目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
新型ミサイルは超小型の核融合炉を搭載している。
僕が
本ミサイルの先端部にあるバンカーパイルをプラズマ赤熱化させ、硬い地殻をぶち抜くためのものだ。
核兵器と広域破壊兵器の使用は南極条約で禁止されているが、MSを含む兵器に搭載する核融合炉はオッケーだし、ハイパーナパームは地表に存在する都市への使用を禁止しているけど、地下を目標物としたものは記載されていない。
さらに、このハイパーナパームは通常兵器ということで、これまでで連邦がバンバン使っていたりする。
ミノフスキー粒子のせいで誘導機能が効かないといえども、慣性誘導は精度はそこまででもないが可能だし、広域を焼き払えるなら、多少目測がズレても打撃を与えられる。
連邦は、ジオンが占領した街ごとミサイルで吹き飛ばしたりしてる。世論操作で冷酷なジオンの仕業にしてるけども。
おかげで完全制圧した北米以外でジオンは、司令部を対空防御索敵の低い場所に置くわけにはいかず、ダブデやギャロップで常に位置を変えながらの作戦行動だった。
ジオンがこれまで地上で大規模な作戦行動を大きく取れなかったのはこのせいでもある。
「向こうが使ってくるならこちらも、となぜしないのか疑問だったんだけど、こんな隠し玉があったんだね」
僕の言葉に、オリヴァー中尉が同意する。
「ええ。切り札を切るなら一気に、ということでしょう。ジャブローも地下の隔壁の堅固さには自信があるでしょうから。まさかミサイルでぶち抜いてくるとは考えていないでしょう」
「本当に隔壁抜けるのこれ?」
「理論的には。ミサイルに搭載したジェネレーターの出力は低いですが、パイル部にしか使ってませんからね。少なくとも地下の岩壁を数十キロメートルに渡って貫けるのは、事前に宇宙で試して立証済みです」
隕石にぶち込んで貫けるか試したらしい。
問題は、大気圏内で成層圏付近まで超極音速で打ち上げ、そこから高速自由落下し目標地点へぶっ刺さって、果たして正常に効果を発揮するかである。
推進剤を持たない代わりに、ジェネレーター周りは強固な耐衝撃隔壁に覆われているけれど、地表から計算した目標到達高度はおよそ80kmだ。そこからの自由落下など、全身ルナチタニウム製のMSすらバラバラになってしまうだろう。
さらに地下で――目標はジャブローの広大な地下空洞内施設といえど――十分な爆発を起こせるのか疑問だ。
「オイ、どうでもよろしいけれど、もうそろそろお時間でしてよ」
僕の前方下部、操縦席に座ったキリシマ嬢が不機嫌そうに告げた。
なんでも、僕が自分より高い位置に座るのが許せないらしい。
仕方ないじゃん。いくらAIが補助してくれるといっても、射撃適正めちゃ低いアナタを砲主席に座らせる粋狂はできないよ。
加えて今回はキリシマ嬢が大好きな乱戦格闘がないのも不満らしい。
何度も言うが、巨大なミサイル抱えたまま格闘戦なんて
お嬢の指摘通り確かに表示機のカウンターを見ると、そろそろ作戦時間だ。
オリヴァー中尉が最終確認をしてくる。
「こちらのジェネレーター出力は安定。フューエルライン接続問題なし。フィンゴ中尉、チェックお願いします」
「こちらも問題なし。お嬢、パイルしといて」
「あいよ。ですわ」
脚部にある姿勢安定用パイルが地面に打ち込まれ、レールキャノンが上空に向けられる。
「なんだかんだ、核爆発起こすより簡単な仕事だよな」
「……何かおっしゃいやがりまして?」
思わず口走った僕の言葉を拾ったお嬢が、見上げてくる。
「いや、なんでもないよ。仰角安定。ブレなし。弾道計算装置も問題なく稼働中。オリヴァー中尉、カウントダウンよろしく」
「了解。――10、9、8,7、6、5、4、3、2、1、発射!」
「
トリガーを引く。
機体に衝撃が伝わり、レールキャノンから音速を超えてミサイルが射出された。
夜の闇に紛れて撃ち出されたそれは、推進剤を使用しないために視認などできるはずもない。
「射出確認。『シウテクトリ』、離脱どうぞ」
「だってよ、お嬢」
「ふん。私はタクシーじゃねぇ……ですわ」
機体を起こし、現場を離れる。
やがて轟音と地響きが伝わってきた。
着弾したらしい。
後方カメラからの光景は、目標とした山――連邦山岳基地の中腹部が盛り上がり、そこから炎と光が漏れ、大きく雪崩れていく様を映していた。
これが地表での爆発だったら、辺りは真昼のように明るくなったはずだ。
地中での気化爆弾なんてたかが知れてるだろうと思っていたが、本当に小型の核並みの威力じゃないか。
「観測していたフェンリル隊より打電。目標地点に弾着とのこと。致命的な誤差は確認されず」
恐ろしい兵器を生み出したものだなぁ、と感想を抱くと同時に、僕はある一つの確信を持った。
と、視線に気づいて見下ろす。
キリシマ嬢の冷たい瞳が見上げていた。
「何か?」
「なんでもねぇですわ」
なんか月の一件以来、この女すげー機嫌悪いんだよな。そのくせいつもみたいに噛みついてくるわけじゃないから、逆に気持ち悪い。
なんとなく居心地の悪さを感じながらも、思考を先程の疑念に戻す。
――この技術、
と。