目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第21話 Side『オルド・フィンゴ』

 

 第2降下作戦を終えた頃、基地の定例会議になぜか僕も呼ばれるようになった。

 

 ガルマ大佐直々の命令である。

 

 なんでも士官の中で、地球滞在経験のある者が一人もいなかったらしい。そこで、僕に白羽の矢が立ったというわけだ。

 

 12の頃、父の仕事にくっついて旧ハワイ諸島に約1年ほど住んでいたことがある。

 

 ジオンが旧ジオニックのカバー会社を通じて地球で購入した島の一つで、父の仕事は、そこで密かにMSとパイロットの環境負荷試験を行っていたのだ。

 

 その知見を求められての参加、ということになっている。

 

「自警団だと?」

 

 僕の発言にガルマ大佐が眉を上げる。

 

 各地で反ジオンのゲリラが頻発しており、このニューヤーク市内でも少数ではあるがゲリラ部隊が活動している。その対処

について意見を求められた。

 

「はい、連邦から鹵獲した61式を配って市民自身に対応してもらいましょう」

 

「待て待て、占領下の市民にそんなことはさせられないだろう」

 

「でも、市内で頻発してるゲリラも元市民ですよ? 同じ連邦民に対処してもらうのが1番効率よくいくでしょう。同じ市民に銃は向けづらい」

 

 そもそも元市長であるヨーゼフ・エッシェンバッハが裏切ってるんだよな。原作ではゴリゴリの連邦派で、政財界の意向を受けて降伏したけど、裏でゲリラを支援してる。

 

「それは自警団とて同じでは? むしろ心情的にはゲリラ側に加担するだろう」

 

 大佐の指摘ももっともだ。

 

「あくまで民間の防衛組織とするんです。警備を担うのは我らにとって重要度の低い施設に限定。供与する武装も限定します」

 

 61式ではザクの装甲を抜けないけど、施設破壊はできるから砲弾撃てないように細工するなどしてもいい。

 

「なにより、現地民と我ら軍の軋轢を緩和する政策のひとつですよ。規模は小さくていい。ゲリラと直接戦わせるわけでもない。元警官や警備員経験者を優遇しましょう」

 

 占領下であれど、自分たちで町を守っているという意識があれば不満も消化しやすい。

 

「それと、部隊の統制も今一度徹底しなければなりません。増員はされましたが、その分現地民との軋轢は増えます」

 

 まあこの辺はガルマ大佐は本当に厳しくて、現地民の私財を略奪した隊員は、たとえ士官であっても更迭している。

 

 ニューヤークの市民に、希望者にはコロニーへの移住、それにともなう税の免除と兵役の除外、配給と職の斡旋が約束されており、結構な数の人間がジオン行きを承諾している。次の補給でやってくるザンジバルに乗せてオデッサへ向かってもらう予定だ。他にもオデッサの鉱山で働く場合、少なくない手当てがでる。もともと労働階級だった人間はこぞって募集に参加した。

 

 人が出ていってしまうためエッシェンバッハ氏が反対していたが、彼は無条件降伏したのだから、嫌でも受け入れてもらう。

 

「それと、軍備増強ですがMSの数の把握は徹底されてますか?」

 

「数? ああ、勿論だが」

 

「連邦のMSはザクをコピーしたものでした。他にも鹵獲した機体を使ってゲリラ行為に出る者がいるでしょうから」

 

 北米で暴れたのはセモベンテ隊だっけ?

 

「偽装すると?」

 

「ええ。定期的に友軍コードを入れ替えたほうがよいかもしれません」

 

「連邦に我らのMSを扱えるとは思えんが、されれば確かに厄介ではあるな」

 

「連邦の目的はゲリラでもなんでもして時間を稼ぎ、大規模反抗作戦の準備期間を得ることでしょうからね。狙うなら補給物資の集積所とかでしょう」

 

「頭の痛い問題だな。本拠地だけでなくそうした場所まで目を光らせねばならんとは……人もMSも足りん」

 

 ガルマ大佐が頭を抱えるのを、士官全員が生ぬるい目で見つめる。まあ彼はまだ若く、学生さんの気分も抜けていないだろう。皆の前で弱音の一つもこぼしてしまうものだ。

 

「地上用にもっと戦車が欲しいですね」

 

「戦車ならマゼラアタックがあるだろう」

 

 僕はあれを戦車とは認めません。

 

 砲塔部は飛行するために、装甲もない防弾ガラスで防御力が圧倒的に不足しているし、おまけに飛んでもたいして高度も飛距離も取れない。おまけに命中精度は悪くて砲塔旋回も不可能。飛行する意味がなく、主砲の命中率の低下という弱点になっている。

 

「マゼラでは対MSには貧弱です。というか、正面でやりあえば61式にすら勝てない。たしか、地球制圧用兵器開発計画でポシャった機体がありましたよね? 開発部よりMT(モビルタンク)のカテゴリを与えられていたはずですが」

 

「ああ、それなら、先日地球に降りてこの北米に配備されている。試験運用の後に現地配備だそうだ」

 

 おおヒルドルブ! 史実よりもだいぶ早く出されたのか。

 

「それ、貰いましょう」

 

「は?」

 

 僕の笑顔に、ガルマ大佐はゲテモノを見つけたような顔をした。

 

「MSが足りないなら、戦車を使えばいいじゃないですか」

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