目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
CV
イツアキ:土田さん
ボルク:江頭さん
GM1:佐藤さん
AM:セイラさん(ORIGIN)
「どうした
「くっそ! 調子のんなよロートルが!」
シロウがこの技術開発局極東支部に赴任してから、3日と待たず、MS実機での実技訓練が行われた。
驚くことに、ここではすでに8機のMSが開発されており、これから量産されるであろうRGM系のプリセットモーションを構築するためにシロウたちは集められたのだった。
こうした試験部隊は連邦内でモルモット部隊群といわれている。
『警告。左後方7時の位置より狙われています』
アラートが鳴りまくるコックピットに、女性的な声が響く。抑揚の薄い、無機質さを感じさせる声だ。
次世代新型機のテストパイロットに選ばれたシロウの機体、RGM79−〔T〕ジム
対話式AI搭載型教育コンピューターであり、黒歴史に触れたカスミが、そこから汲み上げた知識で造り出された疑似人格を持つ。
大元は、黒歴史コードの中に埋もれていたSガンダムに搭載されていた『ALICE』システムである。
MSの完全無人化を目的として生まれたが、『ALICE』を完全再現するには基礎技術が圧倒的に足りないため、結局はMSの制御を自律して行う機能は有していない。劣化版でありながら、それでも機体に対してコンピューターが占める容積が大きく、『1/8』の頭部はこの『AM』を収めたケースなってしまった。
「くそが!」
悪罵をついて機体を反転させ、構えたシールドに数発の弾着。
『判定――今の攻撃でシールドが耐久限界を迎えたと判断。武装をパージします』
訓練ということで、弾丸はゴム芯を使った模擬弾だ。着弾時に有効かどうかをAIが判定する。有効とされれば、被弾箇所の動作を停止するなどのペナルティが発生する仕組みだ。
「どうしたイツアキ? また俺に撃墜マークくれんのか?」
無線から聞こえる茶化す声はGM4だ。
今回の訓練は、RGM79T−〔EJ〕――通称、ジムトライアル――3機対ジム1/8が1機の、ハンデ戦であり、基地横に広がる森林部を模擬戦場として行われていた。
「調子のんなよ!」
模擬弾とはいえフル武装の3機相手に、こちらは1機である。大した遮蔽物もない場所で、囲まれないようにするのが精一杯であった。
ジムトライアルは、1/8を元に、さらなるコストダウンを求めて設計された軽量機体だ。
装甲は薄く、一部フレームがむき出しの箇所もあるが、その分軽量であり、格闘戦における運動性能は高く、搭乗するパイロットたちが元陸戦歩兵としてベテランであることも相まって、シロウは苦戦していた。
「そらそら! もっと張り合い見せてみろよ!」
「うるせぇぞボルク! てめぇのMS、元はと言えば俺のモノマネじゃねぇか!」
ジムトライアルは、1/8で得た動作を常にコピーインストールされている。
この基地にやってきた当初こそ、シロウはMSの操縦技術はトップクラスだった。だが、AIである『AM』がその動きを解析、最適化して他のメンバーの機体にインストールしたせいで、あっという間にその差はなくなる。
それどころか、MSの動きに慣れたベテラン組は、その練度でもってシロウの動きを凌駕しはじめていた。
「おい
『訂正。私の最上目的はパイロットの操縦技術の蓄積と解析、最適化にあります。チーム全体の技術更新が命題であり、私は連邦教育型コンピューターの最上位モデルで――』
「うるせぇ! そういうこと聞いてんじゃねぇよ!」
AIに苛立ちをぶつけながら、咄嗟にブーストスロットルを踏み込む。
先程までの立ち位置に、GM1が撃ち込んだショルダーマグナムの砲弾が突き刺さった。
『驚愕。よく避けれましたね。砲撃が来るのがわからなければ不可能な回避運動で――』
「知るか! なんとなくだ!」
「GM8、
GM1の煽りに舌打ちを返し、シロウはサーベルを引き抜いた。
実際のビームサーベルではなく、強化プラスティックに特殊なゴムを巻いた模擬戦用の試作品だ。
『警告。近接戦は当初の戦術とはかけ離れた――』
「うるせぇな! このままだとジリ貧じゃねぇか!」
そう言ってシロウ機は前方のGM4に向かって突貫する。
今まで引いていた分、まさか突っ込んでくるとは思っていなかったのか、GM4は距離を取ることはせず、代わりに模擬刀を盾で受けた。
その瞬間に、シロウは右手のビームライフル――という設定の模擬戦用だ――をもう一機、離れて様子を見ていたGM2に向けて放つ。
撃ち出された弾丸は見事に相手の胴部に命中した。
『判定。撃破。お見事です』
「ざまあ見やがれ!」
だがそこまでだった。
左腕破損判定を受けただけにとどまったGM2が、蹴りを繰り出し、シロウ機の姿勢を崩す。
そこに高速で接近していたGM1が、至近距離からショルダーマグナムを叩き込んだ。
「がっ!?」
ゴム弾とはいえ至近距離で受ければそれなりの衝撃がある。オートバランサーの補正も効かず、機体は仰向けに倒れ込んだ。
『判定。コックピット破壊。パイロット死亡と判断。当機は撃破されました』
「なっ! クソが!!」
モニターには、豪然と銃口を突きつけるGM1の姿が
映っていた。