目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
北米ニューヤーク基地には、広大な入浴施設がある。
市長官邸を中心に指揮所が形成されているのだが、軍の施設を担うギャロップのカーゴの1つが、その、入浴専用施設として改造されていた。
改造に関わったのは第1機動小隊のフィンゴ中尉であり、整備班班長でもあるシバ・シゲ曹長ら大勢を巻き込んで、とてつもないほどの熱意を持って、短期間で作りあげた。
建設改造に携わった人間のほとんどが男であり、あまりの熱心さに不安になったノインは、完成後に女性陣有志を募って、隠しカメラや盗聴器の類を捜索したが、現状では見つかることはなかった。
カーゴ内には大浴場が2つあり、男女で使用が区切られている。
女性用浴場は、男性用に比べて一回り小さく作られているが、これは基地所属部隊の男女比によるものだ。
それでも共用シャワールームより広いため、使用者から不満がでることはない。
疲労を癒やすためという名目で、ジェットバスやサウナ、そして談話可能なサロンも併設されている。
基地司令であるガルマが、現地民とのトラブルを避けるために基地外での飲酒を制限しているため――律儀に守っているものは少ないが――非番の者は、ここで仲間と酒を飲むことが多かった。
連邦の木馬と基地強襲のごたごたから数日。ようやく全体が落ち着きを取り戻し、ノインもわずかではあるが休息の時を得られた。
と言っても、彼女に特別な趣味があるわけではない。
休日といっても、街に出かけるような用事もなく。いつものように機体シュミレーションと整備、そしてフィンゴ中尉の独断専行――いや、軍備の私物化横領を見咎め、けっきょく徒労に終わっただけだ。
大したことはしていない、だというのに頭の先からつま先まで、疲労が泥濘のようにへばりついている。
服を脱ぎ、浴場内へと足を踏み入れる。
いつもはシャワールームで済ますのだが、今日ばかりはゆったりと湯に使って身体を解さねば、この疲労は抜けないと判断した。
「あら大尉、ご機嫌よう。ですわ」
身体の埃を落としたところで、振り向くとそこにキリシマ曹長が立っていた。
「珍しいですわね、大尉がこっちにくるなんて」
「たまにはな」
隣に座り、同じように湯を体にかけるキリシマをノインは盗み見た。
同じ女性軍人だが、彼女の身体つきは実に女性らしいものだ。
いささか胸が大きすぎると思うのだが、本人はそれを気にするどころか自慢しているような節もある。
湯を弾いてきらめく色白の肌には傷跡もシミもない。
一方、自分はといえば、実戦で負った傷もあれば、日々の訓練により筋肉質となり、この地球に降りてからはやや日焼けもしていた。
「なんですの?」
こちらの視線に気づいたキリシマが訝しげに問うてくる。
「いや、なんでもない」
ノインは立ち上がって逃げるように湯船へと向かった。
「よ! 大尉」
「ニムロッド少尉か」
先客としてケイ・ニムロッド技術少尉がいた。
あろうことか、湯船に浸かりながら缶ビールを嗜んでいる。
「固いなあ。気安く『ケイ』でいいってば! 今度から同じ特務部隊に配属されんだからさ」
「技術少尉の君が?」
「ジオ・マッドとしてはあらゆる機体のあらゆる環境での実働データを集めたいんだとさ。宇宙が安定してるから、上の連中はもう戦争に勝った気でいやがるのさ」
なるほど、とノインは思った。
戦争特需は長く続かない。ならばいまのうちに兵器開発をできる限り進めてしまおうという腹積もりなのだろう。
MSというものが歴史に現れてからまだ一年も経っていない。だがそれはこれまでの戦争史にある常識を塗り替えるほどのインパクトを持って世界に刻み込まれた。
ジオンが戦争に勝利すれば、他コロニーも連邦から独立し独自戦力の拡充としてMSを開発することだろう。そうした技術競争に、少しでも先じようというわけだ。
「ああら、どこのどいつかと思ったら、ドブに汚れた野良猫じゃありませんの」
突然聞こえてきた声に、ノインは顔をしかめる。
「あーまたアンタかキリシマさんよ」
ケイが面倒くさそうにその人物を見る。
ケイとキリシマ。
彼女たちは犬猿の仲だ。
後輩くん「パイセン! 感動できるお勧めアニメあったら教えてください!」
ワシ「(藪から棒だなー)んー、『ガングレイヴ』かなぁ? 今でもラストの青い空が泣ける」
後輩くん「はい? あーガンダムじゃないんすか? 意外ーwwww」
ワシ「(´・ω・`)」