目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第130話 挿話『悪童・6』

 

 ども。オルド・フィンゴです。

 

 第2機動小隊との模擬戦による、新造MSの評価試験が終わった。

 

 目論見通り生産は回避することに成功。

 

 正直このドム・デアフライシュッツは性能が高いわけではない。

 

 ケンプファーのように装甲を捨てて無理やり機動力を上げた、いうなれば『強襲偵察型』という、無茶苦茶なコンセプトの機体だ。

 

 そのくせ背面に装備したミノフスキー粒子散布装置とビーム撹乱幕散布装置、索敵・妨害・通信装置が重たいため、白兵戦時の機動は機体が振り回されやすく、神経をすり減らすことになる。

 

 そしてバランスの悪い重量を、背部の双発型土星エンジンの出力で無理やり補う。

 

 そう、土星エンジンなんだ。

 

 ガルマ司令専用のMSの配備が決まると同時に、ジオ・マッドの人間から新型のエンジンが送りつけられた。

 

 送ってきたのはジオ・マッドの中でも旧ツィマッド社に所属していた面子で、EMS――つまりヅダの開発に関わった連中だった。

 

 彼らは今後行われるであろう次期主力MS開発で、ヅダを復権させようと頑張っているらしい。

 

 僕の父母が軍のヅダ開発メンバーだったことから、親の無念を晴らせ、とばかりに押し付けてきたわけだ。

 

 新型のエンジンといっても、ヅダに搭載していたエンジンが双発型に変わった以外は大した設計変更が成されていない。

 

 単発型よりさらに不安定になる双発型になぜした?

 

 地上なら空中分解なんてしないとでも考えたんだろうか?

 

 ともかくこいつを使って機体を作り、できれば本国で人気の高まっているガルマ司令の名を使って欲しいとのことだったので、専用機に――どうせ本人乗らないし、乗せないし――組み込むことにした。

 

 基地の財務担当してる人間と結託して、「ガルマ司令専用機にするから、開発費にイロくれよ」って開発局とジオ・マッドにおねだりしたら結構な額が回ってきたので、ありがたく使わせてもらった。

 

 大半はMSじゃなくて、基地設備の拡充に回しちゃったけどね!

 

 ヅダエンジンの方は基礎設計変わってないから、連続稼働で暴走分解爆発する恐れがあったから、リミッター設けて瞬間加速にしか使えなくした。

 

 プロペラントをどか食いするけど、一時的に猛速で機体が飛ぶから、対峙してる相手からしたら機動性が高いように見えるだろうね。

 

 どうせだからと改造しまくったら、ガルマ司令が正式生産採用するか決めるといいだしたので焦った。

 

 ジオ・マッドへの建前上、模擬戦といえどそれなりの成果ださないとならんし、勝ち過ぎて万が一でも量産するなんてなったら洒落にならん。

 

 だから装甲の薄さを強調するように、わざとマゼラフラッグに撃たせた。

 

 ゼクス大佐が新部隊発足で忙しいため、キリー少佐が性能評価に関わったのだけど、うまくこちらの意図を汲み取って司令に進言してくれたようだ。

 

 キャリフォルニアベースの生産ラインは、一時期よりMSのパーツを安定供給できるようになっているが、外国人の義勇兵が増えた分、忙しさに拍車がかかっている。

 

 そうした状況をすこしでも緩和するために、キリマンジャロ基地にMTの生産ラインを構築することになったぐらいだ。

 

 あ、キャリフォルニアベースからは、待望のSFS機である『ゾーリ』がロールアウトした。

 

 試作機としてうちで運用していたドダイのデータをもとに造ったもので、MS2機を載せて運用することを前提したものだ。

 

 運用時2機1組なのは、片方がSFSの操作に専念し、もう片方がMSで迎撃するため。

 

 これでドダイの時に問題だった操縦の難しさが緩和されている。

 

 しかし、『草履(ゾーリ)』かぁ。

 

 宇宙世紀のSFSは、履物の名前からは逃れられないのだろうか。

 

 ドダイ、ゲター、セッターなんてのもあったな。

 

 ゾーリンソールはMSだったかな。

 

 ともかくこれでニューヤーク基地の弱点であった防空性能を補うことができる。

 

 連邦のビームライフルに対抗するため、施策されていたビームバズーカも急遽製造ラインが造られた。

 

 ジェネレーターを積んでいる分連邦のビームライフルよりもはるかに大型で連射も聞かないが、威力は十分だし、ドムどころかザクでも使える。

 

 ゾーリに乗りながら、高速で飛来するコアイージーをビームで撃ち落とすことも可能になった。ゾッドと連携すれば空中戦でもひけをとることはないだろう。

 

 後は、ガルマ准将に新しい秘書がついた。

 

 ミシェ・クローデルという女性士官だ。

 

 黒髪眼鏡の美人さんなんだけど、正体はセイラさん。

 

 アルテイシア・ソム・ダイクンの身を明かすわけにもいかないし、キシリア機関に引き渡すのも躊躇われたから、偽名つかって基地で匿うことにした。

 

 髪は染めてもらって、伊達メガネと定番の変装である。

 

 司令の秘書にしたのは、目の届くところに置くためだ。実際は彼女に仕事らしい仕事はない。

 

 偽名はラ・ミラ・ルナと悩んだんだけど、呼びづらいとガルマ准将に却下されたので、いまのになった。

 

 ジージェネのキャラの名前です。

 

 オペレーターだったはずなのに、パイロットにさせられた不遇な人の名前のひとつである。

 

 今の北米の状況はこんなかんじで、盤石な体制ができた。

 

 万全を期し、僕たち第1機動小隊はニューヤーク基地を離れることになる。

 

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