目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第161話 Side『もうひとつの箱』

 

 スコープを覗いて、照準を合わせる。

 

 それだけでは《死神》は反応しない。

 

 けど、いざ撃とうと少しでも気持ちを込めると、物凄い勢いで射線を外す。

 

「どうなってんだクソ! やつの推進剤は無限かよ!」

 

 連邦兵の誰かがぼやく。

 

 だよねぇ。

 

 ゲーム(セガ・サターン)で見たブルーディスティニーと同じ、高速すぎる動きを繰り返しながら、次々と標的を変えて襲い掛かる《死神》。

 

 加速のための推進剤はとっくに切れてるはずなんだが、それでも速い速い。

 

 おそらくユニコーン系が放出するようなサイコ・フィールドによるトンデモ(・・・・)なんだろう。

 

 この時代、まだサイコ・フィールドなんて言葉は生まれていないけどね。

 

 スラスター光も見えないので、増幅した感応波がどういう理屈か、斥力なり何なりを発生させているのだろうか。

 

 アニメでも、本来なら先がひしゃげて不可能なはずのウェーブライダー突貫や、ビームの出力を上げる、または高出力ビームに耐えるなど、サイコ・ウェーブでしてみせている。

 

「うわぁ! 来るな! 来るんじゃねぇ!」

 

 あまりに非常識な光景に、キャノン装備をしたジムもどきのパイロットが恐慌の声を上げる。

 

 闇雲に砲弾をバラマキ、あろうことか背中を向けて逃げようとした。

 

 その隙を《死神》は逃さない。

 

 説明では人の殺意に反応するということだったが、それだけじゃないようだ。

 

 明らかに戦意を喪失した相手に追いすがる。

 

 対象への恐怖もトリガーのひとつなのだろう。先に混乱して擱座したマリオン少尉を狙ったことも説明できる。

 

 撃てば助けることもできるだろうが、当てるのは無理だろう。

 

 彼には犠牲となってもらう――と思ったところで、大佐が動いた。

 

 ヒートロッドをうまく《死神》の左腕に絡ませることに成功。

 

 飛びかかろうとした瞬間を狙われた《死神》は、空中から引きずり降ろされて、無様に地面に倒れ込んだ。

 

 流し込まれた電流でショートと思いきや、《死神》は炸薬ボルトで左腕部をパージ。さらに跳ねるような動きで飛び起きて、右腕部のビームガンを撃つ。

 

 光弾はザクの右肩のシールドを吹き飛ばした。

 

 大佐は一気に距離を詰め、ヒートクレイモアで薙ぎ払おうとするも、左腕が上がらず機体のバランスが崩れて止まった。

 

 《死神》を止めたときに、関節部に負荷がかかり過ぎたのだ。

 

 一方それは《死神》も同じだった。

 

 動こうとしたとたん膝をつき、ぎこちない動作で震える。

 

 あれだけの機動を繰り返していたのだから当たり前だ。本来ならとっくにバラバラになっていてもおかしくない。フレームが破断し始めたんだ。

 

 MSのフレームには、高性能形状記憶合金(H.E.S.M.A)(High.Efficiency.Shape.Memory.Alloyの略)が使われている。

 

 アニメ1stガンダムに出てきた、ランバ・ラル大尉のグフのサーベルに使われていたあれだ。

 

 一定の電圧をかけることでこの金属は伸び縮みをし、損耗による自身の亀裂(クラック)なども修復する。MSの関節にはすべてこれが使われている。

 

 旧式のザクなどが多少メンテをサボり、ラボ行きなどしなくても動くのは、こうした素材の恩恵でもある。

 

 けど、いくら自己修復が可能といっても限界はある。負荷が勝れば当然破断し、そうなれば機能しなくなってしまうのだ。

 

 動けなくなった《死神》。そこにガンダムもどきが背後から飛びつく。

 

 後ろから羽交い締めにして拘束した。

 

「今だスナイパー! やれ!」

 

 おー勇気ある行動だ。

 

 カスミという女性の言葉通りなら、頭をぶち抜けばよいようだ。それなら、勇気ある連邦兵を巻き添えにせずに済むかもしれない。

 

「早くしろ!」

 

 と言われても、オートパイロット(・・・・・・・・)なんだからしょうがない。

 

 何度となく試した結果、《死神》は人の感情には反応するが、機械的なもの――つまりオートパイロットによる動作には一切反応を見せなかった。

 

 なら簡単だ。

 

 照準を手動でつけてやり、あとは射撃タイミングをAIに任せればいい。

 

 放たれた光は、若干右にそれた。それでもプラズマ化した高温の熱線だ。相手の頭部を融解、爆発させる。

 

 ついでに後方の連邦MSの頭部も吹き飛ばしてしまったが、コックピットが頭部にない限りはパイロットは生きてるだろう。

 

 違ったらごめん。

 

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