目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第187話 Side『降り注ぐ嵐』

 

 背中に銃口の感触。

 

 そして、下卑た雰囲気の男の声。

 

「ゲヒャヒャヒャッ!! おっと動くんじゃねえよ。大声だすのも禁止だぜ。鉛玉を直接腹で食いたいってんなら止めやしねぇけどよ」

 

 男はまるで旧友に接するみたいに僕の肩に手を回して密着。脇腹に銃を押し付けてくる。

 

 完全に組みつかれたな。体格差もあって、容易に抜け出すのは無理そうだ。

 

「じゃあ行こうか。親友さん(・・・・)よぉ」

 

 いや、本当誰ぞ、これ?

 

 どっかで見たような顔なんだけど。たぶん今世では会っていないと思う。なぜなら、ひと目見たら忘れなさそうなほど濃い顔だからだ。前世の記憶があるってのは、意外に厄介で、対人関係の記憶にやや支障が発生することがある。

 

 さてこの男、一言で表すなら三下悪人顔。

 

 鋭い目つきに、尖った鼻。薄汚い緑のバンダナを巻いている。

 

 美醜でいうなら、かなりの醜男だ。

 

 どっかで見た気はするんだよなぁ。前世のアニメ? ゲーム? わからないね。

 

「君、誰だったっけ?」

 

 低重力の通路を男に指示されながら進んでいく。人気の少ない区画に向かってるな。

 

「ゲヒャヒャヒャッ!! 俺の名前は『ニードル』だ。忘れねぇようにマーカーでその脳みそにしっかり書いとくんだな」

 

「機会があったらそうするよ」

 

 やがてついたのは、資材置き場だ。ここまでの間に結構な数の監視カメラに映ってるはずだけど。ニードルは銃を自分の体と僕の体で上手く隠してきた。

 

「いらっしゃい坊や」

 

 待ってたのは美女。 

 

 ただ、あんまり仲良くなりたくない感じの、鋭い目をしたお姉さんだ。

 

 というか――

 

「シーマ様だ」

 

 思わず呟くと、彼女の目がさらに細まって釣り上がった。

 

「勘違いすんじゃないよ。アタシは『エフェメラ・ハント』。海兵さ」

 

「ああ、作戦宙域まで我らを運んでくれるって話でしたね」

 

 いや、貴女シーマ・ガラハウでしょうに。今回の作戦で海兵隊と協力するとはあったけど、御大でてきてんじゃん。

 

 相手の階級章を確認すると、大佐だった。

 

 普通、佐官て40代とかだと思うんだが、人なしのジオンは20代でもぽんぽんいる。

 

 てか、アサクラ大佐どうした? あの人海兵隊指揮官だったよな? ちょっと前に大規模な人事異動あったと噂に聞いてるけど、クビか?

 

「で、ハント大佐。こんなところで僕に何のようです?」

 

「ゲヒャヒャヒャッ!! おい小僧! シーマ様にぞんざいな口聞いてんじゃねぇぞ?」

 

 隣のニードルさんが、銃口を脇腹にグリグリと押しつけてくる。結構痛い。って、やっぱシーマじゃないか。

 

「ニードル……あんたねぇ」

 

 本名を明かされて、ハント大佐――シーマさんは呆れきった様子でため息を吐いた。

 

 その後僕のもとにつかつかと歩み寄ると、手にしていた扇子で僕の顎を持ち上げる。

 

「小僧。アンタと私が以前どこかで会ってたとしても、アタシは再編された海兵隊の指揮官ハント大佐だ。わかったかい?」

 

「再編された? 初耳ですね」

 

「アンタんとこの坊や――ボスが発案した、特殊部隊の統廃合の煽りを食ってねぇ。面倒くさいことをしてくれたもんさね」

 

 ジオン海兵隊は、主な活動場所は宇宙だが、突撃機動軍に所属してる。再編はそのせいだろうか。でも、なんだかそれだけじゃない気もするが。

 

「まあそんなことはいいんだよ。アンタ、ここに呼ばれた意味、わかってんだろ?」

 

「あー、なんとなくですが予測はついてますね」

 

 ソールの件だなこれ。

 

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