 連邦とのE-CAP技術格差を欺瞞するために、急遽増産されたビームバズーカだ。

 

 ジェネレーターとラジエーターを内蔵させた結果、大型大重量となってしまった武装である。

 

 開戦時にディライア機の頭部を狙撃したのはこれであった。

 

 今は近距離通信で背後から狙撃したのだ。照準用の低出力のレーザーを当てられたことで、バーツの機体はビームに被弾したと判断された。

 

「クソガキがあ!! いっぺん死にやがれぇぇぇぇ!!」

 

 敗北を喫したバーツの罵倒が、通信機からディライアの耳に届く。

 

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