目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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 タイトルはあえて。


第211話 Side『ふるえる山』

 

 目の前で山が大きく震えている。

 

 どうも。引き続きオルド・フィンゴです。

 

 何がどうなったのか、僕自身も若干ながら困惑しているんだが、説明とともに状況を整理したい。

 

 新型MA『シウテクトリ』の稼働試験および新型地中貫通式弾道ミサイル発射試験作戦を終え、僕らはキャリフォルニア・ベースに戻った。

 

 ジオン領である北米と連邦域であるカナダを分ける山岳地帯防衛陣地。その連邦本陣が一夜にして壊滅した。

 

 ジャブロー攻略のために戦力を動かしていたジオン北米軍を牽制するために連邦カナダ方面軍がかき集めていた、機械化混成5個師団と1旅団が、山岳基地の崩壊に飲まれて全滅。

 

 大きな戦力を一度に失った連邦は再編のために前線を後退させることにしたようだ。さすがに大規模な戦闘を行うだけの兵力は残っていないようだ。

 

 そして僕たちには本国より新たな命令が下る。

 

 ――『シウテクトリ』及びそのパイロットは、ジャブロー攻略戦に参加すること。

 

 今回の試験結果を見て、上は使えると判断したらしい。

 

 にしても、テストからわずか3日での辞令である。かなり性急

 だ。|(この判断は、ガルマ准将が下した模様)

 

 とはいえ命令されれば従わねばならないのが下っ端の役目。

 

 ただ問題もあった。

 

 前回試射したミサイルだが、撃ち出した直後の高度が目標値に足りなかったのだ。

 

 レールキャノンの出力不足である。

 

 それでも目標地点に正確にぶち込めたのは、ミサイルに搭載されたAIの優秀さによるもので、落下中に姿勢制御可変翼で調整がされたためだ。

 

 運が良すぎた結果であり、次回も上手くいくとは限らないし、何より射撃後の機体と砲身の摩耗が激しいという欠点も浮き彫りになってしまった。連射なんてとんでもない。

 

 レールキャノンの出力不足は送電するジェネレーターを増やせば事足りる計算が出たが、機体の強度不足はいかんともしがたい。

 

 必要強度を計算すると、機体サイズが倍になり、とても格闘戦後の長距離砲撃なんてできっこない。

 

 よって、当初の目的である、現地で格闘戦をこなしつつ強引に砲撃地点を確保、長距離弾道ミサイルで目標破壊なんてことは不可能だと判断した。

 

 苦肉の策として、レールキャノンの最大出力を強化して飛距離を伸ばし、必要な電力は北米大陸南端の施設に巨大なバッテリーやジェネレーターを用意して、そこから撃ち出すことにする。

 

 なので、元連邦基地のオーガスタにハイゴッグの水冷式大型ジェネレーターを複数準備。僕らはキャリフォルニアでレールキャノンの出力強化調整を2日で済ませたら、『シウテクトリ』でミサイルを輸送するという段取りだ。

 

 オーガスタまでの護衛は、ニューヤークのノイジー・フェアリー隊が努めるとのことで、新機体受領がてらこのキャルフォルニアにやって来た。

 

 リーダーであるアルマ・シュティルナー少尉は、試作強襲機である『ティターニア』を受領。

 

 ってこれ、ケンプファーじゃん! そう思って聞いたら、案の定装甲がスカスカだったので、全部引っ剥がして付け替えたらしい。中身はザクs2と同じフレーム構造で、やたらと反応が高い少尉にとってはまるで自身の手足のように扱えるようだ。

 

 そして部隊の技術屋であるミア・ブリンクマン技術少尉の機体は、『ドム・べへーモス』。

 

 ってこれもうドムじゃないじゃん! なんかライノサラスみたいな全身してるし、MSというよりMAだ。

 

 ベヘモスユニットという、ギャロップのホバータンクのようなものがドムの前後を挟むように装備されている。いや、ドムが戦車に乗っていると言ったらいいのかな。これは各種プロペラントと増設ジェネレーター、小隊の武装補給を担うユニットで、いわば補給用移動要塞がコンセプト。

 

