目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
廃コロニーでの極秘作戦より数日後。
再びグラナダにシーマは居た。
「ご苦労だったガラハウ大佐」
爬虫類のような目をこちらに向けるキシリアに、シーマは敬礼だけを返す。
「本作戦は、デラーズ大佐の艦隊の助力により、なんとか達成できたに過ぎません。こちらは旗艦とムサイを2隻失っております」
「報告は目を通した。こちらの情報が賊に流れていたようだな。まさか大隊規模とはな……我が諜報部にもやつらの目が入っていた。よってわざわざお前を呼ぶ羽目になった」
そう言ってキシリアは書類をこちらに渡してくる。
受け取った紙の束に目を通し、やがてシーマは眉をしかめる。
「GENERATION−Zeroシステム? なんですこれは?」
「簡単に説明するならば、思想統一装置、いわば大規模洗脳兵器と呼べば良いか」
「はぁ? ああ、失礼いたしました……その、こちらの考えが追いつかないのですが」
書類には、ネオ・ジオンを名乗る部隊が用いていた通信装置についての報告が記されている。だが、その技術的仕組みがシーマにはよくわからなかった。
「こちらには、『感応波により、適応者と精神的リンクを構築するシステム』とありますが……なんですこれは?」
「貴様、ニュータイプという言葉は知っているな」
キシリアの言に、シーマは肩を強張らせる。
「たしか、故ダイクンが提唱した思想でしたな。人類の革新と嘯いていた」
ザビ家にとっては、ダイクンの話はタブーでもある。そしてシーマにとっても毒ガス鎮圧作戦という触れられたくない傷であった。
「人の革新といってはいるが、その実は古来よりニュータイプと見られる人間がいたのは事実だ。エスパー、サイキック、呼び名は違えどもな」
「感応波により、相互意識の交感が叶う、でしたか。眉唾なものだと認識しておりますが」
「そうでもない。我が軍でも研究は行われていてな、人工的にニュータイプを生み出す事が可能なところまで漕ぎ着けている」
「ウワサ程度なら聞いたことはありますが。MSの装甲越しに殺気を感じ取って、攻撃される前に回避を行い、同時に反撃するなど」
シーマはもう一度手元の資料に目をやり、顔を歪めた。
「まさかこのけったいな名前の装置が?」
「ああ。素養のある者の精神に作用し、ニュータイプとしての覚醒を促す装置、だそうだ。テロリスト共は全員、そうして新人類に覚醒した者なのだとな」
「そんなオカルトを拠り所にして、ヤツラはテロを行なったのですか?」
「一笑に伏すにはいかん話だ。ニュータイプは感応波によって、交信ができる。それに距離も障害物も関係なく、遅延すらない。貴様も今回の戦闘で心当たりがあるだろう」
そう言われ、シーマは思いだす。
宇宙空間で、的確にこちらの居場所を補足した狙撃手と、妙に統制の取れた動きをする兵たち。
ミノフスキー粒子の海の中で、個々が高度に組織だった動きをとることは難しい。以前の戦争のように、後方で指揮官が戦局を見極め、それぞれに指示を出すことはかなわないのだから。
「……まさか、我々が相手をしたのは、全員ニュータイプだとでも?」