目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
ミノフスキー粒子下でも、極短距離ならば赤外線レーザーによるロックオンは可能だ。
自身の機体が背後、ニードルの機体からのロックオンを感知してアラートを鳴らす。
考えるよりも先に咄嗟にペダルを踏み込み、機体を横にいなした。
瞬間、さらに前方、コロニーへの電力供給用太陽電池パネルの残骸から放たれた光条が、今まで自身がいた場所を貫いていく。
すでに僚機のロックオンは外れていた。
――ビームに気づかせるために敢えて向けたのか。
いつの間にかミノフスキー濃度が上がっている。通信不可能と考えての行動だろう。
荒っぽい注意喚起だが、助かったのは事実だ。
敵のザク高機動型が近づいてくる。
狙撃ポイントであった残骸から外れるように迂回しつつ、こちらの側面を叩くつもりのようだが、すでにスナイパーの位置が露呈した以上、その動きは囮の役を担えない。
ニードルが前に出た。
マシンガンを撃ち放ち、進行方向を阻害し動きを限定する。
そこをガトーはビームライフルの一射で沈めた。
よく訓練されている。
教練通りと言えばそれまでだが、実戦でマニュアル通りに動けるということは、それだけ場数を踏んだ証でもある。普段の無頼さとはかけ離れた、洗練された動きだ。
狙撃されないようにランダム機動で残骸に近づく。
鈍く光る太陽光パネルの断片。
見えた。
スキウレに乗ったゲルググ。
肩に302の部隊番号。
――やはり彼奴か!
別ルートから接近したニードルが、マシンガンの掃射でスキウレを破壊するが、ゲルググはその前に離脱。
「私が始末をつける!」
そのためにここに来たのだ。他者に獲らせるわけにはいかない。敢えてオープン回線で発したが、このミノフスキーの海では僚機に伝わることはないかもしれない。
ガトーはライフルを捨て、武装をビームナギナタへと切り替える。
距離をとる相手は、牽制のマシンガンを撃つが、デブリを盾にして防ぐ。
分離したプロペラント・タンクを投げ、それを腕部機関砲で爆発させると、それを目眩ましに一足に距離を詰めた。
慌てた相手はビーム・ナギナタを構えようとする。
「未熟!」
敵の右腕を手首から切断、返す刀で両の足を薙ぎ払う。
苦し紛れに伸ばした左腕を――機関砲を撃つ気だったか――さらに切り捨てる。
体当たりとともに頭部を掴み、デブリに機体を叩きつけた。
まるでガラスが割れ砕けたように太陽電池パネルが宙に舞う。
「ここまでだ伍長」
「その声……ガトー隊長?」
接触回線で聞こえてくる男の声。
「そうだ。貴様を追ってきた。なぜ軍を裏切った!」
「私は使命に目覚めたのです! 全宇宙民を覚醒に導くという崇高な使命に!」
「何を世迷言を」
「聞いてください隊長! 今のジオンは間違っています! このまま戦争が進み勝利すれば、ザビ家の独裁によりこの地球圏は逼塞する。建国の父、ダイクンが掲げた宇宙民の覚醒、ニュータイプによる人類の革新は起き得ない!」
「また同じことを……そんなあやふやな事柄のため、コロニーを兵器とするのか! 貴様には人としての良識はないのか!」
「言ったはずです。そして決別した。誰かがやらねばならんのです!」
やはり会話が成り立たない。
何が彼を変えた? いや、ここは思考をめぐらす場ではない。
「伍長、君を拘束する。貴様が語る真のジオンとやら、後でじっくりと語って貰おう」
「……」
コックピットハッチが開く。
出てきた彼の手には、拳銃が握られていた。
「無駄な抵抗を――」
「我々は必ずや
叫ぶと銃口を自らの頭部に向け、その引き金を引いた。