目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
第192話 Side『ストームブリンガー』
――アフリカ戦線。
当初、連邦設立以前に度重なった各軍閥同士の内戦とそれを治めた欧州の連邦母体による白人主義政策による搾取によって、経済が低迷、深刻な国力不足となる。
そうして生まれた火種はこの荒れ果てた地に前世紀から延々と燻ぶっていた。
そしてその火薬庫に着火することとなったのは、ジオンの隕石落としと、電撃的降下作戦だ。
欧州を統括していた連邦支部が隕石の落下により実質的に壊滅し、ジオンの侵攻によってアフリカが東西に分かたれた結果、旧世紀から煮え湯を飲まされてきた貧困層に、民族自治独立の声が上がる。
ジオンはこれを大いに利用した。
発生した軍閥のいくつかに接触し、「ジオンは連邦とは違い、地球の支配を望まない。アフリカの大地は現地民族のものであり、この戦争が終われば速やかに立ち退くつもりである」と空手形を売った。
ジオンからすれば、大した資源もなく、完全に壊され尽くした自然環境が広がる大地に、興味も野心もなかった。
無知な野蛮人共は、地べたを這いずっていればよい。
地球人排他主義者である一部の宇宙移民は、自分たちの権益は宇宙にこそあると信じていた。
とはいえ、そうした態度を前面に出し、下手な言質を取らせるようなことはしなかったが。
ジオンはまず各軍閥に武器の供与を行った。
無論、ザクなどの最先端テクノロジーで作られたMSは渡さなかったが、旧式とは言えど十分な数の自動小銃と、軽装甲車両を揃えた。
これらをもって、ゲリラと化した部隊は、昂然と連邦陣地を襲撃、または連邦寄りの市街への強盗に勤しんだ。
中には連邦の中規模物資集積所への襲撃を成功させたものもある。
その他補給線への嫌がらせなどに、連邦アフリカ方面軍は気を割かねばならなかった。
ジオンの激しい攻勢に手を焼いた連邦は、大戦の初期にて失った陸上戦力、とりわけ各都市部の警備人員を賄うために、アフリカ連邦領にて民間軍事会社
主に警察活動や、準軍事作戦へと投入した。
この民間軍事会社には、自衛と称して現地の経済界から多額の資金援助がなされ、多くの現地人が半ば強制的に参加していた。
これにより、アフリカでは、これまで連邦経済を享受しそれに支えられてきた層――実際に銃火を交えるのは、下敷きにされている下級層だが――と、近代経済から排他され続けた貧困層が対立するという構図が出来上がる。
これに油を注ぐように、ジオンはいくつかの軍閥を統合して『キリマンジャロ・サハラ諸国解放戦団』なる準軍事組織を結成。数の足りない歩兵の補填とした。
同族同士が異なった主張を掲げて血で血を洗う、灼熱の戦場。それが宇宙世紀のアフリカであった。