 分厚い装甲と、ヒルドルブⅡと同型のレールキャノンで遠距離砲撃も可能。中距離は左右の姿勢制御用可動翼に搭載された2連装メガ粒子砲で対応。

 

 うん。やっぱり技術屋って性別年齢関係なく頭のネジおかしいんだな、と実感した。

 

 ちなみにべへーモスは、旧約聖書の陸の魔獣の名前をいじったものだ。

 

 そしてヘレナ・ヘーゲル曹長。彼女が受け取った機体は、『グフ・イフリータ』。

 

 原作世界の『イフリート』ではない。グフⅢを改造した専用機だ。

 

 ティターニアと同じフレーム構造を採用した格闘戦用機体であるグフⅢを、遠距離から近接戦まで行える万能強襲機にしてあった。

 

 以前彼女との模擬戦で「スナイパーなのに前に出るな」と忠告したのに反発したんだろうか。

 

 折りたたみ式のビームスナイパーライフルに、近距離戦用のショットガン。さらには白兵戦用のククリ型のヒートナイフで武装している。

 

 イフリータはイフリートの女性名で、アラビア伝承の魔人だ。炎の精霊にたとえられることもある。

 

 なんだ? 妖精女王が魔獣と魔人を連れて戦場に繰り出すとかとんでもない構図だ。

 

 ただ、一番とんでもないのはエターナ・フレイル少尉だ。

 

 ニューヤーク第2機動小隊からノイジー・フェアリー隊に移籍した彼女は、いつもの喜久子ボイスでニコニコとしている。だが、このキャリフォルニアで受け取る機体はないとのこと。

 

 聞いても『お姉さんのヒミツよ』なんて言って教えてくれなかった。

 

 他のメンツと違って彼女だけは月へ行くらしい。

 

 それを聞いてピンときた。

 

 アプサラスですね。

 

 予定されているジャブロー攻略戦で、アプサラスが投入されるが、2番機は月で開発されている。噂では改良された新型とのことだ。

 

 エターナ嬢がこの新型アプサラスに搭乗すると、1番機と合わせて声が一緒という奇跡が起きるな。

 

 その時、僕の喉元が山から生えた(・・・・・・)腕に締められた。

 

「この状況で、アタシ以外の女のこと考えるなんて、いい度胸じゃねぇか。アン?」

 

 ぐぅ。

 

 震える山……というか揺れる双山(・・・・・)の向こうから轟く鬼女の声。

 

「ずいぶんと余裕じゃねぇか。文字通り足腰立たなくなるまで搾り取ってやんよ」

 

 僕の上に跨ったキリシマ嬢がドスの効かせた声を響かせる。

 

 うん。全然艶めかしくないね。

 

 ノイジー・フェアリーの面々と顔合わせてから、カスミ・キサラギ女史にミサイルの弾道計算用AIの改良打診し、オリヴァー中尉と『シウテクトリ』開発陣の連中で本体からレールキャノンへのエネルギーパイプの強度確認と、若干の仕様変更を煮詰め、明日朝のオーガスタ出発前に自室でレールキャノンの設計図を眺めて最終確認をしてたら、キサラギ嬢が襲来。

 

「いい加減、アタシが上だってこと、わからせてさしやがりますわよ」

 

 なんか危険な感じに目を光らせて服を脱ぎ、あれよあれよと言う間にベッドへ僕を押し倒したわけだ。

 

 魔獣(リヴァイアサン)はここにもいたかー。

 

 人間、目まぐるしい状況に思考が追いつかないと、走馬燈のごとくそれまでの出来事を思い返すというが、ひとつ実証されたな。

 

 さて、彼女のお胸がとにかくデカすぎて、上に乗られると顔が見えないのよね。おかげでどんな表情しているのかはさっぱりわからん。

 

 動くたびに震えるというか揺れるというか、躍動するのだが、千切れたりしないのかなー。

 

 彼女も何を考えて僕みたいな情緒壊れた人間を選んだのか。

 

 まあ、獣じみた直感力をもつニュータイプだ。なんか彼女的に好ましいものがあるのかもしれない。

 

 とりあえずわからせてくれる(・・・・・・・・)というので、堪能させてもらうことにしようかな。

 

 では、ムービルフィラ(・・・・・・・)っと。

 

 

 

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