目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

15 / 260
第14話 Side『オルド・フィンゴ』

 

 敵戦車群を薙ぎ払い、圧倒的速度で侵攻していく僕ら。この調子ならあっという間に占領できてしまうだろう。

 

「おーほほほほっ! 貧弱貧弱ぅぅぅ!!」

 

 キリシマ曹長は高笑いだ。

 

 いつまでこの作戦続くのかな。僕、この人苦手。

 

「ん?」

 

 ザクⅡJには地上用装備としてアンダーグラウンドソナーが備えられている。それが友軍機のザクとは違う音紋を拾った。

 

 むろんドムのものでもない。

 

「少佐!」

 

 警告を上げると同時に、周囲に砲弾が着弾し爆煙が上がる。

 

 キリシマ曹長のザクに砲弾が命中、左脚部が関節ごと吹き飛び、仰向けに倒れた。

 

 撃ってきたのは、人型の兵器だ。

 

「連邦のMSだと!?」

 

 少佐の驚きは無理もない。

 

 胴体をカーキ色に塗ったその人型は、史実のザクとジムを組み合わせたような姿をしていた。

 

 そいつがビルの陰から複数現れる。

 

 間違いない、ザニーだ。

 

 ガンダムゲームの中で設定された連邦製のMSである。

 

 鹵獲したザクや、ジオニックから極秘裏に入手したパーツを利用して急造された機体だ。人型からは外れた3本指のマニピュレーターには、長銃身のライフルが握られている。

 

 Gジェネにも登場した機体なので覚えているが、武装は頭部60mm機関砲と、手持ちの無反動砲だけだったはず。

 

「中尉! 曹長のフォローに回れ!」

 

 ゼクス少佐が素早く指示を出す。少佐のドムは弾倉が空になったバズーカを捨てるとヒートサーベルに持ち替え、高速で突貫、先程キリシマ曹長を撃ったであろう機体を袈裟に切り裂いた。

 

 ラムザット大尉も他の機体に向けてマシンガンで応戦する。

 

「曹長、意識はある?」

 

「クッソ! あいつら地べたに這いつくばらせて詫び入れさせてやる!」

 

 うん。元気そうだ。でも機体は左足が膝から吹き飛んでいる。偶然か狙われたかはわからないが、関節部に命中したんだな。

 

 地上で足をやられたMSはただのでかい(まと)だ。こうなると歩兵すら脅威になる。

 

 周囲を索敵すると、ザニーがビルの上に立つのが見えた。よく登れたなあんなところ。

 

 距離も近くライフルでは間に合わないと判断し、咄嗟に腰からヒート・ホークを握って投擲する。時間稼ぎの牽制になればと思ったが、幸運にも相手の胴体、ザクならコックピットにあたる部位に命中した。

 

 パイロットは即死だろう。爆散こそしなかったが、機体は力なく後方に倒れる。

 

 振り返れば、少佐と大尉が残りの4体を始末していた。さすがの腕前である。

 

「大したことはありませんでしたな」

 

 ラムザット大尉は口調に余裕を滲ませている。だが、少佐は違う印象を持ったようだった。

 

「ああ。だが、まさかこんなに早く連邦がMSを用意してくるとはな」

 

 連邦のMS開発史は、いくつか説があるものの、一年戦争前から始まっていたとされている。

 

 その結果がこのザクもどきなのだから、研究に大した力を入れてはいなかったのだろう。

 

 でも、この後でV作戦が始動し、ごく短期間でRX-78ガンダムが出来上がると思うとその底力はとんでもないものがある。

 

「次はもっと手強い脅威になるでしょうね」

 

「君もそう思うか」

 

 史実ならばだが、これから半年ほどでジムの実戦配備が進んでいく。

 

 巨人に喧嘩を売った蟻。やはりジオンは負ける運命にあるのかな。





 ザニーは好きなMSです。

 友人には理解されません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告