目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第215話 Side『ZERO』

 

 たった2機での吶喊。

 

 常識では考えられない作戦であったが、ゼクスに恐れはなかった。

 

 今は戦場こそが自身の居場所なのだと実感していた。だが、自分についてくる彼女はどうなのか。

 

「ノイン。これは本来の作戦にはないものだ。本当によいのか?」

 

「らしくないですね。もともと『閃光の伯爵(ライトニング・カウント)』隊はそうしたことを扱う部隊。貴方が決めたことに、何の懸念も持っていません」

 

「そうか」

 

「私の居場所を、貴方の側にさせてください」

 

「……わかった。だが、死ぬなよ」

 

「もちろん。ゼクス、あなたもです」

 

「フッ……善処しよう」

 

 笑うと同時に、2機は左右に展開する。

 

 その間を銃弾が突き抜けた。

 

「ゼクス!」

 

「わかっている!」

 

 すでにここは、ラル大尉より教わったゲリラ民の集落地に近い。連邦か展開していることは当然であった。

 

 密林の影より、MSが現れる。

 

 CG解析が遅い。

 

 今までに見たことのないタイプだ。

 

「向こうも特務機が!」

 

 赤外線、振動音を遮断するジャマーに、おそらくはミノフスキー粒子散布器も装備しているのだろう。急激に粒子濃度が高まり、近距離のはずのノインとの通信すら途絶する。

 

 緑色のシルエット。

 

 アサルトカービンタイプの銃の乱射をゼクスは避け、反撃としてビームライフルを浴びせようとした時、違和感を覚えた。

 

「伏兵か!」

 

 咄嗟に左腕を振り上げる。

 

 左腕部のビームガン兼ビームサーベルの光刃に、同じくビームの刃が叩きつけられる。

 

 モニターに表示されたのは、グレーのモザイク画だ。MSのはずだが、人型すらしていない。

 

 機体トルクの差はこちらが有利のようで、力任せに押し返し、ライフルで追撃しようとするが、さらなる一撃が振るわれ、ビームライフルが溶断された。

 

 爆発を避けるためにゼクスは武装を手放し左に飛び退く。

 

 モニター越しでは判断できないが、武装はビームサーベル二本か。解析がまったく進まないため、全容を捉えることができない。レーダーに表示される位置情報すら合っているのかわからない。

 

「ステルス機がこれほど厄介とはな!」

 

 脇から先程の緑の機体が銃撃してくるのを避ける。

 

 こちらの解析はほぼ済んだ。どうやらジム系統の特別機のようだ。

 

 増加装甲と各所に懸架した武装。ミニガンタイプのカービンが主兵装だ。

 

 ジムタイプは3体。不明機(アンノウン)は1体。

 

 アンノウンは全体が精彩表示されないために、挙動が読めない。さらに悪いことに、加速力が異常だ。このゲルググJ並みである。

 

 |(武装は格闘兵装のみか? ならばやりようはある)

 

 ジムタイプの牽制射撃を咄嗟に持ち替えたビーム・ナギナタを回転させ盾として防ぐ。

 

 そして機体を旋回させ、背後から襲おうとしていたアンノウンに腕部のビーム・サーベルで一太刀を浴びせた。

 

 敵がステルス機ならば必ず死角から襲ってくるというカン(・・)でしかなかったが、うまく企図した通りになった。

 

 モニターには地面に転がったアンノウンの右腕部が映し出される。本体から離れたことで、ステルス機能を失ったのだ。

 

「……クス! ゼクス!」

 

 そこで通信がノインの声を拾う。

 

 ノインの相手をしていたジムタイプが、突如ターゲットを替えてゼクス機に向け有線ミサイルを撃った。

 

 背部バックパックに直撃すれば、致命的なことになる。

 

 だがそこにノインのドワッジが割り込む。

 

「ぐぅぅああ!」

 

 ミサイルの直撃。呻く声が響く。

 

 身代わりとなったドワッジの前面装甲には、試験的にアナハイムから供与されたルナチタニウムが導入されている。それでも近距離の爆発は分厚い装甲を容易く吹き飛ばした。

 

「ノイン!」

 

 周囲はミノフスキー粒子の海だ。通信は届かない。それとも、気絶したか? いや、すでに――。

 

「チィッ!」

 

 最悪の事態を振り払い、ゼクスはミサイルを撃ち込んだジムタイプに肉薄する。

 

 だがそこに、先程のアンノウンが割り込む。

 

 ステルス効果が薄れたのか、荒い画像ではあるが機体の全容が映る。

 

 (やはり|二ツ目(ツインタイプ)か)

 

 ガンダムという名の、高性能機体。思い出すのは、ニューヤークでの決戦だ。

 

 当時のパイロットから感じた圧はない。こちらの急所を狙う動きに無駄がないが、その分予測しやすかった。動きは早いが強引に詰めれば仕留めるはずだ。

 

 しかしながら、残りのジムタイプが間髪を入れずにフォローの銃撃を送ってくる。

 

「ならば取り巻きを潰すしかないか。しかし――」

 

 数的不利は絶望的だ。

 

 一機を狙えば、他の三機に背中を見せることになる。

 

「ゼクス。私が、フォローします!」

 

 ノインが機体を起こす。

 

 牽制射撃で、ゼクスの背面をカバーしようと動くがいつもの精彩さがない。怪我か、機体の不調か。

 

 ゼクスは本作戦が開始される1週間前の出来事を思い出す。

 

 賭けにしかならない。それも、分の悪い賭けだ。

 

「すまんノイン! 8秒だけ稼いでくれ」

 

 

 

 

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