目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第146話 Side『宇宙の虎』

 

 何本ものビームの光条が、折れた廃コロニーの片割れを焼き尽くす。

 

 リリー・マルレーンとの間に残骸を挟むかたちで、新たな艦隊が姿を現していた。

 

「旗艦信号確認! グワジン級戦艦グワデン、デラーズ大佐の艦隊です!」

 

 艦隊前方に広く展開したMSはスキウレに乗ったゲルググである。

 

 さらに高機動パックを装備した編隊が、後方のナトクラへと襲いかかった。

 

「グワデンより打電! 我、海兵隊に助力す。です」

 

「はっ! このシーマの上前をはねようってのかい!」

 

 この辛辣な状況の中、援軍は歓喜すべきものでもあったが、同時に自身の無力さを強く体現するものでもあった。

 

 デラーズ大佐の率いる部隊はギレン総統直轄であり、突撃機動軍の動きがそちらに漏れていたことの証左である。

 

 さらに失敗しけた任務の尻拭いをしてもらうなど、特殊部隊としてのプライドだけでなく今後の海兵隊のあり方にも水を差されるものになるだろう。

 

「シーマさま! コロニーの片割れが!!」

 

 通信士の声に振り向くと、砲撃で割れたコロニーの残骸、動力をつけたままのそれは、当初の軌道を逸れつつも、止まることはなかった。半分が吹き飛び、質量が軽くなったぶん速度も上がっている。

 

「軌道は?」

 

「修正でました! これは――」

 

 前方のモニターに表示される予測ラインは、サイド3の近海を通ることを示していた。

 

「はっ! 結局やることは変わらんか!」

 

 自国の近くで爆破などさせられない。衝撃波と残骸が人の住むコロニーをずたずたにしてしまう。

 

 メガ粒子砲でコロニーを分断できたのは、もともと崩れかけていた場所にビームを集中させたからにすぎない。

 

 なにより、サイド3の近くで処理するとなれば、軍の不祥事が

 衆目にさらされることになる。これからの各サイドとの外交を考えれば、好ましくない。

 

「グワデンに打電! アタシらはこのままデカブツのケツに打ち込んでやるよ!」

 

 コロニーの速度は早い。

 

 グワジン級は、ザビ家に信頼された一部の将校のみが座乗する高性能艦だが、流石に、追いつくことはできないだろう。

 

 単純な航行速度ならこちらのザンジバル2の方が圧倒的に早い。

 

「アイアイサー!」

 

「それとデトローフ! ツキはこっちに回った! 乗組員の脱出を告げな! 600秒で済ませろ!」

 

 先程までは敵と交戦しながらコロニーに肉薄しなければならず、エンジン暴走からの自爆操作のためにも、乗組員を脱出させる余裕はなかった。しかしデラーズ隊が敵軍を抑えるのであれば、コロニーに接岸した上で自爆を時限式に設定すれば間に合うはずだ。

 

「他所者に助けられるってのもシャクだが、使えるもんは使わせてもらうさね」

 

 シーマが宣言した通り、10分後。

 

 漆黒の暗礁宙域に、青白い閃光が瞬いた。

 

 

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