目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第218話 Side『ZERO』

 

 オーガスタ基地――

 

 ども。オルド・フィンゴです。

 

 連邦カナダ方面軍を抑え、新型MAと弾道ミサイルの試験を終えて、ここにやってきました。

 

 キャリフォルニア・ベースで件の『シウテクトリ』は改修を受けたんだけど、オーガスタに運び込まれ組まれたそれを見て絶句したね。

 

「ざ、ザクレロ?」

 

 弾道ミサイルを撃ち込むレールキャノンへの電力不足を補うためにジェネレーターが増設。さらに重量が増した分を、増加スラスターでカバー。

 

 巡航形態では、最新型のドムよりも最高速度が高い。

 

 でも耐G機構は更新されてないとか。

 

 そして、機体前部にマニュピレーターが追加された。

 

 そのマニュピレーターが問題だ。

 

 技術屋のオリヴァー・マイ中尉曰く、

 

「操縦士であるキリシマ曹長より、近接戦が機関砲だけでは不満だとの意見を受けまして、格闘戦用の武装を追加しました!」

 

 とのことで。

 

 右腕先端部は、大きなハサミのような武装となっている。

 

 オリヴァー・マイ曰く、

 

「これは『ヒート・シザー・ハンド』と言いまして、通常は二爪(にそう)のクローアームとして扱いますが、格闘戦時にはプラズマ赤熱化して相手を挟んで溶断可能です! ワイヤーで繋がってまして、アンカーとして電磁射出することもでき、敵の意表を突くことができるでしょう! さらには過電流を送ることで相手をショートさせます!」

 

 とのこと。

 

 なんだ、ジオンはヒート・ロッド症候群にでも罹患してんのかな。

 

 左腕先端部は、ビームガンになっている。

 

 オリヴァー曰く、

 

「左腕は高出力のメガ粒子砲(ビーム・ガン)になってます! ビーム兵器の近、中距離での威力は知っての通りであり、咄嗟の格闘戦に対応するために、銃口部にはヒートナタを取り付けてあります!」

 

 あ、うん。ナタ(こいつ)のせいかすごくザクレロっぽいシルエットしてますね。

 

 でも、なんで銃口上部につけてんの? って聞いたら、普段は射撃の邪魔にならないように手首側に折り曲げておけます! だそうだ。

 

 いや、だから、なんでミサイル積んだ巨体で格闘戦するの前提なの!? しかもレールキャノン使うせいで大型のジェネレーターが外部に露出してんだよ! 歩兵のロケラン一発でも当たれば危険でしょうに!

 

「あ、もちろんそこにカバーはつけますよ」

 

 そうじゃない! 

 

 そしてトドメはカラーリングだ。

 

 なんと真っ黄色である。

 

 つまりザクレロカラーなんだ。

 

 オリヴァー(バカ)曰く、

 

「キャリフォルニアの方で、耐ビームコーティング剤を混ぜた塗料を受け取りまして。それが試験用ってことで、テストカラーの黄色だったんですよ」

 

 なんで視認性高い黄色選んでんのさ。

 

「ミノフスキー粒子下では、モニター認識されづらいですし」

 

 いや、肉眼でばっちり目立つでしょ。

 

 僕がキャリフォルニアからここまでの間に、キサラギ女史が持ち込んだ『Z.E.R.O.システム』の解析と導入進めてたら、まさかこんなことになってるとは。

 

 やっぱ開発部の人間は専門バカだ。

 

 ニューヤークでは僕も大概に言われたけど、やはり本職には敵わないな。ありがたいことに(・・・・・・・・)。まだ自分の感性は――少なくとも兵器知識に対して――まとも(・・・)だとわかる。

 

 キャリフォルニアにいる間、ずっと自室に籠もってキサラギ女史が作った『Z.E.R.O.システム』の解析。本当は弾道計算のためにシウテクトリに積むはずだったんだが、さすがに元連邦の人間が作った制御コンピューターってどうなの? って意見が大半だった。

 

 とはいえ、これ『黒箱』の知識で造ったものなんだよね。

 

 そこで改めて僕が解析して、デチューンしたものを搭載することにした。

 

 んで、キサラギ女史が造った方は、ジャブロー潜入組のゼクス大佐の方に預けることにする。

 

 この『Z.E.R.O.システム』は、対象の『スウェッセム因子』を補強して、擬似的ではあるが感応波(サイコ・ウェーブ)を発することができる。

 

 この感応波というやつは、ミノフスキー粒子に作用して伝播し、少しでも粒子があれば距離時間で減衰しないどころか、遅延もほぼ起きない。

 

 代わりに、この感応波を受け取る他の人間や機器が増えれば、あっという間に消滅してしまう代物だ。

 

 以前ニューヤークを急襲した、パイロットの感情を垂れ流すジム。あれに近い。あと、僕らが極東で出会った『蒼い死神(ペイルライダー)』。

 

 アレらはシステムが生体部品と認識した人の脳波を読み取り、指向性も全く無いまま、(なま)の感情を放出していたわけだ。

 

 大佐に渡した『Z.E.R.Oシステム−Type.W』は疑似スウェッセム因子ともいうべき機能を持ち、パイロットの脳に好戦的なイメージを送る。

 

 感応波を生み出すスウェッセム因子は、主に脳内の体液中に多く、感情の昂りによってその作用を強化する。

 

 そうすることによって、非ニュータイプでも自身の感情、思考を発露させることに成功している。

 

 こうした技術と知識を『黒箱』から得、現状の科学力で再現した『Z.E.R.O.』だけど、後のバイオ・センサーやサイコ・フレームのように機体性能――特に駆動系――に作用することはない。

 

 機械的に各部のリミッターを解除して、機体の反応値を上げることはできるけどね。

 

 それと、戦況を分析してもっとも勝率の高い戦術の構築ができる。ある意味未来予測。これは『黒箱』からサルベージしたある人物の人格パターンを模倣して造られたものだ。

 

 大佐の使用している『Type.W』は『ゼクス・マーキス』その人。

 

『新機動戦記ガンダムW』のゼクス・マーキスの思考パターンだったりする。

 

 他者の意識より、自身の性格のほうが――無論、別の世界軸の存在だけど――シナジー高いかとおもったんだけど、今思うと、逆に違和感あるかもしれないな。

 

『Z.E.R.O.システム』にとって重要な機能は、あくまでも疑似スウェッセム因子がトレースした思考を、特定の対象――もう一つの『Z.E.R.O.システム』に届けること。

 

 つまりは、僕の乗るこの機体だ。

 

 

 

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