目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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 Twitterで、おもしろ設定(架空)のボードゲームを見つけたので作中で採用してみました。


第22話 Side『オルド・フィンゴ』

 

 ヒルドルブが配備された補給物資集積所。

 

 そこにこちらから出向くことになりました。

 

 ヒルドルブはデカくて重いので、運搬するのにガウを使うか、ギャロップで牽引するしかない。で、集積所にはガウが離着陸ができるような滑走路がないため今回ギャロップで迎えに行くことになったわけだ。また、ギャロップの慣熟航行も兼ねている。

 

 護送要員として、僕ら第1機動小隊に辞令が下された。

 

「いいだしっぺなんだから、お前がめんどうみなさいよ?」ってことですね、はい。

 

 ギャロップはホバークラフトと、ジェットエンジンでその巨体に似合わない高速走行を可能にした陸上戦艇だ。

 

 MSもザクとドムを3機格納できるし、内部で整備も可能。僕らのような小規模部隊の移動基地としてはもってこいである。

 

 後ろに物資運搬用カーゴを連結して運べるので、サムソンのようなトレーラーにヒルドルブを積載して運ぶつもりだ。

 

「あーどこまでいっても砂漠ですわね」

 

 ギャロップの食堂内で、つまらなさそうにキリシマ曹長が呟いた。

 

 艦内にあるので、窓があるわけではない。艦外に設置されているカメラから流れてくる映像をここで見れるのだ。そのためか、暇を持て余した者がこの食堂によく集まる。

 

 特に我々機動小隊は敵襲でもなければやることはないため、ここで時間を潰しているというわけだ。

 

「そうだね。今の地球は大半がこんな砂漠と荒れ地だ。連邦が棄民としてコロニーに人を送るのもやむ無しってやつだね。ほい、チェックメイト」

 

 そういって僕は、駒に見立てたボルトを進める。

 

「あ! テメェなんでそこに……!」

 

 僕らが遊んでいるのは鉄機兵というゲームだ。

 

 四角いマスが描かれたボードの上に、それぞれ色違いのボルトを置いて、相手の陣地まで自分の駒を進めた方が勝ちという、シンプルな遊びである。

 

 歴史は古く、19世紀の旧イギリスでネジ職人たちが遊び始めたというゲームで、ネジは切れ込みの向きに応じて十字か斜めの1マスに進むことができ、この向きは、ネジを動かした後に向きを変えることが可能。進行中他のネジと接触する場合、そのネジはチェスのようにゲームから取り除かれる。

 

 ざっくりとしたルールはこんな感じだ。

 

「あーくそっ! また負けた!!」

 

 キリシマ嬢は叫んで拳をテーブルに叩きつけた。ネジが倒れて転がる。

 

「はい。これで僕の10連勝。今日の野菜の皮むきは曹長が担当ね」

 

「覚えてろ。いつか拳突っ込んで奥歯ガタガタ言わせてさしあげましてよ」

 

 どこに突っ込む気だ。

 

「また騒いでいるのかお前たちは」

 

 渋い声に振り向くと、エイブラハム・ラムザット隊長がやって来ていた。

 

 しかしこの人、声が低くくてカッコいいな。

 

「ああはい、隊長もおやりになりますか?」

 

「いや。それより中尉、今回のMT――ヒルドルブの受領の件、君がガルマ大佐に進言したと聞き及んだのだが」

 

「ええ、その通りですが、何か?」

 

「君は、MTが今回の戦争に必要だと本気で思っているのか?」

 

 なんか質問の意図が読めないな。

 

 ふとキリシマ嬢を見ると、面倒はごめんですわ、とばかりにさっさと席を立ってこの場を離脱しやがっていた。

 

 毎回のことだけど、負けたんだから後片付けくらいしていってほしいな。

 

「自分は地球に来て、MTこそこの環境に合致した兵器であると確信しましたが」

 

 キリシマ曹長の代わりに、大尉が対岸に座る。

 

「あれは本国の戦闘教義(ドクトリン)に合致しない。あまりに汎用性がないからな。故に、モビルタンク計画は撤回された」

 

 なんかやけに詳しいな。しかもなんか暗く否定的な雰囲気を醸し出してるし。

 

「あれは、失敗作なんだよ、中尉」

 

 僕を見ながらも、ラムザット大尉の目はどこか虚ろで、ここではないどこかを見つめているようだった。

 

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