目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第156話 Side『もうひとつの箱』

 

 その後、地下から出てきたMSたちは全部で8機となった。ぱっと見でわかるほど、かなり良い動きをしてる。

 

 ジムもどきは見た目通り軽量なのだろう、ホバー機動で近づくキリシマ嬢のドムから素早く距離を取り、マシンガンの掃射を浴びせる。

 

 背後を取ろうとしたノイン大尉の動きをもう一体が牽制。機を逃したノイン大尉のドムに、キリシマ嬢を追いかけると見せかけた先程のジムもどきが、ビームサーベルで斬りかかる。

 

 ノイン大尉はとっさにバズーカを犠牲にして回避。武装をマシンガンに切り替え牽制し、追撃を避ける。

 

 キリシマ嬢に対しては3機目が射撃を繰り返して近づけさせないようにしてる。この機体はビームスプレーガン持ちだ。

 

 撹乱膜が張られたなかではビームは大した効果を発揮しない。だが撹乱膜は長時間効果を維持できないし、大気中では風によって拡散してすぐに薄れやすい。当然、至近距離で放たれたビームが減衰しきる前に命中すれば、それなりの威力を持つ。

 

 拡散された光条のひとつでも動力部に当たれば、そのプラズマ熱で誘爆する可能性もあるから、避けずに突貫なんて芸当は、さすがのキリシマ嬢ですらしない。

 

 操縦者の練度と士気が高い。個の技量だけでなく、連携が取がとれている。

 

 ニムバス大尉とマリオン少尉のほうにも、4機が相対している。

 

 短銃身のキャノンを左肩に装備した機体と、ビームスプレーガンを装備したタイプが2、マシンガン装備が1だ。

 

 ニムバス大尉とマリオン少尉の機体は青く塗られたゲルググG型。

 

 G型といっても新規で生産されたものではなく、地上用パックを背中に装備した機体だ。

 

 大尉の機体は全身青く、肩の装甲だけが赤く塗られた仕様。

 

 少尉のものは宇宙で使われている一般機と同じグレーのカラーリングだが、両肩を青く塗っていて、センシティブ能力を上げるためにゲルググキャノンの頭部に換装されている。

 

 大尉がヒートソードの二刀流で切り込みをかけるが、ジムもどきたちはそれに付き合わず、距離を取りスプレーガンで地面を狙ってくる。

 

 地上用MSの弱点は脚だ。

 

 特にドムやゲルググのようなホバー機は脚部に推進剤とホバークラフト用のエンジンを積んでいるため、ビームを受ければ爆発間違いなし。

 

 そうでなくても、脚が使えなくなればMSは動けなくなる。

 

 必ず2体以上で一機を狙う戦法で、ニムバス大尉の動きを掣肘。マリオン少尉がフォローしようとするも、こちらも残りの二機が阻む。

 

 俊敏さを活かして自分たちにとって有利な距離を維持している。

 

 間違いなくエース級の動きだ。

 

 ただ、防御に特化した消極的な動きともいえる。やられはしないが、敵を撃破できるものではない。

 

 時間稼ぎか?

 

 一瞬、他の基地から増援がやってくるのを待っているのかと思ったが、この極東には即応できる連邦陣地は存在していないはずだ。

 

(やっぱり、ペイルライダー待ちか?)

 

 大佐の方を見ると、転倒していたガンキャノンをヒートクレイモアで串刺しにして止めを刺した後、ジムもどきと一対一の交戦中だ。

 

 このジムもどき、他の機体とは明らかに違う。

 

 頭部全面が、クリアゴーグルで覆われており、中の機器類が発光しているのが見てわかる。ツインアイではなく、非可動式の単眼だ。

 

 頭部の全体的なシルエットとしては、ガンダムXのビットMSにそっくりだ。

 

 全身のディテールはジムよりガンダムに近いから、区別のためにガンダムもどきと呼ぼう。

 

 新型ガンダムかな? いや、試験機かもしれない。

 

 武装は前世のアニメで見慣れたミドルシールドと、ビームライフルだ。

 

 高性能機体のようだが、それだけでは大佐の相手はつとまらないだろう。

 

 大佐は、やや手間取っている友軍のフォローに早々に入ろうと考えたのだろう。

 

 一気に距離を詰める。

 

 ザクS2の瞬発力はかなりのものだ。耐G適正の高い人間でなければ殺人級の高機動で間合いに入る。

 

 だが動きを読んでいたのか、ガンダムもどきは後方に下がることはせずあえて前に出た。

 

 大佐が使用しているヒートクレイモアは威力が高く、最大出力ならばジムの扱うビームサーベルすら切断(・・)できる。

(本当に切断するわけではないが、出力差によりビーム刃を磁界で一瞬無力化することはできる)

 

 けれども大振りな実体剣である分、慣性によって動きにクセが出やすく小回りが効かない。

 

 ザクのヒートクレイモアを振るう腕を、ガンダムもどきはシールドで打ち払いながら斬撃を外に流し、身体を入れ替えるようにして間合いを取る。

 

 大佐とてただ抜かれるわけではない。

 

 バックパックのサブアームに懸架したショットガンを放つ。

 

 ルナチタニウム合金の弾芯を用いた特殊弾は、破壊力よりも対MSストップ能力を重視したものだ。

 

 射程こそ短いが、至近の一撃でジムならば吹き飛ばす。

 

 しかし相手はシールドを手放して犠牲にすると、ビームライフルを撃った。

 

 赤い光条は素早く身を低くしたザクが背中に懸架していたバズーカの砲身を灼き、溶断する。

 

 咄嗟にサブアームから分離させなければ、熱により弾倉が誘爆したことだろう。

 

 致命傷を避けつつ、ゼクス大佐は左腕のヒートロッドを伸ばす。

 

 相手は飛んで避けたが、先の一撃は牽制だ。

 

 振りかぶったヒートクレイモアの一撃が、ガンダムもどきの胴を溶断する――はずだった。

 

 2機の間にビームが撃ち込まれる。

 

 素早く避けた大佐。

 

 ――どこからだ?

 

 こちらのレーダーには何も映っていない。

 

 光学系はダメ。

 

 音紋と熱源探知は――ヒット。

 

「大佐!」

 

 即座に見えない敵の位置情報を送る。

 

 大佐のザクS2の前に、ゆらり、とそいつは現れた。

 

 

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