目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
海賊戦。
要は突撃だ。
戦術戦略もあったものではない。
「本気ですかい?」
「コロニーは動き出した。時間がないんだよ」
廃コロニーの行き先はまだわからない。
キシリアが想定したとおり地球かもしれないが、そこにたどり着くまでにはかなりの距離がある。
ここからもっとも近いのはサイド3であり、もしこの質量の物体がコロニー群にぶつかれば生まれたデブリで祖国は壊滅的被害を被るだろう。
保有する核ミサイルを使えば吹き飛ばすことも可能だが、それでも生まれた衝撃波は消せない。
ルウム宙域で連邦が放った核により、サイド5は致命的ともいえる被害を受けたのは記憶に新しいことだ。
他サイドの宙域で迎撃したとしても被害は同じ。
1億を超える人の命が、無慈悲な真空の中へと放り出されることになる。
そして総延長20キロにもなる鉄くずが地球に落ちれば、さらなる環境災害を引き起こすことだろう。
そうなれば、連邦もジオンも、ルールのある戦争などと建前を言ってはいられなくなる。それぞれの資源を根こそぎ奪いさるまで戦う殲滅戦だ。
「だから、潰すならここしかないんだよ」
「無茶が過ぎますぜ! まだ敵の数は多い!」
「時間との勝負さね! 最悪、ぶつけた艦のエンジンを暴走させて爆破する」
デトローフは絶句する。
「それは……」
「なんだい。また
シーマの言葉に艦橋は静まり返った。
この艦に搭乗する乗組員は、海兵隊設立からのメンバーであり、件のダイクン過激派鎮圧作戦において、知らされぬまま、コロニー1つを毒ガスで死滅させた人員だ。
「今度は毒ガスなんて比じゃないほどの人が死ぬんだ。ここで尻尾巻いて逃げりゃ、アタシたちは今まで以上に後ろ指指される人間になる」
「……わかりました。シーマ様がそう命令されんなら、俺らは付き合いますぜ」
シーマは頷くと、ガトーの方へと改めて向き直った。
「そういうことだ少尉。出撃したらこの艦には帰ってくんじゃない。後方のパプアに戻って離脱しろ。それと、機体は貸すだけだ。必ず無傷で私に返せ。いいな?」
「はっ! アナベル・ガトー少尉。命令を受諾しました」
こんな時でも堅苦しい表情を消さず敬礼する気障な男に、シーマは苛立ちが止まらない。どこまでも気に食わないやつだ。
「あんた、
「はっ! ありがとうございます!」
こちらの皮肉にすら生真面目に返してくる相手に、さっさと行けと手を振り退出を促す。
「デトローフ味方に信号を送りな! リリー・マルレーンの両翼囲むように配置。左右の盾にして突っ込む!」
「アイアイサー!」
クルーは優秀だ。
やると決めれば細かい指示を飛ばさずとも、必要な行動をテキパキと行い進めていく。
「シーマ様もノーマルスーツを着てください」
「非戦闘員は脱出艇に乗ったか?」
「いや、結局一人も降りませんな」
「なんだ、バカばかりか」
「なにせ艦長が敵に正面から突進するバカですからな」
「言うじゃないかデトローフ」
シーマはにやり、と笑うと副官の脇腹に拳を叩き込んだ。
「今度の格闘戦訓練でたっぷり揉んでやるよ! そうすりゃ、お前らのたるんだビール腹も少しは引き締まるだろうさ!」