目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第184話 Side『降り注ぐ嵐』

 

 作戦名『ストーム&コメットフォール』。

 

 ジオン司令部のセンスのなさに頭痛がする。

 

 名称だけでどんな作戦かある程度想像できるってどうなん。

 

 内容はこうだ。

 

 宇宙軍で、現在ルナツーに集結している連邦艦隊を襲撃。その隙に我ら突撃機動軍は、アフリカ最西部の連邦政府首都ダカールへ向けて攻撃を仕掛ける。

 

 トラヴィスたちから得た連邦の反抗作戦を受けて、「やられる前にやったれ」な作戦だ。

 

 そして月にいる突撃機動軍特別部隊の僕らには独自の任務が与えられた。

 

 大気圏降下によるマプト港湾基地への奇襲。

 

 なんてことはない。大戦初期にジオンが行った降下作戦の再来。夢よもう一度ってやつだ。

 

 違いは、以前僕が開発局で設計していた大気圏降下用SFSが導入されることだ。

 

『YS−12GFSソール』。

 

 当初は開発局時代に提案、データのみだが設計していたもの

 だ。

 

 開戦当時、司令部は宇宙戦のみで決着をつける気まんまんだったために採用されなかった。

 

 でも地上戦に舞台を移すことになって、MS展開力と航空兵器の優位性をようやく首脳部が理解して急遽兵器開発となり、ストックしていた僕のアイデアが使われることになったわけだ。

 

 ドダイとゾーリの完成でMSの輸送と通信連携の技術は確立されたので、後はSFSに大気圏降下能力を付与するだけだった。

 

 原作のフライングアーマーと同じ要領で、底面に空力加圧から機体を保護するためのショックウェーブ発生装置と、機体上面に搭乗するMSを保護するための耐熱フィルム(冷却ガス)でMSを隔離する。

 

 大気圏突入後はSFSとしてそのまま運用できる代物だ。

 

 ショックウェーブ発生装置にかなりの電力が必要なため、ザクに使われてた核ジェネレーターが搭載された結果、フライングアーマーよりは一回り以上大柄。

 

 それでもMSを単騎で降下させて、そのまま空戦に移行できるのは素晴らしい。

 

 こいつでもって降下部隊は都市部の上空に降下襲撃。対空砲火をくぐり抜けて、防衛システムを粗方始末したら、本隊がHLVで降下してくるという作戦内容だ。

 

 問題はこの兵器がろくにテストされておらず、机上データのみでいきなり実戦投入される点。

 

 ジオンて本当に技術偏重というか、過剰に自信もってるよね。

 

 もっと現場のパイロットの命を高く見積もって欲しいものだ。

 

 失敗したら、エース級のパイロット数十人が一気に塵となって地表に降ることになるんだぞ。

 

 そしてさらに問題が。

 

「代替のMSがない?」

 

「はい……申し訳ありません」

 

 僕らの前で緊張した面持ちで敬礼するグラナダ基地の兵士。

 

「我々は次の作戦に向けてここでゲルググを受領するはずだったと思ったが?」

 

「大佐のゲルググJはあるのですが……」

 

 僕ら『閃光の伯爵』隊は、マプト港湾基地への強襲任務を帯びている。それにあたって、新型MSであるゲルググをこのグラナダで受け取るはずだった。そのため、宇宙に上がる際にこれまで乗っていたMSは置いてきてしまったのだ。

 

 ゼクス大佐が乗っていたザクS2はデータ回収のためにオーバーホールなので、最新型のゲルググJを充てがわれることが決定していた。

 

「私のMSだけあってもな」

 

「いえ、正確には数が足らんのです。部隊全員分のMSを用意することができず」

 

 大佐は唸る。

 

 新造したゲルググは、ダカール襲撃組の方に回ってしまっているらしい。さらに新造したドムは、先日全機が地上に降りてしまったようだ。

 

 しかしおかしいな。ゲルググは宇宙軍先行配備のためにもっと数用意してたと思うんだけど――これはだいぶ後にわかることになったが、宇宙軍で大規模な造反があったせいだった。MSごとパクられてその数を激減させてしまったらしい――キリマンジャロに一部の工廠を移した分、生産余裕も出たはずなんだがなぁ。

 

「よう! クソガキ! 久しぶりじゃねぇか!」

 

 振り向くと、そこにはやたらと濃い顔をした三人組が立っていた。

 

 

 

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