目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
スコープを覗いて、照準を合わせる。
それだけでは《死神》は反応しない。
けど、いざ撃とうと少しでも気持ちを込めると、物凄い勢いで射線を外す。
「どうなってんだクソ! やつの推進剤は無限かよ!」
連邦兵の誰かがぼやく。
だよねぇ。
加速のための推進剤はとっくに切れてるはずなんだが、それでも速い速い。
おそらくユニコーン系が放出するようなサイコ・フィールドによる
この時代、まだサイコ・フィールドなんて言葉は生まれていないけどね。
スラスター光も見えないので、増幅した感応波がどういう理屈か、斥力なり何なりを発生させているのだろうか。
アニメでも、本来なら先がひしゃげて不可能なはずのウェーブライダー突貫や、ビームの出力を上げる、または高出力ビームに耐えるなど、サイコ・ウェーブでしてみせている。
「うわぁ! 来るな! 来るんじゃねぇ!」
あまりに非常識な光景に、キャノン装備をしたジムもどきのパイロットが恐慌の声を上げる。
闇雲に砲弾をバラマキ、あろうことか背中を向けて逃げようとした。
その隙を《死神》は逃さない。
説明では人の殺意に反応するということだったが、それだけじゃないようだ。
明らかに戦意を喪失した相手に追いすがる。
対象への恐怖もトリガーのひとつなのだろう。先に混乱して擱座したマリオン少尉を狙ったことも説明できる。
撃てば助けることもできるだろうが、当てるのは無理だろう。
彼には犠牲となってもらう――と思ったところで、大佐が動いた。
ヒートロッドをうまく《死神》の左腕に絡ませることに成功。
飛びかかろうとした瞬間を狙われた《死神》は、空中から引きずり降ろされて、無様に地面に倒れ込んだ。
流し込まれた電流でショートと思いきや、《死神》は炸薬ボルトで左腕部をパージ。さらに跳ねるような動きで飛び起きて、右腕部のビームガンを撃つ。
光弾はザクの右肩のシールドを吹き飛ばした。
大佐は一気に距離を詰め、ヒートクレイモアで薙ぎ払おうとするも、左腕が上がらず機体のバランスが崩れて止まった。
《死神》を止めたときに、関節部に負荷がかかり過ぎたのだ。
一方それは《死神》も同じだった。
動こうとしたとたん膝をつき、ぎこちない動作で震える。
あれだけの機動を繰り返していたのだから当たり前だ。本来ならとっくにバラバラになっていてもおかしくない。フレームが破断し始めたんだ。
MSのフレームには、
アニメ1stガンダムに出てきた、ランバ・ラル大尉のグフのサーベルに使われていたあれだ。
一定の電圧をかけることでこの金属は伸び縮みをし、損耗による自身の
旧式のザクなどが多少メンテをサボり、ラボ行きなどしなくても動くのは、こうした素材の恩恵でもある。
けど、いくら自己修復が可能といっても限界はある。負荷が勝れば当然破断し、そうなれば機能しなくなってしまうのだ。
動けなくなった《死神》。そこにガンダムもどきが背後から飛びつく。
後ろから羽交い締めにして拘束した。
「今だスナイパー! やれ!」
おー勇気ある行動だ。
カスミという女性の言葉通りなら、頭をぶち抜けばよいようだ。それなら、勇気ある連邦兵を巻き添えにせずに済むかもしれない。
「早くしろ!」
と言われても、
何度となく試した結果、《死神》は人の感情には反応するが、機械的なもの――つまりオートパイロットによる動作には一切反応を見せなかった。
なら簡単だ。
照準を手動でつけてやり、あとは射撃タイミングをAIに任せればいい。
放たれた光は、若干右にそれた。それでもプラズマ化した高温の熱線だ。相手の頭部を融解、爆発させる。
ついでに後方の連邦MSの頭部も吹き飛ばしてしまったが、コックピットが頭部にない限りはパイロットは生きてるだろう。
違ったらごめん。