目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第157話 Side『もうひとつの箱』

 

 

 蒼白い陽炎のようなものを纏った、人型(シルエット)

 

 何もない空間から幽鬼のごとく現れた蒼いMSだ。

 

 もちろん本当に姿を消しているわけでも、大気を揺らめかせているわけじゃない。これはミノフスキーが見せる光学系欺瞞(まぼろし)だ。

 

 カメラを切って肉眼で見れば、はっきりと姿が見えるはずだが。

 

 コックピット前の防弾シェルターを開放し、強化ガラス越しに戦場を見る。(狙撃用に導入した。この機体の装甲では、どのみち当たれば終わりなので)

 

 肉眼と光学系カメラと対物レンズを使用したスコープを併用して、敵の位置を掴む。

 

 全身蒼い。

 

 連邦MSによくあるようなゴーグル型の頭部ではなくバイザー型。ところどころにあるセンサーだろうか? 赤く明滅しているのが不気味だ。

 

 ――推定、『死神(ペイルライダー)』。

 

 頭部の形状のせいか、人型なのにより無機質で不気味な印象を見る者に投げかける。

 

「まあ、撃てば止まるだろ」

 

 ビームスナイパーライフルの照準を素早く合わせ、引き金を引く。

 

『OAAAAAAAAAAA!!』

 

 突如響いた叫び声とともに()が消えた。

 

 亜光速のビームを飛んで避けた『死神』は、右の前腕に取り付けてあるビームサーベルを、大佐と対峙するガンダムもどきに振るった。

 

 友軍だと思っていたのだろう、虚をつかれた様子のガンダムもどきであったが、とっさに投げ捨てたビームライフルを犠牲にして飛び退る。

 

「いやああああぁぁぁぁぁ!!」

 

 っ!?

 

 今度はなんだ?

 

「マリオン少尉! どうした、落ち着け!」

 

 ニムバス大尉の焦った声。

 

 マリオン少尉のゲルググは手足を子供のようにハチャメチャに動かしながら転倒する。

 

『OAAAAAAAAAAA!!』

 

「来ないでっ! 私の中に入ってこないでぇぇぇ!!」

 

 どこからか響く謎の叫びと、マリオン少尉の慟哭が重なる。

 

 この謎の叫び、以前北米で出会った機体と同じ仕組みか?

 

 マリオン少尉はニュータイプだから、『死神』に感応して正気を失ったか?

 

「マリオン少尉! 機体を立て直せ!」

 

 彼女の機体は、他のエース級パイロットと同じくリミッターとオートバランサーを切っているはずだ。

 

 コンピューターで機体の姿勢制御をしないぶん、より高度な機動、細やかな操縦を行えるけど、ちょっとの操縦ミスで今みたいに転倒することになる。

 

「くそっ! ウゼえんだよこの声は!」

 

「前の時と同じか!? 頭が締め付けられる!」

 

 キリシマ嬢とノイン大尉も影響下にあるようだ。

 

 転倒してもがくマリオン少尉のゲルググに、チャンスと見たジムもどきが2体、ライフルの銃身を向ける。

 

「マリオン!」

 

 ニムバス大尉が射線に飛び込む。

 

 マシンガンの掃射にさらされ、左腕が吹き飛び、さらに撃ち込まれた砲弾が左脚を吹き飛ばした。

 

 ヒートソードを十字に構えてコックピット前面は守っていたが、こうなると動けない。

 

 トドメ、とばかりに3機目がビームサーベルを抜いて迫る。

 

 僕のスナイパーライフルは冷却が終わらない。撃つたびに冷却とチャージの時間が伸びてやがる。

 

 フォローは間に合わない。

 

 ニムバス大尉に突き出されたビームサーベル。だが、その刃は届かなかった。

 

 飛び込んできた『死神』が、背後からジムもどきにビームサーベルを突き立てたのだ。

 

 

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