目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

167 / 260
第154話 Side『もうひとつの箱』

 

 環境汚染が甚だしい地球において、日本地区は比較的自然が多く残っている。

 

 それは旧世紀後半に陥った人口減少を最後まで解決することもできず、他の旧国家群が人口爆発の増大を続ける中で相対的に衰退したせいだ。

 

 国としての体裁をなんとか保つために、大国に経済的に隷従。閉鎖的かつ消極的な国民性もあり、各地方にて自治を行い、細々とした生活を繰り返した結果、国際情勢に取り残された。

 

 その結果、経済開発などが最小限に留まり、古来の自然環境が保全されているという皮肉。

 

 別世界とは言え、前世では日本で暮らしていた身として、ちょっとした感傷がこみ上げてくる。

 

 まさか侵略者としてこの大地を踏むことになるなんてねぇ。

 

 目的の施設は山と森に囲まれた場所にある。

 

 地図上では平野とされているが、真っ平らに見える場所は少ない。海外と違い、日本はどこも山と森に囲まれている。

 

 我々『閃光の伯爵』は、2部隊に分かれて目的地に進行。

 

 すでに無人機による偵察後に、ミノフスキー粒子の散布を行っているため、先方はしっかりと警戒態勢のはずだ。

 

 なので本隊はドダイを使って正面を突破する。

 

 キャリフォルニアベースからMSは潜水艇、ドダイはボドム・キャリーを使って空を飛び、直接極東に持ち込んだ。

 

 SFS(サブフライトシステム)はキャリフォルニアベースにて新型のゾーリが完成しているが、うちの小隊の整備員は全員ドダイをけっこうな練度で操縦できる――基地内の物資輸送に使用したりしたおかげ――ので、新型よりこちらの方が都合がいい。

 

 ドダイに乗っていっきに長距離を詰め、敵拠点を急襲する。

 

 SFSは使い捨てにするわけではないので、有人運用でMSを空輸し、その後は即座に撤退だ。MSで基地制圧後は、占領のための歩兵隊を輸送してもらうことになる。

 

 さて、別働隊であり先行する部隊は僕一人である。

 

 ん? これって部隊って言わなくね?

 

 大佐より任された内容は、先行強襲による敵陣の撹乱。

 

 搭乗機の『ドム・デアフライシュッツ』(後半を略してドムデアと整備班は呼んでる)は、EWACと通信妨害装置を搭載してるため、そうした運用に特化してるんだが、単機で挑めってひどくない?

 

 兵器はあれど人はなし。

 

 ジオンの人員不足はおそらく戦中に解決することはないだろう。

 

 とにかく夜間に先行して、朝方に所定のポイントに到着。

 

 キャリフォルニアベースにて、新装備として試製ビームスナイパーライフルを渡されているが、上からの命令じゃなかったら使いたくなかったな。

 

 これは試製ビームバズーカを軽量化したやつで、ビームスナイパーライフルなんて言ってるが、要は急造品のビームライフルだ。

 

 E-CAP技術のテストのために作られたやつで、ゲルググが装備しているやつのプロトタイプ。

 

 それを改造して出力と射程を向上させた……と資料にあった。

 

 こいつ、ろくにテストされてないんだよね。

 

 試作品を即座に実戦投入するなんてさぁ。

 

「技術屋ってこれだからなぁ……」

 

 まあ、自分もその技術屋のはしくれではありますが。

 

「それでも仕事はしますけどね」

 

 大佐から、使えなかったら下がってよいと言質はとってある。

 

 この銃、ビームバズーカよりは軽量だけど、長身だしサブジェネレータ搭載でまだまだけっこうな重量があるんだよね。

 

 サブジェネレータと改良型コンデンサによって、ビームバズーカの欠点だった連射性が改善されている……らしい。

 

 機体の脚を屈折させてライフルを構える。

 

 ライフルに装備された二脚銃架(バイポッド)を展開。

 

 人間でいうところの伏せ撃ちの姿勢だ。

 

 ザクやドムでは不可能だが、逆関節型のこの機体なら可能である。

 

 脚を後ろに畳めば、かなり上体を低くできるからね。

 

 さて、では。

 

 死神のレンズを覗きますよっと。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告